クラウドPBXを導入するメリットや注意点まとめ

2022年2月4日クラウドPBX

近年、特に急速に普及し始めている新たな企業向け電話システムとして話題の「クラウドPBX」。クラウドPBXは、従来企業の電話システムとして広く導入されていたビジネスフォンの仕組みを踏襲しているものの、構造としては大きく異なっており、その違いによってこれまでのビジネスフォンでは考えられなかったような柔軟で便利性の高い運用を実現してくれます。

今回は、そうした便利なサービスであるクラウドPBXを導入するメリットを中心に解説していきます。クラウドPBXを導入する際の注意点も併せて解説しますので、導入を検討されている企業担当者様もぜひ参考にしてみてください。

クラウドPBXとは?どんな仕組み?

最初に、クラウド電話の仕組みについて簡単に説明します。

クラウドPBXは、従来広く企業に導入されていたいわゆる「ビジネスフォン」の仕組みをその名の通りクラウド環境に置き換えた新たなサービスです。そのため、ビジネスフォンと比較して仕組みを説明したほうが分かりやすいでしょう。

ビジネスフォンは、現在も多くの企業に導入されている電話システムです。会社勤めの方が何気なく行っている電話の取次ぎ(内線転送)や会社代表番号での発着信、社内の電話機同士での内線通話といった電話を使った仕事は、ビジネスフォンが導入されているから成り立っています。

具体的にはどういう仕組みかというと、まずは「主装置(PBX)」と呼ばれる、電話回線や固定電話機を一元管理するための機械を社内に物理的に設置します。そうして設置した主装置に対して複数の電話回線(外線・内線)と、社内に設置する沢山の固定電話機を全て有線で接続することで、主装置を司令塔としたビジネスフォンのシステムが完成します。これによって、会社代表番号など1つの電話番号を複数台の電話機で共有できるのはもちろん、回線の自動割り当てや操作に応じた回線切り替えなどの運用を行えるのです。

これに対し「クラウドPBX」は、運用の要となる主装置を、社内ではなくクラウド上(インターネット回線上)に仮想的に設置します。そしてこのクラウド上にある主装置に対し、携帯電話・スマートフォン・PCなどのデバイスを、全てインターネット回線を介して(携帯型デバイスなら無線で)相互接続することで、ビジネスフォンと同様の環境を再現しています

クラウドPBXを導入するメリット

クラウドPBXは、従来のビジネスフォンと大枠では同じ仕組みでの運用となります。

しかし、先ほども説明した通り、物理的設備の設置・固定という概念や、設備同士の有線接続という概念を丸ごと取り払うことで、遠隔的に設置した主装置への接続を実現しているので、一見すると環境に大きな差異があります。この大きな差異があることで、クラウドPBXは、従来のビジネスフォンには到底不可能だった、より幅広い運用、より利便性が高く柔軟な運用を可能にしました。

ここでは、クラウドPBXを導入するメリットの代表的なものを3つ紹介します。

コストカットにつながる

世間でもよく宣伝されている通り、クラウドPBXを導入することで大きなコストカットにつながります。

特に従来型のPBXであるビジネスフォンと比べて大きな差が生まれるのが「導入コスト」です。ビジネスフォンをまともに導入するとなると、社内に設置する主装置を購入する必要がありますが、まず主装置の購入だけで安くとも数十万円、規模が大きい会社では数百万円という莫大なコストがかかります。社内に設置した主装置の保守管理もユーザーが行わないといけないので、定期的に業者を呼んで有料でメンテナンスを行わないといけませんし、1年~2年の保証期間が過ぎれば故障した際の修理にも費用が掛かります。

また、ビジネスフォンでは主装置に対応した純正の固定電話機でないと機能しないので、1台あたり数万円(工事費込み)する電話機も新たに購入しなければなりません。

これに対しクラウドPBXでは、まず主装置を物理的に設置する必要がなく、ベンダーがクラウド上に設置した仮想的な主装置を借りて運用するので、主装置の購入や保守メンテナンスに係る費用を丸ごとコストカットできます

電話機に関しても、携帯電話やスマートフォンをはじめ、ノートPCやデスクトップPC、タブレット端末など幅広い端末に対応しているため、無理に新規に購入する必要はありません。既に社用スマホや社用PCなどを配布していればそれらを転用するだけでいいですし、場合によってはBYOD(私用デバイスを仕事用に転用すること)を導入するのもいいでしょう。こうした工夫をすることで、ビジネスフォンで発生していた「導入コスト」のほぼ全てをカットできるのです。

それだけではなく、インターネット回線を利用した電話なので、固定電話機のように発着信地の距離に応じて通話料が高くなることはなく、距離に関係なく全国一律での料金になりますし、必要に応じて内線を使うことで通話料が大幅に節約できます

