コールセンターの電話をクラウド化するメリット

電話業務の効率化

日々大量の問い合わせを捌くために多くの企業が導入しているであろう、コールセンターシステム。

従来のコールセンターシステムは大型の交換機と大量の電話回線・データベースを連携させ、施設内にある大量のパソコンや固定電話機を用いて電話応対を行うため、大規模な設備と広いオフィスが必須となります。

しかし近年、急速に電話システムの多様化が進み、「クラウド型コールセンターシステム」という新たなシステムが生まれたことで、従来よりもはるかに効率的かつ低コストでの運用が可能になりました。こうした新たなシステムに興味をお持ちの方も多いはず。

そこで今回は、従来型のコールセンターシステムを「クラウド化」するメリットを中心に、クラウド型コールセンターシステムとはどういったものかを解説していきます。

クラウド型コールセンターシステムの仕組み

企業は取引先や顧客、関連会社など様々な組織と連絡を取り合って経済活動を行います。その中でもBtoCの事業を主体とする企業では、日々ひっきりなしにかかってくる、一般のお客様を含めたあらゆる顧客の大量の問い合わせに対応するため、電話対応専門のコールセンターシステムを構築するのが一般的となっています。

クラウド型コールセンターシステムとは、本来、固定電話回線を構内交換機に繋げて運用していた従来型のコールセンターシステムを文字通り「クラウド化」、つまりシステムをまるっとクラウド環境に置き換えたものです。といってもよくわからないとお思いの方も大勢いらっしゃるはず。そこで、まず従来型のコールセンターシステムの仕組みを解説していきます。

従来のコールセンターシステムは、「電話の通話や発着信を担う電話そのものに関するシステム」と、「データベースや事務処理などコンピュータ周りに関係するシステム」というように、大きく分けて2つのシステムに分かれます。ここではまどろっこしいので、前者を「電話システム」、後者を「コンピュータシステム」と呼んで簡略的に区別することとします。

従来のコールセンターシステムでは、まず「電話システム」を構成するのは「主装置(PBX)」と呼ばれる大型の構内交換機と固定電話回線(外線・内線)、そしてデスクに備わった固定電話機の3つ。例えば従来型の場合、この3つの設備を全て社内に物理的に設置し、全てを相互に有線接続することで成り立っています。具体的にいえば、大型の構内交換機がシステムの頭脳を担い、有線接続によって繋がった電話機や回線を操作するという形です。

例えば、外線から受け取った着信を社内の任意の電話機と繋がるよう割り当てたり、別の電話機へ着信を転送したり、内線で繋がった社内の電話機同士で通話を成立させたりします。

コンピュータシステムは、コールセンターのように大量の顧客からひっきりなしに電話がかかってくる環境での業務を少しでも効率化させるためにコンピュータのデータベースを参照したり、業務時間を管理したりといった業務補助や事務処理を担います。仕組みとしては、コンピュータに入れたソフトウェアを使用することで通話に関する操作をしたり、チャットツールで連携を取ったり、タイムキーパーを操作したりといったように、業務管理も行いつつ、必要な補足情報や顧客データベースを参照しながら通話を受けられるようにするシステムです。

従来のコールセンターシステムとの違い

従来のコールセンターシステムもクラウド型も、「電話システム」と「コンピュータシステム」の2つを連携させて動かす(いわゆる「CTIシステム」)のが一般的となっていますが、従来型とクラウド型では、構造的に大きな違いがあります。その違いがはっきりしているのは、「電話システム」の方で、「コンピュータシステム」には目立った違いがありません。

クラウド型コールセンターシステムの「電話システム」は、従来型と違って、主装置を社内に設置する必要がありません。その代わりに、クラウド環境上(インターネット回線上)に設置します。クラウド環境とは、インターネットに接続することで所定のサービスを受けられる環境のことで、インターネットさえ接続できればどこからでもアクセスできます。

そのため、クラウド環境にある主装置と手持ちの電話機も、インターネット回線を介して接続します。そして、通話に利用する電話機も固定電話機ではなく、スマートフォン等の持ち運べるデバイスや、CTIシステムで連携させているデスクトップパソコンやノートパソコンを用いての運用が一般的となっています。固定電話機を用いる場合もありますが、インターネット回線での通話(VoIP)が前提のシステムのため、従来型の固定電話機ではなく据え置き型のIP電話機を用います。

このように色々と違いがありますが、従来型とクラウド型の最も大きな違いは、従来型は「会社など拠点と固定されたシステム」であり、クラウド型は「会社など拠点に縛られない持ち運べるシステム」であるということです。コールセンターの場合、一般に移動は少ないので、拠点に縛られるかどうかは一見あまり変わらないように思えますが、実は非常に大きいメリットが沢山あるのです。

