VoIPを利用した電話のメリットまとめ│利用方法や導入のポイントは?

2021年6月25日VoIP

通常の電話は、当然ながら電話回線を用いています。しかしインターネットの登場以降、電話は多様化しており、電話回線ではなくインターネット回線を利用した通話も可能となっています。そうした通話のことを「VoIP」と呼び、代表的なものでは「IP電話」のサービスが広く知られています。VoIPを利用した電話は、通常の電話に比べて安いなど多くのメリットがあります。

今回は、「VoIP」や「IP電話」とは何かといった基本的なところから、VoIPを利用した電話のメリット、導入方法などを解説していきます。また、VoIPと共に導入すると便利なものとして、新しい企業向け電話システムとして話題の「クラウドPBX」についても説明しますので、企業担当者様もぜひ参考にしてみてください。

VoIPとは?

「VoIP(ブイオーアイピー、ボイップ、ボイプ)」は、簡単に言うと、「インターネット回線を使った通話」のことを指します。正式名称は「Voice over Internet Protocol」で、「Internet Protocol」とは、インターネット回線を使った通信の規格や通信手順のことを意味するので、文字通りの意味合いということになります。

電話といえば、昔は当然ながら電話回線を経由した通話のみでした。電話回線を経由した通話には、固定電話回線を経由し固定電話回線で通話する「完全有線」の通話と、携帯電話のように一見無線のようでいて、有線ケーブルで繋がった基地局を経由して、最寄りの基地局から電波を受発信する「半無線」通話といえる仕組みの2種類がありました。そして、電話回線を経由して通話するには、NTT加入電話(固定電話)あるいは大手携帯キャリアと契約するのが一般的でした。

しかし現在はそれに加えてVoIPのようにインターネット回線を経由した通話するという新たな技術「VoIP」が台頭してきています。VoIPは通話音声の伝送にインターネット回線を用いるので、電話回線は不要です。大まかな仕組みとしては、通話音声をデジタルデータに変換して伝送し、相手の電話機に届いたデータを再度音声に復元するといったものとなっています。

IP電話とは?

このように、電話回線を利用することなくインターネット回線を経由して電話をすることができるVoIP。そのわかりやすい例としては「IP電話」が挙げられます。

IP電話も示す意味合いとしてはVoIPとあまり変わらず、「インターネット回線を使った電話」のことです。VoIPはどちらかというとIP電話等の仕組みを実現するための通信技術そのものを指すことが多く、そしてIP電話は、そうしたVoIPの技術を利用した電話サービスや電話機を指すのが一般的です。

IP電話には、固定電話機のように据え置き型電話機にインターネット回線を繋いだもの(ハードウェア型)もあれば、スマートフォンなど半無線でのモバイルデータ通信が可能なデバイスにアプリとしてインストールし、スマートフォンをIP電話機代わりに使うもの(ソフトウェア型)もあります。

VoIPには、電話番号が発行されるものと、同じアプリ間でしか受発信できない代わりに電話番号が発行されないものがありますが、一般に「IP電話」と呼ぶ場合は前者を指すのが一般的です。また、発行される電話番号については、「03」や「06」などの市外局番も使える「0ABJ型」と、IP回線専用の「050」で始まる番号しか発行されないものがあります。

VoIPを利用した電話のメリット

ここまではざっくり「VoIPというものがインターネット回線を利用した通話技術であり、IP電話はその技術を使ってインターネット回線で通話ができる電話」と理解していただければ十分です。

肝心なのはここからで、真に理解するべきは、VoIPにどんなメリットがあるのかということです。何事も技術が利用されるのはメリットがあるからですし、メリットを知れば効果的な導入の仕方や使い方も分かってくるはずです。

ここからは、VoIPを利用した電話のメリットのうち、代表的なものを解説していきます。

コスト削減

VoIPのメリットの第一としては「コスト削減」が挙げられます。

特に固定電話回線での通話は、相手の距離が遠いほど通話料金が高くなるように料金体系が設計されています。アナログ電話の電話番号には「03」や「06」といった市外局番が設定されており、地域と番号が紐づいているので、相手先の電話番号に紐づいた地域までの距離に応じて料金が加算されていくのです。