電話の利便性が向上する

クラウドPBXでは、従来であれば会社内に制限されていたビジネスフォンの仕組みを場所を問わずに運用することができるという、非常に画期的な電話システムとなっています。

ビジネスフォンは拠点内に主装置を設置し、その主装置に対して固定電話機を有線接続しているので、会社名義の電話番号を使った通話や、内線通話、電話の取次ぎが会社内でしかできません。たとえば、取次ぎたい担当者が外出していたり出張している場合には、電話の取次ぎができないので、電話を受けた人が用件を伝え聞いてメモなどで控えておく必要があります。そのうえで、担当者の携帯電話に外線通話して、用件を伝えるか、担当者が帰社したタイミングで用件を伝え、再度担当者が会社から相手にかけなおす必要がありました。

しかしクラウドPBXであれば、場所を問わずに内線転送ができるので、こうした面倒な手順を踏む必要がなく、会社から直接担当者の携帯電話に電話の取次ぎができます。また、会社名義の電話番号で掛けなおす必要が生じても、担当者の携帯から会社名義の電話番号を使って発信することも可能なので、わざわざ電話を掛けなおすためだけに会社に帰社する必要もありません

そして、場所を問わずに内線転送ができるということは、拠点内外に関係なくどこにいても内線を構築できるので、遠くの拠点にいる同社の社員同士の通話を無料にできるということでもあります。設定すれば海外拠点とも内線が構築可能なので、利便性が向上するだけでなく、通話料のコストカットにもつながります。

また、こうした内線ネットワークを活用した連携を複数台の電話で組むことが可能なのもクラウドPBXの魅力の1つです。たとえば、所定の番号の着信に対して会社内の電話機で特定のコール内で応対できなかった場合に、社員の携帯電話を全台同時に鳴らすなどの鳴らし分けも可能になりますし、離れた場所で顧客や取引先と通話している部下の通話を上司がモニタリングして、対応のアドバイスを遠隔的に行うことも可能です。

働きやすさにつながる

先ほども説明した通り、クラウドPBXでは、場所を問わない運用が可能です。この場所を問わない運用が可能という言葉を聞いた時点でピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが、外出先や出張先、何なら「自宅」にいても、ビジネスフォン的な運用が可能ということです。

2020年以降、感染症拡大防止策のために、テレワークやサテライトオフィスといった場所を問わない働き方の必要性が世界的に叫ばれるようになりました。しかし、それより前にも、ワークライフバランスの考え方が浸透していく中で、そうした多様な働き方については検討されていましたし、特に3.11、東日本大震災の頃にも災害対応の観点から遠隔的な働き方は検討されていました。

それにもかかわらず、日本ではいまだにテレワークの導入率は低く、4割にも満たない状況です。その大きな要因となっているのが「ビジネスフォン」といった拠点に縛られた電話システムと言われています。

クラウドPBXであれば、在宅勤務であっても会社の電話番号を使った発着信が可能ですし、他の社員への電話の取次ぎも内線通話も可能です。オフィスに「電話番」を置くという時代錯誤な制限から解放され、テレワークやサテライトオフィス、また休暇も兼ねたワーケーションといったような多様な働き方の導入にもつながります。

こうした多様な働き方を導入することで社員一人一人に合った労働環境で働くことが可能になり、ワークライフバランスの向上や働きやすさの向上が期待できます。もちろん、オフィスのほうが働きやすいという場合にも対応可能です。

クラウドPBXを導入する際の注意点

このように、場所を問わずに便利かつ柔軟な電話運用が可能なクラウドPBXではありますが、導入する際には色々と意識するべきことや注意するべきことが多くあります。従来型の電話と仕組みも違うため、場合によっては導入に際して思わぬ壁にぶつかってしまうこともあります。

ここでは、クラウドPBXの導入の際に注意するべき点を5つ紹介します。

ナンバーポータビリティが可能か

クラウドPBXベンダーを選ぶにあたって特に重要なのは、「ナンバーポータビリティ」が利用できるベンダーであるかということです。ナンバーポータビリティは既に契約している電話番号をクラウドPBXベンダーと契約してもそのまま使えるようにするサービスのことで、携帯電話業界で一般的になっている「MNP」もほぼ同じ内容のサービスです。

ベンダーによってはナンバーポータビリティに対応しておらず、新規番号の取得を求められる場合もあります。特に会社代表番号が固定電話番号である場合、それが変わることは顧客・取引先をはじめ多くの人々に周知しなければならないことを意味しますし、市外局番のない番号は企業としての信頼価値にも影響しかねません。そのため、導入にあたっては、ナンバーポータビリティが可能かは必ずベンダーに確認しましょう。

