稼働率が「ファイブナイン」とはどんな状態?必要な理由を解説
稼働率を調べている時、「ファイブナイン」という言葉を見たことがある人も多いのではないでしょうか。ファイブナインとはシステムの稼働率を指すもので、目標数値として扱われています。本記事では、ファイブナインの意味や必要性、課題や稼働率を見てベンダーを選ぶ際の注意点などをご紹介します。
稼働率「ファイブナイン」とは
多くのIT機器ベンダーでは、稼働率99.999%を「ファイブナイン」と称しています。これは自社製品の可用性の高さを宣伝しているものです。データセンターやサーバルームなどで使用されているIT機器は、基幹業務などで使われることが多いです。24時間、365日の稼働を求められており、その目標数値として使われているのがファイブナインです。高い可用性を実現したことを意味しており、自社製品のアピールにもなります。
稼働率とは、ある装置やシステムが「動いてほしい時間」に対して「実際に稼働していた時間」の割合を示したものです。設定した期間内に予期しない稼働停止が一度も起こらなかった場合、稼働率は100%となります。稼働率はIT機器の壊れにくさや止まりにくさを表しており、100%に違いほど堅牢といえます。
停止時間はいくらになるのか
99.999%という数値は、24時間365日、IT機器を稼働させた場合、1台当たりの315.3秒(約5分)しか止まらないという計算結果を表しています。
稼働率は一般的に以下のように導き出されます。
稼働率(%):(総時間 – 停止した時間)÷ 総時間 x 100
総時間(分):365日×24時間×60分
しかし、サービスを比較する際には、稼働率の数値だけでなく定義も確認する必要があります。稼働率の計算に含まれるサーバーダウンの時間の定義は、ベンダーによって異なる場合があるためです。たとえば、定期メンテナンスによる停止時間を、サーバーダウンとして含めるベンダーと含めないベンダーがあります。契約してから稼働率の低さが気にならないように、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
稼働率と許容停止時間早見表
許容停止時間 | |||||
稼働率 | 年間 | 四半期 | 月間 | 週間 | 24時間 |
90% | 36.53日 | 9.13日 | 73.05時間 | 16.80時間 | 2.40時間 |
95% | 18.26日 | 4.56日 | 36.53時間 | 8.40時間 | 1.20時間 |
97% | 10.96日 | 2.74日 | 21.92時間 | 5.04時間 | 43.20分 |
98% | 7.31日 | 43.86時間 | 14.61時間 | 3.36時間 | 28.80分 |
99% | 3.65日 | 21.9時間 | 7.31時間 | 1.68時間 | 14.40分 |
99.5% | 1.83日 | 10.98時間 | 3.65時間 | 50.40分 | 7.20分 |
99.8% | 17.53時間 | 4.38時間 | 87.66分 | 20.16分 | 2.88分 |
99.9% | 8.77時間 | 2.19時間 | 43.83分 | 10.08分 | 1.44分 |
99.95% | 4.38時間 | 65.7分 | 21.92分 | 5.04分 | 3.20秒 |
99.99% | 52.60分 | 13.15分 | 4.38分 | 1.01分 | 8.64秒 |
99.995% | 26.30分 | 6.57分 | 2.19分 | 30.24秒 | 4.32秒 |
99.999% | 5.26分 | 1.31分 | 26.30秒 | 6.05秒 | 864.00ミリ秒 |
出典:VIARIA
99.995%では年間で約26分、99.999%では年間で約5分と大きな差があります。99.999%(ファイブナイン)を提示しているベンダーは、それだけ自社製品に自信があるといえるでしょう。
なぜ稼働率「ファイブナイン」が必要なのか
稼働率は、IT機器の「壊れにくさ」や「止まりにくさ」を表す数値です。需要に対して充分な能力が提供されているかを確認するための指標として必要とされています。
ファイブナインは、「ファイブナインズ・アベイラビリティ」とも呼ばれており、高可用性であることを表しています。ユーザーはより高可用性のサービスを求めるため、ベンダーはいかにファイブナインの要求に応えられるかということを研究しています。
稼働率「ファイブナイン」にも課題はある
例えば、サーバーやストレージなどが収容されたラックマウントのPDU(電源分配ユニット)を二重化することです。さらに給電機器を冗長構成にすることで、ファイブナインまたはそれ以上の可用性の実現が期待できるとしています。ただし、こうした措置には非常にコストがかかります。そのため、コストをかけてもこうした措置を行うのかが、ベンダーにとっても重要な判断となるとされています。
