多機能電話機とは?普通の電話とはどう違う?

2022年8月29日専門用語集

「多機能電話機とはよく聞くけど普通の電話とはどう違うの?」「多機能電話とビジネスフォンは違うもの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。基本的に多機能電話機とはビジネスフォンのことを指します。本記事では、多機能電話機の概要や主な機能、メリットやデメリットなどをご紹介します。

多機能電話機とは

多機能電話機とは通常ビジネスフォンのことを指します。家庭用の電話にはない機能が搭載されていることから、多機能電話機との呼び名になったと考えられます。

多機能電話機はどうして誕生したのか

多機能電話機は家庭用の電話機にはない機能のほか、仕組みも異なります。主に企業に導入される電話機を指し、複数の外線と内線を共有することが可能です。家庭用は通常、1電話回線に、親機と子機がついたものが主流となっています。電話機も1台、電話回線も1回線が一般的です。しかし、ビジネスで使う場合はこれでは足りないため、多機能電話機が誕生しました。

一般電話機との違い

多機能電話機を利用する場合、一般的に、オフィスにPBXなどの主装置を設置します。主装置は、外線と内線、または内線同士をつなぐ交換機のことを指します。PBXは、構内交換機や電話交換機などとも呼ばれています。多機能電話機など固定電話の回線網として使われてきました。

この装置によって電話番号が1つでも、複数の端末があれば契約した回線分だけ同時に対応ができるようになります。たとえば、多数の顧客から電話があっても、1つの電話が通話中だから電話に出られなかったという事態を防げます。サービスによっても異なりますが、主要回線数は2〜数百回線ほど対応することができます。このため、少人数のオフィスからコールセンターなどの多人数で電話対応をする職種まで、幅広く多機能電話機が導入されています。

多機能電話機の主な機能

多機能電話機はその名の通りさまざまな機能が搭載されています。ここでは多機能電話機の主な機能についてご紹介します。

外線

外線に発信したり、外線からの着信を受けたりする機能のことです。どちらも多機能電話機として基本的な機能となります。外線は正式には「外線電話」と呼ばれます。公衆回線からかかってくる通常の電話のことを指します。

多機能電話機は複数の電話機で利用することが多いため、「外線1」「外線2」などというボタンで表記されているものが多いです。外線ボタンの使用中は電話機のランプが点灯し使用中以外は場合はランプが消灯します。着信があると、着信音と共に外線ボタンが点滅するので、電話を受ける際には受話器を上げます。そして点滅している外線ボタンを押します。すべて空いている場合は、「外線1」にかかってきますが、外線1が使用中の場合は外線2へかかる仕組みです。

外線を発信する場合は、空いている外線ボタン(ランプが点灯していないボタン)を押します。それから相手の電話番号を押すことで発信が可能になります。

内線

内線機能も多機能電話機ならではの機能です。会社内の電話同士を無線でつないで通話することが可能になります。多機能電話機の各電話機には、内線番号が振り分けられています。番号は会社の規模によって変わってきますが、2桁〜4桁まで好きな番号を割り振ることが可能です。

内線を使う場合、まず受話器を上げます。呼び出したい相手の内線番号をダイヤルすることで、相手につながります。内線は外線の着信音とは異なるため、相手には内線で電話がかかってきたことが分かりやすくなっています。内線は会社内、オフィス内の設備のため通話料が不要です。同じフロアにいない社員に電話を取り次いだり、連絡したりする際に使われる機能です。

留守番電話

外線がかかった時に不在だった場合、相手に不在だということを知らせる機能です。またメッセージを残せる機能もあります。多機能電話機の場合、留守番電話を数種類録音したり、指定時間や指定の曜日だけ留守設定にすることが可能です。この機能によって、営業時間外と休業日ごとに内容を変えたり、留守電話の設定し忘れを防ぐことができます。

代理応答

代理応答とは、他の席宛にかかってきた内線を別の電話で応答できる機能です。該当の社員が離席していた場合、ほかの従業員がわざわざその席まで行って電話を取るのは手間です。代理応答機能を使えば、あらかじめ設定しておいたボタンを押すだけなので、スピーディーに対応できます。

ただし、基本的に同一拠点内でしか使えない機能です。多機能電話機は、「主装置」と呼ばれるシステムを設置して運用します。そのため、システム自体が同一拠点のみでしか使用することができません。代理応答機能は、多機能電話機の機能の1つのため、同一拠点内でしか使用できないのです。

不在転送

外部からの電話があったが不在だった場合に、他の電話に転送する機能です。たとえば、外線1で受けた電話が他の社員宛だった場合、取り次ぎが必要です。一旦保留にしたあと、該当の社員宛の電話に内線をまわすことで、外線を簡単に取り次ぐことができます。

