クラウドPBX導入の際はナンバーポータビリティがおすすめ

2022年6月21日クラウドPBX

近年急成長を遂げている新たな企業向け電話システム「クラウドPBX」は、従来のビジネスフォンの仕組みをクラウド環境に置き換え、利便性を大きく高めたことで一躍世間に知られるようになりました。

しかし、従来のビジネスフォンのような固定電話回線での運用ではなくインターネット回線を使った通話技術を利用しているシステムということもあって、クラウドPBXへの移行は、通常の電話回線の移行とは条件が大きく異なります。今までの会社の電話番号をそのまま利用するには、「ナンバーポータビリティ」が利用できるクラウドPBXを選ばないといけません。

今回は、クラウドPBXの仕組みを軽く解説しつつ、「ナンバーポータビリティ」とは何か、クラウドPBX導入の際にナンバーポータビリティを利用するメリットなどを解説していきます。

ナンバーポータビリティとは?

「ナンバーポータビリティ」とは、電話回線を利用するにあたって契約している通信事業者を他の会社に変更したとしても、今まで持っていた電話番号をそのまま引き継いで利用することができるサービスです。

私たちに身近な例としてよく知られているのは、携帯電話を他社に乗り換える際に既に取得している電話番号を引き継いで利用できる「MNP(Mobile Number Portability)」でしょう。携帯電話番号を引き継いで利用する場合はこのようにMNPと呼びますが、今回取り上げる固定電話回線での番号ポータビリティの場合は、「LNP(Local Number Portability)」と呼んで区別されます。

仕組みとしてはMNPもLNPも特段違いはありませんが、特に企業向け電話システムの移行に伴う番号ポータビリティ(企業は固定電話番号を持っていることが多いのでMNPではなくLNPを指します)にはたくさんのメリットがあります。そのメリットについては3章で詳細に紹介します。

クラウドPBXとは?

従来、企業では「ビジネスフォン」のように固定電話を使った電話運用が一般的でしたので、会社代表番号もまた固定電話番号として払い出されている企業がほとんどです。特に数十年続いている企業の場合、携帯電話が普及する前から事業を行っているので、社内の電話機と言えば固定電話機が一般的でした。

しかし携帯電話も普及し、インターネット回線を使った通話(VoIP)も普及し通話手段が多様化する中、近年話題の「クラウドPBX」のように、企業向け電話運用の常識を覆す画期的な電話システムも次々生まれています。

ここでは、クラウドPBXとは何かを簡単に解説しつつ、クラウドPBXはナンバーポータビリティが使えるのかについて解説していきます。

クラウドPBXの仕組み

クラウドPBXは、従来企業向け電話システムとして普及していた「ビジネスフォン」の仕組みをクラウド環境に置き換えることで利便性を高めた、新たな電話システムです。

従来のビジネスフォンは、一般的に会社内で行われている電話業務のほぼすべてを担う存在といってよく、たとえば会社内から会社代表番号を利用した発着信を複数台の固定電話機を使って発信・応対したり、社内の電話機同士で内線通話をしたり、電話を別の部署に取り次いだりといったことは、ビジネスフォンの仕組みがなければできません。

ビジネスフォンは、複数の電話回線(外線・内線)と複数の固定電話機を、社内に物理的に設置した「主装置(PBX)」と呼ばれる回線と電話機を一元管理してくれる装置に、まとめて有線接続することで成り立っています。この3つの構成要素が互いに有線で相互接続されていることで、主装置が半自動的に判断して、自動ないしは電話機側の操作に応じて着信を割り当てたり、切り替えたりできる仕組みがビジネスフォンなのです。

クラウドPBXも、基本的にはビジネスフォンの仕組みを踏襲しており、特に「主装置を用いて電話機と回線を一元管理する」という仕組み自体は全く一緒です。しかし、ビジネスフォンのように主装置を社内に物理的に設置する必要がなく、クラウド上、すなわちインターネット回線上に主装置を設置する点が大きく異なります。そして、利用する電話機も携帯電話やスマートフォンといったインターネットに接続できるデバイスを想定しており、クラウド上の主装置に対して、そうしたデバイスを相互接続するというのがクラウドPBX独自の仕組みです。

こうした「クラウド上の主装置」を中枢に据え、インターネット回線によって主装置と電話機を相互接続することで、物理的に場所に縛られることがありません。たとえデバイスを社外に持ち出しても、インターネットに接続できる場所であればどこでもビジネスフォン的な運用を継続できる仕組みであることが、クラウドPBXにしかない画期的な利便性を担保しています。

参考記事:クラウド電話で録音は可能?仕組みや機能を紹介

クラウドPBXはナンバーポータビリティが可能?

