メタル回線の固定電話が廃止に!企業の固定電話環境はどう変わる?

2025年12月18日お知らせ・その他

オフィスの固定電話が、今まさに大きな変革の時を迎えています。長年にわたりビジネスコミュニケーションの基盤であった「メタル回線」を利用した固定電話網が、段階的にIP網へと切り替わっています。この移行は、NTT東日本・西日本によって進められており、特に企業活動においては無視できない大きな影響を及ぼす可能性があります。

「うちは昔ながらの電話を使っているだけだから関係ない」

「FAXが使えなくなるのだろうか?」

「具体的に何をすれば良いのか分からない」

本記事では、こうした疑問や不安を解消するために、メタル回線の廃止(IP網への移行)に関する基礎知識から、企業が今すぐ備えておくべき具体的な対策、そして将来を見据えた新しい通話手段などを紹介します。

 


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メタル回線の固定電話が廃止に!基礎知識から廃止の背景まで

今回の大きな変化を理解するために、まずは「メタル回線」とは何か、そしてなぜ今、その仕組みが変更されるのかなどを紹介します。

 

そもそもメタル回線とは?

メタル回線とは、以前から使われている「銅線」を利用した通信回線の総称です。一般的に「電話線」と呼ばれるものがこれにあたります。このメタル回線を使って、NTT東日本・西日本が提供してきたのが市外局番付きの固定電話番号です。私たちが家庭やオフィスで「固定電話」として利用してきた、いわゆるアナログ電話やISDN回線(INSネット)は、このメタル回線を通じて接続されていました。

インターネットが普及する以前から、音声通話のインフラとして日本全国に張り巡らされ、社会経済活動を支えてきた基幹的なネットワークです。

 

メタル回線の固定電話はなぜ廃止になる?

正確には、メタル回線を使った固定電話サービスが全て即座になくなるわけではありません。今回の大きな変更点は、「PSTN(公衆交換電話網)がIP網へ切り替わる」という点です。

では、なぜPSTNからIP網への移行が必要になったのでしょうか。主な理由は以下の2点です。

 

・設備の老朽化と維持限界

公衆交換電話網を構成する「交換機」と呼ばれる装置の多くは老朽化が進んでおり、部品の製造も終了しているため、2035年ごろには機能の維持が限界に達すると予測されています。この巨大なネットワークを将来にわたって安定的に維持し続けるのが困難になりました。

 

・通信環境の変化と利用者の減少

現代はスマートフォンや携帯電話が急速に普及しました。また、インターネット回線(光ファイバーなど)を利用したIP電話や、チャット、Web会議システムなどのコミュニケーション手段も多様化しています。これにより、公衆交換電話網を利用した固定電話の契約数はピーク時から大幅に減少し、データ通信のトラフィックもPSTNからIP網へと移行しているとされます。

 

こうした背景から、NTT東日本・西日本は、老朽化したPSTNを維持し続けるのではなく、より効率的で将来性のあるIP網へとインフラを刷新する決定を下しました。これが、一般的に「メタル回線の廃止」と呼ばれる動きの真相です。

 

メタル回線の廃止に向けたスケジュール

このPSTNからIP網への移行は、すでに行動計画として進められています。企業担当者として把握しておくべきスケジュールと、移行に伴う変更点を整理します。

 

PSTNからIP網への移行スケジュール

時期 内容
2024年1月~ PSTNからIP網への段階的移行開始・INSネット(ISDN)の「ディジタル通信モード」終了・固定電話(加入電話・INSネット通話モード)のIP網への切替開始
2035年1月(予定) 交換機の維持限界に伴うPSTN完全移行の目安(予定)

 

変更点① INSネット「ディジタル通信モード」の終了

企業にとって最も注意が必要なのが、INSネット(ISDN)の「ディジタル通信モード」が2024年1月でサービスの新規販売が終了しました。現在のサービスも、2028年12月31日をもって終了します。

ディジタル通信モードとは、ISDN回線が持つ機能の一つで、主にデータ通信に利用されてきました。業務でディジタル通信モードを利用していた場合、2029年以降は通信ができなくなります。もし代替策を講じていない場合は、早急な確認と対策(インターネットEDIへの移行など)が必須です。

 

変更点② 通話料金の改定

IP網への移行に伴い、通話料金体系が変更されます。従来のPSTNでは、通話相手までの「距離」に応じて3分単位の料金が変動していました(遠距離ほど高い)。

IP網移行後は、この距離の概念がなくなり、全国の固定電話へ「全国一律3分9.35円(税込)」となります。これは、遠方への通話が多い企業にとってはメリットとなる変更点です。

 

参照:NTTEAST「固定電話(加入電話・INSネット)が廃止?IP網移行の時期と注意点について解説」

https://business.ntt-east.co.jp/content/denwa/tel_column/land-line_abolition/

 

メタル回線の廃止に対して企業が備えておくべきことは?

