ターミナルアダプタ(TA)とは?意味と役割を解説

2022年8月29日専門用語集

ターミナルアダプターは、通信回線の終端に接続する機器です。主にISDN回線で使用されていますが、どのような機能を持っているか分からない方も多いのではないでしょうか。本記事では、ターミナルアダプタの概要と役割、設定方法などをご紹介します。

ターミナルアダプタ(TA)とは

ターミナルアダプタ(TA)とは、通信回線の終端に接続し、通信機器を回線に接続するための機器です。主にISDN回線の加入者側の末端に接続し、コンピューターやアナログ電話機などを通信できるようにします。

ISDN回線の終端装置であるDSUには、ISDN回線から受信したデジタル信号を「ターミナルアダプタ(TA)」で使用できるように変換する機能が付いています。壁から出たISDNの電話回線から、ターミナルアダプタ、電話機、パソコンなどと接続していました。しかし、ISDN対応の通信機器はあまり普及しなかったため、ISDN用のターミナルアダプタやISDNダイヤルアップルーターの多くに、このDSUの機能が内蔵されることとなりました。そのため、DSU単独で用いられることは少ないとされています。ISDNは世界共通の規格名称で、日本における一般的な名称は「INS」となります。

ビジネスフォンにも使われる

ターミナルアダプタはビジネスフォンでも用いられます。アナログ式のビジネスフォンやFAXあんどの通信機器を、ISDNのようなデジタル信号でも使えるようにするデジタル信号機です。

電話回線には、アナログ回線とデジタル回線があります。回線そのものは同じ銅線ですが、データの変換方法に違いがあるとされています。アナログ回線は1番号1チャンネルですが、デジタル回線は1回線に2チャンネルとなります。ISDN回線は1回線で2チャンネル使えるため、音声をデジタル化する上での劣化が少なく、クリアな音声を実現できます。

ビジネスフォンの場合、ターミナルアダプタはISDN回線のデジタル信号をアナログ回線のアナログ信号に変換する役割を持っています。ターミナルアダプタのおかげで、アナログ通信機器をデジタル通信に対応させられるようになります。

主装置の筐体の中にISDNユニットがあれば、ターミナルアダプタは不要です。もしISDNユニットを収容していない場合は、ターミナルアダプタの設置やユニットの増設が必要となります。

ターミナルアダプタ(TA)の接続方法

ここでは、一般的なIP電話用のターミナルアダプタの設定方法と接続方法についてご紹介します。

ターミナルアダプタ(TA)の設定方法

①設定用のページを開く

パソコンでWebブラウザを起動し、設定用のページを開きます。

②管理者パスワードの初期設定

管理者用のパスワードを設定します。画面指示に従い、任意の文字列を入力します。

③「設定」を行う

「設定」をクリックし、接続パターンを「設定1」に設定します。

④画面に従って入力する

「ケーブルファンサービス登録完了のお知らせ」の内容に従って入力します。

⑤「設定」をクリック

入力が完了したら「設定」をクリックします。設定繁栄のためにターミナルアダプタが自動で再起動します。

⑥「OK」を押して終了

ターミナルアダプタの設定が完了すると「設定が完了しました」というメッセージが表示されます。「OK」をクリックして設定を完了します。

⑦ターミナルアダプタを確認する

IP電話用のターミナルアダプタの前面にある「VoIPランプ」が緑色に点灯していることを確かめます。

ターミナルアダプタ(TA)の接続方法

ターミナルアダプタの接続方法には「有線」と「無線」があります。

①有線で接続する場合(機器に直接LANケーブルを接続してインターネット利用をする場合)

ターミナルアダプタのポートにそれぞれの機器をケーブルで接続していきます。

・ONUとWANポート

・パソコンとパソコンポート

・電話回線モジュラージャックと電話回線ポート

・電話機と電話機ポート

②ハブを利用して複数台の機器でインターネットを利用する場合

ターミナルアダプタのポートにそれぞれの機器をケーブルで接続します。

・ONUとWANポート

・ハブとパソコンポート

・電話回線モジュラージャックと電話回線ポート

・電話機と電話機ポート

③無線(Wi-Fi)で利用する場合

・ONUとWANポート

・無線ルーターとパソコンポート

・電話回線モジュラージャックと電話回線ポート

・電話機と電話機ポート

ターミナルアダプタはルーター機能が搭載されているので、無線ルーターはAPモード(ブリッジモード)で利用します。APモードとはルーター機能を無効化し、アクセスポイントとして利用するためのモードです。

