DSUとONUの違いとは?モデムやルーターとはどう違うの?
DSUとONUはどちらも回線終端装置のため、違いが分かりにくいという方も多いのではないでしょうか。役割も似ていることから「どう違うのか」と疑問に思っている人も多いと思います。さらにモデムやルーターなども役割が似ているため、どう違うのか知っておきたい場合もあるのではないでしょうか?本記事では、DSUとONUの概要や役割、仕組みなどをご紹介します。
DSU(デジタル回線終端装置)とは
その後、デジタル通信を行うISDN回線が始まり、通信速度は64Kbpsにアップします。設定を行えば倍の128Kbpsになるため、アナログ電話回線からデジタルに移行する人が増えたとされています。ISDN回線は、電話回線2系統とデジタル回線1系統を持っています。ネットワークを活用するには、DSUのほかにターミナルアダプターが必要です。1回線に対して1つのDSUが必要なため、最大8台までデジタル機器の接続が可能です。
DSUの役割
DSUはISDN回線を安定的に接続するために使用されます。また従来のアナログ電話回線とデジタル回線を変換するために重要とされています。元々、電話回線は平衡伝送路と言われていました。これは通常の電源とは違ってアースが取られていない状態のため、パソコンを接続するには電気信号系の不一致が生じます。ISDNも平行伝送路のため、回線終端装置で変換し、パソコンなどがインターネットに接続できるようにしてくれます。また信号レベルなどの低下を抑えるための機能が搭載されているため、効果的に信号を伝達できます。そのため、ISDN回線を利用する上では欠かせない装置とされています。
DSUの仕組み
ISDN回線から受信したデジタル信号を「ターミナルアダプター(TA)」で使用できるように変換する機能があります。壁から出たISDNの電話回線から、TA→電話機、パソコンなどと接続していました。しかし、ISDN対応の通信機器はあまり普及しなかったため、ISDN用のTAやISDNダイヤルアップルーターの多くに、このDSUの機能が内蔵されています。そのため、DSU単独で用いられることは少ないとされています。
またDSUに直接ダイヤルアップルーターを接続する場合もあります。ダイヤルアップルーターは、ネットワークの要求に応じて自動的に電話をかけて接続するための装置です。必要なときだけネットワークをISDNに接続する機能があり、ターミナルアダプターが内蔵されています。
ONU(光回線終端装置)とは
ONU(オー・エヌ・ユー)とは、光回線終端装置のことで、「Optical Network Unit」の略称です。引き込んだ光回線とパソコンの間に設置して、光信号とデジタル信号間の交換を行います。光回線でインターネットに接続するためには、光ファイバーからの光信号とパソコンで送受信するためのデジタル信号の間で翻訳しなくてはいけません。ONUはその2つの信号を変換するために使われます。近年では、光回線が主流のため、ONUを設置することが多くなっています。
ONUの役割
ONUを利用すれば、パソコンをインターネットに接続することができます。たとえば、フレッツ光の戸建てプランを利用した場合、1Gbpsの光回線を最大32ユーザーで共有することとなります。これは1本の光回線に最大32個のONUを接続できるということです。複数ユーザーで共有することで、合理的に光回線を設置することが可能です。またユーザーに低価格でサービスを提供することが可能になるのが特徴です。
複数ユーザーで共有するため、回線速度は利用人数によって異なるケースがあります。光回線の速度が「最大」で表記されるのはこうした理由からです。
ONUの仕組み
ONUは光信号を電気信号に変換します。光ファイバーを接続するコネクタとLAN接続用の通信ポートなどが備わっています。これによって光信号と電気信号の相互交換などを行います。近年では、複数のLANスイッチポートを持つ機器も登場しています。ブロードバンドルーターとしての機能を持つ製品も主流です。ONUは認証機能があるため、加入者以外が勝手に接続しても通信ができません。主な認証方法にはMACアドレスがあります。
ONUを使ってWi-Fiを利用するならルーターも必要です。ルーターとONUを別々で用意することもできますが、2台設置するとなるとスペース的な問題があります。その場合、ONUとルーターの機能が一体化した機器を設置する方法があります。ONUとルーター機能が一体化した機器は「ホームゲートウェイ」と呼ばれています。ホームゲートウェイなら、1台分のスペースで済みますし、ONUと別途にルーターを購入する必要がないのがメリットです。またONUとルーターが既に接続された状態なので、接続設定自体も簡単です。
DSUとONUの違いや見分け方は?
