クラウドPBXの市場シェアはどのくらい?今後の見通しも併せて解説
昨今ではクラウドPBXを導入する企業が増えています。まだ導入していない企業でも、これから導入しようか検討しているところは多いかもしれません。ところで実際、クラウドPBXはどれくらいの市場シェアを持っているのでしょうか。また、今後その市場シェアはどのように変化していくのでしょうか。
本記事では、クラウドPBXの市場シェアと今後の見通しについて解説していきます。
クラウドPBXとは
PBXというのは、業務用の電話交換機のことです。以前までは、オフィス内に物理的な装置を設置して、各電話機と配線をつないで使用するものが一般的でした。これに対して、クラウドPBXというのは、PBXをサービス提供業者のサーバー上に構築して使用するのが特徴です。
クラウドPBXなら、オフィス内に物理的な装置を設置する必要はなく、電話機とPBXをつなぐ配線も必要ありません。サーバー上に構築されているPBXと電話機は、インターネット回線で接続されます。
インターネットに接続できる環境なら、オフィス外からでもクラウドPBXに接続可能です。出先でスマートフォンなどを接続して会社にかかってきた電話に出たり、内線電話を使用したりできます。
従来のPBXと比べて導入コストや運用コストが安く、利便性も高いのがメリットです。
クラウドPBXの市場シェアは拡大中
以前まではクラウドPBXを利用している企業はごく一部にとどまっていました。しかし、最近では大企業はもちろんのこと、中小企業にもクラウドPBXの利用が広まってきています。では、どのくらいクラウドPBXの市場シェアが拡大しているのか見ていきましょう。
市場シェアを示す正式なデータは少ない
製品やサービスなどの市場シェアを見る場合には、正式に公表されているデータをチェックするのが一般的です。しかし、クラウドPBXに関しては、市場シェアを示す正式なデータはそう多くありません。クラウドPBXが登場したのは2010年代に入ってからであるため、信頼できる調査データはごく限られているのが実情です。
そのため、やや古い調査データや関連データなどを見ていくことになります。
アメリカの調査機関Parallels社のデータ
アメリカの調査機関Parallels社では、2012年にクラウドPBXの市場シェアの調査を実施しました。この調査で対象にしたのは、日本国内の企業400社です。この中には大企業も中小企業も含まれています。
そして、調査結果によると、2011年度のクラウドPBXの普及率は1%程度と非常に低い結果でした。2012年度も3%と低い結果ですが、前年度から伸びとして捉えると3倍に増加したことになります。調査対象に中小企業も含まれていたことも考慮すれば、かなり伸びていたと評価できるでしょう。
また、2012年度のデータでは企業規模別のデータも公表されています。これによると、従業員数が50~250名の企業に絞れば、当時のクラウドPBXの普及率は13%でした。
従業員数が10~49人の企業の普及率は全体と同じ3%、1〜9名の企業では0%です。このことから、2012年あたりから、大企業を中心にクラウドPBXが普及し始めたことがうかがえます。
2013年以降はクラウドサービスは大きく進化している
クラウドPBXの2013年以降の市場シェアを示す、公式なデータはありません。しかし、2013年前後はクラウドサービスが大きく進化した時期でもあります。Google DriveやiCloudなどのサービスが提供開始されたのもその前後の時期です。Google Driveは2012年、iCloudは2011年にサービスが提供開始されました。他にもさまざまなクラウドサービスが登場し、進化してきました。
クラウドサービスの普及率も増加傾向
クラウドサービス全体の普及率を見ることで、クラウドPBXのおおよその傾向を把握できます。
2018年に総務省が実施した通信利用動向調査によると、2013年度のクラウドサービスの普及率は33.1%でした。そして2017年まで右肩上がりで伸びており、2017年には56.9%と半数を超える水準に達しています。僅か4年で1.7倍の伸びです。
このことから、クラウドPBXも市場シェアが伸びている可能性が高いといえます。同じ割合で伸びているとすれば、5%程度にはなっていると推測できるでしょう。
ICTの普及状況からクラウドPBXのシェアを推測
ICTの普及状況からクラウドPBXの市場シェアを推測することもできます。
ICTとは
ICTというのは、「Information and Communication Technology」の頭文字を取って略したものです。情報通信技術のことを指します。ITとよく似ているため、区別がよく分からない人も多いかもしれません。
ITは「information technology」の略で、情報技術全般を指すものです。これに対して、ICTは情報技術をコミュニケーションや連絡を取り合う手段として活用するものを指します。ICTもITに含まれますが、ITよりも狭い意味と捉えていいでしょう。
2018年度の国内企業のICT普及率
総務省が2018年に実施した調査によると、国内企業でICTを導入しているのは70.2%でした。調査の対象となった企業は500社ですが、ICTはある程度普及していることがうかがえるデータです。
