無線LANの仕組みとは?分かりやすく解説

専門用語集

ケーブルでつなぐことなくインターネットを利用できる無線LANの仕組みは、今や業務に欠かせない技術となりました。普段何気なく接続して使っている技術ですが、どのような仕組みになっているかご存知でしょうか。本記事では、無線LANの仕組みやメリット・デメリットなどをご紹介します。

無線LANの仕組み

無線LANは多くの人が使っているシステムですが、無線LANの仕組みをご存知でしょうか。ここでは、無線LANの仕組みや概要についてご紹介します。

そもそも無線LANとは

無線LANは、ケーブルがいらないインターネット接続システムを指します。ケーブルの代わりに無線LANルーターなどの機器を用いてネットワークに接続します。電波を利用してデータの送受信を行うことで、情報を閲覧したり、データを共有したりできます。データは有線LANと同様に「パケット」という小さな単位に分割されます。大容量ほど多くの単位に分割してやり取りを行います。

無線LANに接続するためには「モデム」や「ONU」と「ルーター」などの機器が必要です。ONUは光信号とデジタル信号を相互変換する装置のことで、ルーターは複数の機器をインターネットに同時接続させるために使われる機器です。ONUが翻訳したデジタル信号をルーターに送り、複数の機器で共有します。さらにインターネットにアクセスできる通信を限定したり、IPアドレスを割り振ったりする機能などもあります。ルーターは単体で光回線の信号をデジタル信号に変換できません。そのため、無線LANを利用するためには、ONUとルーターを一緒に利用する必要があります。

モデムはADSL回線やケーブルテレビ回線(CATV)の際に必要です。ONUが光信号をデジタル信号に翻訳するために必要ですが、モデムは電話回線などのアナログ信号をデジタル信号に翻訳するのに必要です。

・ONU:光信号とデジタル信号を交換

・モデム:アナログ信号とデジタル信号を交換

ONUは「光モデム」と呼ばれるケースもあります。

近年では、光回線の方が主流のため、ONUを使うことがほとんどでしょう。

さらに無線LANを利用するためには、親機(アクセスポイント)とパソコンやスマホなどに装着する子機が必要です。しかし、近年のパソコンやスマホにはほとんど子機の機能が内蔵されているため、親機さえあれば無線LANを使用することができます。

Wi-Fiは無線LANの規格の名前

Wi-Fiは無線LANと同様にケーブル不要な接続システムで、認定規格の一つです。つまり無線LANという枠組みの中にある一つがWi-Fiです。無線LANの普及促進を行っている業界団体「Wi-Fi Alliance」の認証を受けた機器を指します。近年では、日本ではWi-Fiの認証を受けた製品が増え、Wi-Fiの方が一般的になったことから、無線LAN全般をWi-Fiと呼ぶことが増えました。

無線LANを用いた接続方式は携帯電話の接続と伝送方式が異なるため、Wi-Fi接続とモバイル接続などと分けられることもあります。スマホやタブレットなどは、Wi-Fiに接続しなくても、インターネットに接続することができます。これは、「5G/4G/LTE」などの携帯電話の電波を使用した回線を使用しているためです。この回線の利用には、有線LANやWi-Fiへの接続は不要です。携帯電話の電波が届くエリアであれば、どこでもインターネットにつなぐことができます。一方で、Wi-Fiはルーターから約数10メートルしか届きません。そのため、オフィス内ではWi-Fiに接続し、外出中や出張中などは「5G/4G/LTE」などの携帯電話の回線を利用するなどの使い分けが必要です。

出典:総務省「国民のための情報セキュリティサイト」

市販品はWi-Fi準拠 

現在、市販されている無線LAN製品のほとんどがWi-Fi規格に準拠しています。そのため、無線LAN製品を選ぶ時に「Wi-Fiに対応しているかどうか」という点は考えなくてよいでしょう。

無線LANのメリット

ここでは無線LANのメリットをご紹介します。

複数の機器をインターネットに接続できる

無線LANがあれば、スマホ、タブレット、パソコンなど複数の機器をインターネットに接続できるため、作業効率アップが期待できます。

またスマホを利用している場合、どのスマホも通信速度制限を気にせず、大容量通信を使うことが可能です。スマホやタブレットの場合、ほとんどが「通信し放題」のプランを契約していることが多いと思います。その場合、通信量は気にする必要はありませんが、一定の期間内に一定の通信量を超えた場合、通信制限がかかるキャリアも多いです。通信制限がかかると仕事にも支障が出てしまいます。無線LANを活用すれば、こうした通信速度制限などを気にせず業務に集中することができます。

