クラウドPBXを導入する際は市外局番に対応していることが重要である理由
従来、企業向けの電話システムといえば固定電話を使った運用、いわゆる「ビジネスフォン」が一般的でした。そのため、会社の代表番号として固定電話番号を取得している企業様も多いことでしょう。
しかし、近年ではインターネット回線を利用した通話技術が徐々に企業向けの電話運用にも取り入れられており、そうした新しい技術の中でも注目されているのが「クラウドPBX」です。とはいえ、まだまだ市外局番付きの固定電話番号の重要性は高く、クラウドPBXでも市外局番に対応し、固定電話番号を引き継いで使用できるベンダーを選ぶことが大切です。
今回は、クラウドPBXを導入する際に市外局番に対応していることが重要である理由を解説していきます。
クラウドPBXが市外局番に対応していることが重要である理由
昔は、個人向け・企業向け共に固定電話が主流でした。しかし、現在では電話や通話技術は急激なスピードで多様化しており、インターネット回線を利用した通話技術「VoIP」も個人向けに限れば今やかなりの普及率を誇るなど、電話を巡る事情は刻一刻と変わり続けています。
そんな中で徐々にですが普及が進んでいる「クラウドPBX」のように固定電話ではなくインターネット回線を利用する企業向けの電話運用においても、「可能な限り固定電話番号を引き継いで利用するべき」とされています。なぜ、時代は変わり続けているのに、今も尚固定電話番号の堅持が大切なのでしょうか。
ここでは、クラウドPBXへ移行する際にも市外局番付きの固定電話番号を維持することが重要である理由を解説していきます。
企業運営において固定電話番号が必須だから
先程も触れた通り、日本でも徐々にではありますがクラウドPBXのような新世代の電話運用が浸透しつつあります。しかし、今も日本の企業では「ビジネスフォン」のような固定電話による運用が一般的で、従来型のオフィスワークが主流となっています。IP電話も普及し始めて随分経ちますが、多数派を占めるには至っていませんし、社員用ならともかく、企業そのものの電話番号として携帯電話やスマートフォンで払い出される番号を使う事もほとんどないのが現状です。
それは、「固定電話番号を手放したくない」という心理が働いているからではないでしょうか。少なくとも日本では、そうした心理が働いてもおかしくないほど、固定電話番号は企業にとって大切な存在であるからです。
日本では、会社を興すにあたって「登記」という手続きが必要になり、登記簿を作るにあたって、電話番号の登録が必要になります。その際に固定電話番号を取得し登記簿に登録することで、個人の電話番号と会社の電話番号を明確に分けることができます。会社は必ずしも一枚岩ではなく、経営者が変わる可能性もある中で、登記をする際に経営者個人の携帯電話番号を使ってしまうと、番号が変わるたびに変更手続きが都度求められるうえ、その手続きは非常に面倒です。
実はクラウドPBXのようなインターネット回線を利用した新たな通話技術を取り入れるにしても、LNPといって固定電話番号の引継ぎが行えるベンダーも少なからずあるのですが、その事実はあまり知られていません。「新しい電話システムに移行するなら、電話番号も新しいものに変わってしまうのだろう」という思い込みもあるでしょう。そのせいで、令和の時代になってもクラウドPBXよりビジネスフォンが主流であり続けているのではないかと思うくらいです。
固定電話番号は信用されやすいから
固定電話番号が企業にとって大切である理由は、登記に使えるということも勿論ですが、何よりも「一般社会からの信用性が高い」ことこそが最も重要かもしれません。企業活動において最も大切なのは「信頼」で、お客様からは勿論、協力会社や主要取引先など、沢山の組織や人からの信頼あってこそ企業を維持できます。
固定電話番号がなぜそうした信頼性を担保できるのかと言うと、固定電話番号はそう簡単に取得できるものではなく、取得するまでには一定の手間と費用がかかるからです。そして、固定電話番号には市外局番があることによって会社が地域と紐づくので、「ちゃんと実在してまっとうに社会で企業活動を行っている会社である」というイメージが湧きます。実際パブリックイメージとして「市外局番があればある程度信用できる」と思われているのも事実です。
