クラウド電話のシステムを構築する際のポイント・注意点まとめ

2021年7月1日電話業務の効率化

会社内での内線通話や電話取次ぎなど、便利な機能を提供してくれるビジネスフォンは、企業向け電話システムとして現在も広く普及しています。しかしビジネスフォンは会社内でしか使えないため、テレワークなど場所を問わない多様な働き方を求められる昨今の時代には、だんだん合わなくなってきています。

そこで、ビジネスフォンの仕組みを踏襲しつつさらに便利で安価な運用を可能にしたのが「クラウド電話システム」です。運用を担う装置の設置や接続の方法をビジネスフォンとは大きく変えたことで、「場所を問わない運用ができる」ようになり、まさにこの点が新たな時代にマッチしています。

ここでは、その新たな働き方にマッチした画期的なシステムとしてますます話題を集めている「クラウド電話システム」の仕組み・メリットや導入の注意点を解説していきます。

クラウド電話システムとは?

「クラウド電話」という言葉が近年、特に通信業界でよく知られるようになりました。クラウド電話は、簡単に説明すれば現在も企業向け電話システムとして広く普及している「ビジネスフォン」を改良しより便利かつ安価に運用できるようにしたものです。

大まかな仕組みこそビジネスフォンとほぼ変わりませんが、運用の構造を大きくアレンジしたことで、クラウド電話システムはビジネスフォンと同等の便利な機能を従来よりもはるかに便利で柔軟に運用できるようになりました。

ここでは、ビジネスフォンに代わる新たな電話として話題を集める「クラウド電話」システムについて、どういった仕組みで運用されているのか、どういったメリットがあるのかを解説していきます。また導入の際の注意点も併せて解説しますので、導入を検討されている企業担当者様もぜひ参考にしてみてください。

クラウド電話システムの要「クラウドPBX」とは

「クラウド電話システム」とは何か、大まかにいえば「ビジネスフォンの仕組みをクラウド環境に置き換えたシステム」のことで、世間的には「クラウドPBX」とも呼ばれていますが、ここでは「クラウド電話システムの要=クラウドPBX」としたほうが分かりやすいかもしれません。

クラウド電話システムの中枢を担う「クラウドPBX」とは、文字通りクラウド上にある「PBX」のことです。PBXとは、「Private Branch eXchange」の略で、日本語では「主装置」とか「構内交換機」を意味します。PBXは、従来の企業向け電話システムであるビジネスフォンにも導入されています。

社内に引いているすべての電話回線と、社内に設置されているすべての固定電話機とPBXを相互接続し、PBXが電話回線の割り当て・切り替えを適宜行うことで、外線・内線通話や電話の取次ぎなどの電話業務を成り立たせています。これは、ビジネスフォンでもクラウド電話システムでも変わることはありません。

しかし、ビジネスフォン(オンプレミス型PBX)では、PBX・電話回線・固定電話機をすべて有線で接続しているのに対し、クラウド電話システム(クラウドPBX)では、有線接続だけで無く、電話機や携帯電話・スマートフォンをインターネット回線を通じて無線で接続させせることができます。また、ビジネスフォンでは社内に物理的に設置していたPBXを、クラウド電話システムではクラウド上、つまりインターネット回線上に仮想的に設置することで、その場にPBXがなくとも、ビジネスフォン的な運用を維持しています。

従来型の電話システムと比較したクラウド電話システムのメリット

先ほど、クラウド電話システムの中枢を担うクラウドPBXについて、ビジネスフォンシステムにおけるPBXとの違いを主軸として説明しました。説明した違いの中でも最も大きな意味を持つのが「PBXをクラウド上に設置している」ことです。もっと詳しく言えばクラウドサーバー上にPBXの機能を持たせているのですが、ここでは詳細は省きます。

ともかく、なぜこのPBXをクラウド上に設置することが大きな意味を持つのかというと、システムの中枢をクラウド上に設置することによって、「インターネット回線が繋がる場所であればどこでも運用できる」からです。これから紹介するクラウド電話システムのメリットは、すべてこのメリットから派生しているといっても過言ではありません。「場所の制限を受けない運用」こそが、クラウド電話システムの大きな特徴であり、ビジネス上の電話運用の在り方を大きく変える画期的なシステムと言われるゆえんなのです。

ここでは、クラウド電話システムの代表的なメリットを3つ紹介していきます。以下のメリットを知れば、クラウド電話システムがいかに画期的な電話システムかをご理解いただけるはずです。

コストカットできる

従来のビジネスフォンでは、拠点内にPBXを物理的に設置して、電話機とも有線接続していました。しかも、拠点に設置するPBXやそれに接続する固定電話機はユーザー自身が購入するか、あるいはリースして揃える必要がありました。そのため、PBXや電話機の購入費用および設置工事費用を負担しなければなりませんでした。