「クラウドPBXはナンバーポータビリティに対応しているのか」と聞かれれば、「対応しているものもあるし、対応していないものもある」と言わざるを得ないのが実情です。

なぜかと言えば、クラウドPBXを提供するベンダーが利用している回線の種類によっては、特定の種類の番号しか使えないことからナンバーポータビリティに対応していないという場合もありますし、逆にクラウドPBX自体がナンバーポータビリティに対応していたとしても、番号の取得条件によってナンバーポータビリティが出来ない電話番号である可能性もあるからです。

電話番号の仕組みに詳しければそうしたことを自己判断できるでしょうが、ほとんどの方は自己判断できないでしょうし、しないほうがいいです。最も確実なのは、クラウドPBXのベンダーに確認してナンバーポータビリティができるかどうか判断してもらうことですが、企業の場合は余程の問題がない限り、ナンバーポータビリティに対応したクラウドPBXを選ぶことをおすすめします。

クラウドPBX導入時にナンバーポータビリティを利用するメリット

クラウドPBXの導入にあたっては、多くの企業が「ビジネスフォンからの移行」すなわち「固定電話運用からの移行」というプロセスを辿るはずです。クラウドPBXの中にはナンバーポータビリティを利用できないベンダーもありますが、もしそうしたベンダーを利用すると電話番号の変更を余儀なくされ、大変な手間と労力をかけて新たな電話番号の周知に努めなければならなくなります。

ここでは、ナンバーポータビリティを利用して「電話番号を変えずにそのまま利用すること」のメリットを紹介していきます。

顧客に混乱を招かない

企業の場合、個人とは違って沢山の顧客がいます。企業の規模が大きければ大きいほど顧客は多く、さまざまな地域の顧客とやり取りをしていることでしょう。

もし、ナンバーポータビリティを利用できずに電話番号を変更しなければならなくなった場合、この大勢の顧客に混乱を招くことになるでしょう。会社が沢山の自社の電話番号を部署別に管理しているのと同じように、顧客もこの番号はこの会社、といったように多くの電話番号をリスト化しているはずです。たった1つ電話番号が変わるだけでも、顧客1人1人(BtoBの場合は1社1社)に番号変更を逐一お知らせしなければならず、その連絡の手間は膨大なものとなります。

仮にメールで連絡するにしても、顧客相手では秘密保持の観点から一斉送信ができませんから、宛名や文面を1通1通変えてメールしなければならず、BtoBの場合は相手側の組織全体に周知する手間もかかってしまい、顧客の組織運用面でも迷惑をかけてしまうことになります。

電話番号を引き継いで利用できれば、クラウドPBXへの移行後もこうした混乱が発生せず、今まで通りスムーズな関係性を維持できます

役所等への届出が必要ない

企業にとって、電話番号は顧客や取引先との連絡のためのものだけではありません。自治体の役所等の書類にも関係してくるものです。会社の電話番号はこうした役所に提出する届け出等公的書類にも記載されるものですから、一度であってもこうした電話番号変更があれば、逐一役所へ届け出を行わないといけません。会社の属している業界団体や商工会議所、商店会といった組織にも通知が必要ですし、企業年金や社会保険、リースしている機材があればリース会社に対しても通知が必要になります。

このようにざっと思い浮かぶだけでも電話番号変更があった場合の通知先は膨大なものになりますし、特に役所関係は書類で届け出をしなければならない手間を考えると、今までの電話番号を今まで通り利用できればそれが一番ですよね

ホームページや資料などの修正が必要ない

企業の規模が大きければ大きいほど、ホームページなどのWebでの情報発信拠点や、パンフレットや資料といった頒布物にも会社の電話番号を記載する必要があるので、電話番号を変更するとそうしたものも逐一修正しなければなりません。

また、全社員が持ち歩く名刺や、取引があった場合の納品書や発注書、メールのテンプレートなどにも修正が必要になるので、特に印刷物は印刷・発行し直しになるなど1つの電話番号変更だけでもかなりの手間になります。当然ながら、電話番号の変更がなければこうしたことに悩む必要もありません。

