ページング(構内放送)とは?利用例や必要なものは?
広いオフィスやデパートなどの大型商業施設、倉庫・工場など、デスクにいるよりも機械の前など別の場所にいることが多く、また場所の頻繁な移動を必要とする環境で仕事をする場合、迅速に周知する必要がある事項を手っ取り早く伝える方法として「構内放送(ページング)」を使うことが多いはず。
こうした構内放送は、固定式で大型の放送設備を用いるイメージがありますが、実は企業向け電話システムとして一般に普及している「ビジネスフォン」でも行えることをご存知でしょうか。ビジネスフォンでは、「PBX」という機材を用いることで、構内全域へ放送を届けられます。
今回は、「ページング」とも呼ばれる構内放送はどういったものなのかを、代表的な使用例や必要な設備を見ていきながら解説していきます。また、既存の設備より便利に使える画期的な電話システムである「クラウドPBX」についても解説していきますので、より柔軟でコストの安い構内放送システムを構築したい企業様も是非参考にしてみてください。
ページング(構内放送)とは?
ページング(構内放送)とは、音声を構内のどこにいても聞こえるように流すことで、構内にいる人すべてに一斉に情報を伝達するためのシステムです。業務放送・館内放送とも呼ばれ、従業員にとって必要な業務上の連絡事項だけでなく、商業施設や公共施設内において迷子や商品受け取りなどの理由でお客様や利用者を呼び出す際にも使われます。
こうした構内放送を特に「ページング」と言う場合は、基本的には「電話を使った放送呼び出し機能」を指します。放送呼び出し機能とは、たとえば「〇〇さん、外線2番にお電話です」といったように、特定の人宛てに電話が入った際、目的の人にデスクの電話から全体放送で知らせて呼び出すことができる機能のことです。企業向けに広く導入されている「ビジネスフォン」と呼ばれる固定電話運用にはこのページング機能が搭載されていることが多いです。
通常のデスクワークでは電話の取次ぎの際に内線転送を行うことで、そのデスクにいる人に電話が来ていることを知らせて電話を取り次ぎますが、倉庫業や製造業、接客業など主体となる作業場に電話が設置されていない業種では、電話の転送機能では連絡がつきません。こうした場合にページング(電話ページングともいいます)を使い、構内のどこに担当者がいても聞こえるように連絡するのです。
ページング(paging)とは、英語で「呼び出す」という意味があり、元々はホテルのベルボーイがページングボードと呼ばれるプラカードのようなものにお客様の名前を書き、鈴をつけて鳴らしながらホテルのロビーを歩き回り呼び出し案内をしていたことがルーツとなっています。
放送するための設備にはいくつかの種類がありますが、基本的には放送用のマイクで拾った音を、アンプやミキサーを通したのち、構内各地に設置されたスピーカーから音声を出力する、という構造はどれも変わりません。ページングシステムは商業施設・宿泊施設・公共施設・オフィスビルといった多くの人が集まる建築物には大抵設置されており、中でも火災など非常時に必要となる「非常放送」は、ある程度の規模の建築物には設置義務が課せられます。
ページング(構内放送)の利用例
ページング(構内放送)の中でも特に先述の「電話ページング」に関しては、基本的にはデスクワークが主体の企業ではあまり用いられません。それは先ほども説明した通り、電話の前に常にいることが多い業種なので、内線転送機能で完結できるからです。
しかし、デスクワークでない業種はもちろん、デスクワークであっても席を外すことが多い業種の場合では、こうした呼び出し連絡が内線だけでは完結できないので、ページングを使うことが多いです。
ここでは、こうしたページングの具体的な利用例を紹介していきます。
広い倉庫や工場
広い倉庫や工場を備えた企業では、事務所は事務棟と呼ばれる別の建物内に設置されていることも多いですし、事務所スペースがあったとしてもごく一部のスペースしかない場合が多く、作業場が施設の大半を占めるうえ、従業員の移動がひっきりなしに行われます。また、衛生管理やセキュリティ対策の関係上、作業場に電話機能を持ち込むことが難しいことも多々あるため、デスクワークのように連絡事項を周知する際に電話を主体に連絡を行き渡せることはできません。