コールセンターの電話をクラウド化するメリット

では、コールセンターの電話システムをクラウド化するメリットを解説していきます。

コスト削減

運用において様々な面でコスト削減ができることは、コールセンターシステムの「クラウド化」の大きなメリットの1つです。

クラウド型コールセンターシステムでは、先程から重ねて説明している通り、物理的設備の設置が不要です。正しくは、クラウド環境上に主装置などの専門的設備は設置されてはいますが、そうした設備をユーザー自身が用意し設定する必要はなく、設備の用意や環境構築に関してはすべてベンダー側に任せることができます。

従来型は主装置や固定電話機といった設備を購入・リースで用意し、設置や配線にかかる工事も必要になるので、その分の費用がかかるのです。対してクラウド型は、主装置の購入も工事も不要なので、そうした費用がかかりません

また、通話料金に関しても大きく削減が可能です。

従来型は1つの拠点につき1つのコールセンターシステムが独立して設置されているので、別拠点との連絡は外線になってしまいます。それに対してクラウド型では、クラウド環境というハブを介してあらゆる拠点のコールセンターシステムが1つにまとまって繋がることができますので、別拠点が全国どこにあっても、別拠点との連絡が内線で行えます。「塵も積もれば何とやら」というように、この差は非常に大きく、内線に出来る通話はすべて内線に変えることで、通話料金の大幅削減に繋がります。

クラウド型はインターネット回線を利用したいわゆるIP電話による通話を行いますが、IP電話の場合、ベースとなる通話料金も固定電話回線に比べ大幅に安くなります。なお、固定電話回線の場合、発信先との物理的な距離や時間帯によって料金が細かく変動し、地域が遠ければ遠いほど通話料金は高くなっていく仕様になっていますが、IP電話では全国一律の料金が設定されており、かつ固定電話での通話料金の3分の1~5分の1ほどの料金となっています。

インターネット環境があればどこからでも使える

クラウド型コールセンターシステムは主装置がクラウド環境にあるので、場所に縛られることがありません。クラウド環境は先述の通りインターネット環境があればどこからでも使える環境を意味する言葉なので、文字通り場所に関係なく運用できます。

コールセンターではあまり意味がないようにも思えますが、コスト削減のところでも説明した通り、場所に関係なくあらゆるデバイスが1つのシステム上で繋がりあえるということですから、意義は非常に大きいです。なぜかというと、場所に関係なく連携して運用ができるということは、1つのオフィスにオペレーターが集まる必要がないということでもあるからです。

クラウド型では「電話システム」もインターネット環境があればどこからでも使えますし、「コンピュータシステム」との連携(CTIシステム)もクラウド環境を通して同期できるので、例えばオペレーター全員を在宅勤務にすることも可能です。そのため、コロナ禍において大きく叫ばれたテレワークやサテライトオフィスをコールセンターでも導入できるということでもありますし、大規模な物理的設備が不要な分、従来のような広いオフィスの設置や維持が不要になるというメリットもあります。

電話対応件数を増やせる

このように、1つの拠点に人員を集める必要がなく、全国の拠点が1つのシステムで繋がれるというメリットを活かすことによって、従来よりも電話対応件数を大幅に増やすことが可能になります。それは、別拠点と協力しての対応が可能であることや、予算の限界を除けば人員リソース的にも限界がないことを意味します。また、クラウド型では1つの主装置で数千台規模のデバイスを遠隔的に一元管理できますので、繁忙期にオフィスの席が足りなくても、複数拠点が連携する・業務委託を活用するなどの方法でオペレーター人員を増やして対応できます。

席数の変動にも対応できる

主装置の設置や保守管理が不要なクラウド型のコールセンターシステムの場合、契約回線数の変動にも非常に柔軟に対応できます。

従来型の場合、社内に設置した主装置と接続可能な数以上の電話機の設置が必要になった場合、機器の増設などでまた新たな工事が必要になってしまうので、成長に合わせて莫大なお金や手間がかかってしまうことになります。反対にクラウド型の場合では、主装置はクラウド上にあり有線接続も不要であり、主装置側の物理的な設定をユーザー側で行わなくていいので、柔軟に契約回線数を変更できます。

また、オフィスで運用している場合に席数の変動が起きた場合や、席替えが発生した場合でも、システム自体が場所に縛られないので、席の増減だけでなく席の変更をしたとしても面倒な工事や設定作業が必要ありません。そのため、席替えもレイアウト変更にも手間がかかりませんし、いっそ席やデスクの指定を取っ払って、フリーアドレス制に移行することも可能です。

クラウドシステムの選び方

クラウド型には従来型と利用条件の違いがあるだけでなく、サービスを提供するベンダーによって機能の内容や質が異なるなどの問題もあります。そのため、不用意に契約してしまうと、思っていた機能が使えなかったりトラブルが起きてしまうリスクもあります。

ここからは、クラウド型コールセンターシステムを契約する上で、ベンダー選びにおいて意識するべきポイントを解説していきます。

インターフェースは使いやすいか

クラウド型コールセンターシステムは、据え置き型の電話機だけでなく、パソコンやスマートフォンなど色々な端末を利用しての運用が可能です。しかし、契約するベンダーによって利用するインターフェースは異なるため、実質的に利用できる端末が限られたり、操作性が悪かったりする可能性もあります。

