携帯料金の値下げは本当にお得になるの?コスト削減のためのポイント
2010年代後半よりたびたび携帯業界で話題になっている、携帯電話料金の値下げ問題。多くの人が携帯料金を「高い」と感じている背景もあって、国が主導となっての積極的な働きかけに期待する方は多いことでしょう。しかし個人は勿論、法人の皆様もあまり実感が湧かないというのが実情ではないでしょうか。
今回は、政府が主導する携帯料金の値下げの動きが本当にお得になるのか、事情を詳しく追いながら解説していきます。また、それに加えて法人が携帯料金のコスト削減に向けてできること、その一つである企業に便利な電話システム「クラウドPBX」のメリットについてもあわせて解説しますので、企業のご担当者様はぜひ参考にしてみてください。
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携帯料金値下げの動き
政府主導での目玉政策として掲げられている「携帯料金値下げ」の動きについて、改めて振り返ってみましょう。
遡ること5年以上前の2015年、第2次安倍政権下において当時の安倍首相が携帯利用料金の値下げを検討する旨発言したことから端を発しています。総務省による働きかけはこの頃から始まっていきました。
2016年~2017年頃には格安SIM(MVNO)が話題となり、この頃から大手キャリアのSIMロック解除条件も大幅に緩和されるなど、携帯業界の競争が激化すると期待されましたが、格安SIMは予想に反してあまり普及率は上がりませんでした。
2018年には、官房長官時代の菅義偉氏自らが「4割値下げ」に言及後、総務省の有識者会議による「緊急提言」がまとめられました。その結果、2019年には携帯料金の値下げに伴う携帯会社の競争を促す旨が盛り込まれた「改正電気通信事業法」が施行されましたが、それでも携帯料金には大きな変化は起こりませんでした。
しかし2020年、かねてより携帯料金値下げに熱心だった菅義偉氏が総理大臣に就任したことで、連日報道があるように目まぐるしい変化が展開され始めています。まだまだ携帯料金値下げへの道は始まったばかりですが、これからさらなる強力な働きかけが行われていくものと考えられます。
なぜ携帯料金を値下げする動きがあるのか
そもそも2015年の安倍首相による値下げの検討も、当時官房長官であった現総理・菅義偉氏の進言によるものと考えられています。菅義偉氏は、当時すでに1人1台以上の契約数を誇り生活に欠かせない社会インフラと化していた携帯電話に目を付け、「アベノミクスが消費低迷により思うように効果が出ないのは、携帯料金が家計を圧迫しているからだ」と考えました。つまり、携帯料金を値下げし家計に対する圧迫を減らすことで、消費促進につなげようと画策したのです。
また、携帯料金の値下げによって、今もほぼ大手3大キャリアによる寡占状態にある携帯業界の競争を促す側面もあります。携帯電話をはじめとした通信事業は、アンテナや基地局といった通信インフラを、誰よりも早く・多く配備した会社が大幅に有利になる業界です。その為、世界的に見ても、一つの国あたり多くても4社程度の寡占状態になるのが当たり前でした。これに関しても菅義偉氏は「携帯電話の利用料金が高止まりしているのは、競争が促されていない寡占状態だからだ」と考えたのです。
そこで菅義偉氏は、官房長官時代から携帯料金の値下げに熱心に取り組んできましたが、思うように成果が出ていませんでした。しかし2020年秋、菅義偉氏が新たに総理大臣に就任したのをきっかけに、急速に携帯料金の値下げの動きを加速させています。
大手3キャリアの動き
この5年以上、たびたび大手携帯キャリアに対して総務省から指導が行われている旨が大きく報道されていますが、指導の度にキャリア側は、「より格安で利用できるサブブランドを作る」とか「サブブランドのプランを値下げする」形でお茶を濁してきました。
利用可能なデータ量が大幅に増えるなどの変化こそありましたが、本体のキャリアの利用料金に関しては値段をほぼ据え置きにし続けてきました。むしろ総務省の指導の結果、端末料金の割引だけは失われてむしろ利用料金が値上がりしたと不評を呼んだくらい、値下げにはつながっていなかったのです。結果として、安倍首相の値下げ検討から5年以上経っても、未だに大手キャリアによる「複雑なプランと高額な利用料金」という構造は変わっていません。
