法人向け格安SIMとは?利用するメリット・デメリットを詳しく解説
格安SIMと聞くと、個人が利用するサービスというイメージが強いのではないでしょうか。しかし実は、「法人向け格安SIM」というものも存在しています。法人で社員用のスマホを契約するなら、大手キャリアだけでなく、格安SIMも検討してみるのがおすすめです。
ただし、格安SIMの利用には知っておくべきポイントがいくつかあります。大手キャリアや個人向けの格安SIMとの違いが気になる人もいるかもしれません。
そこで本記事では、法人向け格安SIMの基礎知識からメリットやデメリットについて解説します。
法人向け格安SIMとは?
法人向け格安SIMとは、格安SIMの法人向けプランのことです。
まずは大手キャリアとの違いや個人向けプランとの違いについて見ていきましょう。
格安SIMと大手キャリアの違い
大手キャリアとは、自社で回線設備を保有している通信会社のことです。ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルが該当します。これに対して、格安SIMは、大手キャリアから回線を借りてサービスを提供している通信会社のことです。
なお、大手キャリアのサブブランドや楽天モバイルも、料金が安いことから格安SIMと呼ばれる場合があります。
法人向けプランと個人向けプランの違い
法人向けプランは、対象を法人に限定して提供しているプランのことです。法人が業務で利用することを想定しています。契約は法人名義が前提で、個人での申し込みはできません。
法人向け格安SIMを利用するメリット
法人向け格安SIMを利用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
通信料金を安く抑えられる
個人向けに展開される格安SIMサービスが安価であるのと同様に、法人向けの格安SIMも大手キャリアより安く利用できるのがメリットです。通信料金が抑えられるためコスト削減につながります。
なお、通信会社によっては、法人向けプランは個人向けと比べても安い料金設定のところが多いです。
回線の種類を選択できる通信会社もある
格安SIMは使用する回線の種類を選択できるところが多いです。
法人プランの場合、複数の回線を契約するケースもあるでしょう。このとき全て同じ回線ではなく、SIMカードごとに回線の種類を決められる場合があります。
例えば、10回線契約するのであれば、ドコモ回線とau回線を5回線ずつのような選び方です。
契約中のSIMカードをまとめて管理できる
格安SIMを利用すると、専用のアプリやユーザ用のサイトなどで、残りの通信容量や通話料金などを確認できます。
通常、個人向けの場合は1つの回線に対して1つのアカウントとなります。これに対して、法人向け格安SIMなら契約中のSIMカードをまとめて管理できるところが多いです。
SIMカードごとにログインし直す必要がないため、管理が楽になります。
業務とプライベートを明確に分けられる
法人向け格安SIMを使用すれば、仕事の用事でプライベート用の回線や電話番号を使用せずに済みます。
顧客に電話番号を教えなければならないときなどに、法人向け格安SIMの電話番号を伝えられるため、プライバシーを守れます。このように、業務とプライベートを明確に分けられるのがメリットです。
支払い方法の選択肢が豊富
格安SIMは個人向けのプランの場合、支払い方法があまり豊富ではありません。クレジットカード払いが主流で、口座振替には対応していないところもあるでしょう。
これに対して、同じ通信会社の格安SIMでも、法人向けは口座振替や請求書払いなどにも対応しているところが多いです。
また法人向け格安SIMは、同一名義で契約している回線の料金は、請求がまとめて行われます。そのため、支払いの管理もしやすいです。
法人プランだけのサービスもあり
法人向け格安SIMでは、個人向けプランにはないサービスを設けているところもあります。
例えば、シェアプランやIoT用プランなどです。シェアプランとは、データ容量を複数回線でシェアできるというものです。データ容量が余る社員と、反対に足りなくなる社員がいた場合には、分け合うことで有効活用できます。
IoT用プランは、スマホではなくIoT機器にSIMカードを入れて使用することを想定しているプランです。データ容量が少なめに抑えられており、その分だけ安く利用できます。
法人向け格安SIMを利用するデメリット
法人向け格安SIMを利用する際には、次のようなデメリットも認識しておく必要があります。
通信の品質はキャリアのSIMに及ばない
格安SIMは大手キャリアと同じ回線を使用していますが、通信速度はあまり速くありません。一時的に極端に遅くなることもあります。
その理由は、大手キャリアと契約しているユーザの通信が優先されるためです。特に通信が混雑する時間帯は、速度が遅くなりやすく、不便に感じることもあるかもしれません。
キャリアメールは利用できない
格安SIMでは、キャリアメールはありません。これまでキャリアメールを使用していた場合には、メールアドレスを別途用意する必要があります。
