クラウド電話の仕組みを徹底解説!導入のメリットや注意点
従来企業において導入されていた「ビジネスフォン」に代わり、近年画期的な企業向け電話システムと話題になっているのが「クラウド電話」です。クラウド電話はビジネスフォンと同じように、会社代表番号など特定の番号を社内の複数の固定電話機で共有できたり、内線通話ができたりするシステムですが、仕組み自体は似通っているものの構造がビジネスフォンとは大きく異なり、ビジネスフォンを遥かに超える利便性を実現しています。
今回は、この画期的な「クラウド電話」で出来ることやその仕組み、メリットを中心に解説していきます。また、導入の際の注意点も併せて解説していきますので、導入を既に検討されている企業担当者様もぜひ参考になさってください。
クラウド電話とは?何ができる電話?
「クラウド電話」というと何か難しそうなイメージを抱くかもしれませんが、そもそもどのようなことができる電話なのでしょうか。
クラウド電話は、簡単に言ってしまえば「ビジネスフォンとほぼ同じことができる電話」です。より具体的に言えば、会社内で当たり前のように行っている電話の取次ぎや着信保留転送、内線通話などができる電話ですが、ほとんどの企業で導入されているのはクラウド電話ではなく「ビジネスフォン」という従来型の電話システムです。
企業においては、普通の電話のように1つの電話機に対して1つの回線しか使えない状態では問い合わせや取引先からの連絡に対し対応しきれませんし、非常に管理が煩雑なものになってしまいます。こうした複雑になりがちな電話運用をすっきりとまとめたのが「ビジネスフォン」で、ビジネスフォンを導入することによって、会社代表番号など社員で共有するべき電話番号を社内のすべての電話機で並行して使い回すことができ、社内電話機同士での内線通話ができます。
そういうことがなぜできるのかというと、ビジネスフォンでは、「主装置(構内交換機・PBX)」と呼ばれる高度な電話交換システムの要を担う精密機器を社内に物理的に設置しているからです。その主装置に対し、公衆電話網につながる外線と、社内の固定電話機間を結ぶ内線、および社内のすべての電話機を、有線の固定電話回線で一手に接続することで、主装置側で電話機と回線を一元管理してくれます。
つまり、ビジネスフォンのシステムにおいては、主装置がいわばすべてを動かす「頭脳」となります。そして、主装置が必要に応じて自動的に、主装置に接続された電話機に対し回線を適切に割り当てたり、既に接続された回線を切り替えることで着信を受電した電話機とは別の電話機に着信を転送したり、社内の電話機同士を内線で接続したり、といったことを行うのです。
クラウド電話も、ビジネスフォンと同様のことができる電話なので、その仕組み自体は似ていますが、その構造、特にハードウェア的な構造はかなり異なったものとなっています。
クラウド電話の仕組み
クラウド電話の仕組みを理解するには、先ほど説明したビジネスフォンの仕組みをもう一度思い出していただく必要があります。とはいえ、仕組みとしてはほとんど変わりません。
ビジネスフォンの場合は、「主装置」を「社内」に「物理的」に設置し、かつ、主装置と「固定電話機」を「有線の固定電話回線(外線・内線)」で接続・配線しています。会社などの拠点内に設置された主装置を中心にすべてが「有線接続」されていることで、主装置による回線・電話機の一元管理を実現している、という構造になっています。
これに対してクラウド電話の場合では、主装置を使うのは変わりませんが、主装置を「クラウド上(インターネット回線上)」に「仮想的」に設置し、かつ、主装置と「固定電話機やパソコン、携帯電話・スマートフォン等のインターネット接続が可能なデバイス」を「インターネット回線」で接続している状態となっています。
こうした構造により、クラウド上にある仮想的な主装置によって内線や外線を一元管理できるのが、クラウド電話の仕組みです。
クラウド電話を導入するメリット
このように、従来のビジネスフォンとクラウド電話では「主装置で回線・電話機を管理する」仕組み自体は一緒ですが、構造上の大きな違いがあります。「使える機能が大して変わらないのなら同じものなのでは?」と思うかもしれませんが、この構造上の違いこそが、クラウド電話において、ビジネスフォンでは到底実現不可能な大きなメリットを生み出しているのです。