PSTNからIP網への移行は、全企業に関わるインフラの変更です。特に古い設備を使い続けている企業ほど、影響が大きくなる可能性があります。今、企業が備えておくべきことを具体的に見ていきましょう。

 

自社の通信環境の「現状把握」

まずは、自社がどのような電話回線や機器を利用しているかを正確に把握する作業が不可欠です。

 

1.回線の種類と契約数

・アナログ回線(加入電話)を何回線利用しているか?

・INSネット(ISDN回線)を何回線利用しているか?

・(すでに)光電話やIP電話を利用しているか?

 

2.利用している機器

・PBX(構内交換機)

社内に大型の電話交換機を設置しているか?そのPBXはアナログ回線用か、ISDN回線用か、IP対応か?

・ビジネスフォン

 

3.主装置(電話機を制御する小型の箱)を利用しているか?

・FAX

・G3規格か?(G4 FAXを利用していないか?)

 

4.利用している業務システム:

・EDI(受発注システム)はどの回線を利用しているか?

・POSレジや決済端末はどの回線に接続されているか?

・警備システムやエレベーターの緊急通報装置はどの回線を利用しているか?

 

特に、INSネット(ISDN)を利用している場合、それが「通話モード」なのか「ディジタル通信モード」なのかを明確に区分けするのが最重要です。

 

リース契約や保守契約の確認

PBXやビジネスフォンをリース契約で導入している企業も多いでしょう。「リース満了はいつか?」「現在の機器の保守サポートはいつまでか?」の確認が必要です。PSTN移行のタイミングと、機器の更新タイミングが重なるのであれば、IP網時代に適した新しいシステムへ切り替える絶好の機会となります。

 

メタル回線の固定電話に代わる通話手段は?

PSTNからIP網への移行は、単なるインフラの変更であると同時に、企業の通信環境を根本から見直すチャンスでもあります。旧来のメタル回線に依存したシステムから脱却し、より効率的で柔軟な通話手段を検討しましょう。

代表的な代替手段としては、「光電話(IP電話)」や「スマートフォンの内線化」などがありますが、特に近年、多くの企業から注目を集めているのが「クラウドPBX」です。

 

おすすめはクラウドPBX

クラウドPBXとは、従来オフィス内に設置していたPBX(構内交換機)の機能を、インターネット上のクラウドサーバー経由で利用するサービスです。従来のPBXが「自社で高価な機器を所有・管理する」モデルだったのに対し、クラウドPBXは「サービスとして必要な機能だけを利用する」モデルへと変化します。

 

なぜクラウドPBXがおすすめなのか?

PSTN移行を機にクラウドPBXを導入する企業が増えている背景には、明確なメリットがあります。

 

・PBX(主装置)本体が不要になり、コストを削減

高額なPBX機器の購入費用や、設置工事費といった初期コストが不要です。また、機器を置くスペースが不要になり、オフィスを有効活用できます。機器の老朽化による入れ替えコストや、故障時の保守・メンテナンス費用もかかりません。

 

・スマートフォンを「会社の電話」として利用可能

専用アプリをインストールすれば、社員個人のスマートフォンやPCを、会社の固定電話番号(03番号や06番号など)で発着信できる内線端末として利用できます。「会社にかかってきた電話を、外出先や自宅で受ける」「外出先から、会社の電話番号で取引先に発信する」といった運用が容易になり、テレワークや多様な働き方へ柔軟に対応できます。

 

・拠点の増設やレイアウト変更に強い

従来のPBXでは、オフィスの移転やレイアウト変更、人員の増減のたびに、電話線の配線工事や設定変更が必要でした。クラウドPBXはインターネット環境さえあれば利用できるため、こうした物理的な制約から解放されます。Web上の管理画面から、内線番号の追加や設定変更も簡単に行えます。

 

・IP網への完全対応

クラウドPBXは、もともとIP網(インターネット)を前提としたサービスです。今回のPSTN移行との親和性が非常に高く、スムーズな移行が可能です。

 

もちろん、インターネット回線の品質が通話品質に直結する点や、月額のサービス利用料(ランニングコスト)が発生する点は考慮が必要ですが、それ以上に業務効率化やコスト削減、働き方改革への貢献といったメリットが大きいのが特徴です。

 

まとめ

長年、日本の通信インフラを支えてきたPSTN(公衆交換電話網)からIP網への移行は、すでに始まっています。特に、INSネット(ISDN)の「ディジタル通信モード」を利用していた企業にとっては、2024年1月のサービス終了に伴い、業務継続に関わる重大な影響が出ています。早急な現状確認と対策の実行が求められます。

一方で、アナログ電話やG3 FAXの利用(通話モード)については、IP網移行後も当面は継続利用が可能ですが、これを機に自社の通信環境全体を見直すことをおすすめします。クラウドPBXのような新しい技術を導入することで、コスト削減、業務効率化、そして場所にとらわれない柔軟な働き方を実現できます。

まずは、自社の電話環境がPSTN移行によってどのような影響を受けるのか、その「現状把握」から始めてみてはいかがでしょうか。