通信用語の基礎知識!プッシュ回線やダイヤル回線の違いとは?
技術の進化とともに回線の種類も増えています。本記事では、通信用語の基礎知識であるプッシュ回線やダイヤル回線、アナログ回線などそれぞれの違いや概要についてご紹介します。
アナログ回線は2種類に分けられる
アナログ回線は大きく以下の2種類に分けられます。
ダイヤル回線
ダイヤル回線とは、黒電話などダイヤル式の電話機を使う場合に用いられる回線です。ダイヤルした数字が発する信号によって電話をかける番号が伝達されます。
現在でも使用されていますが、ダイヤル回線では利用できないサービスが増えていることからプッシュ回線が主流となっています。
プッシュ回線
プッシュ回線とは、ダイヤルした数字に対応する信号音を発することで番号が伝達される仕組みです。一つひとつの数字などに固有の音をつけ、伝達したい符号に対応した音を回線に創出します。
電話機で電話番号を押して相手につながるのはそのためです。電話機の数字のボタンを押して番号や記号を表すことから、プッシュ式とも呼ばれています。
トーン回線はプッシュホンに使われている 、音を使って番号を表すダイヤル方式を指します。DTMFもプッシュ式と呼ばれることがあります。
ダイヤル回線とプッシュ回線の違い
ダイヤル回線とプッシュ回線は主に以下のような違いがあります。
通信方法
ダイヤル回線とプッシュ回線は異なる信号を用いて伝達しています。ダイヤル回線やプッシュ回線などのアナログ回線を利用する電話機は、電話局の電話交換機と銅線が結ばれています。動線には電流が流れており、電子を振動させることによって音声通話ができるようになっています。
電話機の受話器を上げて電話番号をダイヤルすることで、ダイヤル回線ではダイヤルパル信号が送出されます。プッシュ回線ではプッシュ信号が送出され、相手に電話をかけることができます。
プッシュ回線は、0〜9の数字にそれぞれ異なる周波数が紐づけられています。音がそれぞれ違う数字を音として送出しています。その音を交換機が読み取ることで、番号を認識できるのです。
ダイヤル回線は、数字を音でなく回線を瞬断する回数で表されます。黒電話を数字でダイヤルする際、受話器からカチカチという音がすると思います。これは回線を瞬断させているときの音で、番号ごとに割り振られた瞬断回数を読み取ることで電話番号を認識しています。
ダイヤル回線は数字ごとに回線を瞬断しているため、一つの音を識別するまで時間がかかります。
またプッシュ回線はダイヤル回線にはない、「*」や「#」などのボタンを利用することも可能です。
さらに、パルスとトーンの違いもあり、ダイヤル回線はパルス、プッシュ回線はトーンで表現され、どちらも信号を表します。
料金
料金はダイヤル回線もプッシュ回線も大きな違いはありません。基本的に同一基本料金で運用されています。
アナログ回線は施設設置負担金と呼ばれる電話加入権の料金を支払う必要があります。現在は39,600円(税込)に設定されており、電話加入権が不要なタイプも登場しています。
他の電話回線の種類
2022年現在では、アナログ回線のほかにも様々な電話回線が登場しています。ここでは主な電話回線の種類やそれぞれの特徴、メリットなどをご紹介します。
ISDN(デジタル)回線
ISDN(デジタル)回線は、デジタル信号を利用して通話するものです。音声データを「0と1」に変換して通話します。音声データを変換するならアナログ回線でも可能ですが、ISDNには様々なメリットがあります。
まずは盗聴が難しい点です。ISDN回線は音声データをデジタル信号に変換するため、盗聴には高度な知識と機器が必要です。アナログ回線は電気信号のため、デジタル信号に比べて盗聴しやすいとされています。
また、ISDNはアナログ回線と比較して音質がクリアなことが多いです。デジタル信号は通話距離に影響されないため、音質の劣化が少ないとされています。
さらに、1契約で2回線以上利用することが可能です。ISDN回線は64kbps(1回線分)を2本で1契約としているため、1契約で電話番号が2つ割り振られることがあります。
ただし、近年ではADSL回線や光回線の方が主流のため、ISDN回線はほとんど用いられなくなったといわれています。
直収回線
直収回線とは、電話会社1社分の設備を利用して通話を行うことです。固定電話はこれまで、NTTと中間電話会社2社を利用する必要がありました。
直収回線を利用すれば支払先を一つにまとめることが可能になります。さらに直収回線を利用すれば、NTTの電話加入権が不要となります。これまでNTTの回線を利用するには、電話加入権が必要でした。直収回線はNTTとは関係ない設備を利用しているため、加入権分のコストを削減できます。
