番号ポータビリティ(LNP)とは?どんな制度なのか解説します

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ビジネスフォンを導入する際に知っておきたいのが、番号ポータビリティ(LNP)制度です。番号ポータビリティ(LNP)制度は、今使っている電話番号を同じ番号のまま移行できる制度を指します。電話番号が変わらないので、オフィスを移転しても「新しい電話番号を知らせる」という手間を省けます。では、番号ポータビリティ(LNP)制度を利用するにはどうしたら良いのでしょうか。本記事では、番号ポータビリティ(LNP)の概要や利用できる条件などをご紹介します。

番号ポータビリティ(LNP)とは

番号ポータビリティ(LNP)とは、固定電話でも番号を変えずに会社を変えられる制度です。LNPは「Local Number Portability」の略称です。制度自体は、2001年3月から行われています。光コラボへの転用や通信サービスの変更、光コラボ事業者間の乗り換えを行った際に、同じ番号をそのまま利用することができます。

電話番号を変更すると、電話番号が印字されている封筒や名刺、ホームページ、顧客への連絡など、さまざまな更新が必要です。また企業の場合、登記の変更も必要です。

番号ポータビリティ(LNP)を利用すれは、番号を変更せずに電話業者を変更することができます。

番号ポータビリティ(LNP)を利用できる電話番号

全ての電話番号が番号ポータビリティ(LNP)制度を利用できるわけではなく、条件があります。その条件は「NTT東西の一般加入電話もしくはISDN電話で取得した電話番号」です。IP電話で取得した番号を番号ポータビリティ(LNP)することはできません。

例えば、以下のケースでは番号ポータビリティ(LNP)を利用することができます。

「NTT加入電話を利用しているケース」

・NTT加入電話→NTTひかり電話

・NTT加入電話→KDDI auひかり電話

・NTT加入電話→SoftBankおとくライン

 

「NTTひかり電話で取得して電話専用番号をNTTからひかりコラボへ転用するケース」

・NTTひかり電話→光コラボひかり電話

・光コラボひかり電話A社→光コラボひかり電話B社

 

NTT東日本、西日本で発番した一般加入電話やISDN電話番号は、光コラボやフレッツ光などの独自回線網への引き継ぎが可能です。さらにNTT加入電話から他の事業者に変更するだけでなく、一度NTT東西から別のキャリアに乗り換えたあと、さらに別のキャリアへ移行する際にも同じ電話番号を引き継げます。

例えば、NTT加入電話で契約したあと、電話番号を引き継いでSoftBankに乗り換え、その後でもう一度SoftBankを解約して別のひかりコラボ事業者に乗り換えた場合でも、NTT加入電話として発番した電話番号を引き継いで利用できます。

またNTTのフレッツ光やSoftBank光、ドコモ光など、光コラボ回線に新規で契約した際に、「ひかり電話」で発番された電話番号は、フレッツ光や光コラボ事業者に乗り換える際に引き継ぐことができます。

ただし、この引き継ぎ方法は厳密には番号ポータビリティ(LNP)ではなく、「転用」「事業者変更」などに含まれる仕組みです。転用や事業者変更を利用する場合は、引き継ぎの際に違約金が発生する可能性があります。また利用中の電話番号を引き継ぐには、申し込み時にひかり電話を使用していることを申告する必要があります。

 

以下のケースでは利用することができません。

「NTTひかり電話で取得した電話番号」

・NTTひかり電話→KDDI auひかり電話

・NTTひかり電話→SoftBankおとくライン 

 

「NTT以外の電話会社で取得した番号」

KDDI auひかり電話→SoftBankおとくライン

KDDI auひかり電話→NTTひかり電話

SoftBankおとくライン→NTTひかり電話

SoftBankおとくライン→KDDI auひかり電話

 

NTT以外の事業者が新規に発番した電話番号は、引き継ぐことができません。例えば、SoftBankおとくLINEに契約して新規発番した際の電話番号やIP電話番号で利用した番号は対象外となります。

番号ポータビリティ(LNP)を利用するケース

番号ポータビリティ(LNP)はどんなケースで利用されているのでしょうか。ここでは、番号ポータビリティ(LNP)の利用されるケースを2つご紹介します。

番号を変えずにオフィスを移転したい

電話番号を変えずにオフィスを移転したい場合は、番号ポータビリティ(LNP)の利用がおすすめです。電話番号が変わると、顧客に電話番号が変わったことを伝えなくてはいけないため、手間がかかります。また、名刺や封筒、ホームページなど、会社の電話番号が記載されているものは全て変更しなくてはいけません。そのため、コストと時間が必要になります。番号を変えずに移転できれば、これらの手間を削減できるため大きなメリットといえるでしょう。