DSUとONUの大きな違いは、光回線かメタル回線かの違いです。DSUはメタル回線を利用しているのに対して、ONUは光ファイバー回線を用いています。初期は送受信が別々でしたが、近年では同時に行えます。
またONUは回線加入者宅内の装置のため、光回線事業者側が光終端装置を設置します。DSUも1つのデジタル回線に対して、その回線の終端を示す装置であればよいため、加入者宅内に1つ設置します。
モデムとの違い
・DSUとモデムの違い
DSUはISDN回線で加入者側に置かれる回線終端装置を指します。通信機器を回線紋に接続する際に用いられます。
モデムはアナログ信号とデジタル信号の相互交換をして端末を作動させます。パソコンなどの機器と通信回線の間で相互変更を行う通信を仲介する機器全般を、モデムという場合もあります。ISDN回線は、電話機なら1回線で2台利用できるのが特徴です。同時に受発信ができるため、ノイズの影響を受けにくいとされています。
・ONUとモデムとの違い
ONUとモデムは役割もとても似ています。ONUは光信号とデジタル信号を翻訳するもので、モデムは電話回線などのアナログ信号をデジタル信号に翻訳するものです。
・ONU…光信号とデジタル信号を交換
・モデム…アナログ信号とデジタル信号を交換
ONUは光回線で利用されますが、モデムは一般的にADSL回線やケーブルテレビ回線(CATV)を使う際に用いられます。そのためONUは「光モデム」と呼ばれるケースもあります。
同じ光回線でも、集合住宅などの場合はVDSL方式の場合もあります。VDSL方式とは、共用スペースに設置されたONUから、各部屋に置かれた宅内装置をモジュラーケーブルでつなぐ方式です。最終的にはVDSLモデムを利用し、アナログ信号をデジタル信号に変換します。
ルーターとの違い
・DSUとルーターの違い
ルーターは単体ではインターネットに接続できません。そのため、インターネットに接続するにはDSUなどの終端装置が必要です。ルーターは、回線終端装置で変換された信号を複数の端末で使用するために、ネットワークの枝分かれを行います。近年では、ハブ機能を搭載したルーターが一般的です。
・ONUとルーターの違い
ONUは光信号とデジタル信号を相互変換する装置で、ルーターは複数の機器をインターネットに接続させるために使われるための機器です。ONUが翻訳したデジタル信号をルーターは複数の機器で共有することができます。さらにインターネットにアクセスできる通信を限定したりIPアドレスを割り振ったりする機能などがルーターにはあります。
ONUを利用すればパソコンをインターネットに接続することが可能ですが、有線では基本的に1台のみに限定されてしまいます。複数台接続したり、ネットワーク間で接続したりするためには、ルーターが必要です。また家庭内LANや社内LANと呼ばれるローカルエリアネットワークの出口にルーターを設置すれば、同時に複数の機器をインターネットに接続させられます。たとえば、複数のパソコンを有線でインターネットにつないだり、Wi-Fiでスマホをインターネットに接続させたりするにはルーターが不可欠になります。
ルーターは単体で光回線の信号を、デジタル信号に変換できません。そのため、複数の機器を同時にインターネットに接続する場合は、ONUとルーターを一緒に利用する必要があります。
DSUやONUのような終端装置は、基本的に回線事業者から無料でレンタルされます。NTT東日本・西日本などの回線事業者などから貸し出されます。またルーターと一体型の終端装置が設置されたり、ルーターと一緒にレンタルされるケースもあります。
ルーター機能がない終端装置が設置された場合は、新しくルーターを用意する必要があります。プロバイダーからレンタルできるケースもあるため、一度確認してみましょう。
DSUとONUの違いを知ろう
DSUはISDN環境、ONUは光回線で用いられる終端装置です。ルーターと一体化されたものもありますが、インターネット回線によって使い分けられています。近年では、光回線が主流のため、ほとんどの場所では終端装置としてONUが設置されています。またレンタル時にはルーターと一体型のものなのか、ルーター機能がついていないのかをチェックしましょう。複数の機器を接続するためにはルーターが必要です。さらに光回線を利用するにはONUが必要ですので、役割について知っておくことをおすすめします。