この転送機能はオフィスでよく使われる機能です。転送機能があれば、取り次ぎの際に、わざわざ受けた電話機のところまできてもらう必要がなく合理的です。

パーク保留

外部からの電話があったが不在だった場合に、転送の前に一旦保留にする機能です。

一般的に、保留ボタンを押すことで保留状態となります。同時に内線が「呼び出し待ち状態」となります。取り次ぎ先の社員が近くにいる場合は、口頭で「外線1番に電話です」と伝えまします。該当の社員は保留状態となっている外線1番のボタンを押せば、かかってきた電話に出ることができます。取り次ぎ先の社員が近くにいない場合は、「呼び出し待ち状態」にしておきます。この間に内線で社員を呼び出します。内線で相手が応答したら「外線1番に電話です」と伝えれば、取り次ぎは完了です。相手は外線1番のボタンを押せば、外線電話に出ることが可能です。

この保留機能もオフィスでよく使われます。転送機能と組み合わせれば、効率的な電話対応ができます。

内線予約

内線予約機能は、相手の内線になかなかつながらない時に便利な機能です。「かけてもかけても相手の内線が話し中」「相手のタイミングを見計らってかけ直すのが大変」という時に利用できます。

内線予約機能を使えば、相手の内線が終わると同時に自分の内線が鳴ります。そして受話器を上げると、自動的に内線を呼び出してくれます。手動で内線をダイヤルする必要がないため、無駄な時間を消費しなくてすみます。

多機能電話機のメリット

多機能電話機は家庭用の電話機とは異なり、複数の電話に対応できます。電話番号が代表番号1つだったとしても、端末が複数あれば契約した回線分だけ同時に対応することができます。対応する回線の本数は、自社で必要な本数に決められます。たとえば、常にオフィスにいる社員が5名の場合は、5回線を導入するなど柔軟な対応ができるのが特徴です。

電話応対が多い企業の場合、「いつ電話をかけても話し中になっている」「なかなかつながらない」という状態になっていると、顧客に不快感を与える原因になります。しかし多機能電話機があれば複数の着信が同時にあった場合でも、すぐに対応することが可能です。

多機能電話機のデメリット

多機能電話機はメリットも多いですが、デメリットもあります。多機能電話機は専用の配線が必要のため、専門の工事と設定・配線が必要です。そのため、工事日の日程調整が必要です。

さらに機器代や工事代などの初期費用も必要です。機能と費用を比較し、自社にどの程度のサービスが適しているのか確認することをおすすめします。

クラウドPBXを導入する方法もある

オフィスに多機能電話機の代わりにクラウドPBXを導入する方法もあります。クラウドPBXを使った電話は、クラウドフォンとも呼ばれています。クラウドフォンは、交換機(PBX)をクラウド化して提供するサービスのことです。パソコンやスマホなどの機器とインターネット回線があれば、電話機能を利用可能です。従来であれば社内に物理的なPBX装置をおく必要がありました。しかし、クラウドPBXはパソコンや専用スマホにインストールして使用する方式のため、物理的な機器の設置は不要です。

クラウドPBXを導入するには、まずサービスを提供しているベンダー(業者)と契約する必要があります。そしてベンダーが提供するサービスにアクセスすることで、ビジネスフォンとしての機能を利用できます。従来のビジネスフォンのように、電話機やPBXなどの物理的な機器を設置する必要がないため、すぐに使い始めることができるのが特徴です。

また導入コストを下げることができます。クラウドPBXは新しく電話機などの導入が不要なので、高い導入コストを支払わなくてもいいのがメリットです。また配線工事なども不要になるため、工事代もいりません。また保守費用なども不要で、インターネット環境が整っていれば導入できるのが特徴です。少ない手間で、ビジネス向けの電話環境を作り上げたい場合は、クラウドPBXも選択肢に入るでしょう。

自社に新しく電話を導入する場合は多機能電話機とクラウドPBX、どちらが適しているのか確認してから導入することをおすすめします。

多機能電話機について知ろう

多機能電話機には、業務効率化につながるさまざまな機能が搭載されています。外線や内線などの基本的な機能はもちろん、保留、転送、留守番電話機能など、ビジネスで使う上で欠かせない機能が搭載されているのも特徴です。ただし導入には、工事費や機器の購入費などの初期コストがかかります。そのため、物理的な機器の設置が不要なため初期コストを抑えられるクラウドPBXと比較し、どちらが自社にいるか確認することをおすすめします。