そうした時に、外線連絡が入った時や、内線から特定の従業員を呼び出したい場合には、ページングを使って呼び出しを行います。たとえば、事務所から遠く倉庫の入り口に近い場所で、出荷用のパレットに大量の荷物を載せる「積み」作業を監督している管理職のBさん宛てに外線が入った時や内線での連絡を求める場合には、全体放送で「Bさん、Bさん、外線〇番にお電話です」「内線100番にご連絡をお願いします」といったように放送で呼び出します。
複数フロアにまたがるオフィス
企業向けの電話運用、特に固定電話で運用する「ビジネスフォン」では、デスクから電話を移動できません。複数フロアにまたがるオフィスであれば、仕事によっては別フロアに移動することも多いはず。そして、フロアによってセキュリティレベルが違えば、携帯電話やスマートフォンを持ち込むこともできないという場合もあります。
たとえばある社員が打ち合わせや会議のために上階フロアに移動して、デスクから離席しているとすれば、当然ながら電話が入っていることに気づけないため、ページング機能を用いて電話が来ていることを知らせます。勿論緊急でない場合には電話に出た者が伝言を承っておき、あとから折り返すことも可能ですが、緊急性の高い連絡の場合は放送呼び出し機能が大きな効果を発揮します。仮に携帯電話やスマートフォンを持ち歩いているとしても、会議の場合には電源を切っていることもあるでしょうし、連絡に気づかないことも多々あります。そうした可能性を排除したい場合には、全体放送という形が一番確実なのです。
スーパーや薬局などの店舗
スーパーや薬局といった接客を伴う小売業では、業務の性格上携帯電話やスマートフォンを持ち歩くことはほぼありませんし、電話機が常に近くに置かれていないことのほうが多いでしょう。特にお客様もひっきりなしに出入りする店舗では、基本的に電話はバックヤードに置かれるため、レジや品出しなどで忙しい時には電話の近くにいることができません。
そのため、こうした業種では業務連絡も含めてページングが使われるのが一般的です。ただ、お客様に知られては問題がある業務連絡に関しては暗号を使って放送するか、バックヤードのみで放送が流れるように設定するか、インカムを使って連絡のやり取りを行います。
学校や病院などの大規模施設
学校や病院などの大規模な施設の場合、ページング機能=構内放送というのは施設内で働く教師や医師・看護師だけでなく、患者や生徒からもなじみ深いものであるはずです。生徒や患者の呼び出しには大体放送が使われますし、教師・医師・看護師などの呼び出し連絡や業務連絡も基本的には放送を使って行われるからです。学校や病院は時間によってチャイムを鳴らすなどしてしっかり時間管理を行う必要があり、そうしたチャイムにを鳴らすにも構内放送が用いられています。
学校や病院は、今でこそある程度自由にはなりましたが、元々は携帯電話やスマートフォンの持ち込みや利用が憚られる性格のある施設でしたし、今でも規則で禁止されている場合も少なくありません。基本的に職員室や診療室に固定電話はありますが、教師や医師・看護師は授業や往診など移動や外出が多く、電話はなかなか近くにありません。ましてや生徒や患者は自由に電話を使えない状況下にあります。そうした環境だからこそ、放送が最も確実な連絡手段として有効なのです。
ページング(構内放送)に必要なもの
ページング(構内放送)はこのように、ある程度広い施設の中のどこにいても連絡が届くようにする手段として非常に合理的であり、一般的に用いられています。それでは、こうしたページングのシステムを構築するために必要な設備にはどういったものがあるのでしょうか。ここでは、ページング、特に「電話ページング」において必要な設備を紹介します。
PBX
まず必要になってくるのが、企業向け電話運用の中枢となる「PBX」です。PBXとは、先ほども少しだけ触れましたが、外線・内線といった必要な電話回線と、施設内に設置されている固定電話機を一元的に管理下に置いて制御できる機械のことです。英語の「Private Branch eXchange」の略で、「主装置」とか「構内交換機」とも呼ばれます。
