PBXとは(電話交換機とは)?仕組みや機能、使い方などを解説します
PBXは電話交換機を指し、外線の接続を管理したり、内線同士をつなげたりするシステムのことです。PBXの仕組みを理解することで、自社に最適な製品が選びやすくなるでしょう。本記事では、PBXの概要や主な機能、選び方などをご紹介します。
PBXとは(電話交換機とは)
PBXとは、電話交換機のことを指します。ビジネスにおいて電話を使う際には、PBXなどの主装置を設置することが多いです。この主装置は、外線と内線、または内線同士をつなぐ交換機のことで、構内交換機や電話交換機などとも呼ばれています。ビジネスフォンなど固定電話の回線で使われてきました。
この主装置は、電話番号が1つでも、複数の端末があれば契約した回線分だけ同時に対応が可能です。たとえば、顧客から電話があった際に、1つの電話が通話中だから2人目の電話に出られなかったという事態を防げます。サービスごとに異なりますが、主要回線数は2~数百回線の対応が可能になります。
PBXの主な機能
PBXには、主に以下の機能が搭載されています。
発信/着信の制御
PBXは、発着信の制御が可能です。契約している電話番号を「親番号」、回線がつながっている転送先の電話番号を「子番号」とすることで、発着信の管理が可能になります。この親番号と子番号を紐づけ、必要な電話番号に転送することで、着信が可能です。
発信には、プロバイダの選択についての処理もあります。発信先の電話番号に応じ、自動的に最も通話料の安いプロバイダを選択する機能や、あらかじめ決められたプロバイダを使う機能などが搭載されています。
代表番号着信機能
代表として設定した電話番号に着信があった際に、複数の電話機に振り分けたり、複数の電話機からの発信をすべて代表電話番号のものにすることが可能です。
内線同士での通話
内線同士の通話もPBXで制御します。本来通話料金が発生してしまう違う回線同士をつなげることで、同一の回線とし、基本的に無料で通話ができます。また離れた拠点同士を内線でつなぎたい場合は、それぞれの拠点にあるPBXを回線でつなげることで可能になります。
転送機能
PBXのメイン機能とされるのが転送機能です。転送には主に以下の5種類があります。
・不在転送
不在時に、指定の電話番号に転送する機能です。
・話中転送
電話機が通話中の場合、指定した電話番号に転送する機能です。
・着信選択転送
設定した条件に合った着信だけを転送する機能です。
・応答遅延転送
あらかじめ設定したコール内に応答が無い場合、別の電話番号に転送する
・圏外転送
内線設定したスマホが圏外にある場合、圏内にある電話番号に転送する機能です。
パーク保留
パーク保留は、保留した通話を別の電話で引き継げるようにする機能です。本来、保留した場合は、同じ電話機でしか通話を再開できません。パーク保留機能があれば、別の電話機でも通話を再開することができます。速やかに保留時の通話の再開が可能なため、担当者の負担軽減にもつながるでしょう。
たとえば、営業部宛にかかってきた電話をとった人が内容が分からない場合、一旦保留にします。その部署内で回答できる人がいるか確認します。その時に別部署に回答ができる人がいた場合、別部署の電話機で通話が再開できます。
PBX(電話交換機)とビジネスフォンとの違い
PBXと混同される言葉が「ビジネスフォン」です。ビジネスフォンは家庭用の電話機とは異なり、複数の電話に対応できるのが特徴です。ここでは、PBXとビジネスフォンの違いについてご紹介します。
接続できる電話機の数
1つ目は、接続できる電話数の数です。電話番号が代表番号だけでも、端末が複数あれば契約した回線分だけ同時に対応が可能です。対応する回線の本数は、自社で必要な本数に決められます。たとえば、常にオフィスにいる社員が10名の場合、10回線を導入するなど柔軟に対応ができます。電話応対が多い企業の場合、「いつかけても話し中になっている」という状態が続くと、顧客に不快感を与えてしまいます。しかし、ビジネスフォンであれば、複数の着信が同時にあった場合でも対応することができるようになるでしょう。ただし、ビジネスフォンは、接続可能な電話機数に限りがあります。
一方で、PBXはデジタルの場合であれば、数千台以上を接続可能です。また、複数の拠点をまとめて管理することもできます。そのため、従業員が数十人~数百人規模ならビジネスフォン、それ以上の規模やコールセンターならPBXなど使い分けることが可能です。
接続できる内線・外線の種類
ビジネスフォンでも外線と内線を分けて運用することが可能です。しかし、物理的に別のオフィスにある電話機同士を内線化することはできません。PBXなら、別の場所にある電話機同士でも、内線化することが可能です。さらにスマホも内線化することができます。
