クラウドPBXならランニングコストを削減できる?ビジネスフォンとの違い

2022年2月4日クラウドPBX

電話の取次ぎや会社代表番号の共有、内線通話といった、企業向けの電話運用に欠かせない機能を使うためには、かつては「ビジネスフォン」と呼ばれるアナログ電話運用を導入する必要がありました。近年、そうしたビジネスフォンの仕組みを基本的には踏襲しつつ、利便性を大きく向上させた画期的な電話システム「クラウドPBX」が大きな注目を集めています。

クラウドPBXは非常に便利なだけでなく、ビジネスフォンと比べ大幅に安いコストで導入できるということもよく言われています。しかし、クラウドPBX にはどういったランニングコストがかかり、ビジネスフォンと比較してコストをどのくらい削減できるのか、具体的にはご存じない方も多いのではないでしょうか

そこで今回は、クラウドPBXを導入・運用するにあたってどういったランニングコストがかかるのかを解説したうえで、従来のビジネスフォンと比較した時に数字的にどのくらいコスト削減が可能なのかを紐解いていきます。併せて、クラウドPBX を導入する際どういったことを意識するといいのか、といったことも含めて解説していきますので、クラウドPBX導入を検討されている企業様はぜひ参考にしてみてください。

ランニングコストの削減が大切な理由

経済活動を主体とし、常に利益を出し続けていかなければいけない企業にとって、損益(収支)をしっかり考えて組織運営をしていくことはとても大切なことですよね。そして、運営にかかるコストが掛からなければ掛からないほど企業運営が有利になることは何となく感覚として分かるのではないでしょうか。とはいえ、企業にとって電話はコミュニケーションツールとしてまだまだ主要なもので、電話運用の構築は必須となります。

特にランニングコストに関しては定期的にかつ長期にわたってかかってくるものなので、より健全な組織運営を継続していくためには、ランニングコストをどれだけ絞れるかを工夫することは非常に重要になります。とはいえ、人件費や設備費など本来かけるべきランニングコストまで削ってしまっては組織運営がガタガタになってしまいます。

しかしながら、違法性なく削減できる範囲であれば、できる限りランニングコストを削減した方がいいのは当たり前のことですよね。あまり知られていませんが、電話運用のコストというのは、ちゃんと情報を集めて精査すれば健全な範囲で削減可能なものなのです。それを知ることで減らすべきコストは減らし、その分を他の有益なコストへの投資に回したり、事業資金に回したりすることができます。

クラウドPBXとは?

冒頭でも説明しましたが、従来、企業向けの電話運用としては、アナログの固定電話を使用した運用である「ビジネスフォン」が主流で、多くの企業に導入されていました。

ビジネスフォンはしっかりとした専門的な設備を社内に設置・保守管理する必要があったため、導入や運用には高額なコストが必須となっていました。しかし、近年では電話そのものが多様化し、より簡素で柔軟なスタイルでより便利になり、かつ大幅に安い電話運用が可能になってきています。その代表例が「クラウドPBX 」です。

そもそもクラウドPBXとは、どういうサービスなのでしょうか。

ビジネスフォンの仕組み

クラウドPBX は、元々企業に一般的に導入されていたアナログ電話運用「ビジネスフォン」の仕組みを改良した企業向けの電話システムなので、クラウドPBX がどういう仕組みなのかを知るには、まずはビジネスフォンの仕組みを理解する必要があります。

ビジネスフォンは、企業においてデスクに備え付けられた電話を使うために構築されているシステムで、電話の取次ぎや内線通話など、私たちが何の気なしに使っている電話機能のほぼすべてがビジネスフォンの仕組みによって成り立っているといっても過言ではありません。

ビジネスフォンの仕組みは、複数の電話回線(外線・内線)と、社内に多数設置されている固定電話機、そしてそれらを一元的に管理する「主装置」で構成されています。この主装置のことを「構内交換機」といい、英語では「PBX」と呼びます。この主装置を会社内に物理的に設置し、電話回線と電話機すべてを主装置に有線接続することで、外線にも内線にも接続でき、回線を複数の電話機で共有できるビジネスフォンの仕組みが成り立っているのです。

クラウドPBXの仕組み

クラウドPBXは、「運用の要となる主装置(PBX)に対して電話機・外線内線を接続する」という基本的な仕組みはビジネスフォンをそのまま踏襲しています。しかし、クラウドPBX では文字通り、主装置はクラウド上(インターネット回線上)にあり、遠隔地にある主装置に対してIP電話機やパソコン、携帯電話やスマートフォンをインターネット回線で相互接続することで、ビジネスフォン的な仕組みを別の形で再現しています。

ビジネスフォンでは物理的に社内に設置されていた主装置が、クラウドPBX ではどこからでもアクセス可能な遠隔にある存在となり、インターネット回線を介して無線あるいは有線LANで主装置と相互接続できる構造となることで、社内に物理的設備を設置することがほぼ不要になります。ビジネスフォン的な運用を会社の外にいても、もっと言えば「どこからでも」できるのがクラウドPBX の最大のメリットです。

たとえば、場所を問わずに内線が使えるので、東京と大阪のような離れた拠点間でも内線通話ができます。また、外出先や出張先からでも、何なら自宅にいたとしても、会社代表番号を使った電話発信や着信転送(電話の取次ぎ)ができます。これこそが、拠点に縛られていたビジネスフォンよりもクラウドPBX の方がはるかに便利であるゆえんなのです。

クラウドPBXのランニングコストはどのくらい?