例えば、多くのベンダーではパソコンやスマートフォンに「ソフトフォン」と呼ばれるソフトウェアをインストールすることで通話ができるようになりますが、使用するソフトフォンの種類が違えば使い勝手も大きく異なるので、ベンダー選びを間違えると相性が悪く使い物にならないリスクもあるのです。

インターフェースが使いやすいか、自社の環境とマッチしているかということは、ベンダー側の担当者は勿論、社内のシステム管理者ともよく話し合って、念入りに確認する必要があります

CTIシステムの機能は必要か

前述したように、一般的にコールセンターシステムは、「CTIシステム」というシステムを利用して、電話システムとコンピュータシステムを連動させる形になっており、クラウド型コールセンターシステムにもクラウド型CTIシステムというものを使うことで連携できます。

CTIシステムの主な役割は、特定のオペレーターに負担がかからないよう電話の割り振りを均等に行ったり、IVR(自動音声応答システム)などの機能を必要に応じて使ったり、応答率や通話時間などオペレーターの稼働状況を一元管理したりといった、業務効率改善や業務管理には欠かせない役割を担っています。

ただし、クラウド型のコールセンターシステムは年々便利になってきていて、「電話システム」だけでもIVRが使えたり、自動通話録音ができたり、鳴らし分けや着信デバイスの切り替えなども自由に行えたり、オペレーターの稼働状況を一元管理したりといったことができるので、運用規模や使いたい機能によってはCTIシステムを導入せずとも運用できる場合もあります。

例えばコンシューマ(一般消費者)向けのコールセンターなど、頻繁に自社サーバーに保存されたデータベースを呼び出す必要があったり、SFA(営業支援ツール)との連携が必須であれば別ですが、自社社員専用のコールセンターなど限られた人たちとしか応対しないコールセンターであれば、クラウド型の「電話システム」だけでも済むかもしれません。

以上の理由から、本当にCTIシステムが必要かを契約前にしっかりと検討するべきです。

セキュリティ対策はどうなっているか

クラウド型コールセンターシステムを利用する上で最も注意しなければならないのは、セキュリティ対策でしょう。

なぜなら、細かい説明はここでは省きますが、アナログな固定電話回線よりもデジタルのインターネット回線のほうが、物理的回線よりも無線のほうが、セキュリティ的にはどうしても弱くなってしまうからです。特にクラウド環境のセキュリティ対策はユーザー側で対策が出来ないので、ベンダー側で対策が施されていなければ個人情報流出のリスクが計り知れないものとなってしまいます。

そのため、例えばデータの暗号化を行っているとか、スマホでの運用の際にプロファイルやクライアント証明書を用意しているなど、対策を行っているベンダーを選ぶことをおすすめします。

また、ベンダーが気をつけていてもユーザー側の利用状況によってセキュリティが不正に破られるリスクもあります。特に「BYOD(社員の私用スマホを仕事用に使うこと)」を導入している場合には、仕事外の利用アプリについてもウイルス対策やスパイウェア・マルウェア対策を行っておく必要がありますので、社内でしっかりと利用ルールを定めてセキュリティ対策を指導・周知することが求められます。

サポート対応はどうか

クラウド型コールセンターシステムは、「ベンダーによってサービス品質が異なる」ことも問題です。機能面や環境面は勿論のこと、いざ不具合やトラブルが起きた場合のサポート対応についてもベンダーによって大きな差があります。

これについては契約前から、問い合わせの応対の質を自社の担当者に見極めさせることが重要になってきます。問い合わせをした際に的確な答えが丁寧かつ迅速に得られるかどうか、対応が杜撰だったり態度が横柄だったりしないか、そうした契約前の普段の対応からも、サポート対応の差というものが見えてきます。普段の対応がしっかりしていないベンダーは、いざトラブルが起きた際の対応もいい加減で杜撰な場合が多いもの。

特にクラウド型は従来型とは違った環境的な要因でのトラブルが発生するリスクがあるので、そうしたユーザー側が詳しくない要因でのトラブルが起きた時、ベンダーが迅速かつ丁寧にサポートしてくれるかどうかはとても重要です。できれば契約前にきめ細やかなサポートが行われているかをしっかり見極めるようにしましょう。

クラウド型コールセンターシステムの料金目安

クラウド型コールセンターシステムにかかる料金を最後に見ていきましょう。

クラウド型コールセンターシステムの初期費用の相場は数万円〜数十万円程度となっています。それに対して従来型のコールセンターのように大規模な主装置の購入が必要になる場合では、主装置の購入だけでも数百万円はかかってしまいます。また、サーバー購入費や固定電話機の購入・工事費なども別途かかります。

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コールセンターの電話をクラウド化しよう!

以上、コールセンターの電話のクラウド化について、従来型のコールセンターシステムと比較しながら、その仕組みやメリット、コールセンターシステムの選び方までを網羅的に解説しました。

セキュリティ対策がされたベンダーを中心に、クラウド型コールセンターシステム導入の検討を進めてみてください。