格安SIMとは?メリット・デメリットや選び方を解説

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「格安SIM」という名称を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。格安SIMとは一般的に「スマホの料金が安くできる」などのイメージがありますが、実際にどれくらい安くなるのか知りたい方も多いと思います。また格安SIMは料金が安くなるなどの大きなメリットもありますが、デメリットも存在します。本記事では、格安SIMの概要や大手キャリアとの違い、メリット・デメリット、選び方などをご紹介します。

格安SIMとは?

格安SIMとはその名の通りに月々の利用料金が安くなる可能性のあるSIMのことです。

格安SIMを提供しているのはMVMOという事業者です。MVMOは、au、ドコモ、ソフトバンクなどの大手キャリアから、基地局やアンテナなどの設備を借りてサービス提供を行っています。大手キャリアから設備を借りているため、キャリアの半額〜1/3くらいの価格でサービスを提供することが可能です。

MVNOは数多く存在しており、それぞれ価格やサービス内容が異なります。ユーザーの使用状況やニーズに合わせたプランや料金を提供しているため、運用形態に合ったプランを選べます。

大手キャリアとMVMOの違い

MVNOとは、大手キャリアから通信回線を借りてサービスを提供している事業者のことです。MVNO は「Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者))の略称です。格安SIMと呼ばれるサービスは、基本的にMVNOが提供しています。

スマホの通信には基地局などの通信施設が必要ですが、施設は設置・維持・管理などのさまざまなコストがかかります。MVNOは自前の施設を持っておらず、これらのコストはすべて大手キャリアが負担しています。そのため、MVMOはすべてのコストを抑えることができるのです。

MVMOはユーザー数に合わせて必要な分だけ回線を借りる方式のため、最低限の賃貸料でサービス提供が可能です。さらにWeb申し込みを主流にし、実店舗をできるだけ展開してないことでコストを下げています。近年では、多くの事業者がMVNOを提供しており、ユーザーの選択肢が増えました。

価格

MVNOと大手キャリアの大きな違いは、価格です。MVNOは月々の料金が安い「格安SIM」を提供しています。大手キャリアでは平均7,000~8,000円だったスマホの通信料金が、格安SIMではプランによって1,500~2,000円程度にまで安くすることもできます。 スマホ自体はこのままで、SIMを入れ替えるだけで料金を安くできるのが特徴です。

通信速度の安定性

大手キャリアはそれぞれ自社の通信網を所有しているため、通話品質が高く、通信速度が安定しています。データ通信の速度も速いため、インターネットを快適に行えます。

MVNOは、自前の通信網は持たず、大手キャリアの通信網を借りてサービス提供を行っています。使用している回線は同じですが、品質まですべて同じというわけでないとされています。回線を借りても、通信設備のすべてを使えるわけではありません。賃借料に応じて使用できる回線の範囲が異なるため、MVNO各社でも通信速度に差が出てきます。

通話品質はMVNOでも途切れない通話が可能ですが、データ通信の場合速度が落ちる可能性があります。そのため、どのくらいの速度が出るのかをホームページなどであらかじめ確認しておきましょう。

サポート体制

大手キャリアとMVNOでは、サポート体制にも違いがあります。大手キャリアは実店舗(ショップ)を全国展開しているため、近所のショップにいけばサポートを受けられます。またショップではスタッフに直接相談ができるのも大きなポイントです。

一方で、MVNOは実店舗をほとんど展開せず、Web申し込みが主流です。その分コストを削減し、料金を安く提供できるというメリットがありますが、サポート面ではどうしても大手キャリアと比較すると劣る面もあります。MVNOのサポートはメールやチャット、電話などが主なため、店舗のように実際に相談したり、修理箇所を見せながら相談したりということはしにくいでしょう。

キャリアメールの有無

大手キャリアはそれぞれ独自のキャリアメールアドレスを提供しています。「@docomo.ne.jp」「@ezweb.ne.jp」「@softbank.ne.jp」などのキャリアメールアドレスは、大手キャリアと契約しないと使うことができません。

そのため、MVNOの格安SIMを使う場合は、フリーメールアドレスなどを取得することになります。ただし普段からYahoo!やGmailなどのフリーメールアドレスを使っている方は、それほど問題とは感じないでしょう。

格安sim のメリット

格安SIMには大手キャリアにはないメリットがありますのでご紹介します。

月額料金が安い

格安SIMの大きなメリットは月々の利用料金が大手キャリアに比べて安い点です。内容がほぼ同等のプランでも、大手キャリアと比べると格安SIMは半額〜1/3程度で利用できます。スマホの機能はそのまま、SIMを入れ替えるだけで料金を安くすることが可能です。