またサービスを選ぶ側にとっても、「ファイブナイン」という数値を鵜呑みにしてはいけないという課題もあります。実際に重大な障害が起こった場合、約5分では復旧で着ないケースも多いでしょう。障害が発生した場合、それを検知し、保守員や担当者などがかけつけて、原因を特定し、復旧を行わなくてはいけません。そのため、数時間またはそれ以上のシステム停止は避けられません。
1件の障害が発生しただけで、99.999%の稼働率は守られないということになります。しかし、ベンダー側はトラブルがあってもホームページなどで「99.999%の稼働率となる」と記載している場合があります。これは、確率計算を行う際の分母が「全出荷台数」のためです。「出荷したすべての装置が約5分停止する」のではなく、多くの稼働率が100%の機器と重大な障害が発生した機器の中央値を取ることで、99.999%の数値が維持されていると考えられています。
例えば、同じ稼働率を示している別々の機器があった場合、出荷台数が多い機器では障害の件数が多くなります。反対に、出荷台数が少ない機器では障害の発生件数が少ないということになります。つまり、稼働率や障害の発生件数だけを見て、その機器の品質を確認してはいけなということになるでしょう。サービスを選ぶ側も、稼働率に含まれたこうした内容を知っておく必要があります。
サービス品質を保証する「SLA」とは
稼働率の他にサービス品質を確認する方法として「SLA」があります。SLAは「Service Level Agreement」の略称です。「サービス品質保証」のことで、ファイブナインである99.999%が記載されていた場合は、99.999%以上の稼働率を保証するということです。
ただし、保証されていた場合でも、100%数値以上の品質が保証されるというわけではありません。ベンダー側にも不測の事態によって、サービスが停止してしまう可能性もあります。その際、SLAの数値を下回ると、サービス料金の一部が返還されます。
例えば、SLAが99.999%としておきながら、実際には99.995%だった場合には、料金の一部が返ってきます。ただし、トラブルによって起きたビジネス上の損失は補償されないため、注意が必要です。
「稼働率」や「SLA」でベンダーを選ぶ際の注意点
ベンダーを選ぶ際には、「稼働率」や「SLAの有無」をチェックすることも多いでしょう。しかし、ただ数値だけを見ていてはチェックしきれない部分もあります。ここでは、稼働率やSLAでベンダーを選ぶ際の注意点をご紹介します。
稼働率の表記がないサーバーもある
多くのベンダーやホスティングサービスは、稼働率をホームページなどに記載しています。稼働率の高さは自社サービスをアピールする上で重要なもののため、分かりやすい場所に記載されていることが多いです。
しかし、中には稼働率の表記をしていないベンダーもあります。提示されていない場合は、アピールできるほど稼働率が高くない可能性があるため、注意が必要です。
稼働率を見て選ぶ場合は、できるだけ稼働率が高いものを選びます。特にファイブナインは高い稼働率を誇っているため、ビジネスに支障をきたす可能性があまりないと考えられます。
サービスごとに稼働率の定義が異なる
稼働率の定義はサービスごとに異なります。特に停止時間の定義が異なる場合が多いとされています。定期メンテナンスやどの程度の停止から「停止時間」とみなすのかなど、ベンダーによって判断基準が異なるためです。中には定期メンテナンスの時間を稼働率の計算に含んでいないベンダーもあります。ホームページ上等に記載されていない場合、稼働率の計算方法についてしっかりと問い合わせることをおすすめします。
また稼働率をどのくらいの期間で計算しているかもチェックしましょう。年間の稼働率ではなく、月間の稼働率を掲載している場合があるからです。さらに稼働率が「いつ」のデータなのかも重要です。優良なベンダーは常に最新のデータが記載されているため、何年も前のデータが記載されていると、実態が異なるかもしれません。
返金額が少ない場合もある
SLAは万が一、記載している稼働率を下回った場合に料金を返還してくれますが、返金額についての確認も必要です。具体的にどのようなケースで返金となるのか、どのくらい返金となるのかもチェックしましょう。トラブルが起きた月の料金をすべて返金してくれる場合もあれば、数割しか返金対象としていない場合もあります。
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稼働率「ファイブナイン」について知っておこう
ファイブナインはIT機器が正常に稼働している時間のことで、特に高い稼働率を誇っています。ファイブナインと記載しているベンダーは、自社のサービスに大きな自信を持っていると言っていいでしょう。しかし、単に数値だけを見て選ぶのは早計です。その数値が「いつ」導き出されたものなのか、稼働率を下回った場合は返金があるのかなど、細かな部分までチェックする必要があります。ホームページなどにはすべて記載されていない場合もありますので、気になった場合は問い合わせるか、資料請求などを行うことをおすすめします。