内線はスマホで使用できる!?内線をスマホで利用する方法と注意点
企業にとって特に便利な内線。直接出向くには距離がある別部署と簡単に連絡が取れるうえ、内線は公衆電話網を使わないため、通話料も無料で済みます。企業の内線は多くの場合、「ビジネスフォン」などの外線も使える電話システムが前提となっています。
ビジネスフォンの場合では固定電話機を使いますので、内線通話は会社でしか使用できません。それが当然と思っていませんか?
実は、いつも持ち運んでいるスマホでも内線通話ができるとしたら、どうでしょう。仕事で電話をよくする人は特に、スマホで内線ができたら便利だろうなと一度は思ったことがあるのではないでしょうか。
今回は、内線をスマホで使用できるメリットや、どのような方法で内線をスマホで利用できるのかといったことを解説していきます。テレワークやテレハーフといった新たな働き方が行政からも推奨されている中で、内線をスマホで使う具体的方法を知れば、必ずやビジネスの効率が飛躍的に向上するかと存じますので、ぜひとも参考にしてみてください。
内線をスマホで利用するメリット
「内線をスマホで利用する」というのは、今や技術的にも普通に可能なのですが、普段会社への出勤や会社での内線通話に慣れているとあまりその事実を知ることがないでしょうし、「今の環境のままで不都合ないから」とスルーしてしまう方も多いかもしれません。そして、会社のデスクにある電話機で内線を使いつつ、外出先で通話できるようにスマホも持っているなんて方が殆どではないでしょうか。しかしそのままでは業務効率が向上するチャンスをみすみす逃しているようなものかもしれません。
ここでは、内線をスマホで利用するとどんなメリットが生まれるのかを解説していきます。内線をスマホで利用できると、これまで想定していなかったような効率のいい電話のやり取りが可能になりますし、思いもよらなかったようなコスト削減へつながります。
外出中・出張中でも内線を利用できる
従来のビジネスフォンの仕組みを利用していると、基本的に内線通話は会社内でしか使用できません。これはある種習慣的にも常識となっていて、なかなかこれを「非効率」とは思いにくいのが現実ではないでしょうか。「そんなの当たり前だよ」と思っている方も少なくないでしょう。
しかし、内線をスマホで利用できるということはつまり、外出先でも内線が使えるということです。
しかし、外出先で内線が使えて何が便利なのか、よくわからない方もいらっしゃるかもしれません。これの何が便利なのかというと、担当者が出先や出張先にいても、電話に出られる状況であれば、電話の取次ぎが直接できるということです。
これまでのビジネスフォンでは、担当者に電話を取り次ぐ際、担当者が会社内、しかも自分のデスクにいなければ取次ぎができませんでした。取次ぎが直接できない状況下では、お客様や取引先から伝言を承り控えたうえで、担当者が出先から戻ってきた際に用件を伝えたり、担当者の携帯電話へ外線で通話して電話があった旨と相手の名前・用件を伝えなければならなかったのです。今までの習慣上、これが当たり前だと思う人も多いでしょう。
しかし内線がスマホで利用できれば、あらかじめ内線通話をして電話を取り次ぐ旨を担当者に伝えたうえで、直接相手の着信を担当者の携帯電話に転送できるのです。会社代表番号宛てに来た着信を、対応すべき担当者が出先にいても、出張先にいても、自宅にいても取次ぎができるということは、伝言をメモしたり、担当者に伝えたりする内勤者の手間が大幅に軽減できるということなのです。
在宅勤務を導入しやすい
先ほど、あえて「自宅にいても取次ぎができる」と書きました。スマホはもともと移動や持ち運びを前提としたデバイスですから、内線をスマホで利用できるということは即ち、「場所の制限を受けずに内線を利用できる」ということなのです。これはもちろん受信だけでなく発信にも言えることで、スマホで内線が利用できれば、自宅からでも会社代表番号での発信や着信が行えますので、他の社員への内線通話や電話の取次ぎが自宅にいながらにして可能になります。
先ほどまでイマイチ利便性が理解できず首をひねっていた方も、「自宅からでも会社の電話番号が使える」と聞けば、その便利さに驚くのではないでしょうか。こうした特性を活かすことによって、現在感染症対策として必要性が叫ばれているテレワークやサテライトオフィスといった新たな働き方を気軽に導入できるようになります。
現在テレワーク導入率が伸び悩んでいる大きな要因のひとつとして、「会社内でしか会社代表番号を使った電話や内線通話ができない」ことが挙げられるのではないでしょうか。もし会社に「電話番」が不要になるのなら安心してテレワーク導入ができる、そうした企業は少なくないはずです。
国際電話を使わずに海外拠点と連絡が取れる
「場所の制限を受けずに内線を利用できる」ということのメリットは、おそらく多くの人が想定しているよりも大きなメリットとなるでしょう。スマホで内線を利用する場合、従来のビジネスフォンのように拠点内にとどまることがないので、たとえば国内の別拠点同士、東京本社と大阪支社の間でも内線が構築できるというのはある程度想定の範囲内ではないでしょうか。
