コンタクトセンターとコールセンターの違いとは?設置の際に準備すべきことや役立つツールを紹介
企業の顧客サービスにおいて、コールセンターとコンタクトセンターは重要な役割を果たしています。デジタル化が進む現代では、特に両者の違いを理解し、自社に適したシステムの選択が経営戦略上、非常に重要となってきています。
本記事では、コールセンターとコンタクトセンターの違いを詳しく解説するとともに、設置時に必要な準備や活用できる便利なツールについて紹介します。
コンタクトセンターとコールセンターの違い
ここでは、コンタクトセンターとコールセンターの違いを紹介します。
コールセンターとは
コールセンターは、電話による顧客対応に特化した施設です。主に電話による問い合わせ対応、商品案内、苦情処理などを行う拠点として機能します。特徴的なのは、音声通話による一対一のコミュニケーションを基本としている点です。
電話でのリアルタイムな対応により、顧客の声のトーンや感情を直接感じ取れ、きめ細かな対応が可能となります。また、システム構成が比較的シンプルなため、初期投資を抑えやすく、中小企業でも導入しやすいという利点があります。
コンタクトセンターとは
一方、コンタクトセンターは、電話による対応に加えて、メール、チャット、SNS、Web問い合わせなど、多様なコミュニケーションチャネルを統合した顧客対応施設です。近年のデジタル化に伴い、顧客との接点が多様化する中で、それらを一元的に管理し、シームレスな顧客体験を提供することを目的としています。
コンタクトセンターでは、AIやチャットボットなどの先進技術を活用し、24時間365日の対応を実現も可能です。また、さまざまなチャネルから得られる顧客データを統合・分析すれば、より深い顧客理解につなげられます。
両者の違い
コールセンターとコンタクトセンターの最も大きな違いは、対応できるコミュニケーションチャネルの範囲です。コールセンターが電話のみの対応であるのに対し、コンタクトセンターは複数のチャネルを統合して管理します。
このような違いは、システム構成の複雑さにも反映されます。コールセンターは比較的シンプルなシステム構成で運用できますが、コンタクトセンターでは複数のシステムを統合する必要があり、より複雑な構成となります。
また、運用コストの面でも違いがあります。コールセンターは初期投資・運用コストを比較的抑えられますが、コンタクトセンターは複数のシステム導入や統合にかかるコストが必要となるでしょう。
データ活用の観点では、コールセンターは主に通話データを中心とした分析となります。しかし、コンタクトセンターでは多様なチャネルからの顧客データを統合的に分析することが可能です。
設置する際に準備すべきこと
ここでは、コールセンターとコンタクトセンターを設置する際に準備すべきことを紹介します。
コールセンター設置の場合
コールセンターを設置する際には、まず物理的な環境整備が重要です。十分な広さのオフィススペースを確保し、快適な作業環境を実現するための防音・空調設備を整える必要があります。また、大量の通話を処理するための十分な電源容量とネットワーク回線の整備も欠かせません。
システム環境としては、PBXシステムの導入が基本となります。通話品質の管理や教育に活用するための通話録音システム、オペレーター用のPCやヘッドセットなども必要です。さらに、業務効率を向上させるための基本的なCTIシステムの導入も検討すべきでしょう。
人材面では、オペレーターの採用・教育が重要な課題となります。電話応対のスキルを持つ人材を確保し、継続的な教育を行うための体制を整える必要があります。また、オペレーターを適切に管理・指導するスーパーバイザーの配置や、効率的なシフト管理体制の構築も重要です。
コンタクトセンター設置の場合
コンタクトセンターの設置では、まず複数のコミュニケーションチャネルを統合的に管理するためのシステム環境の構築が必要です。オムニチャネル対応システムの導入、CRMシステムとの連携、データ分析基盤の整備など、より高度なシステム統合が求められます。
また、チャネルごとの対応準備も必要です。Web問い合わせフォームの設置、チャットボットの導入、SNSアカウントの整備、メール対応システムの構築など、多岐にわたる準備が必要となります。
人材面では、複数のチャネルに対応できるマルチスキル人材の育成が重要です。各チャネルの特性に応じた応対スキルの習得や、データ分析スキルの向上など、より高度な人材育成が求められるでしょう。
コンタクトセンターやコールセンターで役立つツール例
ここでは、コンタクトセンターやコールセンターで役立つツールを紹介します。
クラウドPBX
クラウドPBXは、従来の固定電話システムをクラウド化したサービスとして、近年急速に普及しています。このシステムの最大の特徴は、初期投資を大幅に抑えられることです。従来の固定電話システムでは、高額な設備投資が必要でしたが、クラウドPBXではそれらが不要となります。
