フレッツ光クロスとは?10ギガの魅力や注意点も解説
フレッツ光では「フレッツ光クロス」というサービスを提供しています。通常のフレッツ光とはどう違うのか気になっている人も多いでしょう。これから光回線の導入や乗り換えを予定しているのであれば、フレッツ光クロスの特徴やサービス内容を詳しく把握しておきたいところです。
本記事ではフレッツ光クロスについて、メリットやデメリットなどを中心に解説していきます。
フレッツ光クロスとは
フレッツ光クロスとは、NTT東日本とNTT西日本で提供している光回線サービスで、最大通信速度が10Gbpsのプランです。2020年から首都圏などの一部の地域でサービスの提供が開始されました。
通常のフレッツ光は最大通信速度が1Gbpsであるため、フレッツ光クロスはその10倍の速度ということになります。
フレッツ光クロスの基本情報
フレッツ光の基本情報は下記の表のとおりです。
最大通信速度 | 10Gbps |
接続方式 | IPoE方式 |
契約料 | 880円 |
工事費用 | 22,000円 |
月額料金(NTT東日本) | 6,050円 |
月額料金(NTT西日本) | 6,930円 |
ルーターのレンタル料金(月額) | 550円 |
※料金はすべて税込
工事費用は戸建住宅でもマンションでも同額です。月額料金はNTT西日本が高めになっていますが、割引が適用されます。割引適用後の金額で比較すると、NTT西日本の方がNTT東日本より安くなります。
ルーターのレンタルはオプションであるため、自分でルーターを用意して使用する場合には、レンタル料金はかかりません。
また、フレッツ光クロスとは別にプロバイダーとの契約も必要です。料金もプロバイダーの分は別途発生します。
「10ギガ」の速さとは?
光回線の最大通信速度は1Gbpsが主流で、従来までのフレッツ光の最大通信速度も1Gbpsです。これに対して、フレッツ光クロスは最大通信速度が10Gbpsのため、通常の10倍の速度で通信できます。ただ、どのくらい速いのかあまりピンとこない人も多いでしょう。
では、10Gbpsの速さについて分かりやすく説明していきます。
1秒間に送受信できるデータ量
インターネット回線の速度を表す単位として「bps」が一般的に用いられています。この「bps」というのは、1秒間に送受信できるデータ量をbitという単位で示しているものです。通常は「Gbps」や「Mbps」という形で表記されます。
また、パソコンやスマホではファイルサイズなどが表示される場合に、Byteという単位を用いるのが一般的です。Byteはbitの8倍のデータ量を表します。そのため、1Byteが8bitと同じデータ容量です。
このことから、10Gbpsの場合には、最大で1秒間に1.25GB(ギガバイト)のデータを送受信できることを意味しています。
実際の速度
フレッツ光クロスを含め、ほとんどのインターネット回線は、ベストエフォート型のサービスです。ベストエフォート型は最大限の努力を意味するもので、最大通信速度として表示されている速度が出ることは通常ありません。普段使用していて出る速度は、サービスにより大きく違いは出ますが、おおむね最大通信速度の2〜3割程度のことが多いです。
そのため、実際に出る速度は2〜3Gbpsと捉えておくと良いでしょう。それでも、かなり高速であることには変わりません。1秒間に送受信できるデータ容量は2Gbpsなら250MB、3Gbpsなら375MBです。回線が空いている時間帯だと4〜5Gbps程度まで出ることもあります。
ちなみに、最大速度が1Gbpsの回線の場合も、実際に出る速度は2〜3割程度です。そのため、1Gbpsの回線からフレッツ光クロスに乗り換えた場合には、実際に出る速度もこれまでの10倍の速度になります。
個人・法人でフレッツ光クロスを利用するメリット
続いて、フレッツ光クロスを利用するメリットについて見ていきましょう。
テレワークがストレスなく行える
2020年以降は新型コロナウイルスの影響もあり、テレワークを導入する企業が増えてきました。フリーランスの人が自宅で仕事をしているケースもあるでしょう。
テレワークではビデオチャットツールを使用してWeb会議をすることも多いです。回線速度が不十分だと、映像や音声が途切れてしまうこともあります。
フレッツ光クロスを利用すれば、そのような現象は起こりにくいのがメリットです。ストレスなくテレワークができます。
データのダウンロードやクラウドストレージの利用が快適になる
個人でも法人でも、大容量のデータをやり取りするシーンは多くあります。受け渡しにクラウドストレージを利用するケースもあるでしょう。
ただ、ファイルサイズの大きなデータをダウンロード・アップロードする際、従来の回線だと時間がかかります。
その点、フレッツ光クロスなら、通信速度が従来の1Gbps回線の10倍です。単純計算で、ダウンロードにかかる時間が10分の1程度に短縮できます。アップロードするときも同様です。
これまでよりもデータのやりとりやクラウドストレージの利用が快適になるでしょう。
オンラインゲームや動画視聴が快適にできる