まず代表的なところでは「導入に係る初期費用をはじめ大幅にコスト削減ができる」ということです。従来のビジネスフォンでは、導入にかかる初期費用だけで数百万はくだらない膨大なコストがかかっていました。この主な理由は、主装置や電話機を物理的に拠点内に設置しなければならないからです。
主装置を物理的に設置するビジネスフォンの場合、主装置は購入あるいはリースで契約して借りることになります。主装置の購入費用は回線数の規模によっても変わりますが、安くても数十万円、規模の大きな企業の場合では数百万円と、主装置だけでかなりのコストが発生します。また、ビジネスフォンでは主装置に対応した純正の固定電話機しか使用できないので、新たに膨大な台数の固定電話機を購入・設置しなくてはならず、工事費を含めると1台につき数万円かかります。また、自社内に設置するのでメンテナンスも専門業者に依頼して定期的に行わないといけません。
これに対しクラウド電話では、主装置はクラウド上に仮想的に設置されているので、ユーザーは手出しできない代わりに、購入・設置の必要もないのでそれにかかる高額なコストがかからずに済みますし、保守点検・メンテナンスといった管理もサービスを提供するベンダーがユーザーの代わりに行ってくれますので、保守点検費用もかかりません。
そして、電話機も専用のものを用意する必要がなく、お手持ちのスマホや携帯電話やPCを転用することができるので、場合によってはデバイスの購入費用もかかりません。実際、クラウド電話の初期費用は1万円~5万円ほどとかなり格安です。
そして運用面での最大のメリットは、遠隔的に設置した主装置をインターネットを介して接続している状態なので、「場所の制限を受けない運用が可能」ということです。その理由は、主装置はクラウド上にあり、かつ、インターネット回線が繋がる限りどこででもデバイスと接続されているからです。通話に使用するデバイスも携帯電話やスマートフォン、ノートPCといったどこにでも持ち運び可能なデバイスなので、普段スマホを使っている感覚で外出先・出張先・移動中でも電話を取ることが可能です。
主装置の物理的設置と固定電話機の有線接続が必須なビジネスフォンでは、どうしても拠点に縛られてしまい、会社の電話番号を使うには会社にいる必要がありましたが、クラウド電話では電話応対の為に会社に出社・帰社する必要がないので、業務効率が劇的に改善されます。どんなに遠くても複数拠点を跨いで内線通話ができるのも大きなコスト削減と業務効率改善に役立ちます。特に、「設定すれば海外拠点とも内線通話ができる」というのは、拠点内でしか内線通話ができないビジネスフォンでは到底実現不可能なことです。
クラウド電話を導入する際の注意点
このように、クラウド電話ではビジネスフォンを大きく超える利便性を、ビジネスフォンよりも大幅に低いコストで導入できるということで話題になっていますが、クラウド電話はまだまだ新興のサービスであり、契約するベンダー選びが非常に重要になります。
ここでは、自社に最適な運用ができるサービスを選ぶうえで意識するべき、導入の際の注意点を解説していきます。
現在利用中の電話番号を引き継げるか
現在利用中の番号を引き継いで利用する、というのは個人単位では大したことではないですが、企業などの大きな組織においては非常に重要な意味を持ちます。電話番号が変わると取引先や顧客への周知に莫大な手間がかかるからです。クラウド電話を導入することで電話番号が変わってしまうとしたら、多くの企業が困るはずです。
多くの企業は「03」や「06」「042」など市外局番で始まる固定電話番号を持っているはずですが、クラウド電話の種類によってはこうした固定電話用の番号を引き継いで利用できない場合がある、というのはクラウド電話を利用する上で最大の注意点かもしれません。
クラウド電話には、市外局番で始まる固定電話番号を利用できるサービスと、そうでないサービスがあります。そして、前者は「ひかり電話」や「FMCサービス(固定電話と携帯電話の融合をはかるサービス)」を利用したクラウド電話で、後者はIP電話を利用したクラウド電話が当てはまります。
前者の場合はおおむねIP電話以外の番号は全て使えますが、後者の場合は「050」で始まるIP電話専用の番号しか使えないうえ、緊急通報用番号(110・119など)にもつながらないので、災害時等にリスクがあります。もし既に固定電話番号を持っていてそれを引き継ぎたい場合には、ちゃんと引き継げるかをベンダーに確認して、前者を選ぶようにしましょう。