それに対してIP電話は、インターネット回線を経由しての通話となるので、距離に関係なく料金は一律となっており、その料金もかなり格安です。同じく携帯電話での通話も距離に関係なく料金が一律となっています。

また、IP電話は導入コストも大幅に削減できます。電話回線を引くには膨大な工事費や電話加入権の購入費などの様々なコストがかかりますが、IP電話はインターネット回線のみでよく、また今の時代インターネット回線を既に引いている会社が殆どなので、新たに導入する場合には、IP電話はコストが非常に少なく済むのです

電話業務の効率化

第2のメリットとしては、IP電話を導入することで、電話業務をより効率的に運用することができるようになることが挙げられます。

IP電話は、たとえばコールセンターシステムのような問い合わせを集中して受ける大規模な電話網を導入する場合に、従来よりも便利な仕組みを導入できます。たとえば、大本のコールセンターでまとめて問い合わせを受け、CTI(Computer Telephony Integration)サーバから自動音声応答(IVR)を行うことで問い合わせを細分化し、問い合わせ内容に応じて適したコールセンターに着信を自動配分するといったことが可能になります。そうすることで、電話のたらい回しを防ぐことが可能です。

また、IP電話の場合、スマートフォンはもとより、ノートパソコンやデスクトップPCといった様々なデバイスに対応しています。そうしたデバイスにソフトフォンやアプリケーションをインストールすることで、柔軟な運用が可能になります。特にノートパソコン・スマートフォン・タブレット端末など持ち運び可能なデバイスを用いれば、ワイヤレスでの通話が可能となるので、拠点内を移動しながらの通話や、資料室や倉庫内からの通話など、場所を選ばない通話が可能となるのです。

VoIPを利用した電話の導入方法

IP電話などのVoIPを利用した電話がどういったものかは、ざっくりと理解いただけたかと存じます。それでは、VoIPを利用した電話の導入方法はどのような方法があるのでしょうか。

VoIPを利用した電話の導入方法としては、大きく分けて2種類あります。それが、「VoIPゲートウェイの利用」と「クラウドPBXの導入」です。

ここからは、この2種類の方法について具体的な内容を解説していきます。

VoIPゲートウェイを利用する

VoIPゲートウェイとはどういったものかをまず説明しましょう。VoIPゲートウェイとは、簡単に言えば「携帯電話や固定電話など電話回線を用いた通話方法」と「IP電話などインターネット回線を利用した通話方法(=VoIP)」といったように、通話方法の規格や性質が異なるものの間での相互通信を可能にしてくれる機器のことです。ざっくり言えば、従来の電話とインターネット電話の相互通話を実現してくれる機械を表します。

その仕組みとしては、VoIPゲートウェイを使って通話音声を「パケット」と呼ばれるデジタルデータに変換し、分割して伝送したのち、サーバー経由でパケットを受け取った相手方のほうで再びVoIPゲートウェイを用いて、デジタルデータを通常の通話音声に復元する、といった形を取ります。

VoIPゲートウェイには、IPネットワーク用のコネクターと、電話回線を接続するポートが複数備わっています。すなわち、VoIPゲートウェイを使えば、従来の電話とIP電話で分かれていた部分をIPネットワークに統合することができるようになるので、運用が効率的になりますし、既に説明した通り従来の電話よりもIP電話の方がコストが低いので、コストも大幅削減できます。企業において導入されていることが多いビジネスフォン(オンプレミス型PBX)と併用できるのが大きなメリットです。

クラウドPBXを導入する

近年では、VoIPとの併用を効率よく行える、企業向けの電話システムとして「クラウドPBX」が話題となっています。

企業の電話システムは、基本的には主装置(PBX)と呼ばれる電話交換機を社内に設置し、複数の電話回線(外線・内線)と、複数の固定電話機を一元管理する仕組みとなっています。この仕組みがいわゆる「ビジネスフォン」です。

こうした仕組みを構築することで、会社に掛かってきた電話の取次ぎや、会社代表番号の複数の電話機での併用、会社内の異なる部署間での内線通話など普段何気なく行っている電話業務が可能になります。こうした様々な便利機能は、主装置が自動的にあるいは所定の操作に応じて回線を割り当てたり都度切り替えたりしていることで成り立っています。

