モジュラージャックとは?RJ45、RJ48などタイプ別に紹介
モジュラージャックは、電話回線やインターネット回線の接続に用いるアイテムの一つです。インターネットが普及する前から用いられているアイテムなので、見たことがある人も多いのではないでしょうか。しかし何に使うものかはなんとなく分かっていても、詳しい仕組みを知っている人は少ないと思います。本記事では、モジュラージャックの概要や仕組み、コンセントの違い、種類などをご紹介します。
モジュラージャックとは
モジュラージャックとは、電話回線やLAN接続に使用するコネクタのことです。一般的に壁に埋め込まれており、モジュラープラグという端子専用のコネクタを挿して使用します。おもに、電話用、ISDN用、LAN用などに分類されます。用途に応じて適したモジュラージャックを使います。
モジュラージャックが普及する前は、壁から出した電話線を直接電話機につないでいました。そのため資格者による工事が必要でした。モジュラージャックによる接続をする場合は資格が不要なため、個人でも屋内配線を行うことが可能になったのです。
モジュラージャックの仕組み
マンションやアパートなどの集合住宅の場合、屋外に設置された電柱から共有スペースまで光ファイバーがつながっています。共有スペースからモジュラージャックまでは、VDSL回線で接続されています。VDSL回線とは電話線を介したインターネット回線のことです。ADSL回線よりも利用可能な距離は短いですが、通信速度が速いため、光回線に対応した建物で各戸にモジュラージャックを使用する場合に用いられます。モジュラージャックからモデムにつなぎ、モデムからLANケーブルでパソコンなどに接続することで、インターネットが利用可能になります。
モジュラージャックは、モジュラープラグを差して使用します。プラグ側にはラッチと呼ばれるツメ部分が付いており、挿入時に自然と押し込まれ、内部まで入るとツメが跳ね上がって固定されます。プラグを抜く際には、指でツメ部分を下に押し込んで引っ張ると簡単に外せます。モジュラージャックは電波の干渉を受けやすいため、電波を発生させる家電製品から遠い場所に設置しましょう。
モジュラージャックとコンセントの違い
モジュラージャックと同様に壁に設置されているのがコンセントです。光回線の接続方式にはおもに「光コンセント」「LANコンセント」「モジュラージャック」の3種類があります。一戸建ての場合、光ファイバー回線を設置する際に外の電線を引き込んで、室内に「光コンセント」を取り付けるケースが多いです。またマンションやアパートなどでも、インターネット対応物件であれば、あらかじめ光コンセントが備え付けられている場合があります。光コンセントかモジュラージャックのいずれかによって、配線方式が異なるので注意しましょう。
光コンセントは「光」「光コンセントSC」などと記載されているコンセントを指します。光コンセントの場合、共有スペースから各戸までダイレクトに光ファイバーがつながっています。そのため、高速でインターネットを使用することができます。光ファイバーを通じて送られる光信号をデジタル信号に変換して、データの送受信を行います。そのため、回線終端装置としてONUを設置する必要があります。
一方で、モジュラージャックは集合住宅のみに用いられる方法です。光コンセントの光配線方式に対して、VDSL方式と呼ばれています。ADSL回線よりは高速ですが、光コンセントと比較すると通信速度は遅くなります。ただし、光配線方式でも他の住民と分け合って使用するため、利用人数によってはVDSL方式と速度が変わらない可能性もあるでしょう。
VDSL方式の場合、回線終端装置はモデムとなります。モジュラージャックからモデムに接続し、ルーターとパソコンの順番で接続します。
LANコンセントは、マンションなどの集合住宅の共用部まで引かれた回線を、LANケーブルを用いて部屋まで引き込む方式です。挿し込み口がLANポートになっているのが特徴で、コンセントには「LAN」と表示されています。LANコンセントの場合、光コンセントよりも通信速度が遅くなる傾向にあります。
モジュラージャックの種類
モジュラージャックは、モジュラープラグの種類によって分けることができます。ここではそれぞれの種類の特徴をご紹介します。
4ピン型
4ピン型は、端子が4つあるモジュラープラグです。4芯のみで、おもに電話機本体と受話器をつなぐためのコードに使用されています。
6ピン型
6ピン型は、端子が6つあるタイプです。壁のコンセントと電話機本体をつなぐ際に使用されるモジュラープラグです。一般的に「電話線」「モジュラーケーブル」と呼ばれるのは、この6ピン型のことが多いです。芯線の数で接続する機器が異なります。