サービスがキャリアほど手厚くはない
大手キャリアと契約している場合は、キャリアショップでさまざまなサービスを受けられます。困ったときなどはキャリアショップに駆け込めば、たいていのことは解決してもらえるでしょう。
しかし、格安SIMのほとんどは、大手キャリアのような手厚いサポートは実施していません。そもそも実店舗を設けていないところも多いです。スマホに詳しい社員が社内にいない場合には、あまり向かないかもしれません。
申し込み手続きがWebのみで完結しない通信会社もある
格安SIMは個人向けのプランであれば、Webからの申し込みで手続きが完了しますが、法人向けだとそうとは限りません。通信会社によっては、紙の申込書を郵送しなければならないところもあります。
通信会社の方に申込書が届いてから審査が開始されるため、利用可能になるまで、個人向けよりも時間がかかることが多いです。
回線数の条件が設けられている場合もある
法人向け格安SIMは、同一名義で複数回線をまとめて契約するのが一般的です。通信会社によっては、一定以上の回線数でないと法人向けプランを申し込みできない場合もあります。
そのため、企業規模が小さく必要な回線数が少ない場合には、選択肢が限られてしまうでしょう。
法人向け格安SIMを利用する場合にチェックすべきこと
法人向け格安SIMを利用する際は、次のような点をチェックしておきましょう。
毎月の料金
毎月の料金がトータルでいくらになるのか計算してみましょう。格安SIMでも料金が高いところと安いところがあります。
データ容量によっても差がありますが、用途を考慮して足りなくならないくらいの容量のプランを選ぶことが大事です。
なお、法人スマホは用途が業務用に限られるため、あまり大きなデータ容量は必要なく、おおむね7GB程度あれば十分足りるといわれています。
通信はどの回線を使用しているか
格安SIMは大手キャリアの回線を使用していますが、具体的にどの回線なのかチェックしておきましょう。場所と回線の組み合わせによっては電波が弱くなる場合もあります。自社オフィスで特定の回線の電波が弱いなどの問題があれば、別のキャリアのSIMを選ぶようにしましょう。
キャリアと契約している場合にはそれほど気にならなくても、格安SIMだと影響が大きく出る場合もあります。
電話のかけ放題プランがあるか
法人向け格安SIMでも電話のかけ放題プランを設けているところがあります。電話をかける機会が多い場合には、かけ放題プランを選ぶのがおすすめです。格安SIMの場合には、大手キャリアと違い無料通話分などは通常ありません。通話料金も高めの傾向にあります。かけ放題なしで通話を多く利用すると、かえって料金が高くなってしまうこともあるため注意しましょう。
支払い方法の確認
どのような支払い方法に対応しているか確認しておきましょう。主にクレジットカード払いや請求書払い、口座振替などに対応しているところが多いです。自社で利用可能な支払い方法に対応しているところを選びましょう。
法人向け格安SIMの申し込み方法
法人向け格安SIMを申し込むときの手順について見ていきましょう。
端末を用意する
格安SIMで使用するスマホの端末を用意しておきましょう。通信会社でも購入できますが、他のところで購入しても問題ありません。通話やメールがメインであれば、価格重視で機種を選ぶのが良いでしょう。
必要書類を用意する
法人向けのプランでは個人向けのプランよりも必要書類は多めです。個人向けの場合には本人確認書類だけで済みますが、法人だと登記簿謄本や印鑑証明書などの提出も求められます。あらかじめ法務局や市役所などで取得しておきましょう。通常は発行日から3ヶ月以内のものを使用します。
担当者の本人確認書類や社員証などの提出も求められます。本人確認書類は運転免許証やパスポートなどで問題ありません。
申し込み手続きを行う
法人向け格安SIMの申し込み手続きは、郵送で行うところが多いです。公式サイトから申込書の用紙をダウンロードし印刷しましょう。必要事項を記載して押印などを済ませてから、封筒に入れます。あらかじめ用意しておいた必要書類も同封して郵送しましょう。
SIMカードが送付される
通信会社に申込書が届くと審査が行われます。特に問題がなければ、自社オフィスにSIMカードが送付されます。届いたSIMカードの開通手続きを済ませて、スマホの端末に挿入しましょう。開通手続きを済ませれば、通信できるようになります。
また、申し込み内容などに問題があって審査に通らなかった場合には、その旨が通知されます。
まとめ
格安SIMにも法人向けプランがあり、大手キャリアよりも安い料金で利用できます。シェアプランやIoTプランなど法人のみを対象にしたサービスも豊富です。個人向けプランとは異なり、複数回線をまとめて契約するのが一般的で、管理や支払いもまとめて行えます。
通信の品質は大手キャリアに及ばず、サポートもあまり手厚くないのがデメリットですが、それでも料金面でのメリットは大きいです。申し込みをする際には、毎月の料金や回線の種類、かけ放題プランの有無などをチェックしておきましょう。