しかし菅政権が誕生して以降、膠着状態にあった携帯料金値下げの動きが一気に活発になり始めました。代表的なところでは、docomoが本体ブランドのプランとして、20GBのデータ量を月額2,980円で使える若者向けの格安プラン「ahamo」をリリースし大きな話題を呼びました。
このプランが革新的なのは、他キャリアのようにサブブランドでお茶を濁すことをせず、潔く本体ブランドで格安プランを出してきたこと。そして、5分以内国内通話無料で5Gネットワークにもつながり、その上で20GBのデータを3,000円を切る値段で使えるということです。この、「格安SIMよりも安い」プランは業界に激震を与えました。
このdocomoの動きに続いて、auとソフトバンクの2社も新プランを発表しました。auは最初、5Gスマホ向け新料金プラン「データMAX 5G with Amazonプライム」を発表しましたが、数々の条件付きプランであったことが大きく炎上しました。その後、auは新たに新プランとして「povo」を発表し、ソフトバンクは「SoftBank on LINE」を発表しました。
しかし、利用条件がオンラインからの申し込み限定であるなど複雑化しており、シンプルな携帯料金の値下げにはなっていない点には注意する必要があります。
法人向け携帯の料金は値下げされる?
政府主導の携帯利用料金の値下げの動きは、プランを見直して利用料金の高止まりを解消し、携帯業界の競争を促すことにありますので、利用者の範疇として法人もそれに加わっているはずです。とはいえ、報道を追っていく限りにおいては、騒がれているのは個人向けに限定され、法人向けの携帯料金の値下げについては表立った動きがあまり見当たりません。それには法人向け契約独自の事情が関係しています。
携帯大手キャリア3社では個人向けプランに加えて法人向けプランも用意していますが、BtoBの法人向けプランというのは個人向けプランとは構造が異なっています。1台1台みていくと、法人プランの基本料金+通話料+付加サービス料金×携帯の契約台数で料金が決まっていますが、台数については会社の人員規模によって一定数決まっているというのが特徴的です。
また、法人向け携帯料金はリースやレンタル契約など個人にはない特殊な契約も多いこと、法人同士ということもあって価格交渉によって都度単価が変わってくること、法人独自の付加サービス(キッティングサービスやサーバー経由での端末管理代行など)もコミコミの料金設定となることなど、複雑かつ特別な事情が多いため、個人向けのような一律的な値下げという動きにつながりにくいというのが現状なのです。
法人が携帯料金の削減ためにできること
法人は、特に携帯電話の契約台数が多いこともあって、毎月の携帯料金は個人とは比較にならないほど大きな規模になってしまいます。そうした法人ならではの事情を鑑みた時、コスト削減ができるなら、それは徹底してやるべきでしょう。
ここでは、法人が形態料金の削減のために何ができるのかを具体的に解説していきます。「携帯電話はお金がかかるけどそれは仕方のないことだ」「これまで保ってきたプランを変えるのは面倒だからやめとこう」というように投げ出さず、まずはこの章で説明する手法を活用できないかを、社内で検討してみましょう。
キャリアやプランの見直し
まずは、キャリアやプランを改めて見直せないかを検討するべきです。会社の方針で従来契約してきたキャリアとプランを惰性で継続していると、当然ながらコスト削減にはつながっていくはずがありません。携帯料金のプランというのは特に連絡がない限りは契約当時のプランが都度更新される形でずっと適用されるものなので、利用料金を見直したいならまずは今契約しているプランを見直すことが最も手っ取り早いのです。