連絡先がメアドやネットのHPだけしかないとか、会社の番号が携帯電話であるとかそういった場合、どうしてもちゃんとした経営の実態があるのかイメージしにくく、仕事を飛ばすのではないか、あるいは悪徳業者や詐欺まがいの商法を行ういかがわしい会社なのではないかと疑わしく感じられるというのが一般的な感覚です。そのため、近年の起業のセオリーとして、「仮にIP電話やネットのみで経営を行っているとしても固定電話番号の取得が必要」と言われています。
既存電話番号からの変更はトラブルや混乱に繋がるから
以上のような理由から、ほとんどの企業が既に固定電話番号を取得し、市外局番に対応しています。その中でクラウドPBXに移行するにしても、事情に詳しい企業なら、既に取得済みの固定電話番号をそのまま引き継いで使えるベンダーを選んで契約し、固定電話番号を変更することなくそのまま使い続けるでしょう。それは「電話番号を変更すると訂正や周知など爆発的に無駄な手間が増えるから」というのが、ある意味最も実利的な理由かもしれません。
個人なら、電話帳に登録されている友人たちに一斉送信で教えればそれで済みます。しかし、企業の場合は一度電話番号を変更すると、非常に大変です。先程も触れた登記簿の変更にも何枚も書類が要りますし、単純に顧客・取引先が多く連絡するだけでも骨が折れますし、資料類や広告類、パンフレット等の印刷物や書類もすべて修正しなければなりません。経営者の安易な判断ひとつで、部下たちに気が遠くなるレベルの手間が襲い掛かってくるのです。
また、それだけ周知連絡を徹底してもなお、間違い電話が多数来たり、かけ間違いによるトラブルが山ほど起こったりしますから、社会的信用も失いかねません。まさに百害あって一利なしです。電話番号の変更は、できれば絶対に行わない方がいいといっていいでしょう。やむを得ず変更するとしたら、余程事情が許さない時だけにしましょう。
クラウドPBXを選ぶ際の必須ポイントとは?
いくら固定電話番号を維持したいからといっても、ずっと固定電話のままでいるわけにもいきませんし、2025年には設備の老朽化を理由に既存のNTTの加入電話(固定電話)の回線がIP回線に置き換わる予定になっています。それでもしばらくは問題なく使えるようですが、これからの時代を見据えたとき、固定電話をクラウドPBXに引き継いで移行するのが賢い選択といえるでしょう。
クラウドPBXは、会社でしか電話が使えないビジネスフォンと違って「会社などの拠点に関係なく、どこでも使える電話運用」であり、企業にとってメリットが大きいサービスだからです。
ここでは、クラウドPBXの導入前に注意・意識するべきポイントを解説していきます。
既存の市外局番のまま利用できる
既に説明した通り、会社組織にとって、市外局番付きの固定電話番号は非常に重要です。そしてこれまた説明済みですが、クラウドPBXのベンダーによっては、既存の固定電話番号を引き継いで利用できます。
注意しなければならないのは、必ずしもすべてのクラウドPBXベンダーが固定電話番号を使用したり、既存の市外局番のまま引き継げたりするわけではない、ということです。たとえば、NTTのひかり電話の回線を使用しているベンダーであれば、NTTで取得した既存の固定電話番号を引き継いで利用できます。また、NTT以外の光電話回線を利用したベンダーで新たにクラウドPBXを導入する場合にも、新規で固定電話番号を取得できます。
ベンダーによってはIP電話で払い出される「050番号」しか利用できない場合もあるので注意しましょう。
多様なデバイスに対応している
従来のビジネスフォンによる運用では、運用の主体を担う主装置(PBX・構内交換機)に対応した純正の固定電話機しか利用できませんでした。しかし、クラウドPBXでは、どこへでも持ち運べるスマートフォン・携帯電話をはじめ、各種パソコン・タブレット端末・据え置き型IP電話機といった様々な端末で通話が可能です。しかし、ベンダーによって対応デバイスが限られている場合があります。
クラウドPBXは特定の拠点に限らず、室内・屋外も問わず、自宅や外出先・出張先など色々な場所で使えるのが大きな強みです。そして、そうした多種多様な環境において問題なく電話を使用するために、それぞれに最も適した端末で運用できるように整えておくということが求められます。