しかし、スマホはインターネットで世界中につながる機器です。そして、スマホで内線を利用する際には、通話における音声情報はインターネット回線を経由して伝送されます。つまり、海外拠点とも内線を構築できるということなのです。海外拠点と内線を構築できれば、国際電話を使う必要なく、無料での通話が可能になります。これは、特に国際展開を目指す規模の大きな企業や、製造拠点を海外に置く中小企業などにとって非常にありがたく便利な機能ではないでしょうか。
内線をスマホで利用する方法
このように、内線をスマホで利用できるとメリットが沢山あります。特に「場所の制限を受けない」というのは拠点を増やして活動する企業という形態との相性は抜群といえるでしょう。
それでは、実際に内線をスマホで利用するにはどのような方法をとればいいのでしょうか。ここでは、内線をスマホで利用する方法を具体的な仕組みと共に解説していきます。
クラウドPBXを導入
内線をスマホで利用するには「クラウドPBX」の導入が必要です。クラウドPBXは従来のビジネスフォンに代わる新たな画期的な電話システムとして近年話題を呼んでおり、ビジネスフォンと同等以上の利便性を、低コストかつ柔軟に運用できるシステムとして導入企業が増えています。
ここでは、クラウドPBXとは何か、内線をスマホで利用する以外のメリットとして何があるのかといったことを詳細に解説していきます。
クラウドPBXとは
従来のビジネスフォンはそもそも何故内線が使えるのかというと、複数の外線および内線を含む電話回線と、社内の複数の固定電話機を「主装置(構内交換機・PBX)」と呼ばれる機械に有線接続して、主装置内部で随時回線の割り当てや切り替えを行っているからです。すなわち、社内に物理的に設置された「主装置」を中心として、公衆電話網と内線網が複数の固定電話機を経由しつつ有線接続されていることによって、内線通話が可能になっているのです。
それに対して「クラウドPBX」は、この主装置をクラウド上(インターネット回線上)に仮想的に設置し、複数の外線・内線を含めた電話回線と、電波を受発信する携帯電話・スマートフォン、パソコン等のデバイスが常時接続されていることによって、内線をはじめとするビジネスフォンの仕組みと同様の機能を使用できるというものです。
中でも主装置がクラウド上にあることの影響は大きく、この仕組みこそが「場所の制限を受けずに内線が利用できる」クラウドPBX運用の要となっています。ビジネスフォンであれば内線も主装置も電話機も物理的に社内から移動できないので、どうしても場所の制限を受けてしまうのです。
内線利用以外のクラウドPBXのメリット
内線をスマホで利用できる以外にも、クラウドPBXには色々なメリットがあります。
たとえば、先ほど「主装置」をクラウド上に設置するといいましたが、これは利用者が行う必要はなくベンダー側が設置した主装置を使うことができるので、ビジネスフォンのように主装置を購入することも設置することも不要です。ビジネスフォンであれば購入と設置に安くても数十万円単位、高いと数百万円単位のコストがかかるところを、クラウドPBXであれば数万円程度にまで導入コストを落とすことができるのです。
また、クラウドPBXは携帯電話やスマートフォンだけでなく、デスクトップPC・ノートPC・タブレット端末など対応デバイスが幅広いので、既に社用PCや社用タブレット端末等を支給していれば、クラウドPBX用の新たなデバイスを買う必要はなく、さらにコストが削減できます。
機能面でも、指定の番号に対する着信を一部社員の携帯でのみ鳴らし、それで応対できる人がいなければ社員全員の携帯を鳴らすなどの「鳴らし分け」や、留守電メッセージを音声ファイルにしてメール送信する機能など、便利な機能が沢山用意されています。
スマホにアプリをインストール
内線をスマホで利用するにはクラウドPBXを導入し、次に内線利用ができるアプリをスマホにインストールする必要があります。その多くは「ソフトフォン」と呼ばれるアプリケーションで、通話機能が標準装備されていないタブレット端末やPCなどにも対応しています。
オンライン通話やオンライン会議をするのにもアプリが必要ですが、ソフトフォンは音声伝送の仕組みこそ、そうしたアプリと似ているものの、「内線利用」や「場合によっては固定電話とも内線通話を行う」というように目的が特殊なので、オンライン通話アプリとはまた違った仕組みが必要になります。その為、LINEやSkypeなどといったオンライン通話のできるアプリで代用することはできません。
多くの場合、ソフトフォン・アプリケーションは単体で利用することはなく、先述したクラウドPBXや、IP電話といった回線システムとの契約と組み合わせる場合が殆どです。
内線利用ができるスマホアプリ例
内線利用ができるスマホアプリには色々とあります。そのほとんどは先述の通りソフトフォン・アプリケーションであり、特に便利なものでは「Zoiper」が知られています。Zoiperはこうした内線利用ができるスマホアプリの中でも対応しているOSが幅広く、スマホではiPhone・Androidどちらにも対応しています。
