格安SIMはテレワークで使える?乗り換えのメリット・デメリットとは
格安SIMは、従来の大手キャリアのSIMと違い料金が安いのが大きなメリットです。また大容量プランも増えてきたことから、テレワークでの利用を検討している人や企業も多いのではないでしょうか。ただし、格安SIMは通信速度が不安定になる可能性もあり、仕事で利用するのに不安になる部分もあります。本記事では、格安SIMがテレワークにも向いている理由やメリット・デメリット、注意点などをご紹介します。
格安SIMとは
格安SIMとは月々の利用料金が「格安」のSIMを指します。格安SIM を提供しているのは、au、ドコモ、ソフトバンクなどの大手キャリアではなく、MVMOと呼ばれる事業者です。
MVNO(Mobile Virtual Network Operator)は大手キャリアから基地局やアンテナなどの設備を借りてサービス提供を行います。大手キャリアから設備を借りているので、キャリアの半額~1/3くらいの価格でサービスを提供することが可能です。
MVNOは数多く存在しており、それぞれ価格やサービス内容が異なり、ユーザーの使用状況やニーズに合わせたプランや料金を提供しています。
テレワーク時に格安SIMがおすすめの理由
料金を下げられる可能性がある
格安SIMの大きな特長は、大手キャリアのプランよりも料金が安いものが多いことです。そのため、利用料金を大きく下げられる可能性があります。
たとえば、会社で社員用にスマホを何台も契約している場合、台数が多ければ多いほどコストがかかります。しかし、1台当たりのコストを下げることができれば、全体的にみると大幅にコストを下げることができるでしょう。
利用形態によってプランを選べる
格安SIMは利用形態によって選べるプランが豊富なのも特徴です。たとえば、大容量のプランが欲しい場合、月々100GBなどのプランを提供している事業者もあります。
反対に「メインの作業はパソコンやタブレットで行うため、スマホの通信容量は少なくて良い」「普段はWi-Fiに接続するため大容量のプランは必要ない」といったケースであれば、少ない容量のプランにすることも可能です。
利用形態によってさまざまなプランを柔軟に選べるのは大きなメリットといえます。
仕事用とプライベート用を分けられる
格安SIMは料金が安いため、仕事用とプライベート用で2台持ちをしたい場合にも便利です。仕事で使うスマホはセキュリティ上、プライベートな情報は入れないようにしたり、プライベートな連絡は取らないようにすることが望ましいでしょう。そのため、仕事用のプライベート用で気軽に分けられる格安SIMはおすすめといえます。
テレワークに使える格安SIMのプラン
テレワークの需要を見越し、各社ではテレワークにも使えるプランを提供しています。ここではテレワークにも使えるプランの選び方などをご紹介します。
データ通信用の回線のみが欲しい場合
データ通信用の回線のみが欲しい場合は、データ通信専用SIMがおすすめです。データ通信専用SIMは、音声通話はできない分、価格が安いのが特徴です。
データ通信専用SIMはパソコンやタブレットに挿しこむだけで利用できるため、自宅に回線設備のない社員に渡すことで、短期間でテレワーク用の通信環境を構築できます。
電話対応もしたい場合
テレワークでも、電話対応する必要がある場合は、音声通話SIMが必要です。音声通話SIMは音声通話とデータ通信どちらも可能なSIMのことです。電話対応が多い人に向いているでしょう。また頻繁に電話する人向けに、通話料金がお得になるプランが用意されている事業者もあります。
月々の契約なしですぐに使いたい場合
すぐに利用したい場合は、月々の契約なしでも利用できる格安SIMがあります。たとえば、利用登録から365日間利用できるプリペイドSIMと呼ばれるものです。プリペイドSIMは利用できるデータ通信量が決まっており、50〜100GBのものが多いです。月々の料金が発生しないため、手軽に導入できるのが特徴です。
月々どれくらいの通信量が必要なのか?