また、事業規模の変化に応じて回線数を柔軟に増減できるスケーラビリティの高さも大きな利点です。急な需要増加や季節変動にも迅速に対応できるため、コストの最適化が図れます。さらに、リモートワークへの対応も容易であり、在宅勤務のオペレーターでも通常のオフィスと変わらない環境で業務が可能です。
災害時のBCP対策としても、クラウドPBXは有効です。クラウド上にシステムがあるため、オフィスが被災しても別拠点からの業務継続が可能です。また、定期的なバックアップやセキュリティ対策も提供されるため、安心して利用できます。
IVR
IVR(自動音声応答システム)は、顧客からの電話を自動で適切な部署やオペレーターに振り分けるシステムとして、コールセンター運営には欠かせないツールです。24時間365日の自動応答が可能で、夜間や休日の基本的な問い合わせにも対応できます。
このシステムの導入により、オペレーターの業務負荷を大幅に軽減できます。単純な問い合わせや情報提供は自動応答で処理し、オペレーターは複雑な案件や重要度の高い対応に集中できます。また、顧客の待ち時間短縮にも効果があり、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
最新のIVRシステムでは、音声認識技術やAIを活用すれば、より自然な対話が可能になります。また、多言語対応機能を備えているものも多く、グローバルな顧客対応も実現できます。さらに、収集したデータを分析することで、よくある問い合わせの傾向把握や、サービス改善にも活用できるでしょう。
CTI
CTI(Computer Telephony Integration)は、電話とコンピューターを連携させることで、効率的な顧客対応を実現するシステムです。顧客からの着信時に、過去の対応履歴や顧客情報を自動的にポップアップ表示することで、オペレーターは顧客の状況を即座に把握し、適切な対応が可能となります。
このシステムの活用により、応対時間の短縮と品質向上を同時に実現できます。顧客情報の検索時間が不要となり、スムーズな対応が可能になるためです。また、通話履歴や対応内容を一元管理できるため、複数のオペレーターで情報共有が容易になります。
さらに、CTIシステムでは詳細な通話データを収集・分析できます。応対時間、待ち時間、解決率などの指標を可視化し、業務改善やオペレーターの教育に活用可能です。最新のシステムでは、AIによる会話分析機能を備えているものもあり、より高度な品質管理が可能です。
ACD
ACD(Automatic Call Distribution)は、着信したコールを自動で最適なオペレーターに振り分けるシステムとして、大規模なコールセンターには不可欠なツールです。オペレーターのスキルレベルや対応可能な業務種別、現在の稼働状況などを考慮して、最適なルーティングを行います。
このシステムにより、顧客の待ち時間を最小限に抑えつつ、オペレーター間の負荷分散を実現できます。また、リアルタイムでの状況モニタリング機能により、混雑状況に応じた人員配置の調整も容易になります。
さらに、詳細なレポート機能を活用すれば、時間帯別の着信傾向分析や、オペレーターの稼働率分析なども可能です。これらのデータは、シフト計画の最適化やサービス品質の向上に役立てられるでしょう。最新のシステムでは、AI技術を活用した予測分析機能も備えており、より効率的な運用が可能となっています。
通話録音機能
通話録音機能は、応対品質の管理と教育に不可欠なツールとして、多くのコールセンターで活用されています。全ての通話内容を録音・保存することで、オペレーターの応対品質を客観的に評価し、改善につなげられます。
特に、優秀なオペレーターの応対例を教育材料として活用すれば、効果的な研修が可能になります。また、クレームや重要な案件が発生した際の証跡としても重要な役割を果たします。録音データがあることで、正確な状況把握と適切な対応が可能になります。
最新の通話録音システムでは、音声認識技術やAIを活用した高度な分析機能も備えています。感情分析や会話内容の自動文字起こし、キーワード抽出などが可能で、より効率的な品質管理や業務改善に活用できます。また、通話内容の検索や再生が容易で、必要な場面で素早く録音データにアクセスできます。
これらのデータは、コンプライアンス対応としても重要です。金融機関などでは、取引の証跡として通話録音を保管することが義務付けられている場合もあります。セキュリティ面でも、データの暗号化や厳格なアクセス管理機能を備えており、安全な運用が可能です。
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まとめ
コールセンターとコンタクトセンターは、それぞれに異なる特徴と利点を持っています。企業は自社の規模、予算、必要な機能などを総合的に判断し、最適なソリューションを選択する必要があります。また、選択したシステムを効果的に運用するには、適切なツールの選択、継続的な人材育成、品質管理の徹底、そしてデータ活用による改善が欠かせません。
これらの要素を総合的に考慮し、継続的な改善を図れば、より効果的な顧客対応体制を構築できるでしょう。