このように、非常に画期的なサービスとして注目を集めているクラウドPBX 。冒頭から何度も触れている通り、この便利な運用は、実はビジネスフォンよりもはるかに安いコストで運用できます。

ここでは、クラウドPBXの導入・運用に係る費用の相場を解説していきます。ある程度の一般的な相場を知っておけば、コスト的にも性能的にも、失敗することなく自社に適したクラウドPBXサービスを選べる可能性が高くなるでしょう。

クラウドPBXのランニングコスト相場

クラウドPBXにかかる費用の中でも、特にビジネスフォンとの落差が大きいのは、導入時にだけかかる「初期費用」でしょう。初期費用は厳密にはランニングコストではありませんが、ビジネスフォンと比較した時にどれだけ安くなるかの指標としては非常に大切なので解説します。

クラウドPBX の初期費用の相場は、10,000円~50,000円ほどです。近年ではクラウドPBXのサービスを扱うベンダーも増え価格競争が進んだ結果もっと安くなり、おおむね10,000円前後に設定されているベンダーが比較的多くなってきています。なお、クラウドPBXの初期費用は、1契約ごとに定額で設定されていることが多いです。

なお、もし電話機を別途用意する必要があれば、上記の初期費用とは別に購入費用がプラスされます。クラウドPBX に対応した据え置き型IP電話機の場合は1台あたり30,000円~50,000円が新品の相場で、中古の場合は10,000円~20,000円前後が相場となります。スマホを新たに買う場合には、Androidの格安スマホで1台あたり15,000円~50,000円、iPhoneで1台あたり50,000円~100,000円ほどかかります。

さてここからが本題ですが、クラウドPBX のランニングコストには大きく分けて「月額基本料金」「通話料金」「オプション料金」の3種類があります。ランニングコストは変動も大きく契約回線数など事業規模にも左右されますが、おおむね従量課金的な契約となることが多いので、「1回線あたりいくら」での費用相場を提示するのが最適でしょう。

「月額基本料金」の一般的な相場は、内線1回線あたり月額で1,500円~2,500円前後。1回線から導入可能なサービスもあれば、2回線5,000円・5回線1万円など一定の回線数の範囲ごとに定額になっているサービスもあります。なお、おおむねどのベンダーでも、内線の数が多ければ多いほど、1回線あたりの基本料金は安くなりますので、多く契約すればそれだけお得になります。

「通話料金」の一般的な相場は、固定電話への通話が3分8円前後、フリーダイヤルでの通話が1分10円~3分10円前後、スマートフォンや携帯電話での通話が1分15円~16円前後となっています。スマホの電話契約のような「通話し放題プラン」などは基本的には存在せず、こうした基準での通話料金が時間ごとに加算されていきます。なお、アナログの固定電話のように距離が遠くなるほど通話料金が高くなることはなく、上記金額は全国一律の料金となっています。

「オプション料金」の一般的な相場は、機能によって異なります。たとえば、「通話自動録音」は月額2,000円~3,500円、「IVR(自動音声応答)」は月額2,000円~5,000円、「電話会議機能」は月額2,000円~5,000円。より高度な機能でいえば、「モニタリング」は月額3,000円、「ウィスパリング」は月額5,000円ほどが相場です。オプション料金は機能ごとに違い、また月ごとに一定の金額が加算されていきます。

ビジネスフォンのランニングコストとの比較

ビジネスフォンは、上記のクラウドPBX のところでも記したように、まず「初期費用」に関してクラウドPBX と大きな差があります。

ビジネスフォンはクラウドPBX と違って主装置をはじめとした物理的設備を社内に設置する必要がありますが、クラウドPBX と違って、主装置を購入あるいはリースしなければなりません。また、設置に関しては専門的な技術や知識が必要になるので、設置にかかる工事費用もかかりますし、長期的に運用していくにあたって定期的なメンテナンスや故障時の修理などの保守管理費用もかかってきます。

ビジネスフォンではこれらの初期費用の合計がざっくり数百万円となっていて、規模が大きな企業の場合は主装置の購入費用だけで数百万円かかることもあります。これに対してクラウドPBX では、そうした物理的設備の設置や保守管理はすべてベンダーがやってくれるので、主装置の購入・設置工事・保守管理・修理などの費用がすべて不要です。ざっくり数百万円のコストがゼロになるということなので、これだけでも非常にお得ですよね。