ビジネスフォンをリースしている場合は契約期間に注意
ビジネスフォンを既に導入している企業様でクラウド電話を新たに取り入れたい場合、現在契約しているビジネスフォンの契約期間に注意しましょう。ビジネスフォンを買い切りで契約していればある程度問題ないですが、大変なのはリース契約をしている場合です。
リース契約の場合、主装置や電話機などの設置している設備の所有権はリース会社にあり、契約期間満了前に解約をすると、高額な違約金をとられる上、残債分を一括返済しなければならなくなり、クラウド電話を導入してコスト削減するはずが逆に莫大なコストがかかってしまうということにもなりかねません。
ビジネスフォンのリース契約の多くは5年~7年なので、リース契約をしている場合は契約期間満了がいつなのか、途中解約でどのくらいの費用が掛かるのか、その辺りを慎重に見極めつつ導入を検討しましょう。
利用方法やルールを決めて社内に周知させる
クラウド電話は便利でメリットが大きいのですが、どこにでも持ち運べるからこそ管理が大変で紛失等のリスクも大きいようにも思われます。かといって、管理が面倒だから導入しないと判断するにはあまりにももったいないというのも事実です。便利でかつリスクが高いものだからこそ、利用方法などをルールとして規定し、社内に明確に周知するといったことをしっかり行いましょう。
クラウド電話は、自社の運用方針に合わせてかなり細かい設定ができます。たとえば、時間を管理してある一定の時間帯は自動音声応答で電話は受けられない旨を発話者に伝えることもできますし、一人一人の社員の出勤状況や休憩時間・外出等を加味して、着信を受ける際の優先順位を変更したり、ある一定の問い合わせを切り分けて限られた担当分野の人にだけ着信が鳴るようにも設定できます。
遠隔で着信履歴や利用状況を可視化することもできるので、こうした機能の助けも借りつつ、ルール建てをしていきましょう。逆に、ルールをもとに設定を柔軟に変えることも重要で、そのたびに周知が必要になりますが、せっかく導入するのですから、クラウド電話が快適に使用できるよう工夫することが大切です。
クラウド電話「ナイセンクラウド」
ナイセンクラウドは、03や06などの全国の局番、050番号、0120や0800の着信課金型番号に対応したクラウド電話です。ほとんどの企業様が現在利用中の電話番号をそのまま引き継ぐことができるでしょう。
着信ルールを細かく設定することができ、全国どこでも、また海外でも、拠点間で内線通話を無料で利用できます。また電話が掛かってきた際に誰からの電話なのかをディスプレイ表示させたり、誰がどのくらい通話しているのかを管理者がチェックしたりなど、企業の電話業務に求められる機能を基本機能として備えています。その他、コールセンターなどで便利なIVR・ガイダンス機能やウィスパリング機能などもオプションとして用意しており、状況に合わせて必要な機能をお選びいただくことが可能です。
料金も3つのプランから選ぶことができ、内線数が増える場合はお得な割引もあります。電話問い合わせが一時的に増えるタイミングで内線数の多いプランを選び、それ以外の時期は真ん中の料金プランに抑えるなど、柔軟なプラン選択が可能です。まずは自動見積もり、個別見積もりにてお問い合わせください。
クラウド電話の仕組みを知って積極的に活用しましょう
クラウド電話とはどういうものか、その仕組みやメリット、導入の際の注意点までをまとめて解説しました。クラウド電話は従来のビジネスフォンに比べて比較にならないほど便利なものであると同時に、しっかりと管理しないとリスクが高いものでもあります。
どんな便利なシステムも、利用するのは人間で、人間が快適に利用できないと意味がありません。せっかく導入するのなら、管理コンソールをうまく現実の運用とすり合わせて設定しつつ、明確なルール建てをして利用する際に困らないようにしっかりと周知しましょう。便利な機能を活かすには、こうした管理者の手腕もそうですが、組織の風通しの良さもまた重要です。経営陣も管理者に投げっぱなしにせず、組織づくりの面から協力することが大切です。
経営陣も含め全社員にとって快適に利用できるよう、クラウド電話を積極的に活用できる環境を整えていきましょう。クラウド電話は、そうした努力を重ねるに値する価値をきっと与えてくれるはずです。