安定性
ビジネスフォンは、システムがダウンしてしまうと、電話そのものが使えなくなります。停電があった場合、非常用のバッテリーがあっても数時間しか持ちません。そのため、別途機器を追加するなどの対策を講じる必要があります。
一方、PBXは安定的に使えることを重視しています。停電やシステム障害などでPBXが長時間使えないと、大きな損害につながる場合があるためです。そのため、CPUの二重化などさまざまな工夫が施されているのが特徴です。また停電などに備えてバッテリーを増やすことで、停電用の対策もできます。
PBXの種類
PBXは、大きく以下の3種類に分けることができます。
レガシーPBX
レガシーPBXは、最も古いタイプのPBXです。電話回線を用いて装置や電話機をつなぎ、通話システムの構築を行います。そのため、オフィスのレイアウト変更などを行うと、PBX装置の移動や電話回線の工事が必要であり、他のPBXと比較してコストが高くなりやすいです。ただし、レガシーPBXは、インターネットに接続できなくても、電話システムを継続できるという大きなメリットがあります。
IP-PBX
IP-PBXは「Internet Protocol Private Branch Exchange」の略です。インターネット上で動く構内交換機のことを指します。IP-PBXは、インターネット回線と、対応するIP電話機を結ぶ機能を持っています。
IPネットワークを利用する電話は、国内であれば通話料金が一定になるので、コスト削減につながるのがメリットです。さらに、IP-PBXはパソコンやスマホでも利用できるため、電話の通信を社内LANで統一することができます。複数拠点を内線化することも可能なため、社内通話を無料にできるのも魅力です。
さらにIP-PBXはスマホの内線化も可能です。個人のスマホ端末も内線化できるため、社内端末の購入費用も削減できるでしょう。さらにスマホを内線化することができれば、外出中でもスマホから会社の番号を使って発信や受信ができるようになります。
クラウドPBX
クラウドPBXとは、オフィスにある交換機PBX(Private Branch Exchange)をクラウド化したものを指します。インターネット上で通話環境が構築できるため、物理的な電話機や配線が不要です。そのため、導入コストやランニングコストを抑えることができます。
PBXの選び方
ここでは、自社に適したPBXの選び方についてご紹介します。
コスト
PBXは種類によってコストが大きく異なります。
・レガシーPBX
レガシーPBXは、オフィス内にPBX等を設置する必要があるため、導入時のコストが高くなります。
・IP-PBX
IP-PBXには、ハードウェア型とソフトウェア型があります。ハードウェア型はルーター機能などを備えており、専用の機器を用います。安定した稼働環境が実現でき、セキュリティ面でも安定しています。ただし、導入時にイニシャルコストやハードの交換費用は高めとなります。ソフトウェア型は、導入から利用まで比較的短期で済みます。
・クラウドPBX
イニシャルコストは安価に抑えることができますが、利用規模によってランニングコストが異なります。そのため、大規模企業は他の種類の方が安価に済む可能性があります。
設置
・レガシーPBXとIP-PBX
既存配線があると進めやすいとされています。
・クラウドPBX
既存配線が無くても、問題なく設置できます。設置工事がいらないため、余計なコストをかけずに導入ができます。
自社に適したPBXを選ぶためには、従業員数だけでなく働き方なども把握しておく必要があります。パソコンとスマホを連携したいのか、テレワークの業務の効率化をしたいのかなど、自社の環境に合った判断基準を設けておくことが大切です。
セキュリティ
・レガシーPBX
インターネット接続が無く、専用回線を用いるので安全性が高いのが特徴です。
・IP-PBX
ハードウェア型は安全性が高いのが特徴です。ソフトウェア型は、不特定多数のアクセスが前提になるため、慎重にベンダーを選ぶ必要があります。
・クラウドPBX
クラウドPBXは、インターネット接続が前提です。そのため、セキュリティリスクは最も高くなるため、ベンダーのセキュリティ対策を確認しておきましょう。
PBXについて知ろう
PBXを活用することで、効率的な電話対応ができるようになります。従来の電話対応はオフィスのみでしたが、働き方の多様化によってオフィス外での対応が必要になってきました。そのため、さらなる多様化に向けてPBXを見直さなくてはいけない可能性もあります。従来のPBXを利用している場合も、IP-PBXやクラウドPBXの検討が必要になるケースもあるでしょう。今後PBXの見直しを考えている方は、クラウドPBXなどの導入を検討してみてはいかがでしょうか。