特に企業で利用する場合は利用台数が多くなりがちです。そのため、1台当たりの月額料金を半額〜1/3程度にすることができれば、大きなコストダウンにつながるでしょう。

料金プランがシンプルで分かりやすい

格安SIMは料金プランがシンプルなので、月額料金に関してややこしい計算をする必要はありません。格安SIMの料金プランは以下のことを決めるだけです。

・音声通話SIMとデータ通信専用SIMにどちらにするか

・必要なデータ通信量(GB)はどれくらいか

格安SIMは一般的に音声通話SIMとデータ通信専用SIMの2種類が提供されています。

音声通話SIMは音声通話もデータ通信も可能です。一方で、データ通信専用SIMはデータ通信のみが可能で音声通話はできません。ただしLINEなどのインターネット回線を使う通話アプリは使用できます。通常の電話も利用したい方は音声通話SIMを選択します。

次に、月々に利用が想定されるデータ通信量を選択します。サービスごとに異なりますが、1〜20GBまで幅広いデータプランが用意されていることが多いです。データ通信量によって料金が異なりますが、自分に合ったデータ量が選択できるのが大きな魅力です。

また細かいデータプランが用意されているため、使い方にぴったりのプランを最適価格で利用することができます。

契約期間に縛りがないもしくは緩い場合が多い

格安SIMは契約期間の縛りがない、もしくは緩い場合が多いです。契約期間の縛りがある場合でも、最低利用期間1年など縛りが緩いケースがほとんどです。そのため、いつでも自分のタイミングで気軽に乗り換えることができます。

ただし、縛りがある場合は、契約更新時期以外に解約すると違約金がかかるため、契約時にしっかり確認しておきましょう。

格安SIMのデメリット

メリットの多い格安SIMですが、デメリットも存在します。メリット・デメリットどちらも把握した上で、利用するかどうか検討しましょう。以下では格安SIMのデメリットをご紹介します。

取り扱い端末が少ない 

格安SIMを取り扱っているMVNOは、大手キャリアに比べて取り扱い端末が少ないです。そのため欲しい端末が利用できない可能性があります。使いたい端末がある場合は、取り扱いがあるか事前にMVNOに確認しておきましょう。

通信が不安定な場合がある

格安SIMは、大手キャリアよりも通信速度が不安定かつ遅い場合があります。特に通信が混みあう時間帯や人が多く混雑している場所では速度が低下しやすいでしょう。

そのため、大容量のファイルをやりとりしたりなど、大容量の通信が必要な場合は通信が遅く困難なケースが考えられます。どんな場所での使用が多いのか、どの時間帯に利用することが多いのかなどを、あらかじめ想定しておきましょう。

実店舗がないのでサポートが受けにくい

格安SIMの多くは大手キャリアのように全国に実店舗がないことほとんどありません。これはショップの運営に関わるコストを削減し、低価格の料金を実現しているためです。ただし、そのため、相談したいことがある場合はすべてWebや電話などで行う必要があります。詳細をショップのスタッフに相談したい場合や、すぐに代替機が欲しい場合でも、Webや電話での対応になるため、その点が問題ないか確認しておきましょう。

格安SIMの選び方

格安SIM を提供している事業者は複数あるため、自社に合ったものを選ぶ必要があります。ここでは、格安SIMを選ぶ際のポイントをご紹介します。

利用スタイルに合わせる

格安SIMの料金は月々に利用するデータ量などで決まっています。特に格安SIMは3~5GBの低容量プランが主流のため、低容量プランでも問題がないのかなどを確認しておきましょう。また大容量プランが必要な場合は、大容量プランがあるMVMOを選ぶ必要があります。

オプションで選ぶ

格安SIMにもさまざまなオプションがあります。そのため、自社に必要なオプション機能がある事業者を選ぶのも一つの方法です。

たとえば、国内通話が無制限かけ放題となる「かけ放題」や10分間かけ放題となる「10分間かけ放題」などがあります。

ただし、注意しなくてはいけない点があります。これらのオプションは、法人は利用できないケースもあります。法人で契約する場合は、あらかじめどのプランやオプションが利用できるのか確認しておきましょう。

電話とデータ通信どちらが多いかで選ぶ

また格安SIMには音声通話SIMとデータ通信専用SIMに分けられていることが多いですが、ビジネスで使う場合は電話も必要なケースが多いため音声通話SIMを選択することも大切です。

格安SIMを賢く利用しよう

格安SIMは料金を安くできるのが大きなメリットです。1台当たりのコストを下げられれば、全体で見て大きなコストダウンとなるでしょう。ただし、格安SIMは大手キャリアに比べて通信速度が安定しないなどのデメリットもあります。ビジネスで利用する場合は、運用形態にマッチするかをしっかり検討する必要があるでしょう。