オンラインゲームのプレイ中、常に多くのデータが送受信されています。ゲームの種類によっては、最大通信速度が遅い回線だと、快適なプレイができないこともあるかもしれません。
動画視聴に関しても、4Kや8Kなど高画質の動画をストリーミング再生で視聴する際には、遅い回線ではスムーズに見られないケースもあるでしょう。
10Gbpsの回線に乗り換えれば、従来の1Gbps回線の10倍の速度が出るため、オンラインゲームも動画視聴も快適にできるのがメリットです。
法人の場合に大人数で利用しても速度が落ちにくい
法人の場合、オフィスで複数の社員がパソコンを使用して仕事をしているでしょう。社員数が多いと、接続するパソコンの数も多くなり、送受信するデータ容量も多くなります。このとき、最大通信速度が1Gbpsの回線では、通信速度が遅くなったり不安定になったりすることもあるかもしれません。
フレッツ光クロスなら最大通信速度が10Gbpsのため、接続するパソコンの台数が多くても、通信が安定しやすいです。業務効率アップも期待できるでしょう。
個人・法人でフレッツ光クロスを利用するデメリット・注意点
フレッツ光クロスを利用する際には、次のような点に注意が必要です。
工事が必要
光回線を新規で導入する際には工事が必要になります。
光回線の工事は、申し込みをしてすぐに行えるわけではありません。通常、工事ができるのは申し込み後1ヶ月程度先になってしまいます。空いている時期でも2週間程度は待たなければなりません。混んでいる時期だと、2ヶ月程度先になってしまうこともあります。
特に新生活が始まる春先の時期だと、申し込みが増えるため混みやすいです。
また、現在フレッツ光を利用している人がフレッツ光クロスに変更する場合でも、回線をそのまま使用することはできません。フレッツ光クロスでは別の回線を使用するため、工事が必要になります。
工事そのものは、それほど大がかりな内容ではなく、1〜2時間程度で終わりますが、立会を求められます。そのため、工事当日は在宅していなければなりません。
Wi-Fiルーターのスペックによっては性能を充分に発揮できない
フレッツ光クロスに変更したあと、現在使用しているWi-Fiルーターを引き続き使用する予定の人もいるでしょう。しかし、Wi-Fiルーターのスペックによっては、フレッツ光クロスの性能を充分に発揮できない可能性があります。1Gbps程度までの速度にしか対応していないWi-Fiルーターを使用している場合には、買い替えが必要です。フレッツ光クロスの性能を発揮するためには、Wi-Fi6に対応しているWi-Fiルーターを使用するのが望ましいでしょう。
なお、フレッツ光クロスでは、オプションでWi-Fiルーターのレンタルもできます。
LANケーブルの交換が必要になる場合もある
Wi-FiルーターだけでなくLANケーブルが速度のボトルネックになる可能性もあります。現在1Gbpsの回線を使用している人の多くは、CAT5eかCAT6のLANケーブルを使用しているでしょう。CAT5eとCAT6のLANケーブルでは、1Gbpsまでの速度にしか対応できません。
フレッツ光クロスを使用するのであれば、CAT6A以上の規格のLANケーブルに交換するのが望ましいです。
利用可能なエリアはまだ限られている
フレッツ光は全国で利用可能ですが、フレッツ光クロスは利用可能なエリアがまだ限られています。特に地方では対象エリアになっていないところが多いです。提供開始されてからまだ数年しか経過していないため致し方ありません。
しかし、対象エリアは徐々に拡大されています。そのため、現在フレッツ光クロスを利用できないエリアでも、数年後には対象エリアになっている可能性は高いです。
フレッツ光クロスの料金
フレッツ光クロスの料金は、NTT東日本とNTT西日本で異なります。
NTT東日本は月額6,050円です。
NTT西日本は月額6,930円ですが、1,210円の割引が適用されるため実際に毎月請求されるのは5,720円です。
いずれも、回線料金のみでプロバイダー料金が別途かかります。
契約時にかかる費用は、契約料が880円で、工事費用は22,000円です。契約料と工事費用はNTT東日本でもNTT西日本でも違いはありません。
※料金はすべて税込
なお、光コラボ事業者からもフレッツ光クロスに申し込みできます。光コラボの場合には、回線はフレッツ光クロスと同じですが、料金はそれぞれの光コラボ事業者で異なります。プロバイダーとセットになっており、トータルの料金で見ると、NTT東日本またはNTT西日本に申し込むよりもお得なところも多いです。
まとめ
フレッツ光クロスはNTT東日本とNTT西日本で提供している、最大通信速度が10Gbpsの光回線サービスです。一般的な光回線の10倍の速度で通信できます。オンラインゲームをする人や、テレワークをする人などにおすすめです。法人の場合にはデバイスの接続台数が多くても快適に通信できます。
なお、フレッツ光クロスを利用していても、Wi-FiルーターやLANケーブルが10Gbpsに対応していなければ、フレッツ光クロスの性能を充分に発揮できません。フレッツ光クロスに変更するなら、Wi-FiルーターやLANケーブルも、新しいものに買い替えておきましょう。