「固定電話恐怖症は甘え」と企業が言っていられない理由。社員の固定電話恐怖症に対して企業ができること
「固定電話恐怖症」という言葉を聞いたことはありませんか。近年若い人たちの間に広がる、固定電話を使うときに限って生じる問題です。
この固定電話恐怖症は、単なる個人の問題ではありません。毎年企業に入社してくる新人社員のうちの少なくない割合がこの固定電話恐怖症であるため、企業の問題でもあるのです。
今回は、「固定電話恐怖症は甘え」と企業が言っていられない理由と、社員の固定電話恐怖症に対して企業ができることについて考えます。
固定電話恐怖症とは?
固定電話恐怖症とは、「固定電話に出る、または出ようとするだけで心身症状をともなう苦痛を感じる」状態のことです。固定電話恐怖症は正式な病名ではありませんが、社交不安障害の一種ではないかと考える人もいます。
固定電話恐怖症の人は、電話が鳴るだけで次のような苦痛を感じると言います。
- 電話が鳴っただけで緊張してしまう
- 相手が分からない電話に出ることが怖い
- いつ掛かってくるか気になって仕事に集中することができない
- 話すだけで精一杯でメモを取る余裕がない
中にはこのような症状に耐えきれず、うつ病を発症したり、退職を余儀なくされたりする人もいます。
固定電話恐怖症まで行かなくても、「突然掛かってきた電話に出ることが怖い」と感じる人は多いのです。
固定電話恐怖症の背景
一体どういった訳でこのような症状を発する人が出てきたのでしょうか。固定電話恐怖症の背景を探ってみましょう。
固定電話のある家庭が減ってきている
近年、固定電話を設置しない家庭が増加しています。固定電話には、通話料が安くなることや、防犯性の高さなどのメリットがあります。しかし、固定電話の設置には面倒な手続きが必要であること、利便性が低いことなど、デメリットも多くあるのです。
スマートフォンや携帯電話が普及したことで、いつでもどこでも連絡を取ることが可能になったことも、固定電話が家庭から減っている要因の1つでしょう。家に固定電話がないのが当たり前、固定電話を使わないのが日常という環境で生活してきたことが固定電話恐怖症の背景にあるのです。
電話の相手が分かった状態で出ることが普通になっている
スマートフォンや携帯電話を普段から利用している人は、着信時に相手の電話番号や登録している名前が画面に表示されるのをご存知でしょう。表示された電話番号や名前を確認して、知り合いからの電話には出る、知らない電話番号なら出ない、と決めている人も多いのではないでしょうか。
個人のスマートフォンや携帯電話であれば、出ないという選択肢もありますが、会社の固定電話ではそうはいきません。「誰からどのような内容の電話が掛かってくるか分からない」ことに、不安や恐怖を感じる人が多くなったことも固定電話恐怖症の背景となっています。
メールやチャットでのコミュニケーションが増えた
メールやチャットによる、テキストでのコミュニケーションが当たり前になっている現在、電話でのやり取りを「時間の無駄」「自分の時間が削られる」「こちらの都合を無視して電話をかけてくることに怒りを覚える」といったように捉える人が出てきました。いつ掛かってくるか分からない電話よりも、自分の都合の良いときに返事を返すことができる、メールやチャットを利用すべきだと主張する人も多くなっています。
このような人々の考え方の変化が、固定電話離れに繋がり、なれない固定電話での対応に不安や恐怖を感じる固定電話恐怖症の要因の1つになっています。
ウェブから予約ができるお店が増えた
固定電話恐怖症の背景として、ウェブでの予約システムを導入するお店が増えたことが挙げられます。ウェブでの予約は24時間受付が可能で、リアルタイムの情報を取得できるなどのメリットが多く、ウェブでの予約をする人の中には、「人と会話をせずに予約ができるから」利用しているという人もいるようです。
ウェブからの予約はとても便利なシステムですが、電話でのコミュニケーションを減らす要因にもなっており、ますます電話でのやり取りに慣れていない人を増やしてしまっています。