たとえばスマートフォンだけの運用では、Wi-Fiのない地下に入った時などに使えなくなりますよね。そうした時のために、携帯の電波が入らない環境では有線LANケーブルを接続したパソコンでの通話を行うといった代替手段を講じておくなど、多種多様な端末に対応しているとあらかじめ対策が取れて便利です。そのため、対応デバイスは多ければ多いほどいいのです。
全国・海外で利用できる
特に全国各地に拠点を抱えるような大きな企業では、全国で利用できるクラウドPBXベンダーと契約すれば、そのメリットを最大限活用できます。
クラウドPBXは、インターネット上に主装置があるため、離れた拠点間でもシステム上で1つに繋がることができます。すなわち、企業向け電話運用において大切な内線ネットワークに関しても、地方の拠点と都心の拠点など遠く離れた拠点同士でも内線を構築できるのです。そのため、拠点同士では外線しか使えなかったビジネスフォンに比べると通話コストが大幅に削減できます。
また、設定可能なベンダーであれば国内だけでなく海外拠点とも内線を構築でき、国際電話を使わない通話が可能です。更にいえば、海外拠点から客先・取引先に外線通話を行う際にも、国内通話扱いで通話ができるので、更に大幅なコスト削減に繋がります。
海外に拠点をもつ企業様はぜひ、日本全国だけでなく海外でも利用できるクラウドPBXベンダーを選びましょう。
企業の電話に欠かせない機能を有している
クラウドPBXは元々、ビジネスフォンの仕組みを改良したシステムですので、ビジネスフォンに備わっていた機能なら大抵のものが使えます。しかし、ベンダーによって使える機能はバラバラで、そこがクラウドPBXの導入における主要な迷いどころといえます。
たとえば、客先・取引先の番号を主装置にデータベースとして蓄積可能な「電話番号登録」、不要な番号への発信や迷惑電話をブロックできる「着信拒否設定機能」、対応できない時間帯に流せる「自動アナウンス」などが企業でよく使われる機能です。クラウドPBXベンダーを選ぶ際には最低限こうした機能を持っているものを選ぶといいでしょう。また、コールセンターにクラウドPBXを導入するのであれば、モニタリングやウィスパリングなど高度な機能も必要になってきます。
操作性に問題がない
先程も少し説明した通り、クラウドPBXはどこででも使える分、使用する環境が変わると通話品質や操作性などが大きく変わる可能性があります。多少の遅延や雑音はある程度仕方ないとしても、室内と屋外で極端に使い勝手が変わる場合は困りますよね。
操作性というのはクラウドPBXを長期にわたり運用していくにあたりかなり重要な問題になるので、できる限り契約前にデモ機を借りるなどして、色々な場所で実際に使ってみて操作性を実感しておくことや、サービス品質に差が出ないか慎重に確認して、契約するベンダーを選ぶことが大切です。
もし既存の市外局番を利用できないなら?
選び方でも第一に述べた通り、できれば既存の市外局番付き固定電話番号を利用できるベンダーを選んだほうがいいと書きました。もし、既存の市外局番を利用できない状況に陥った場合、なかなか洒落では済まされない規模での手間や費用がかかってきてしまいます。ここでは、既存の市外局番を利用できない場合にどういったことをしなければならなくなるかを解説します。
電話番号を変更する
もし回線の関係で既存の市外局番付きの固定電話番号を引き継いで利用できないベンダーと契約した場合、当然ではありますが新しい電話番号を発行する必要があります。これまでの会社代表番号は使えなくなりますので、今後は新しい番号を看板にして事業を行わないといけません。
光電話回線であれば、まだ既存の固定電話番号を引き継げないベンダーであっても固定電話番号を新規に発行できますが、特に自社での通信インフラを持っていない(回線ではなく接続サービスのみ提供する、インターネットでいうプロバイダ業者など)ベンダーの場合は、いわゆる050番号への変更を余儀なくされます。050番号はIP電話用に払い出される番号で、無料で取得できることも多々あるため、社会的信用は大きくダウンします。
社内に周知する
電話番号を変更するという決断をした場合、まずはできる限り早く、組織内の末端にまで電話番号変更の事実を徹底周知しましょう。突然電話番号が変更されると、社内でも混乱が起きてしまいます。社員一人一人が会社の看板を背負ってアポイントや連絡を日々行っていますから、もし名刺や資料・メール等に書いてある番号以外のものに突然変更されるなどすれば社内だけでなく社外のお客様にも影響が甚大になります。