これに対してクラウドPBXは、この主装置を社内ではなくクラウド上、つまりインターネット回線上に設置したうえで、主装置と電話機に相当するデバイス(電話機はもちろん、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコンなど)をインターネット回線で接続して運用します。その為、主装置を社内に物理的に設置することはなく、ビジネスフォンと同様の環境を構築できます。

クラウドPBXの導入は簡単でメリットも大きい

「クラウド」と聞くと、何やら複雑な導入手順や設定が必要なように思われますが、ご安心ください。クラウドPBXの導入は非常に簡単です。

クラウドPBXは、回線サービスを提供するベンダーが多数ありますので、まずは契約するベンダーを選びます。契約するベンダーを選んだら申し込みを行い、申し込みを行ったら、運用管理者宛てに長くても数日後には開通の案内がメールで届きます。ベンダーによっては即日開通も可能です。ビジネスフォンのように、大規模な設備の導入や設置工事などは一切不要、Webのみで手続きは完結します

運用管理者は、メールで届いた案内に従って、クラウドPBXの管理画面にログインします。ログインしたら、申し込み内線番号の一覧を見ることができ、着信グループ設定などが行えますので、運用方針に即した任意の設定に変えましょう。

契約したクラウドPBXベンダーが指定するアプリを手持ちのスマートフォンにインストールして、設定画面を開きます。多くの場合、SIPアカウントというものを求められますが、利用案内やマニュアルの通りに所定の文字列を入力するだけで設定が完了します。

これだけ導入が簡単なのにもかかわらず、クラウドPBXにはたくさんのメリットがあります。クラウドPBXでは、先ほども説明した通り、クラウド上の主装置を借り、複数のスマートフォン等のデバイスを管理するシステムなので、拠点に主装置を設置して有線で繋ぐビジネスフォンのように「場所の制限」を受けることがありません。クラウドPBXのメリットはここにこそある、と言っても過言ではありません。

場所の制限を受けないので、会社を離れていても会社用の電話番号の受発信が可能です。そのため、外出している担当者にも会社内から電話の取次ぎができますし、テレワークやサテライトオフィスなど新たな働き方も柔軟に取り入れることができます。

また、従来のビジネスフォンでは特定の拠点内でしか内線通話が行えませんでしたが、クラウドPBXでは離れたところにある複数の拠点・支社等をまたいで内線ネットワークを構築できます。設定を行えば海外拠点であっても内線通話ができ、通話料金を大幅に節約できます。IP電話のところでも説明したように、導入コストも大幅に落とすことができます。

このようにクラウドPBXはメリットが多く、ビジネスフォンでVoIPゲートウェイを利用するよりもおすすめの方法です。

クラウドPBXならナイセンクラウド

ナイセンクラウドは、03や06などの全国の局番、0120や0800のフリーダイヤル、050番号に対応したクラウドPBXです。日本全国、場合によっては海外でも利用することができ、多くの企業様で導入可能なクラウドPBXです。

着信があった際に複数の電話を一斉に鳴らしたり、逆に特定の端末のみ鳴らす鳴らしわけも可能です。細かな着信ルールを設定して運用すれば、電話業務の効率を今より格段に改善することができるでしょう。

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VoIPを活用して電話環境を改善しましょう

VoIPを利用した電話とはどういったものなのか、メリットや導入方法も含めて解説しました。やはり注目するべきはVoIPを利用することで大幅なコスト削減につながるということです。

基本的には電話回線を組織的に配線するとなるとどうしても大規模な設備の設置や配線が必要でしたが、インターネット回線の場合はそこまで高コストな設備費はかかりませんし、クラウドPBXであれば設備費自体がほぼかからないといっても過言ではありません。もちろんPCやスマートフォンがない場合には購入する必要がありますが、場合によっては社員が私用で使っているデバイスを仕事用にしてもらう(BYOD)ことで導入コストをほぼゼロにすることも不可能ではありません。

クラウドPBXとVoIP通話を併用すればより便利にコスト削減を行えます。当メディアではクラウドPBXやVoIPに関する情報を複数発信しておりますので、他の記事もぜひ参考にしてみてください。