ただし、遠方への引っ越しによって、管轄局や収容局が変更になる場合は電話番号を変更しなくてはいけないので注意しましょう。

光コラボ間で事業者を変更したい

現在、光コラボレーションを利用していて別の光コラボレーション事業者へ乗り換える場合も、番号ポータビリティ(LNP)を利用することができます。この制度は2019年7月から始まりました。実施されるまでは、別の光コラボレーション事業者に乗り換えるには、「アナログ戻し」という複雑な手順が必要でした。しかし現在は、この面倒な手続きは不要になっています。

事業者変更は、新たに工事を行うことなく実施することができます。これは機器や回線を転用できるためです。変更は以下の手順で行います。

 

1.事業者変更承諾番号を取得し、光コラボ事業者Aを解約する

事業者変更を行うには、事業者変更承諾番号が必要です。現在契約している光コラボ事業者に連絡し、事業者変更承諾番号を受け取りましょう。現在契約している光コラボ事業者から、事業者変更承諾番号を受け取り、新規に申し込む事業者への事業者変更の手続きが必要です。

2.A社からB社に変更する場合、光コラボ事業者Bと契約する

3.事業者Aからフレッツ光に変更する場合、NTT西日本とプロバイダーと契約する

 

新たに契約する事業者と契約します。NTT西日本の付加サービスに契約している場合は、NTT西日本へ連絡し、情報開示許諾の手続きが必要な場合があります。

手続き後は、現在契約している光コラボ事業者と新しく申し込んだ事業者の間で手続きが行われます。その後に事業者変更となります。

事業者変更すると、現在契約しているコラボ光は解約となり、新たに申し込んだコラボ光事業者やフレッツ光と契約になります。そのため、契約先は現在契約している光コラボ事業者から新たに申し込んだ光コラボ事業者、またはNTT西日本に変更されるので確認しておきましょう。

また現在使用している料金も変更になるため、現在利用している料金と新たな利用料金を確認しておくことをおすすめします。

番号ポータビリティ(LNP)が利用できないケース

番号ポータビリティ(LNP)は便利なサービスですが、利用できないケースもあります。ここでは、番号ポータビリティ(LNP)が利用できないケースについて解説します。

管轄・収容局が異なる住所へ引っ越しする場合

番号ポータビリティ(LNP)は、「事業者を変更する」場合に電話番号を引き継げるサービスです。そのため、都道府県をまたいだ引っ越しなど、遠方に引っ越す場合は電話番号が変更されます。

具体的には、NTT東日本とNTT西日本の対応エリアをまたいだり、管轄局や収容局が変更になったりする場合です。注意する必要があるのは、同じ町内であっても主要局の管轄が変わる可能性があります。そのため、NTTの管轄エリアがどこに該当するのかは、あらかじめNTTに確認するのがおすすめです。

IP電話番号(050番号)の引き継ぎ

050から始まるIP電話番号は、光電話相当サービスや一般加入電話などへ番号を引き継ぐことはできません。他社に乗り換えようとする自発的な行動だけでなく、IP電話の事業者がサービスを停止して、乗り換えざるを得ない場合でも電話番号を変えなくてはいけません。

ただし、以前加入していた電話からIP電話に引き継いだ番号であれば、他社のIP電話に乗り換えても同じ番号を使用することができます。

番号ポータビリティとMNPとの違い

番号ポータビリティ(LNP)制度と似ているのが、モバイルでのポータビリティ制度「MNP(Mobile Number Portability)」です。

モバイルでのポータビリティ制度と異なり、片方向でのポータビリティ制度となっています。NTT東西の固定電話からA社へ電話を変更する際に電話番号を変えなくてもよいですが、A社からB社へ変更する場合には電話番号を変更しなくてはいけません。ここが、MNP(Mobile Number Portability)制度との違いです。

総務省や各通信事業者は、現在「双方向型番号ポータビリティ」導入へ向けた動きを行っています。これは複雑な利用条件を撤廃し、キャリア間での囲い込みを防止することを目的としています。この双方向型が実現すれば、キャリア間の乗り換えが簡単になることが予想されています。この仕組みは2025年に利用開始ができるように、現在議論が進められています。

出典:総務省「「双方向番号ポータビリティ」に係る事業者間の検討状況について」

番号ポータビリティについて知ろう

番号ポータビリティ(LNP)は電話番号を変えずに他の事業者に乗り換えられる制度です。固定電話の番号をそのまま継続して使用することができるため、顧客に新たな電話番号を伝える手間やコストを削減できます。ただし、制度が利用できるケースは条件があるため、該当するかどうかあらかじめ確認しておくことをおすすめします。