特に業務用の無線LANルーターであれば、一度に数十台から100台以上接続できるものもあります。無線LANルーターは同時接続可能なデバイスが定められており、超過すると通信速度の低下や接続の停止などが起こる可能性があります。業務用の無線LANルーターであればこうした心配はないため、安心して仕事に打ち込むことができます。

ケーブルに縛られず自由なレイアウトが可能

無線LANルーターはケーブルが不要なため、ケーブルの長さに縛られることなく作業ができます。そのため、オフィスのレイアウトも自由にできます。またノートパソコンであれば、デスクで資料を作り、会議室にパソコンを持ち込んでプレゼンなどをするなどの使い方ができます。

有線LANの場合、デバイスとルーターの間をLANケーブルで接続する必要があります。ネットに接続したい機器ごとにLANケーブルが必要になるため、オフィスの床がケーブルだらけになってしまいがちです。そうなると、机の配置をよく考えないと社員がケーブルを踏んだり、つまずいたりする可能性があるでしょう。さらにスマホはケーブルで接続できないため、通信量を気にしなくてはいけません。無線LANならケーブルを使わないため、オフィスをスッキリとした印象にできます。美観はもちろん、社員がケーブルにつまずいてケガをするなどのトラブルも防げるでしょう。

また、フリーアドレスの導入も可能になります。従来のオフィスでは、一人ひとりに座席があり、そこにパソコンを置き、有線のLANケーブルで接続する必要がありました。そのため座席が固定されているのが一般的でした。近年では、多種多様なプロジェクトを行うことも増え、座席を自由に決められる「フリーアドレス」を導入する企業も多くなっています。無線LAN環境が整っていれば、座席を固定することなく、どこでも仕事ができる環境を整えられます。プロジェクトごとに自由に座席を決められるので、業務効率化や生産性向上も期待できます。さらに座席ごとにケーブルなどを配置する必要がなくなるため、コスト削減にもつながるでしょう。

使用場所を選ばない

無線LANは場所を選ばずに使用できるのも大きなメリットです。ドアで隔てられた部屋や会議室、応接室など、ケーブルを引くのが難しい場所でも接続することが可能です。電波の届く範囲であれば、どこでもインターネット接続が可能で、ケーブルのことを考える必要がありません。

さらに別のオフィスに出張した際の業務効率化も期待できます。これまで、支店や営業所に出張する場合、会議や打ち合わせで使う資料などは前日までにコピーなどを行い準備する必要がありました。時間がかかり、当日に資料不足や問題点が発覚すれば、再度打ち合わせを行うことになってしまいます。

支店や営業所に無線LANの環境が構築できていれば、普段使っているノートパソコンやスマホ、タブレットなどの機器をそのまま使うことができます。そのため、問題点への対応がすぐにできるようになるでしょう。利便性向上と共に業務の効率化も図れます。また再度打ち合わせをするという手間もなくなり、コスト削減にもつながります。

無線LANのデメリット

メリットの多い無線LANですが、デメリットもあります。無線LANを利用する時はデメリットもしっかり理解しておきましょう。

接続が不安定になる可能性がある

無線LANは状況により、有線より接続が不安定になる可能性があります。利用する場所やアクセスが集中することにより、一時的に通信が遅くなったり、つながりにくかったりする可能性があります。

またトラブル発生時に原因が特定しにくい点も挙げられます。ケーブルのように目に見えるもので接続しているわけではないため、接続できなかったり、速度が遅かったりする場合、原因をなかなか特定しづらいでしょう。

無線LANを導入する際には、オフィスでの利用台数やレイアウトなどを正確に把握する必要があります。その上で、接続台数などに対応した充分なスペックの製品を導入しましょう。

接続設定が必要

有線LANは、機器同士をケーブルで接続することですぐに使えます。しかし無線LANは導入時に接続するための設定が必要です。設定方法はメーカーごとに異なるため、都度確認する必要があります。

ただし、一度設定してしまえば、その後の設定は不要です。そのため、メリットの方が大きいといえるでしょう。

無線LANの基本の仕組みを知っておこう

無線LANは日常的に使用していますが、仕組みを知っておくことで、トラブルの際にも対応しやすくなるでしょう。また無線LANにすることで、一度に複数のデバイスをインターネットに接続できたり、電波の届く場所ならどこでも利用できたりなど、さまざまなメリットがあります。パソコンだけでなく、スマホやタブレットなどを無線LANと組み合わせることで、効率的な運用ができるでしょう。導入の際には、同時接続台数や部屋の広さなど自社の環境に合ったものを選ぶことをおすすめします。