ZoiperにはPC上のデスクトップに最適化された「Zoiper Classic」というアプリもありますが、こちらもWindows版のほかMac OS X版・Linux版もリリースされており、Zoiperはあらゆるスマホ、PCで利用できるマルチプラットフォームが強みです。
その他にも色々なアプリがありますが、中でも「Acrobits Softphone」はiPhoneとの親和性が高いことで知られています。iOS純正フレームワーク「CallKit」に対応しており、iPhoneのプッシュ通知から電話を受けることができたり、iPhone純正の電話帳からそのまま発信出来たりするので、アプリを常にバックグラウンドで起動しておく必要がありません。他の多くのアプリではバックグラウンド起動が必要なので、iPhoneを持っていればまず間違いのないアプリです。
「Grandstream Wave」は逆にAndroidでしか動作しないアプリですが、とにかくわかりやすいメニュー画面が特徴で、初期画面にはメニューが3つしかありません。英語ですが簡単なので、設定手順もわかりやすく、実際の使用に関してもツリー構造で理解しやすい構造となっています。
内線をスマホで利用する際の注意点
「内線をスマホで利用する」ことのメリットは既に解説した通りですが、内線をスマホで利用する時には注意点も多くあります。特に内線利用を目的としたBYOD(スマホ等の私用デバイスを仕事に利用すること)を導入する際には特に気をつけないといけません。
ここでは、内線をスマホで利用する際に気を付けなければならないポイント、注意点を具体的に解説していきます。
セキュリティ対策・紛失防止対策はしっかりと
最も注意しなければならないのは、セキュリティ対策でしょう。セキュリティに関してはベンダーの方でもクライアント証明書を入れたりプロファイルを入れたりとある程度対策を行ってはいますが、近年は攻撃よりもトラップ型の不正アクセスが横行していますので、ユーザーがしっかり意識を持つことでセキュリティ上のリスクの多くを排除できます。
特に私用スマホのBYODを組み合わせて導入する場合には、私用時に不用意なサイトアクセスや怪しげなアプリのインストールによりマルウェアに感染したり、プライベート用のメールに届いたリンクをクリックして情報入力をした結果、個人情報や会社情報が抜き取られてしまうなどのリスクが考えられます。怪しいアプリは入れない、メールのリンクはクリックする前に警戒するといった危機意識が必要です。
紛失防止対策も特に気をつけましょう。スマホの場合では仕事用のデバイスの位置情報や運用状況をサーバー経由で一元管理でき、端末を遠隔操作・データ消去などができるリモートアクセス機能も備えたMDM(モバイル端末管理)というサービスもありますので、少なからず紛失事案が発生している場合はそうしたサービスの導入も検討してみましょう。
内線を使用する曜日・時間帯のルールを定める
運用体制をしっかりと規定するのも大切なことです。特に内線を使用する曜日・時間帯を明確にルールとして規定し、時間外には権限レベルを下げて一定以上の操作を制限するといった管理の方法もあります。
基本的には仕事の定時を基準に、必要があれば申請して使える期間を延ばすなり、社用スマホは仕事が終わり次第都度返却するなりして、毎日管理を徹底するといったことをするだけでも、社員の意識は変わるでしょう。
スマホで内線を使うなら「ナイセンクラウド」
ナイセンクラウドは、スマホや携帯電話、タブレット、パソコンなど幅広い端末に対応したクラウドPBXです。国内の複数拠点、在宅勤務はもちろんのこと、海外でも内線・外線を使用できます。
一斉着信や鳴らしわけ、細かな着信時ルールの設定、留守番電話のデータメール送信、ナンバーディスプレイ機能など便利な機能が基本機能として備わっており、オプションで録音機能や音声ガイダンスを加えることもできます。
料金は内線数に応じて3つのプランから選べます。どのような機能が欲しいのか、内線数はどのくらい必要なのか、条件を指定して自動見積もりすることもできますので、まずはサイトをご覧ください。また個別見積もりにも対応しております。
スマホで内線を使用して働きやすさアップ!
内線をスマホで利用する方法とそのメリット、運用する際の注意点などを具体的に解説しました。
技術自体は大きく向上し便利な機能を充分に享受できる時代にはなりましたが、やはり大切なのはそれを人間がどう使うかです。特に企業は組織ですから、ルールをきちんと規定しないと、社員の意識の低さが洒落にならない機密漏洩を引き起こす危険性があります。特にどこへ持ち出されても使えてしまう便利さが仇となる可能性があるので、セキュリティ対策はしっかりとすることが求められます。
仕事道具である以上、私用スマホにしろ社用スマホにしろ、扱いは充分に注意して、自分から怪しいリンクを踏むなどの不注意をなるべく防ぐように習慣づけることも大切です。せっかく「クラウドPBX」など便利なサービスがあるのですから、それを賢く使うようにしましょう。