施設内から外線(公衆電話網)へ接続したり、施設内の電話機同士で内線通話をしたり、着信を所定の電話機に転送(取次ぎ)したりといった、企業内での電話業務に必ず求められる機能は、基本的にこのPBXによる制御で実現しています。
基本的には電話機同士の通話において用いられるPBXですが、前述した通りビジネスフォンで使われるPBXにはページング(放送呼び出し)機能があり、その機能を使って放送用設備を経由することで、電話機から構内放送で構内にいる人に呼び掛けることも可能です。
放送用アダプタ
放送用アダプタは、構内放送を行うために必須となる機器で、インターホンやビジネスフォンなど電話機を通して伝わってきた音声を、アダプタに内蔵されている機能を使ってボリュームやイコライザーなどでバランス調節して、調節した音声を放送用アンプ・スピーカーに流すための中継器としての役割を担っています。放送用アダプタには電話機を接続する端子と、アンプやスピーカーを接続する端子がついており、音声をより聞き取りやすく伝えるために大いに役立ちます。
なお、AM/FMチューナーやBGMテーププレイヤーを使用して常時構内放送を使ってBGMを流している場合、放送用アダプタが自動で判断し、より放送が聞き取りやすいように調節してくれます。たとえば、電話機から構内放送を流すとき、放送が聞き取りやすいようにBGMのボリュームを徐々に下げながら停止させ、「ピンポンパンポン」などの放送開始音を出し、放送が終わると終了音を出したのち再びBGMがフェードインするように調節してくれるといった作業を自動で行ってくれるのです。
放送用アンプ
放送用アンプは、放送用アダプタとスピーカーの間に設置するもので、従来のアンプと同じように通話機からアダプタを経由して伝わってきた音声を増幅させる役割を担っています。放送用設備の場合、スピーカー側で音声調節はできないので、放送用アンプで構内に伝わるように音量を増幅させます。
放送用アダプタで調節するのはあくまでも入力段階でのボリュームやイコライジングであって、出力側にも音声調節機能がないと、最適な音声で出力されません。そのために放送用アンプが必要なのです。
スピーカー
スピーカーは構内放送が最終的に出力される装置で、構内のどこにいても放送が聞こえるように、構内各地に設置されます。スピーカーは、通話機から発せられた音声が放送用アダプタを経由し調節されたのち、放送用アンプを伝って増幅された音声を出力する役割を担います。
ページングの際に使用されるスピーカーは天井に埋め込まれるものがほとんどで、景観を損なわないように小型かつ平坦な形状で、さりげなく設置されています。トークバック式のページングシステムの場合、スピーカー側にもマイクがついており、スピーカーに話しかけることで放送側と通話ができるものもあります。
ページング(構内放送)に用いるPBXはクラウド型が最適
このように、ページングには様々な機材が必要になります。構内放送は施設内全体に放送を行き渡らせるシステムですから、施設内に音を届ける放送用アダプタ・放送用アンプ・スピーカーはどのみち必要になります。ただ、PBXに関しては、従来のビジネスフォンの運用の中枢にあるオンプレミス型PBXよりもより便利かつ柔軟に運用できる環境にバージョンアップできます。それが、近年画期的な企業向け電話システムとして話題の「クラウドPBX」です。
ここでは、クラウドPBXとはどういったものなのか、ページングにクラウドPBXを利用するメリットについても具体的にご紹介いたします。
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、非常に簡単に言えば、従来のビジネスフォンの環境をクラウド環境に置き換えたものです。電話回線をインターネット回線に置き換え、ビジネスフォンでは社内に設置する必要があった主装置(PBX)をクラウド上に仮想的に設置し、電話機をIP固定電話やスマートフォン、携帯電話に置き換えることで、どこへ持ち運んでもインターネット回線が繋がる限り、クラウド上の主装置による電話運用の一元管理が可能になります。
クラウドPBXとビジネスフォンの最大の違いは、主装置を拠点内に設置せずクラウド上、すなわちインターネット回線上に設置することと、通話にスマートフォンなどの持ち運び可能なデバイスを利用できることです。こうした無線環境での運用も可能なクラウドPBXの最大のメリットは「運用に際して場所の制限を受けない」ということです。