快適にテレワークの業務を行うには、月々どれくらいの通信量が必要なのでしょうか。たとえば、リモートデスクトップやVPNなどのリモートアクセスを行ったり、Web会議ツールを使う場合は、通信量を消費します。
リモートアクセスでは、200〜500MB/1時間の通信量が必要といわれています。またWeb会議ツールを利用する場合、カメラを利用することも多いため、1時間当たり500MB消費することが多いです。
これらを踏まえると、Web会議の頻度や使用するツールなどによって異なりますが、1日当たり1〜2GBは消費すると考えた方が良いでしょう。
なぜここまで通信量が大きいのかというと、画面転送の通信量負荷が大きいためだとされます。リモートデスクトップの場合、自宅のパソコンの操作情報を会社のパソコンなどに送信します。そして画面情報の差分を取得することで、リモート操作が可能になります。リモート操作をしている間、画面転送を常に行っているため、画面情報の量や質が多いほど通信量が多くなります。
またVPNの利用環境も異なります。VPNは仮想的に専用線を作って、自宅のパソコンと会社のパソコンを専用のネットワークでつなぎます。通信の旅に情報の暗号化などの措置を行うため、通信量を消費してしまいます。
このVPN単体ではそこまで通信量は大きくありませんが、VPNはリモートデスクトップと組み合わせて使用されることが多いです。そのため、通信量の消費が大きくなってしまうのです。
格安SIMのメリット・デメリット
ここでは、一般的な格安SIMのメリット・デメリットをご紹介します。
メリット
月々の利用料金が安い
格安SIMは大手キャリアと比較すると、月々の利用料金が安いプランが多いです。大手キャリアでは平均7,000~8,000円のプランが多いですが、格安SIMでは1500~2,000円程度で利用することが可能です。スマホの機能はそのままでSIMを入れ替えるだけで料金を安くできるという手軽な面もメリットといえるでしょう。
料金プランが豊富
近年の格安SIMは料金プランが豊富になってきており、利用形態に合わせたプランを選べます。格安SIMの料金プランを選ぶ際には、まず以下のことを決めます。
・音声通話SIMかデータ通信専用SIMにするか
・データ通信量(GB)はどれくらいか
格安SIMは音声通話SIMかデータ通信専用SIMの2種類が提供されていることが多いです。音声通話SIMは音声通話もデータ通信も可能なSIMのことです。データ通信専用SIMはデータ通信のみが可能なSIMで、音声通話はできません。ただしLINEなどのインターネット回線を利用する通話アプリは使用可能です。そのため、インターネット回線を用いたアプリを利用している場合、データ通信専用SIMでも問題ないといえます。
次に月々に必要なデータ通信量を選択します。サービスごとに異なりますが、1~100GBまで幅広いデータプランが用意されています。データ通信量によって料金が異なり、自分に合ったデータ量が選択可能です。
契約期間に縛りがない場合が多い
格安SIMは大手キャリアにあるような契約期間の縛りがない場合がほとんどです。契約期間の縛りがない場合、好きなタイミングで解約することが可能なため、気軽に契約できます。
契約期間の縛りがある場合でも、1年と短い期間のケースが多いです。ただし、契約期間の縛りがある場合は、契約更新時期以外に解約すると違約金が必要なため注意しましょう。
デメリット
通信が不安定なケースがある
格安SIMは、大手キャリアよりも通信速度が不安定な可能性があります。特に通信が混みあう時間帯や混雑する場所では速度が低下しやすいと考えられています。そのため、大容量の通信が必要な場合は通信が遅く困難な場合があるでしょう。
実店舗がない
格安SIMの多くは大手キャリアのように全国に実店舗を展開していません。これは実店舗の運営に関わるコストを削減することで、料金の低価格化を実現しているからです。そのため、相談したいことや故障などのトラブルがあった際には、すべてWebや電話などでのやり取りとなります。
格安SIMを選ぶ時の注意点
ここではテレワークで利用する格安SIMを選ぶ際の注意点をご紹介します。
業務に必要なデータ量を把握する
格安SIMの料金プランは一般的に、データ通信量ごとに料金が定められています。データ通信量が多ければ多いほど料金が高くなります。そのため、必要なデータ量を適切に把握し、プランを選ぶことが大切です。
速度をチェック
格安SIMを選ぶ際には通信速度の確認も必要です。これは格安SIMごとに通信最大速度が異なるため、スムーズに使いたければできるだけ速度が速い事業者を選ぶことが大切です。
どれくらいの速度が実現できるのかは、各事業者の公式サイトなどに記載されています。
テレワーク時には格安SIMの導入も検討してみよう
格安SIMは料金が安いのが大きなメリットです。また契約期間の縛りも大手キャリアと比較して緩いケースが多いため、気軽に契約することができます。ただし、テレワークで利用する場合は、データ通信量を確認しましょう。自宅などでWi-Fiにつないで利用する場合は、大容量は必要ないでしょう。しかし、外出時に利用する場合や大容量のファイルをやり取りする場合は、大容量が必要になるケースもあります。そのため、業務に支障のないデータ通信量を見極め、料金が安くなる場合は、格安SIMの導入も検討してみてはいかがでしょうか。