またNTTに加入しなくても電話番号はそのまま利用可能で、オプションサービスなどもNTTなどとほぼ変わりません。
有名な直収回線サービスとしてソフトバンクの「おとくライン」などが挙げられます。基本料金や通話料金などが通常の固定電話として安くなり、独自の割引プランなども展開されています。
またソフトバンクだけでなく、他の会社も直収回線サービスを展開しています。直収回線では各社さまざまなサービスが展開されています。自社が必要とするサービスや予算に合致するのであれば、契約するメリットは大きいでしょう。
光回線
光回線は厳密には電話回線とは別物です。光回線を用いた電話とはIP電話を指します。光回線を利用すれば、電話とインターネットをどちらも利用できるようになります。
光回線は、光ファイバーと呼ばれるケーブルを利用してデータ通信を行います。光ファイバーは電話線に組み込まれていないため、光回線を利用する際には電話線は必要ありません。
インターネットに接続して利用するIP電話(ひかり電話)は、従来の固定電話よりも通話料金やオプション料金が安いなどのメリットがあります。またISDN回線などよりも通話品質が良いとされています。
さらに従来の固定電話を契約している方が新たに光回線を契約し、IP電話に乗り換える場合、現在使用している電話番号をそのまま引き継ぐことが可能です。電話機の買い替えも基本的に必要ありません。
IP電話は取得する電話番号の形式によってタイプが異なります。市外局番などを含んだ「0AB-J型」、050から始まる「050型」などがあります。
ただし、光回線にもデメリットがあります。その一つが、停電時に電話が不可能になる点です。アナログ回線とは異なり、光回線は情報を光信号に変換しているため停電時には利用できなくなります。またインターネット回線も合わせて契約する必要があります。ただし、企業で使う場合、ほとんどのケースでインターネット回線を開通させるでしょう。そのため、「インターネット回線の契約が必要」という点はデメリットになりにくいと考えられています。
電話線を利用したインターネット回線にADSL回線がありますが、2024年3月にサービスが終了すると発表されています。そのため、今後光回線を利用したIP電話の利用が増えることが予想されるでしょう。
電話回線の種類の見分け方
「どの電話回線を使っているか分からない」という場合は、契約していている電話回線に連絡しましょう。また基本的に電話機は自動識別してくれるため、購入後などは自分で設定する必要はありません。
ただし、うまく設定されない場合は手動で行う必要があります。ダイヤル回線とプッシュ回線の見分け方には以下の方法があります。
音で聞き分ける方法
電話回線の見分け方の一つに、音で聞き分ける方法があります。この方法を使う場合は、モデムの電源を外した状態で行いましょう。
1.受話器を上げて「ツー」という音がでるか確認する。
「ツー」という音が鳴らない場合、電話自体がつながっていないため配線を確認する。
2.0~9のどれかのボタンを押す
・「プ」という音が鳴った
「ツー」という音が消えればプッシュ回線、鳴り続けていればダイヤル回線
・「ブツブツ」という音が鳴った
「ブツブツ」という音が鳴り「ツー」という音が鳴らなくなったらダイヤル回線
「ツー」という音が鳴り続けていればプッシュ回線
また電話を発信した際の音でも見分けることができます。
電話発信時に「ピッポッパ」という音が鳴ればプッシュ回線、鳴らなければダイヤル回線です。
ダイヤル式の電話機はダイヤル回線しか接続できませんが、プッシュ式の電話機は加入時にダイヤル回線かプッシュ回線かどうか選ぶことが可能です。そのため、プッシュ式の電話機でもプッシュ回線とは限られないので注意しましょう。
電話回線の種類について知っておこう
電話回線は技術の進歩とともにさまざまな種類が登場しました。現在では、光回線を利用したIP電話(ひかり電話)の利用が増えています。IP電話は電話線がなくても、インターネット回線があれば利用できるのが大きな特徴です。現在のオフィスでは、インターネット回線を引かないということはほぼないでしょう。そのため、インターネット回線さえあれば利用できるIP電話があれば配線工事のコストを削減できるでしょう。またひかり電話にすることで従来の固定電話の基本料金よりも安く利用することができます。
ただし、アナログ電話は停電時にも利用できるため、緊急時にも電話がつながる必要のある企業や機関などで利用されています。
自社に電話を導入する際には、どの方式が適しているか確認してから導入しましょう。