クレーマーによるカスタマーハラスメントの問題
会社の固定電話には、さまざまな内容の電話が掛かってきます。中には、電話に出た途端、怒鳴られるといったクレームの電話もあるでしょう。コールセンターやクレーム対応の専門部署、サービスエンジニアなど、顧客と直接話をする業務では、カスタマーハラスメントも問題になっています。
仕事の一環とはいえ、電話に出るたびに不快な思いをすれば、固定電話にネガティブなイメージを持つのは仕方がないことです。このような、固定電話に着信があるたびにストレスを感じる業務が、固定電話恐怖症を増加させている背景にあります。
「固定電話恐怖症は甘え」と企業が言っていられない理由
固定電話恐怖症の急激な増加は、現代を取り巻く状況を鑑みると、単なる「固定電話恐怖症は甘えだ」といった根性論では片づけられないところまで来ているようです。
ここでは、その3つの理由をご紹介します。
固定電話に慣れていない層が今後増えていく
子どものときから自分用のスマートフォンを持っている人が増えています。そのため、今後入社する社員の中には、固定電話に慣れていない人や、固定電話自体を知らない人が増えていくと予想されます。幼い頃から固定電話がない環境で育った人や、固定電話を使う機会の少なかった世代が新人社員として入社してくるからです。
それでも電話業務はなくならない
固定電話は相手の時間を奪うとして、固定電話不要論を論じる人もいます。そのため、固定電話を廃止して、メールやSNS、ウェブサイトを使ってクライアントと連絡を取り合うベンチャー企業も出てきています。
しかし、ある企業が行ったアンケートでは、「仕事には固定電話が必要」だと答えた人が全体の9割にのぼり、今後も電話業務がなくなることはないでしょう。
無理に電話を強制した結果、離職に繋がる恐れがある
近年、入社1年未満の社員が「電話に出られない」という理由で離職することが増えています。「経験を積めばできるようになる」「仕事だから」と電話対応を強制した結果、新人社員が離職してしまった企業も多く、人事担当者の悩みのタネになっているようです。
固定電話恐怖症に対して企業ができること
時代が変わり、「固定電話恐怖症は甘え」と企業が言っていられないことがよく分かりました。
では、固定電話恐怖症に対して企業ができることとは何でしょうか。4つの対策方法を挙げてみます。
入社時に電話の研修を行う
固定電話恐怖症の対策として、入社時に電話応対の研修を行いましょう。固定電話恐怖症は、固定電話に慣れていない、電話応対の仕方が分からないといった経験不足が原因で起こります。事前に電話応対の方法を学び、固定電話に慣れておくことが、固定電話への苦手意識の解消に繋がります。
ナンバーディスプレイを導入する
社内の固定電話をナンバーディスプレイ対応の電話機に交換するという対応方法もあります。事前に着信相手が分かるので、「電話の相手が分からないので怖い」という社員も安心して電話に出ることができます。
すぐに他の電話機に取次げる環境を構築する
内勤の社員が固定電話恐怖症に陥る原因の1つが、電話の取次ぎに関する手順の複雑さです。会社の固定電話に掛かってくる要件は、ほとんどの場合誰かに取次ぐべきものですが、取次ぎの手順を理解し、突然掛かってくる電話の場面で取次ぎ応答をスムーズに行うことは、固定電話自体に慣れていない新人社員でなくても簡単なことではありません。
そこで、顧客や取引先からの電話をできるだけダイレクトに近い形で、事情を1番よく知る担当者に取次げる環境を構築することを考えましょう。こうして、円滑な取次ぎ環境の再構築に成功すれば、電話を受ける社員の手間と要する時間を大幅に削減でき、電話の取次ぎ業務を効率化できます。
もしもに備えて録音機能を
固定電話恐怖症への対策として、電話に録音機能を搭載させることも考えてみましょう。これには、2つの狙いがあります。
◎心理的負担の軽減効果