例えば、家庭用の電話機やFAXは単純な通信しか行わないことが大半のため、芯線の少ない6極2芯のモジュラープラグが使用されることが多いです。
一方で、内線などに使用することも多いビジネスフォンに使用する場合、家庭用よりも芯数の多い6極4芯が用いられることが多いでしょう。
また家庭用の電話機とドアフォンなどを接続するケースでは、さらに芯数の多い6極6芯が用いられます。
8ピン型
8ピン型は、通称「RJ45」「RJ48」と呼ばれるコネクタです。4ピンや6ピンなどと比較すると、コネクタの幅が大きくなっています。8つのピン全てを信号線につなぐことができるのが、芯線と端子ともに8つの8極8芯タイプです。光回線やADSL、ケーブルテレビなどのLAN接続には8ピン型が用いられます。
RJ45は8極8芯、RJ48は8極8芯のキー付きのものを指します。
単線誘導体用・撚り線導体用
モジュラープラグは、コンタクトの形状によって「単線誘導体用」と「撚り線導体用」に分けられます。単線導体用は 1本のケーブル部分が1本の銅線で構成されています。名前通り「単線専用」です。コンタクト部分には銅線に傷が付かないように、包み込むような状態で接続するように作られています。
撚り線導体用は、細い銅線を複数本撚り合わせたプラグです。コンタクト部分の先端がとがっており、芯線に食い込む形で接触するように作られています。
モジュラーケーブルの選び方
モジュラージャックに挿すモジュラーケーブルを選ぶ際には、以下の点をチェックしましょう。
芯の数をチェックする
モジュラーケーブルは芯の数ごとに用途が異なります。そのため、購入前に確認しておきましょう。
家庭用電話機に用いられることが多いのが、6極2芯タイプです。6極あるうちの中央部2芯のみを使用します。家庭用電話機やFAX、モデムなどを接続する際に使用されます。電源供給機能が搭載されているため、シンプルな電話機であれば電源に接続しなくても使用できます。
6極4芯タイプは、ビジネスフォンで用いられることの多いタイプです。内線電話や多機能電話、警報機などに使用されます。
6極6芯タイプは一部の多機能電話やドアフォンなどで使用されます。芯数が少ないタイプと互換性があるため、広い用途で使いたい場合に適しています。
ケーブル外径をチェックする
モジュラーケーブルの入線口に対してケーブル外径が違うと、ケーブルを挿すことができません。例えば、8極8芯のRJ45は、Cat5e以下のケーブルであれば適合しますが、Cat6のケーブルを使用する場合は専用のモジュラージャックを使用する必要があります。モジュラープラグにはそれぞれ適用ケーブル外径などが表示されているので、ケーブルの外径に合ったものを選びましょう。
単線用・撚り線用
モジュラープラグには、単線導体用と撚り線導体用の2種類があります。ただし違いはコネクタ部の形だけのため、見ただけでは違いが分かりにくくなっています。表示をきちんと確認しましょう。
またメーカーによっては単線・撚り線兼用のものも販売されています。
ケーブルの種類をチェックする
モジュラーケーブルを選ぶ際には、ケーブルの種類や形状も重要なポイントです。
スタンダードケーブルは、最も一般的な丸い形状のケーブルです。メーカーによって多少太さが異なりますが、壁に這わせて配線する場合はスタンダードケーブルで問題ないでしょう。
フラットケーブルは、平らな形状のモジュラーケーブルです。モジュラーケーブルを販売している多くのメーカーが取り扱っています。平らなため、つまずきにくいのが特徴です。廊下を横断して配線しなくてはいけない場合や、人が良く通る場所に配線する場合に適しています。またカーペットやマットの下などに配線する際にも向いているでしょう。
ただしスタンダードケーブルよりも耐久性が若干劣るため、強く引っ張るのは避ける必要があります。
巻き取りタイプは、ケーブルを巻き取るために収納ケースが一体化したケーブルです。コンパクトにまとめられるため、持ち運びしやすいのが特徴です。出張先など外出時に利用したい場合に適しています。収納の際にケーブルを束ねなくてもよく、取り出したらすぐに使い始められます。またケーブルを好きな長さに調節して使用することが可能なため「ケーブルが長くて邪魔」という事態に陥りにくいでしょう。
モジュラージャックについて知ろう
モジュラージャックは、集合住宅に取り付けられる挿し込み口のことです。インターネットや電話回線を接続するために使用するもので、専用のケーブルを挿して使用します。モジュラージャックに挿すケーブルの先端部である、モジュラープラグにはさまざまな種類があります。端子や芯線の数、コネクタ部の形、入線口のサイズなどによって適切なものを選ぶ必要があるので、事前に確認しておきましょう。