新番号への変更による間違い電話に悩まない

新しい番号へ変更すると、顧客や取引先が今までの番号で掛けても繋がらず二度手間になってしまう可能性も上がりますし、場合によってはその番号を以前使っていたところと間違われて、意図しない間違い電話がかかってくる可能性があります

ただでさえ忙しい現代社会、そうした電話の行き違いがあるだけでも相手の機嫌を大きく損ねてしまうことにもなりかねません。電話番号の変更が発生しなければ、そうした問題が起きることもありません。

社員が新たな番号を覚える必要がない

社員も、問い合わせや各種連絡において相手方に伝える必要があることも多いですから、当然自社の電話番号を覚えておく必要があります。もし電話番号が変わってしまうと、新しい番号を社員全員が覚えなおさないといけなくなります。仮に新しい番号を覚えたとしても、些細なミスから以前の電話番号や誤った電話番号を伝えてしまうリスクは0ではありませんし、完全に覚えるまでは頭の中でも混乱してしまうでしょう。社員も人間ですから、そうしたリスクはないに越したことはありません。

ナンバーポータビリティが可能か、ベンダーに確認しよう

以上のように、特に企業の場合、電話番号の変更が生む手間やリスクは非常に大きく、そうしたものはないに越したことはありません。電話番号の変更に伴う手間は思った以上に膨大ですから、企業の規模が大きければ大きいほど、電話番号が変更されるリスクはなるべく避けたいもの。しかし、従来のビジネスフォンの運用では不便だから、もしかしたらナンバーポータビリティができないかもしれないというリスクがあってもクラウドPBXに移行したい、という場合も多いことでしょう。

クラウドPBXに移行しても電話番号を引き継いで利用できるかどうかを知るには、クラウドPBXのベンダーに確認するのが最も確実です。先ほども少し触れましたが、クラウドPBXが利用している回線の種類によってはナンバーポータビリティが利用できない場合もありますし、電話番号によってはクラウドPBXがナンバーポータビリティに対応していても、電話番号がナンバーポータビリティに対応していないという場合もあり、それを詳細に調査してもらう必要があるからです。

電話番号自体にも、電話番号の発番の条件によってナンバーポータビリティができる番号とそうでない番号があり、たとえば「NTTと契約して払い出された固定電話番号」であればナンバーポータビリティが可能ですが、たとえばNTTフレッツ光と契約して光専用帯番号として発番されている場合には、ナンバーポータビリティができない場合があります。

もし光回線の固定電話を利用している場合には、現在契約している業者に問い合わせるか、NTTの問い合わせサービス「116」に電話して、NTTと契約して発番された番号であるかを確認してみることをおすすめします。

ナンバーポータビリティ可能なクラウドPBX「ナイセンクラウド」

ナイセンクラウドは、パソコン、IP電話機、スマホ、iPodなどのインターネットに接続できる端末で利用できます。03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800のフリーダイヤルに対応しており、ビジネスフォンからの移行において、ほとんどのケースでナンバーポータビリティが可能なクラウドPBXです。

詳しい機能については次の動画やサービスサイトをご覧ください。

▼1分でわかるナイセンクラウド

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企業規模に応じて3つのプランから選ぶことができます。詳しい料金は自動見積りや個別見積りでご確認ください。

>>自動見積もり・個別見積もりを依頼する<<

また、2台のスマホでフリーダイヤルを利用することに特化した「スマフリ」もございます。ナイセンクラウドの機能を小規模に導入できるスマフリを先に導入してみて、使い勝手や機能を確認したのちにナイセンクラウドに切り替えることも可能です。

>>スマフリの詳細をチェックする<<

クラウドPBXを使うならナンバーポータビリティは必須!

以上、クラウドPBXと「ナンバーポータビリティ」について、そもそもナンバーポータビリティとは何かといった基本的なところに立ち返って解説しました。

クラウドPBXは企業向けの電話システムですから、企業の電話番号変更の手間やリスクの膨大さを考えると、なるべく電話番号を変更せずに済むならそれが一番です。この記事で紹介したメリットの裏返しがまさに電話変更のデメリットであり、それは思った以上に大変なものです。

元々の電話番号の問題でナンバーポータビリティができない可能性が多少はあるものの、クラウドPBXを導入する際にはなるべくナンバーポータビリティに対応したベンダーを選ぶことをおすすめします。