固定電話恐怖症の人は、受話器を取る前からすでに怯えています。そして、相手の要件を正確に訊いて的確な応答をすることなど、自分にはとてもできないと感じています。このような心理状態で電話に出て上手くいく訳がないことは容易に想像できるでしょう。
大切なことは、固定電話恐怖症者の心理的負担を軽減してあげることです。最近では全通話内容の自動録音機能を用意しているサービスも多いです。録音機能を導入して「もし会話中に頭が真っ白になって相手の言うことが分からなくなってしまっても、全部録音してあるから大丈夫ですよ!」と伝えましょう。
これはもちろん、最悪応答不能の状態に陥った場合における相手方の要件把握にも役に立ちますから、事後の対応に活かすことが可能です。
◎社内モニタリングでの使用
企業に問い合わせの電話をしたときに、「この通話は、製品・サービス向上のため録音させていただきます」というアナウンスを聞いたことがある方も多いでしょう。クレーマー対策に聞こえるため、「そうか、録音されるのならばガンガン言うのはやめた方がいいな」と思わせることでこちらを牽制しているのだと感じられるかもしれません。たしかにそのような意図が含まれる場合もありますが、肝心なことは多くの企業で通話記録を使って社内でモニタリングを行い、今後の電話対策に役立てているという事実です。
固定電話恐怖症が無視できなくなっている今、この録音機能を新人の電話研修に活かすことを考えましょう。固定電話恐怖症者が具体的にどういった相手や場面・内容の時に躓きやすいのかをデータとして把握し、それを改善するためにはどういった手段を採りうるかの戦略を立てるのです。
これにより、今までの新人の電話研修がより現状に合ったものになり、入社直後の早い段階で、少しでも固定電話に対する恐怖心を軽くしてあげることができるのではないでしょうか。
ナイセンクラウドなら誰からの電話かが分かる
「固定電話恐怖症は甘え」と企業が言っていられない現状とその対策の必要性がよくお判りいただけたことでしょう。
では、具体的にあなたの会社ではこれらの対策をどう進めていったらよいのでしょうか。対策を進める上でおすすめのサービスが「ナイセンクラウド」です。
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ナイセンクラウドが持つ多くの機能から、固定電話恐怖症対策に役に立つものをピックアップしてご紹介します。
◎誰からの電話かが分かる
ナイセンクラウドでは、着信時に誰から電話が掛かってきたのかが分かります。ナンバーディスプレイ機能で表示されるのは相手方の電話番号のみですが、ナイセンクラウドでは、相手の氏名や会社名が表示されるのです。そして、どこの電話番号宛てに掛かってきたのかが、宛て名をつけて相手の名と一緒に一覧表示されます。
受話器を取る前の情報把握を可能にしますので、固定電話恐怖症者に予見の時間ができ、対応への余裕を与えてくれるでしょう。
◎自動通話録音機能
設定した電話に関しての全通話を、発着信共に自動録音する機能です。音声データについては2ヶ月が経過するか、1,000件を超えた場合には古い順に削除しますが、ダウンロードが可能です。
固定電話恐怖症者の心理的負担を軽くする効果と、もしもに備えた電話内容の確実な把握に役立つでしょう。
◎モニタリング&ウィスパリング機能
通話中にその内容を他のスタッフが確認し、相手方に聞こえない形で担当者にアドバイスを与えることができる機能です。
固定電話恐怖症の解消に向けた取り組みの1つとして、敢えて新人に電話に向かわせ、サポートしているという安心感を与えながらの実地訓練を積ませることができます。
その他にもナイセンクラウドには様々な機能が搭載されています。固定電話恐怖症への対策だけでなく、電話業務の効率化、コスト削減にも有効です。ぜひ詳細をご確認ください。
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固定電話恐怖症には会社が一緒に立ち向かおう
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