クラウドPBXのメリット
「運用に際して場所の制限を受けない」これこそがクラウドPBXの最大のメリットであり、クラウドPBXのもつあらゆるメリットに通じるのが「場所の制限を受けない」ことと言っていいでしょう。そして、そうした柔軟なメリットをページング機能にも生かせるということが、本記事におけるクラウドPBXの最たるアピールポイントといっても過言ではありません。
先ほども説明した通り、従来の固定電話運用であったビジネスフォンにも、ページング機能があります。すなわち、ビジネスフォンと基本的によく似た仕組みを採用しているクラウドPBXでも、ページング機能が使えます。正確にはベンダーによって使える機能は異なるものの、主装置を使って電話機を管理する運用であることは変わりませんので、ビジネスフォンで使える機能の大半は使えると言っていいでしょう。
クラウドPBXでページング機能を用いることで何が変わるかと言うと、放送の主体が施設内の電話機やインターホンや固定式の放送機器ではなくて、手持ちのスマートフォンや、別拠点の据え置き型IP電話機などに代わるという事です。つまり、放送を受け取る側に関しては従来通りスピーカー越しに連絡を受けられる形は変わらないものの、放送を届ける側に関して施設内にいようと施設外にいようと、地方の支社など別拠点にいようと、移動中だろうと、自宅にいようと、どこででも構内放送を流せるようになるという事なのです。
たとえば地方を含む日本全国の顧客から仕事を請け負っている製造業や物流業などの場合、遠く離れた地方の客先や、地方の支社で顧客との打ち合わせを行い、急な注文や仕事内容の変更があったとします。そうした時に、手持ちのスマートフォンから、直接会社の倉庫や工場、物流部門等の施設内全域に構内放送という形で連絡ができるということです。また、そうした判断を現場責任者に行ってもらうために責任者を呼び出すこともできます。
クラウドPBXはページングだけでなく通常の内線通話や外線通話に関しても場所の制限から解き放たれていますから、通常の電話業務も場所を問わない運用が可能なので、仮に在宅勤務の責任者を通さないといけない場合でも、出先の担当者から在宅の責任者へ内線通話を行い、責任者から構内放送を行ってもらうこともできます。
ページング(構内放送)なら「ナイセンクラウド」
ナイセンクラウドは、ページング(構内放送)機能を利用できるクラウドPBXです。パソコン、電話機、スマホなどにも対応しており、既にお手元にある端末を活用してご利用いただけます。03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800のフリーダイヤルに対応しています。
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▼1分でわかるナイセンクラウド
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便利なページング(構内放送)を活用しよう
ページング(構内放送)機能とは何かということについて、具体的な利用例や、システム構築にあたりどういったものが必要なのかといったことを紹介しつつ解説しました。また、ページングをより便利かつ柔軟に運用するために効果的な「クラウドPBX」がどういったもので、どういったメリットを得られるかについても、ページングを主体とした視点から説明しました。
近年、情報化社会も成熟しつつあり、より速くより柔軟な通信システムや有能なデバイスを通して、各種連絡は目覚ましいスピードで、リアルタイムに共有できるようになってきました。しかし、ページングは最終的にデバイスを持ち運べない条件にある人に最も的確に情報を伝達する手段です。最終的な伝達の仕組みとしてはアナログに近くなってしまいますが、それでもクラウドPBXを使うことでどこからでも放送ができるというのは、それだけで便利さが段違いです。
スマホを持ち込めない現場で働く人たちのためにも、「ページング機能をもっと便利に活用したい」と考えている企業様は、ぜひともクラウドPBXをご検討ください。