【各端子の機能】

・WANポート

LANケーブルを利用してONUに接続するためのポートです。

・PC(パソコン)ポート

LANケーブルで無線ルーターやハブ、インターネット機器に接続するためのポートです。

・電話回線ポート

電話線を利用し、電話回線用のモジュラージャックに接続するためのポートです。

・電話機ポート

電話線を利用して電話機に接続するポートです。

・イニシャルスイッチ(INIT)

ターミナルアダプタを初期設定に戻す際に押すスイッチです。

・FG端子(FG)

アース線を接続するための端子です。

・電源ジャック(DC IN)

電源コードを接続するための端子です。

ターミナルアダプタ(TA)の機能

ターミナルアダプタには主に以下の機能が搭載されています。

加入者線インターフェース

折り返し試験機能付きDSUを内蔵しているタイプです。加入者線に直結しているものも多いです。加入者線の極性の際に切り替えスイッチや自動検出で対応できるものがあります。さらにDSUを切り離し、S点に接続できるものもあるとされています。

アナログ加入者線とISDN基本速度インターフェースに自動判別機能があります。この判別機能によって、アナログ回線に接続された際に内線交換機になる場合もあるとされています。

S/T点インターフェース

端末機器接続用のS点インターフェースを持っているものもあります。また他のISDN機器のS店や他のDSUのT点に接続することも可能です。またISDNに対応したPBX装置を使う場合は、DSU側をT点、ISDN端末側をS点にします。どちらも同等のインターフェースとなります。

データポート

データポートとは、シリアルポート、USB、イーサネットなどをコンピューターに接続し、データ通信を行える機能です。さらにルーター、スイッチングハブ、無線LANアクセスポイントなどの機能が搭載されているものもあります。さらに、DチャネルやBチャネルなどのパケット通信が可能なものもあるとされています。

アナログ電話ポート

アナログ電話機とG3ファクシミリを接続するためのポートのことです。1つのポートに複数の電話を接続するタイプも多いです。しかし、アナログポート回線のダイヤル方法は、プッシュ式のみ対応です。そのため、ダイヤル式には対応していない場合もあります。

ターミナルアダプタの中には、内線電話交換機機能で、外線や内線、保留、転送などを行う機能を割り当てられるものもあります。さらに留守番電話やナンバーディスプレイ、ネームディスプレイなどの機能が搭載されたものも存在します。2つのアナログ電話ポートを搭載した機種が主流ですが、中には3つ搭載されたものもあります。

ターミナルアダプタ(TA)とルーターとモデムの違い

ターミナルアダプタとルーター、モデムはいずれも通信機器ですが使用する通信回線の種類が異なります。

ターミナルアダプタ

ターミナルアダプタは、コンピューター、電話機、FAXなどをISDNに接続するための機器です。アナログ電話回線用の機器を接続するためのポート、パソコンなどと接続してデータ通信を行うポート、ISDN回線で通信する機能などが搭載されています。また、イーサネットポートでLANに接続し、同じネットワーク内に接続したコンピューターを、ISDN回線を通じて通信可能な機能が搭載された機種もあります。

モデム

モデムは、コンピューターをアナログ電話回線(ADSLなど)に接続するための機器です。モデム内で、デジタル信号とアナログ信号の相互変換が行われています。

モデムはアナログ信号とデジタル信号の相互交換をして端末を作動させます。パソコンなどの機器と通信回線の間で相互変更を行います。また通信を仲介する機器全般をモデムというケースもあります。ISDN回線は、電話機なら1回線で2台利用できるのが特徴です。同時に受発信ができるため、ノイズの影響を受けにくいとされています

ルーター

ルーターは、コンピューターから送られてきたデータを2つ以上の異なるネットワークに中継するための機器です。ルーターを接続することで、複数のコンピューターが同時にインターネットに接続できます。さらにルーターに接続されている端末同時も通信可能です。

ルーターは単体ではインターネットに接続することができません。そのため、インターネットに接続するにはDSUなどの終端装置を必要とします。ルーターは、回線終端装置で変換された信号を複数の端末で使用するため、ネットワークの枝分かれを行っています。近年では、ハブ機能を搭載したルーターが一般的となっています。

ターミナルアダプタ(TA)の概要を知ろう

ターミナルアダプタは、コンピューターや電話機、FAX等の機器をISDN等の回線に接続できるようにする機器です。またビジネスフォンにも用いられています。ビジネスフォンの場合、ISDNユニットが主装置に収容されていない場合、ターミナルアダプタを設置する必要があります。ビジネスフォンの設置を考えている人は、ターミナルアダプタの概要について知っておいてはいかがでしょうか。