PBX1台だけでも数十万~数百万円のコストが普通で、これに加えて数十台~数百台の固定電話機を1台当たり工事費込み2万~5万円でそろえるとなると、それだけで安くとも100万円はゆうに超えるコストがかかるわけです。リースも月額割賦で一度の支払いこそ小さいですが、結局合計額は新品購入以上のコストになります。

その一方で、クラウド電話システムは、こうしたPBXの設置が不要であるばかりか、購入も不要、また設置したPBXにかかる保守管理費用すなわちメンテナンス修理費用も一切が不要です。つまり、規模によっては数百万規模でかかるコストを丸ごとカットできるということなのです。

それだけではありません。クラウド電話システムは対応しているデバイスも幅広く、スマートフォンや携帯電話・タブレット端末・ノートパソコン・デスクトップパソコンなどが対応しているので、社用でそれらをすでに支給していれば、電話機を購入するコストもカットできます

また、「場所の制限を受けない運用」ができるということで、拠点内だけではなく東京や大阪といった離れた拠点同士でも内線を構築できます。従来のビジネスフォンでは拠点内でしか内線が使えないので離れた拠点同士では外線通話をせざるを得ませんでしたが、クラウド電話システムなら拠点間通話も内線で無料にできますし、設定すれば海外拠点とも内線を構築できますので、従来外線で通話料がかかっていた分のコストもカットできます。

更にはベースとなる通話料も安くなっています。電話番号と位置情報が市外局番である程度紐づいている固定電話の場合、発着信地の距離に応じて通話料が加算されていましたが、クラウド電話システムではVoIPといってインターネット回線を利用した通話になるので、通話料は距離に関係なく全国一律で、しかも固定電話の5分の1ほどの通話料で済みます。

このように様々な特性を利用して様々な面でのコストカットができるのが、クラウド電話システムの第一のメリットといえるでしょう。

電話が使いやすくなる

先ほども説明した通り、クラウド電話システムのメリットの根幹は「場所の制限を受けない運用」です。このメリットがあることによって、従来のビジネスフォンの固定電話機と比べると電話の取り回しがより柔軟かつ手軽になり、電話が非常に使いやすくなります。

最もわかりやすいのは「電話の取次ぎ」のシーンでしょう。従来のビジネスフォンでは、電話の取次ぎは担当者が会社内に、かつデスクの前にいる状態でないとできません。もし担当者が外出している場合には取次ぎができないので、内勤など受電者が相手の名前や用件・伝言を承っておき、その伝言を会社に帰社した担当者に直接伝えるか、外線で担当者の携帯電話に連絡しておき、外出先の担当者が帰社後、会社の電話番号を使って相手先に掛けなおす……といったように、あまりにも回りくどく余計な手間と時間と通話料がかかる運用になっていました。

しかしクラウドPBXの場合だと、「場所の制限を受けない運用」 なので、会社にいる内勤者が外出している担当者宛ての電話を受けたとしても、電話にさえ出られる状況であれば、直接担当者のスマホへ電話の取次ぎが可能です。また、手持ちのスマホで会社代表番号が使えますので、折り返す際に会社代表番号を使わないといけない場合でも、わざわざ帰社する必要なく、そのままスマホからかけ直すだけで完結できるのです。

また、どこへでも持ち運べるスマートフォンだけでなく、その時々の都合によってデスクトップパソコン、ノートパソコン、タブレットなど色々な端末で電話を使い分けられるので、より電話を気軽に扱えるようになるでしょう。

より働きやすい環境を構築できる

「場所の制限を受けない運用」と聞いて、察しの良い方は気づかれたかもしれません。

クラウド電話システムを導入すれば、出張や外出などで会社にいなくても会社代表番号で発着信通話できることは先ほども説明した通りです。ということは、極論を言ってしまえば社員全員が在宅勤務であったとしても、自宅から会社用の電話番号を使って問題なく電話業務ができるということです。

少なくとも電話業務に関しては、クラウド電話システムを導入すれば、現在感染拡大防止策として国や自治体が求めている「テレワーク」や「在宅ワーク」導入にも何ら不都合がなくなるわけです。自宅だけではありません。カフェやサテライトオフィス、コワーキングスペース、ワーケーション先など社員それぞれがより働きやすいと感じる環境でのびのびと働くことができるということなのです。

クラウド電話システムを構築する際のポイント・注意点

以上のように驚くべきメリットが沢山あげられるクラウド電話システム。できればすぐにでも導入したいところですが、クラウド電話システムは従来の固定電話とは仕組みや条件などが色々と異なりますし、クラウド電話システムそのものが新しいサービスであることもあって、導入の際には慎重な判断と、使いこなすための適切なプロセスを辿ることが必要です。そのためには、クラウド電話システムを構築する際に意識するべきポイントや注意点をしっかり知っておかねばなりません。