利用できる回線や着信課金型電話番号に指定はあるか

クラウドPBXには利用できる回線の種類が決まっていたり、フリーダイヤルなどの着信課金型電話番号の中でも対応している番号に指定のあるサービスもあります。

基本的にはNTTをはじめとする大手3社などの固定電話回線に対応していて、フリーダイヤル「0120」や「0800」には対応しているベンダーが多いですが、IP電話回線専用で固定電話番号に対応していなかったり、フリーダイヤルでも「0800」に対応していないなどの可能性もあります。

クラウドPBXを導入した結果、自社のフリーダイヤルをクラウドPBXと掛け合わせることができなかったという失敗をしてしまう可能性もあります。親切なベンダーでは、公式サイトに図表で分かりやすく説明しているところもありますので、契約前に利用できる回線や着信課金電話番号の指定があるかどうかを必ず確認するようにしましょう

内線数の増減時によって費用が変わるか

クラウドPBXは、内線数1回線につきいくら、という料金体系になっているところもあれば、一定の回線数ごとにプランが設けられていて、そのプランの上限までは回線を増やしても追加料金がかからないというシステムになっているところもあります。特にプラン建ての明確な、規模の大きい企業に向いているクラウドPBXベンダーの場合、1台増やすとプラン変更が必要になり値段が一気に上がる可能性もあります。

企業は営利組織なので、基本的には常に成長・拡大を前提として活動を行うものです。回線数が増えるのを見越した料金シミュレーションも重要ですし、契約プランの上限数を意識して、どこまでなら料金が変わらずに回線数を増やせるかを意識して運用すれば、より合理的なプラン検討も可能になります

拠点のある全地域で使用できるか

クラウドPBXは、先ほども説明した通り、拠点間での内線ネットワークの構築ができるという大きなメリットがありますが、ベンダーによっては会社の拠点によっては使用できない場合もあります。

基本的には主装置がクラウド上にある以上、インターネット回線が繋がればどこででも使用できるものの、逆を言えばインターネット回線が接続できない場所では使えませんし、紛争地域や極端に陸地から離れた離島・都市部から離れた山奥など、通信インフラの維持が難しい場所や海外拠点の場所によってはクラウドPBXが利用できない場合もあります

企業規模が大きければ大きいほど、内線が組めるか組めないかは大きな差となってきますので、ベンダーとの契約前に、念のため拠点リストをまとめておいて、拠点のある全ての地域で使用できるかどうかを確認しましょう。

必要な機能がそろっているか

クラウドPBXには、ビジネスフォンに備えられた大抵の機能が使えますし、別途オプション料金を払うことで、コールセンターレベルのもっと便利な機能を利用できます。しかし、クラウドPBXはベンダーによって使える機能が異なり、契約するだけで利用できる「基本機能」と、オプション料金を支払わないと使えない「オプション機能」の内容もまたベンダーにより異なります。

そのため、クラウドPBXを導入しようという時には、まず最初にクラウドPBXで使いたい機能を洗い出しておきましょう。そして、どういう機能を使いたいかを主軸に据えて、必要な機能を基準にベンダーを選ぶほうが合理的です。オプション機能を足していくと月額料金も高くなってしまうので、機能に関しては特に契約予定のベンダーに念入りに確認しましょう。

クラウドPBXを導入するなら「ナイセンクラウド」

ナイセンクラウドは、3,000社以上に導入されているクラウドPBXです。特に新型コロナウイルスの流行を受けて、テレワーク・在宅勤務の導入を機にナイセンクラウドも導入される企業様が増えています。

ナイセンクラウドでは03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800の着信課金型番号にも対応しており、多くの企業様が現在利用中の電話番号をそのまま利用することができます。

細かな着信ルールの設定や着信・通話記録の見える化などを基本機能で、コールセンターに最適なIVR・音声ガイダンス機能や電話会議機能などをオプションで提供しています。

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内線数やオプションによって料金が異なります。またお得な割引が適用される場合もあります。詳しい料金は自動見積もり機能か個別見積もりでご確認ください。

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まだ導入していないなら今こそクラウドPBX導入を

クラウドPBX導入のメリットを中心に、導入の際の注意点とともに解説しました。

基本的に本記事内で解説した通り、クラウドPBXはビジネスフォンに比べるとはるかに安く便利に運用できる、一見すると理想的な電話システムのようですが、従来の電話システムと違ってインターネット回線を利用する電話なので、契約の際に使用できる番号などに制限がある可能性もあります。

料金の安さや便利さにつられて何よりも導入を優先するのではなく、自社の環境に応じた不都合な点がないかどうか、最適なクラウドPBXベンダーを選びましょう。