諸外国のICT普及率
また、アメリカ、イギリス、ドイツはICTを導入している企業の割合が日本よりさらに高めでした。アメリカは80.8%、イギリスは94.4%、ドイツは93.8%です。
このことから、日本においてもこれからまだICTの普及が進む可能性が高いでしょう。
クラウドPBXの今後の見通し
クラウドPBXの今後の見通しについて見ていきましょう。
テレワークの普及
新型コロナウイルスをきっかけに、テレワークを導入する企業が増えました。これまでならオフィスで行っていた仕事を自宅で行うことになります。そこで、困るのが顧客から電話での問い合わせが来たときの対応です。
顧客の多くは会社に電話をかけてくるため、担当者がテレワークで自宅にいると、スムーズな対応ができません。いったん電話を切ってから、かけ直すことになります。
その点、クラウドPBXを導入すれば、会社にかかってきた電話を担当者のスマホやソフトフォンに切り替えることが可能です。担当者が会社にいるときと同じようにスムーズに対応できるでしょう。
そのようなことから、テレワークの普及とともにクラウドPBXも普及していくとの見方が強いです。
従来型PBXの需要は減少している
従来型のPBXは、専用の装置をオフィスに設置しなければならないなどの事情から、需要が減少しています。これまでPBXを使用していなかった企業が、新規で導入を検討する際には、クラウドPBXを選ぶ可能性が高いでしょう。
従来型のPBXをクラウドPBXと比べた場合に、特段大きなメリットはありません。そのため、今後はクラウドPBXが主流になる可能性が高いです。
コストを大幅に削減できる
クラウドPBXは、導入時に工事をする必要がなく専用の装置を購入する必要もありません。また、専用の装置がないことから、利用中もメンテナンスをしなくて済みます。月額料金がかかりますが、従来型のPBXを利用する場合と比べれば、コストを大幅に削減できるでしょう。そのため、従来型のPBXからクラウドPBXへの乗り換えを検討する企業も増えると見込まれます。
今後は5Gが普及
クラウドPBXは、社外の場所で、スマホなどで使用する際に、通話品質がインターネット環境に左右されます。混雑していたり不安定だったりすると、音が途切れてしまうこともあるのがデメリットです。
しかし、今後は5Gが普及していきます。これまでの4GやLTEのモバイル回線と比べると、非常に高速で安定しているため、クラウドPBXの通話品質も向上するでしょう。もちろん音が途切れるなどに心配はなくなるため、5Gの普及がクラウドPBXの普及を後押しすると期待できます。
LINEが普及したときの状況と酷似
LINEは今やほとんどの人が情報のやり取りに使用しているアプリです。個人間のやり取りだけでなく、企業でもLINEで公式アカウントを運用しているところは多いでしょう。現在のクラウドPBXはLINEが普及し始めたときと状況がよく似ています。
市場シェア5%を超えてから急増
LINEは2011年に提供開始されたアプリです。東日本大震災のときに、被災地で電話やメールでの連絡がつながりにくくなったことをきっかけに開発されました。
しかし、提供開始されたばかりの頃は利用者は少なく、あまり知られていませんでした。少しずつ利用者が増えていき、市場シェアが5%程度に達してから爆発的に増加したという経緯があります。2011年12月には利用者数は約1,000万人でしたが、翌年2012年11月には8,000万人に達しました。1年弱で約8倍も伸びています。
さらに、2013年7月には2億人にまで増えており、約1年半で20倍という大躍進です。
LINEとの共通点
クラウドPBXとLINEの共通点としては、安さと便利さが挙げられます。LINEは無料で利用できて、有料のスタンプもありますが値段は安価です。
LINEはインターネットに接続できる環境なら、電話がつながらなくてもやり取りできます。メールと違って、以前のやり取りも1つの画面で参照できるのも便利です。グループを作って複数人で情報をやり取りすることもできます。通話もできるため、電話やメールの代わりにLINEを使うようになった人も多いでしょう。
クラウドPBXも、従来型のPBXと比べると安価な料金で利用できて、利便性も高いです。インターネットにつながる環境なら、どこからでも使えます。通常のビジネスフォンや従来型のPBXで使える機能ならクラウドPBXでも使えるため、乗り換えても不便に感じることはないでしょう。
今後はLINEと同じように普及が進むかもしれません。
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今後は爆発的なシェア拡大が期待できる
クラウドPBXの市場シェアに関して、正式なデータはありませんが、2012年時点で3%程度でした。現在は少なくとも5%程度はあるものと推測されています。
しかし、テレワークや5Gとの相性が良いことなど、クラウドPBXの普及につながる材料は多いです。低コストで利用できるメリットもあります。まだ市場シェアが低めですが、少しずつシェアを伸ばしています。LINEとの共通点も多く、数年後には爆発的にシェアを拡大するかもしれません。