UPS(無停電電源装置)とは?基礎知識をご紹介
UPS(無停電電源装置)は、サーバーやパソコンなどの機器やネットワーク機器など重要なシステムを停電や電源トラブルから守るためのシステムです。もしもの事態が起きたときに、機器やデータを保護する目的で置かれるものですが、概要をあまり知らない方も多いのではないでしょうか。本記事では、UPS(無停電電源装置)の概要や主に利用される場所、優先的につながれる機器、選び方などをご紹介します。
UPSとは
UPS(Uninterruptible Power System)は、無停電電源装置と呼ばれています。停電や電圧変動などの電源トラブルが生じた場合、UPS内部のバッテリーの内部に蓄えられた電気によって、常に安定した電気を供給します。電力の安定化能力が必要な中規模以上のUPSは、孵化装置に対して「定電圧・定周波数」の供給を実現できるとしています。
電源異常の種類には以下のようなものが挙げられます。
・瞬時停電
1秒未満の停電のことで、電力会社の送電線ルートの切り替えなどによって発生します。
・瞬時電圧低下(瞬低)
0.07秒から0.2秒の停電です。落雷、雪害などによるフラッシオーバーなどが起こり、送電線の電圧が降下することで発生します。
・電圧変動
電圧が上昇・降下することです。電圧降下は、電源設備量が小さい場合に、他の大きな電圧を稼働させたときなどに発生するとされています。電圧上昇は、外部の雑音などが原因で発生することが多いと考えられています。
・サージ
一般的な電圧の上昇(過電圧)や過電流全般を指します。雷サージや配電系統の切り替えなどによって発生します。
・ノイズ
電源地形の乱れのことです。落雷や産業機器、発電機、無線機などあらゆる電気機器からも発生します。
UPSが主に利用される場所
電源異常から保護しなくてはいけないものは、オンラインシステムやインターネットデータセンターのような大規模なシステムから、サーバーやパソコンなどの機器まで多岐にわたります。そのため、オフィス、店舗、コールセンターなどさまざまな場所で利用されています。
・オフィス
パソコン、OA機器、ネットワーク機器など
・店舗や遠隔拠点
POS端末、顧客情報端末、パソコン、防犯防災関連機器など
・中核拠点
モニタリングシステム、監視システム、防犯防災システム、ネットワーク機器、基幹システムなど
・コールセンター
パソコン、サーバー類、通信機器など
・データセンター
パソコン、サーバー類、ネットワーク機器、ラック内サーバー、通信環境、空調設備、各種センサー類など
・設備室
通信用設備、空調設備、警報装置、各種センサーなど
どんな機器を優先的につなぐべきなのか
UPSは、「コンセントにつながっているすべての電子機器」につなぐのが理想とされています。しかしUPSには容量があるため、現実的ではありません。また機器の特性により、UPSの接続が推奨されないものもあります。そのため、まずはパソコン周りの機器に限定して優先順を決めるのが一般的です。
優先順位が最も高いのがストレージ系の機器とされています。パソコンや外付けHDD、NASなどです。これらはいきなり電源が断たれると、記憶領域部分の損傷を受ける場合があります。すると、企業にとっては取り返しのつかない事故になる可能性もあるでしょう。
またLANのハブやルーターも対象となります。NAS上のデータをパソコンで読み書きしているケースでも、ハブをUPSにつないでいなければ、ネットワークの経路が遮断されてデータの保存ができなくなってしまいます。ハブそのものが停電で故障しなくても、ネットワーク越しにデータのやり取りを行っている場合は、UPSに接続すべきでしょう。
UPSの必要性
日本では停電や電圧変動などの発生率は比較的低いとされています。しかし、一度発生すると、コンピューターシステムの損傷だけでなく、データの消失を起こす可能性があります。さらに、機器の増設による電圧低下、ブレーカーのトリップ、人為的なミスなどによってトラブルが発生します。UPSはこうしたさまざまなトラブルからコンピューターを守ってくれます。またネットワークの普及によって、電源保護が必要なコンピューターやハブなどの周辺機器も増えています。
UPSがあることで、機器や設備を電源トラブルから守ってくれます。さらに、そのシステムによって稼働する業務やサービスが安定して社会に提供されるようになるとしています。
ただし、接続してはいけない機器もあるとしています。たとえば、レーザープリンタです。レーザープリンタは、ピーク時の消費電力がインクジェットプリンと比べて桁違いに高くなります。1,000Wを超えることも珍しくないため、断続的に大電流が流れればUPSの故障につながる可能性があります。また、コピー機や冷蔵庫、電源ヒーターなども同じ理由で、接続してはいけない機器に設定されています。さらに、メーカーによっては医療機器、究明機器など人命にかかわる負荷機器への電源供給なども禁止しています。無理に接続すると機器だけでなく、UPSの故障につながる可能性もあるため、問題ない機器のみを接続しましょう。
