Wi-Fi6とは?これまでのWi-Fi規格との違いや特徴をご紹介
Wi-Fiは日常的に使われる技術となりましたが、技術は日々進歩しています。2022年現在、一番新しいWi-Fiの規格は「Wi-Fi6」です。Wi-Fi6なら、パソコンやスマホのデータ通信が速くなるとされています。本記事では、Wi-Fiの概要やWi-Fi6の特徴やメリットなどをご紹介します。
そもそもWi-Fiとは
Wi-Fiは無線LANの規格の一つです。無線LANは電波でネットに接続できるため、ケーブルなどが不要になります。このため、ケーブルなどが届かなかった場所でもネットに接続できるようになります。また複数の機器を同時に接続することも可能です。
Wi-Fiは主にパソコンやスマホなどの機器をインターネットに繋げる際に使用されます。スマホは4Gや5G回線などのモバイル回線でもインターネットに接続できますが、Wi-Fiがあればデータ通信量を消費せずに接続できるのが特徴です。そのため、通信量や料金を気にすることなくインターネットを利用することができます。
また社内にローカルネットワークを構築する際にもWi-Fiが用いられます。社内でローカルネットワークを構築すれば、同じネットワークに接続している機器同士でデータ共有が簡単にできるようになります。
Wi-Fi6とは?
Wi-Fi6は、2021年に標準化されたばかりの新しい規格です。一つ前の世代のWi-Fi5が、最大6.9Gbpsだったことから考えると、圧倒的なスピードを誇ります。またWi-Fi6は、8×8 アップリンク/ダウンリンク MU-MIMOとOFDMAとBSS Colorなどに対応しています。
これによって最大4倍の容量を確保することが可能で、より多くの端末に接続できるようになりました。オフィスや店舗などでもネットワークの混雑を感じにくくなり、より快適にインターネットが使いやすくなりました。
これから買い替えをするなら、この新しい規格に対応しているものを選ぶことをおすすめします。
これまでのWi-Fiの規格名と違い
Wi-Fiに関する技術は日々進歩しており、Wi-Fi6はこれまでのWi-Fiよりも通信速度が速くなっています。ここまでは、歴代のWi-Fiの規格や帯域などをご紹介します。
世代 | Wi-Fi(無線LAN)規格 | 速度 | 周波数帯 |
第1世代 | IEEE 802.11 | 2Mbps | 2.4GHz |
第2世代 | IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz |
IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz | |
第3世代 | IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz |
第4世代 | IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz |
第5世代 | IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz |
第6世代 | IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz/5GHz |
この中で今でも使われることがあるのは、Wi-Fi4〜Wi-Fi5とされています。
・IEEE802.11n(Wi-Fi4)
最大通信速度は300Mbps、周波数帯は2.4GHz帯/5GHz帯の規格です。2009年に策定されました。2つ前の世代になりますが、安価な価格で利用できます。
・IEEE802.11ac(Wi-Fi5)
最大通信速度は6.9Gbps、周波数帯は5GHz帯の規格です。2014年に標準化されました。5GHz帯は、無線LAN専用の周波数帯のため、他の家電などによる電波干渉を受けにくいというメリットがあります。安定していることから、映像配信サービスにも向いています。
すぐに機器を買い替える必要はない
これからはWi-Fi6が主流になっていくことが考えられますが、すぐにWi-Fi機器を買い替える必要はないとされています。Wi-Fiの規格は下位互換があり、古い規格の回線でも処理することができます。ただし今後買い替えを検討しているのであれば、最新規格であればWi-Fi6に対応している機器を選ぶことをおすすめします。
Wi-Fi6のメリット
Wi-Fi6になることでさまざまなメリットがあります。ここでは主な3つのメリットについてご紹介します。
通信速度が上がる