もし電話番号を変更したなら、まずは社内メールで全員に案内を送ったうえで、メールを見損ねている現場作業者などにも伝わるよう、ある程度視認性が高くセキュリティを確保できる場所、たとえばオフィス内の出入り口付近の壁などに紙を貼るなどして、自社の社員全員にわかりやすい形で周知しましょう。
ホームページや資料、名刺などを修正する
社内にある程度周知が回ったら、その時点で広報物の修正をできる限り早急に行いましょう。まずは手っ取り早く修正しやすいホームページから修正を施し、その後、既存の印刷物と混在する可能性のある資料や名刺などを修正しましょう。
修正の際は緊急性が高くやむを得ない場合を除き、マジックで黒く潰して訂正番号を手書き、といった方法ではなく、最初からまた発注する手段をとります。特に名刺は大量の発注が必要になるため、納期的にも余裕を持たせ、早めに発注しましょう。
取引先に連絡する
緊急時でどうしても連絡しなければならない場合もあるでしょうから、取引先にも電話番号を変更することが決定した時点で一報入れておきましょう。明確な切り替え時期が決まっていると尚安心です。また、そのうえで資料の訂正や名刺の発注などがある程度済んだあとに改めてもう一度取引先にお知らせをしておくとより完璧です。先にやらなければならない優先事項を済ませた後の方が、お互いにより冷静に落ち着いたタイミングで連絡できるでしょう。
このように、企業で一度電話番号が変更されるとそれだけでやるべきタスクが山積みになってしまいますし、社内の社員・顧客・取引先・広告委託先の会社などあらゆる方面に大きな影響がでます。こういう事態は可能な限り避けるべきというのがご理解いただけましたでしょうか。やはり、こうした事態を回避するためにも、最初から既存の電話番号を引き継いで利用できるクラウドPBXベンダーを選んだほうがよさそうです。
市外局番が使用できるクラウドPBX「ナイセンクラウド」
ナイセンクラウドは、03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800のフリーダイヤルに対応しています。パソコン、電話機、スマホなどにも対応しており、既にお手元にある端末を活用してご利用いただけるクラウドPBXです。日本マーケティングリサーチ機構調べにおいて「テレワークに役立つサービス」「信頼と実績のクラウドPBX」「経営者が選ぶ電話サービス」において1位に選ばれています。
詳しい機能については次の動画やサービスサイトをご覧ください。
▼1分でわかるナイセンクラウド
プランは3つあり、内線数に応じて金額が変わります。内線数が多い場合はお得な割引もございます。詳しい料金は自動見積りや個別見積りでご確認ください。
また、2台のスマホでフリーダイヤルを利用することに特化した「スマフリ」もございます。ナイセンクラウドの機能を小規模に導入できるスマフリを先に導入してみて、使い勝手や機能を確認したのちにナイセンクラウドに切り替えることも可能です。
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市外局番に対応したクラウドPBXならスムーズに導入できる!
企業にとって市外局番付きの固定電話番号がいかに大切なものかも含めて、市外局番に対応したクラウドPBXベンダーを選ぶことの重要性を解説しました。そして、もし市外局番に対応していない、既存の固定電話番号を引き継いで利用できないベンダーと契約した場合にいかに大変なことになるかも含めて解説しました。
電話番号を変更せざるを得ない事態はなるべく起きないに越したことはなく、クラウドPBXを導入する際には、既存の電話番号を引き継いで利用できるベンダーを選ぶことがいかに重要かを、重ねて強調しておきます。
環境の都合や条件との兼ね合いでやむを得ず変更する場合は別として、もし単純な知識不足で安易に電話番号を変えてしまうとしたら、それは非常にもったいないことです。クラウドPBXを導入する際は、当メディアの他の記事もお読みいただき、しっかりとした知識をつけたうえで、なるべく固定電話番号を引き継いで利用できるベンダーを選ぶようにしましょう。