個人向けと同じように法人向けプランも都度新しいプランが発表され続けており、近年ではデータ大容量プランとデータ量の少ないプランの2極化が進んでいます。20GB~50GBやデータ消費量無制限といった大容量データ通信ができる定額プランと、通話の従量課金(30秒あたり20円)が合わさったものが主流ではありますが、その他にもデータ消費量が少なく使わなかった分だけ安くなるライトなプランや、ガラケー向けの安いプランも用意されています。
大手3大キャリアの法人向けプランを比較しながら、携帯の利用状況に応じて契約プランを変更するだけでも大きなコスト削減につながります。
格安SIMの利用
携帯料金の値下げの動きの中でも話題となった格安SIMですが、格安SIMが大手3大キャリアと大きく違うのは、「通話なしでも契約できる」ことです。通話機能のないデータ通信のみのプランを契約するだけでも、利用料金は大幅に安くなります。
勿論、音声通話付きの契約も可能ですが、格安SIMでは大手キャリアのような「通話し放題」プランを設定することは困難なため、通話を頻繁に行う場合には逆に大手キャリアよりも利用料金が高くなる点に注意が必要です。逆に通話機能が一切要らないのであれば、データ通信のみのプランに変更したほうが絶対にお得です。
格安SIMは基本的には個人向けの利用を想定した会社が多いですが、一部の会社では法人向けプランも用意されています。格安SIMの法人向けプランの特徴は、「データ消費量に応じて契約データ量が選べること」と、「どのデータ量のプランでも1台あたりの契約料金が個人向けのプランよりも安いこと」、そして「端末の一括管理など、企業向けのオプション機能が利用できること」です。
契約できる会社は限られるものの、格安SIMへの変更もコスト削減策としては十分にありです。ただし日々消費するデータ量や通話の頻度といった利用状況が契約プラン選びに直結するので、プランの説明書きをよく読んで、実際に問い合わせも行ってみて、慎重に検討することをおすすめします。
未使用の社用携帯がないかチェック
また、社用携帯として支給している携帯電話について、未使用のものがないかを都度チェックしておきましょう。大手キャリアの法人向けプランでも格安SIMでも同じことですが、利用料金については1台1台にしっかりと加算されていくので、無駄に放置している社用携帯がないかどうかを確認することはコスト削減の上では非常に大切なことです。
法人向けプランでは管理画面で社用携帯の利用状況を詳細に確認できるオプション機能がついている会社も少なくないので、こうした機能を最大限活用しましょう。あくまで交渉次第ではありますが、殆ど使っていない携帯が大量にあるなど事情によっては、契約台数の変更による大幅コスト減も可能かもしれません。
クラウドPBXの導入
特に一定以上の人員規模を誇る企業の場合、ビジネスフォン+社用携帯の運用で回している場合が多いのではないでしょうか。そうした場合は、この2つをまとめて「クラウドPBX」に丸ごと変えてしまうのも一つの手です。
従来型のPBX=ビジネスフォンの場合では、社内に物理的なPBX(構内交換機)の設置が前提となり、PBXに対して社外に繋がる外線と内線をまとめて有線接続し、接続された複数の固定電話機に対して回線を共有する仕組みです。クラウドPBXとは、このビジネスフォンの運用の仕組みを、クラウド環境と携帯デバイスに置き換えたものです。具体的には、クラウド上に設置された仮想的なPBXと、個々の携帯電話などのデバイスを無線で遠隔接続した状態になっています。
ビジネスフォンの仕組みをこうした無線とクラウドの環境に置き換えることで、全般的に「場所の制限を受けない」電話運用ができるようになります。たとえば、従来はPBXが社内に設置されている関係で、会社名義の電話番号からの発信をする際に出先から一度帰社しないといけませんでした。しかしクラウドPBXであればPBXはクラウド上にあるので、インターネットさえ繋がれば出先からでも会社名義の電話番号で発信が可能になります。また逆に、会社の電話機から出先の担当者の携帯電話に着信を取り次ぐことも簡単です。
たとえ感染拡大防止の観点からテレワークで在宅勤務となっている場合でも、気軽に自宅から会社名義の番号からの営業電話を発信することができます。
クラウドPBXで携帯料金を削減できるのはなぜ?