Wi-Fi6になることで、通信速度が上がることが考えられます。Wi-Fi5と比較すると、約4〜10倍も処理スピードが速くなるとされており、最大通信速度が約1.4倍にアップしているとされます。近年では動画などの大容量データを通信する機会も増えました。Wi-Fi6であれば、大容量データもスムーズに閲覧することができます。たとえば、リアルタイム性が必要なeスポーツ大会の実施やオンライン会議なども、ストレスなく行えるようになります。
さらに情報を処理するスピードだけでなく性能もアップするため、今までのWi-Fiよりも使いやすくなります。一度に処理できる機器も増えるため、Wi-Fi機器が増えても処理スピードが落ちることが少ないでしょう。
またセキュリティが強化されているのも特徴です。Wi-Fi6は、従来のセキュリティ規格「WPA2」の後継である「WPA3」が搭載されています。WPA3はWPA2の脆弱性が解消されており、安全性が向上しているとされています。業界団体Wi-Fi Allianceの認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED 6」を得るためには、このWPA3に対応していることが必要です。そのため、Wi-Fi6に対応している機器はWPA3を採用しています。
省エネルギー
Wi-Fi6には、TWT(ターゲットウェイクタイム)という機能が搭載されています。TWTは通信するタイミングをコントロールしてくれるため、Wi-Fi機器のバッテリーを長持ちさせる効果が期待できます。Wi-Fi機器が電池切れするスピードを遅くすることできるでしょう。
ただし、この機能は受信する側にも「TWT」が搭載されていないと対応できないので注意が必要です。
同時接続しても通信が安定する
Wi-Fi6は同時接続してもより安定して高速に通信できるようになったとされています。
Wi-Fi5では、複数台の端末を同時に接続した場合、順番に通信の割り当てを行っていました。このため、通信にタイムラグが生じることがありました。しかしWi-Fi6はOFDMAの機能が採用されており、通信帯域を分けられるようになりました。
OFDMAはデータ送信のシンボルとされているものです。データを細かいキャリアに分けることで、安定性の向上や広い範囲でのWi-Fi接続が期待できます。その結果、1端末で同時に複数端末と通信できるようになり、さらにこれまでよりも回線が安定するとされています。
またWi-Fiの飛距離を広げることができます。
さらにWi-Fi6は、2.4GHz帯/5GHz帯の2つの周波数帯を使うことができます。2つの周波数帯には、同時接続可能なデバイスの上限が定められており、上限に近づくほど通信状態が不安定になります。
そのため、自動的に接続台数の少ない5GHzに切り替わる「ハンドステアリング機能」などが搭載されています。たとえば、ルーターから離れた場所にいるため5GHzでは安定しないこともあります。そんな時に、自動で2.4GHzに切り替えてくれる場合があります。反対に、同じ周波数帯の機器のものが多ければ2.4GHzから5GHzに切り替わります。手動で切り替えなくても、自動で適した周波数帯に切り替わるので、業務効率化に繋がるでしょう。このハンドステアリング機能は搭載されている機種とされていない機種があります。そのため、必要であれば搭載されているかどうかあらかじめ確認しておきましょう。
Wi-Fi6のデメリット
Wi-Fi6はメリットに比べてデメリットは少ないとされています。ただし、Wi-Fi6に対応している機器はまだ多くないため、高額になるケースがあります。またスマホは機種によっては対応していない可能性があります。自社に設置しているWi-Fi機器で問題ないのであれば、まだ買い替えを検討する必要はないでしょう。
また5Gなどの高速モバイル回線と比べて、電波の届く範囲が限定的とされています。しかしWi-Fi6でもオフィスや自宅での限定的な範囲であれば、高速な通信が可能です。
今後、Wi-Fi6がより普及すれば、価格が落ち着いてくることが予想されています。
Wi-Fi6への切り替え方
Wi-Fi6に切り替えるには、対応している機種を導入する必要があります。まずWi-Fi6に対応しているWi-Fiルーターを購入しましょう。その後、新たに設定を行うだけでWi-Fi6に切り替えることができます。
スマホなどのデバイスがWi-Fi6に対応していない場合は、対応機種に切り替えることでWi-Fi6が利用できるようになります。
Wi-Fi6について理解しよう
Wi-Fi6は5Gが普及するにつれて、だんだんと一般化してきました。前の規格よりも大幅に通信速度が上がることから、業務効率化が期待できます。またセキュリティ面でも安全性が向上していることから、業務でも安心して使うことができます。現在のWi-Fi機器が現役であればすぐに買い替えを検討する必要はありませんが、買い替える場合はぜひWi-Fi6対応の機器を導入してみてはいかがでしょうか。