電話機代は新品で1.5万円~4万円とそこまで高くありません。ただし、ビジネスフォンの場合は主装置に対応した純正の電話機を新規で購入しないといけないので、社用スマホや社用PCなど既存の資産を転用することができません。なお、電話機の購入費用に加え工事費用もかかり、電話機1台あたり1万円~2万円と電話機の台数に応じて加算されていきます。それに加えて、固定電話ならではの「電話加入権」が39,600円かかります。

ビジネスフォンの場合、ランニングコストに関してはあまり情報が出ていません。これは、ランニングコストが会社によって大きく異なっていたり、料金を濁す業者もいたりして、はっきりとした一般的な費用相場というもの自体が算出しづらいものであるから、といわれています。通話料はある程度比較可能ですが、固定電話の通話料は相手の電話の種類や、距離や時間帯に応じて変動するので、これもまた算出しづらいです。

しかし、固定電話の通話料金は近隣での通話(市内通話)でも3分9.35円で、遠隔で通話する場合は1分33円や45秒44円といったようにかなりの高額になることもありますから、先述したクラウドPBX の通話料相場のほうが相対的にはるかに安い、とだけははっきりと言えるでしょう

なお、購入ではなくリース契約の場合、初期費用がかからない代わりに、月額9,000円~数万円ほどのリース料が加算され、5年~7年の契約が必須となります。リース契約では所有権はユーザーになく、リース契約が満了すると設備をすべて返却しなければなりません。そのうえ、分割・月額で支払う代わりに利子が上乗せされるため、満了までの合計支払額は購入の場合よりも高くなるのが普通です。

クラウドPBXでランニングコストを削減しつつ業務効率を改善するには?

ここまで、クラウドPBXの初期費用やランニングコストをビジネスフォンと比較しつつ一通り解説しました。クラウドPBXは便利なサービスではありますが、色々なベンダーが存在し、提供する機能・対応する端末などがベンダーにより違うという特徴があります。そのため、クラウドPBX を導入するにしても、意識するべきポイントがいくつかあります。

ここでは、ランニングコスト削減や業務効率改善につながるクラウドPBX を導入する前にある程度意識しておくべきポイントについて解説します。

必要な機能を見極めよう

クラウドPBXは、基本的には従来のビジネスフォンを踏襲した仕組みなので、ビジネスフォンで使える機能は大抵使えます。しかし、先述の通りベンダーによって提供されている機能が違ううえ、契約すれば追加料金を払うことなく使える「基本機能」と、追加のオプション料金が必要な「オプション機能」の内容も異なります。

クラウドPBXのベンダーを選ぶにあたっては、まずはクラウドPBX で何ができるのかをある程度リサーチしたうえで、使いたい機能を一覧にしてまとめておくことをおすすめします。もちろん、その他にも費用面やサポート面など比較するべきところはありますが、最も大事なのはベンダーが提供している機能です。

他の部分の比較検討に入る前に、使いたい機能をリスト化しておいてそれをもとにベンダーをある程度絞りこんでおけば、契約後に想定していた運用が行えないというどうしようもない事態も避けることができますし、基本機能にせよオプションにせよ、使いたい機能が使えることで満足感も上がるはずです。

多様なデバイスに対応したクラウドPBXを利用しよう

クラウドPBXの多くは、携帯電話やスマートフォン、据え置き型IP電話機以外にも、PCやタブレット端末など色々な端末で利用可能です。しかし、ベンダーによってクラウドPBX のサービス提供の仕方も細かく異なりますので、必ずしも全てのベンダーが幅広い端末に対応しているとは限りません。

たとえば、クラウドPBX アプリケーションが特定のOSでしか動かない、特定の端末でしか動作しないなどの不都合は普通にあり得るリスクです。そもそも転送機能を備えていないクラウドPBX ではフィーチャーフォン、いわゆるガラケーでの運用はできませんし、特に古いスマホでは通信規格などが端末に合わないこともあります。

実際に使ってみないと分からないところもありますが、仕事の状況や利用環境に応じて最適な端末は異なるものです。柔軟にどんな運用にも対応できるよう、できる限り多くの端末に対応したクラウドPBXを選ぶといいでしょう。

クラウドPBXでランニングコストを削減するなら「ナイセンクラウド」

ナイセンクラウドは、パソコン、電話機、スマホなどにも対応しており、既にお手元にある端末を活用してご利用いただけるクラウドPBXです。03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800のフリーダイヤルに対応しています。

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クラウドPBXを導入してランニングコストを削減しよう!

クラウドPBXとは何か、導入・運用に係る費用相場はどのくらいかを、従来のビジネスフォンと比較しながら紹介しました。また、クラウドPBXを導入する前にポイントを意識して検討すればいいのかも併せて解説しました。少なくとも、ビジネスフォンを購入あるいはリースして固定電話で運用するよりは、はるかに安く導入・運用できるのがクラウドPBX の魅力です。

クラウドPBXはまだ成長段階にあるサービスで、ベンダーによって費用面は勿論、環境や回線の種類、サービスの内容や品質など色々な面で大きな差があるのが現状です。また、導入前には機能や対応端末などを細かく確認しながら、デモ機やお試し期間等をフルに活用して、実際の使用感を確認してから検討するといいでしょう。