UPSの給電方式
常時インバーター給電方式
インバーターによって常に安定した出力を接続機器へと出力する方式です。通常インバーター回路が常に給電しているため、常時インバーター給電方式と呼ばれています。商用電源で生じることのある電源障害が機器に伝わらず、停電発生時に断時間を発生することなく電力を供給します。さらに連続したインバーター運転が可能なので、バッテリーを増設するだけでバックアップ時間の延長ができます。
パワーマルチプロセッシング方式
商用電源と同期しながら、定電圧・定周波数の安定した正弦波の電力を供給する方式です。従来の方式のように、AC→DC→ACなどの電力変換を行わず、入力電圧の状況に応じて、昇圧変換または降圧変換のいずれか一方のみを動作させます。これにより、出力電圧を補填するため、変換ロスが極めて少なくなるとしています。
パラレルプロセッシング方式
正常時には商用電力をそのまま接続機器へと供給し、双方向インバーターを充電器として制御してバッテリーとして充電します。商用健全時にはアクティブフィルタ運転を行い、無効電流と高調波電流を補償します。停電時には、変換装置がUPS運転となり、バッテリー電力を受けて、負荷に全電力を供給します。この時ACスイッチはオフ状態になり、系統への逆流は防止され、負荷へのみ給電される仕組みです。
ラインインタラクティブ方式
正常氏には交流電力を供給し、万が一に備えて蓄電池を充填しながら待機します。入力電圧の変動を補正し、昇圧や降圧を自動で行う機能と組み合わせます。常時商用給電方式の足りない機能を補う方式です。小型のUPSでは、昇圧、高圧の手段としてトランスの切り替えなどが使用されています。
電圧変動が少なく、電源事情の比較的良い場所で使用されることが多いです。またパソコンやパソコンサーバ、ルーターなどの小電力負荷へ使用されます。
常時商用給電方式
商用電源が正常な場合には、そのまま接続された機器へ給電する方式です。停電が発生すると、蓄電した電力がインバーターによって直流から交流に変換され、出力がインバーター側に切り替えられます。停電が回復すれば、スイッチを切り替えて再び商用電源が供給されます。
この方式は停電しないかぎり、インバーターを運転しないため損失が少ないとされています。またシステム内で変換される直流電流がバッテリーの充電分のみでよいので、常時インバーター給電方式の整流器と比較してコストを抑えられるとしています。
UPSの選び方
UPSにはさまざまな種類がありますが、どのように選定すればいいのでしょうか。ここでは、UPSの3つの選定方法をご紹介します。
給電方式
UPSはさまざまな給電方式があり、用途によって適した方式があるとされています。給電方式ごとの最適な用途は以下といわれています。
給電方式 | 最適な用途 | 特徴 |
常時商用給電方式 | ・ネットワーク
・パソコン ・POS など |
・正弦波出力
・高効率、小型 ・低騒音 ・低コスト |
パワーマルチ
プロセッシング方式 |
・オフィスビジネス
・情報系システム ・基幹系システム ・サーバー ・電子カルテ など |
・高効率
・省エネ ・高品質な電力 ・ノイズ除去 ・高調波電流の抑制 |
パラレル
プロセッシング方式 |
・工場生産設備
・照明設備 ・FAシステム受配電 など |
・高効率
・小型 ・低コスト ・高調波補償 |
常時インバーター
給電方式 |
・公共システム
(交通、防災、 金融、通信) ・半導体製造装置 ・電源安定化 ・ストレージ |
・高品質な電力
・ノイズ除去 ・高調波電流の抑制 |
容量
UPSの容量によって選定する方法です。総容量(VA)および総容量(W)に、それぞれの1.1~1.3倍の余裕率をかけて、各々の算出値より大きい容量のUPSを選びます。
総容量(VA)=VA表記の機器合計容量=W表記の機器合計容量÷力率
総容量(W)=VA表記の機器合計容量×力率=W表記の機器合計容量
力率は接続機器ごとに異なります。
負荷容量とバックアップ時間
UPSは機器ごとに負荷容量とバックアップ時間が異なります。必要な容量とバックアップ時間を確認しておきましょう。
UPSについて知ろう
UPSは停電時など、電源障害が発生した場合に、パソコン安堵に電力を供給することで、業務を継続したり、安全にシャットダウンする時間を稼いでくれたりする装置です。予期できない電源障害が起こった際でも、UPSがあればネットワーク機器の故障や重要データの損失などのトラブルを防げるでしょう。重要なデータを扱い、業務を止められない法人において必須の機器といえるでしょう。ぜひ自社に合ったUPSを見つけて設置してみてはいかがでしょうか。