以上のようにクラウドPBXは場所の制限を受けない非常に画期的で便利なシステムですが、それではこのクラウドPBXが携帯料金の削減につながるのは一体何故なのでしょうか。
ここからは、クラウドPBXを導入することで、たとえばどのような費用を削減できるのか、わかりやすい例を挙げて具体的に解説していきます。
社用携帯を支給する必要がない
従来型のPBXの場合、物理的なPBXの設置が必要になると同時に、そのPBXに対応した固定電話機の設置・接続をしないと運用が構築できませんでした。しかし、クラウドPBXなら、PBXはクラウド上の仮想的なものを使うので物理的なPBXの設置が不要であるばかりか、既存のたとえばプライベート用の携帯電話であっても専用アプリをインストールして登録作業さえすれば、クラウドPBX上で一元管理できるようになります。
つまり、いわゆる「BYOD」を行えるということです。BYODとは、Bring Your Own Deviceの略称で、「プライベート用の携帯端末をオフィスに持ち込んで仕事用に使う」ことを意味します。たとえプライベート用の携帯電話であっても、電話番号をクラウドPBX上に登録することで、会社名義の電話番号の共有端末として利用開始できます。要するに、クラウドPBXを導入すれば社用携帯を支給する必要がなくなるのです。
通話料も削減できる
クラウドPBXは先ほども述べた通り場所の制限を受けることがありません。このことは通話料に関して思いのほか大きなメリットを生みます。先ほども説明した通り、場所を問わずに電話の取次ぎができるのも魅力なのですが、「場所を問わずに内線通話が行える」というのもまたクラウドPBXの魅力です。
従来型のビジネスフォンでは、PBXが各拠点に設置されている以上、内線環境の構築は拠点ごとに行うほかありませんでした。東京本社なら東京本社内、西日本支社なら支社内のみでしか内線通話ができず、本社と支社間の通話は外線電話になります。
しかし、クラウドPBXなら運用に際して場所の制限を受けないので、東京本社と西日本支社というように場所が離れていても、互いに場所を跨いで内線環境を構築できますので、本社と支社間の通話でも内線扱いになります。同様に、アメリカ支社と日本の本社間の通話でも設定すれば内線環境になるので、従来は国際電話をしなければならなかったのが日本国内扱いの発着信になり、通話料の大幅削減につながるというわけなのです。
携帯料金の値下げを待つより「ナイセンクラウド」
これまで説明してきた通り、法人の場合は携帯料金の値下げがされるよりも、自ら積極的にコストを削減するための動きを取ることが大切です。コストを下げる手段の中でも特に企業におすすめなのがクラウドPBXですが、ここでは弊社が提供する「ナイセンクラウド」をご紹介します。
ナイセンクラウドはスマホやPC、タブレットなどの端末で使用できます。東京03や大阪06のような全国の局番、050番号、0120や0800などのフリーダイヤルにも対応しており、海外でもこれらの番号を使った発着信が可能です。海外に拠点を持つ企業では、ナイセンクラウドを導入したことで年間300万円以上掛かっていた国際電話の通話料を、3分の1以下にまで抑えた事例もあります。
ナイセンクラウドの機能を紹介する1分の動画をご覧ください。
同時に複数端末で着信できるので、掛かってきた電話を取り逃がすことはありません。また着信ルールを設定して、一部の端末のみ鳴らすということも可能です。ナイセンクラウドなら多種多様な機能により、柔軟性のある電話の運用が可能です。
また個別見積もりだけでなく、条件を入力すれば簡単に見積もりが可能な自動見積もり機能をご用意しております。お気軽にお問い合わせください。
携帯料金の値下げ、この機会に法人も見直してみては?
個人向けの携帯料金の値下げの動きに関して詳しく動向を解説しました。そして、今回の値下げの動きに関与しないと思われる法人の携帯料金に関しては、コスト削減のためにどのような手段を取ればいいのかも具体的に紹介しました。
その中でも有効な手段として提示させていただいた「クラウドPBX」については、法人ならではのニーズに応えた画期的な仕組みとなっていて、これまで頭を抱えてきたコスト上・運用上の不合理をまとめて解消できる可能性のある手段として大いにおすすめできるものです。
クラウドPBXは場所の制限を受けないシステムなので、現在社会的に広く求められているテレワークや、地方のサテライトオフィスでのワーケーションなど、多様な働き方にも難なく対応可能となっています。気になった企業担当者様がいらっしゃいましたら、ぜひクラウドPBXの導入をご検討ください。