ここでは、クラウド電話システムを構築する際の注意点や、導入の際に意識するべきこと、適切に運用するために備えるべきことなどを解説していきます。

電話番号をそのまま利用できるか

クラウド電話システムを構築するにあたって最初の壁になるのが、「既存の固定電話番号が使えない場合がある」ということです。なぜなら、クラウド電話システムにおいて使われる回線には複数種類があって、その中には利用可能番号が限られたものがあるからです。

クラウド電話システムは電話回線ではなく、インターネット回線を利用した通話システム(VoIP)を用いて運用されています。VoIPの中にはいわゆるIP電話網というものがあり、「050」で始まる電話番号を払い出すサービスもあります。クラウド電話システムには、そうした「050」で始まる番号しか使えないベンダーも存在します。

一方で、従来のビジネスフォンを導入している企業の多くは、「03」や「06」といった市外局番を含む固定電話番号を持っているはずです。こうした番号は「0ABJ型」といいますが、市外局番で大体の場所がわかる固定電話番号は取得にも一定の費用と手間がかかるため、個人ならばともかくとして企業であれば一定の社会的信用にもつながる大切な存在なのです。

しかし、クラウド電話システムを提供するベンダーが「050」番号しか使えなかったらどうでしょうか。クラウド電話システムへの移行を境に、会社代表番号を「050」で始まる番号に変更しなければならなくなります。これは取引先や顧客への周知も大変ですし、その上固定電話番号に担保される社会的信用もまた捨ててしまうことになるのです。

しかし、こうした「0ABJ番号」を使えるクラウド電話システムもあります。基本的に契約するベンダーさえ間違えなければ固定電話番号を失わずに済みますので、契約前に「既存の電話番号を使えるか」は確実に確認しておきましょう

既存の電話システムからの移行に大きなコストがかからないか

これからクラウド電話システムの導入をしようというとき、多くの企業は既存の電話システムからの乗り換えになる場合が多いのではないでしょうか。特に現在、ビジネスフォンを導入している企業の場合には、クラウド電話システムへ移行する際にどのくらいのコストがかかるかを事前に把握・試算しておかないといけません

まず確認するべきは現状の契約についてです。ビジネスフォンの場合、PBX・電話機の購入をしている場合と、リースをしている場合が考えられますが、特にリース契約になっている場合は、残存期間をまず確認しましょう。契約満了前に何も考えずに解約してしまうと、高額な違約金だけでなく、PBXや電話機などの設備にかかる残債分を一括返済しなければなりません。

勿論、できる限り契約満了時に解約するのが理想ですが、もし契約満了前に解約してもトータルコスト的に最適なのであれば、そうした出費を覚悟したうえで解約するべきでしょう。

また、ビジネスフォンの場合は、拠点内に沢山の設備を設置しているはずですが、それを撤去するにも当然ながらお金がかかります。

使い方やルールを社内に周知できるか

クラウド電話システムは、便利であるからこそ、リスクが大きいものです。特に危険なのはデバイスの紛失リスクやセキュリティリスク、あるいは紛失・盗難をきっかけとした機密情報漏洩リスクです。

スマホは指紋認証・顔認証に加えてパスコードを掛けておけばそれなりにリスクは防げますが、PCやタブレットだとその辺りのセキュリティがどうしてもある程度甘くなってしまいますから、色々なリスクに対して十分な対応ができるとは限りません。そうしたデバイスは物理的にきっちりと管理するのが最も安心です。そのためには使用方法やルールをしっかり規定し、どのような範囲でどの程度の時間使うのかを明確に取り決め、社内にしっかり周知するといいでしょう

場合によってはデバイス管理に関して遠隔で機能制限をかけたりデータ消去などの安全策もとれる「MDM(モバイルデバイス管理サービス)」を導入するのもおすすめできます。

クラウド電話システム「ナイセンクラウド」を導入しませんか

ナイセンクラウドは、今導入企業数が大きく伸びているクラウド電話システムです。03や06などの全国の市外局番、050番号やフリーダイヤル(0120・0800番号)に対応しおてり、現在利用中の電話番号をそのまま用いたい際にぴったりのクラウドPBXといえるでしょう。

機能については動画やサービスサイトをご覧ください。

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詳しい料金は自動見積りや個別見積りでご確認ください。内線数に応じたプラン、追加内線数、オプション料とで変更します。

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クラウド電話システムでより便利な電話利用を

クラウド電話システムの仕組みやメリット、システム構築の際の注意点について解説しました。

クラウド電話システムは大幅なコスト削減ができるだけでなく、場所の制限を受けることなく運用できるので、どこにいても会社の番号で電話が出来たり、内線通話ができたりする画期的なシステムです。しかしそれと同時に従来のビジネスフォンとは全く違うデバイスを使った、全く異なる運用方法になるので、使い方をしっかりと見極める必要もあります。

便利なものだからこそ、実際に便利に使っていきたいものです。そのためには、ただ便利なクラウド電話システムをそのまま導入するだけでなく、本記事を参考に色々な情報を取り入れ、限られた環境でより便利に使いこなせるよう工夫していきましょう。