電話契約におけるマイナンバーカードによる本人確認の義務化はいつから?マイナカードがない場合は?

お知らせ・その他

電話契約の際には本人確認が行われますが、これまでは主に運転免許証などが使われていました。しかし、今後はマイナンバーカードによる本人確認の義務化が検討されています。いつから義務化されるのか、例外はないのか気になっている人もいるでしょう。また、マイナンバーカードを持っていない人にとっては、対応方法を確認しておきたいところです。

本記事では、電話契約をする際のマイナンバーカードによる本人確認の義務化について全般的に解説していきます。

 

携帯電話の契約時にマイナンバーカードが必要になる?

現状では携帯電話を契約する際の本人確認では、マイナンバーカード以外の身分証明書でも対応可能です。しかし、近いうちにマイナンバーカードによる本人確認が義務化される可能性があります。

では、現在どのような状況なのか、義務化された場合の本人確認の方法なども併せて見ていきましょう。

 

マイナンバーカードでの本人確認の義務化はいつから?

携帯電話の契約の際にマイナンバーカードでの本人確認の義務化が決定されています。

ただし、実施される時期は現時点ではまだ検討段階で、明確には決められていません。2026年度までが目途とされています。

 

対面契約では「ICチップ搭載の本人確認書類」も利用できる方針

義務化後でも、対面の手続きで携帯電話を契約する場合には、必ずしもマイナンバーカードを使用する必要はありません。ただし、ICチップの読み取りは義務化される方針です。そのため、ICチップが搭載されている身分証明書なら、マイナンバーカード以外でも本人確認に使用できます。

例えば、運転免許証やパスポートならICチップが搭載されています。これまで本人確認の際に運転免許証を提示していた人なら、義務化後もあまり困ることはないでしょう。

しかし、健康保険証の場合にはICチップが搭載されていません。マイナンバーカードによる本人確認が義務化されれば、健康保険証は携帯電話契約時の本人確認で使用できなくなります。

 

非対面契約では「マイナンバーカード必須化」の方針

通信会社によっては、携帯電話の契約をWebからの申し込みで完結させることも可能です。その場合、現状では顔写真が入っている身分証明書の画像を撮影して送信する方法が用いられます。

しかし、今後は非対面契約においては、マイナンバーカードでICチップを読み取る方法のみに統一される方針です。そのため非対面契約では、運転免許証やパスポートなどは使用できなくなります。

 

携帯電話契約で「マイナンバーカード」活用が検討されている背景

携帯電話の契約の際に、マイナンバーカード以外の身分証明書での本人確認ができないと不便に感じる人もいるでしょう。そもそもマイナンバーカードの取得は任意です。マイナンバーカードを持っていない人もおり、批判の声も挙がっています。

では、なぜ携帯電話契約でマイナンバーカードによる本人確認の義務化が検討されているのか、主な理由について見ていきましょう。

 

特殊詐欺など犯罪で携帯が利用されるケースが増えたため

ここ数年で、特殊詐欺事件の発生件数が増加傾向にあります。還付金詐欺やキャッシュカード詐欺など手口も巧妙化しており、取り締まりが追いついていないのが実情です。

一方で、そのような特殊詐欺には携帯電話が利用されているケースが多くあります。携帯電話で電話をかけてきて、詐欺の話を持ちかけられるという具合です。

現状でも携帯電話の契約時には本人確認が行われています。そのため、犯罪に携帯電話が使用されていたなら、電話番号から犯人の特定が可能です。しかし本人確認の際に架空の個人情報で身分証明書が偽造されるケースも見られます。そのような場合には、犯人に行き着くことができません。捜査が難航しやすく、特殊詐欺の被害が次々と発生してしまいます。

運転免許証などの身分証明書の場合には、目視で確認しても偽造を見抜けないことも多いです。そのため、偽造されにくいマイナンバーカードを本人確認に使用することが義務化されました。

 

偽造した本人確認書類による契約事例が発生したため

本人確認書類が偽造された契約事例が発生していることも、マイナンバーカードによる本人確認の義務化が検討されている背景にあります。

2024年6月に大阪府八尾市で、市議会議員が「なりすまし」に遭い勝手に機種変更されたという事件が発生しました。SIMスワップという手口で機種変更時に新しいSIMカードを発行してもらい、本人から乗っ取るというものです。新しいSIMカードが発行されると、これまで使用していたSIMカードは使えなくなり、新しいSIMカードを使用したスマートフォンに電話番号が引き継がれるため、本人になりすまして電話を発着信できるというわけです。

この市議会議員は自分名義で勝手にローンが組まれたり、キャッシュレス決済で支払いが行われたりするなどの被害を受けました。自分が持っているスマートフォンが使えなくなったために、携帯ショップに相談して発覚したそうです。

携帯ショップでは、機種変更時に対面でマイナンバーカードを確認して本人確認を行っていました。しかし、目視だけによるものでICチップの読み取りまでは行っていなかったため、偽造品だということには気づかなかったそうです。反対にいえば、ICチップの読み取りを実施していれば、その時点で身分証明書が偽造品だということに気づけた可能性が高いです。そうすれば被害が出ることもなかったでしょう。

 

デジタル行政の推進のため

政府は行政手続のオンライン化を進めています。マイナンバーカードと健康保険証の一体化などもその一環として行われているものです。手続きを効率的に進められ、確実性も高いため、携帯契約の本人確認においてもマイナンバーカードの使用を推奨しています。

 

固定電話の契約でも同様に義務化される可能性はある?

現時点でマイナンバーカードによる本人確認の義務化が検討されているのは、携帯電話の契約に関してのみです。固定電話の契約に関してはまだ検討されていません。もし実施される場合でも、携帯電話より後になる可能性が高いです。

固定電話が犯罪に利用されるケースは携帯電話ほど多くないため、優先度も低いと考えられます。

 

マイナンバーカードを持っていない人はどうすればよい?

マイナンバーカードは国民全員が持っているわけではありません。マイナンバーカードの取得は任意のため、取得していない人もいます。今後、携帯電話契約でマイナンバーカードによる本人確認の義務化が進められた場合はどうすればよいのでしょうか。

まず、もしもマイナンバーカードを取得したくない事情が特にない場合には、これから取得すれば義務化後も問題なく本人確認できます。

一方、どうしても取得したくない場合には、非対面での電話契約はできませんが、対面での契約なら可能です。運転免許証やパスポートなど、ICチップを搭載した身分証明書を用意して、携帯ショップに足を運び対面で契約するしかありません。

しかし、通信会社やプランによってはインターネットでの申し込みのみ受け付けているものもあるでしょう。その場合には、契約できない可能性がありますので注意が必要です。

 

まとめ

電話契約でマイナンバーカードによる本人確認の義務化が検討されているのは、特殊詐欺や身分証明書の偽造などといった犯罪を防ぐ狙いがあります。マイナンバーカードにはICチップが埋め込まれており、これを偽造するのは難しいためです。また、デジタル行政推進のため手続きもスムーズにする目的もあります。

ただし、対面契約の場合には、マイナンバーカード以外でもICチップ搭載の身分証明書で本人確認が可能となる見込みです。そのため、今後マイナンバーカードによる本人確認の義務化が行われた場合でも、マイナンバーカードを持っていない人の電話契約は可能です。

やや面倒に感じられるかもしれませんが、詐欺や乗っ取り、なりすましなどの犯罪を防止するためのものですので、その点を理解しておきましょう。