iPhoneで会社の内線・外線が使える?クラウドPBXのメリット

電話業務の効率化

組織内で多くの部署を持ち、部署間の連携を重要視する企業にとって、「内線」というのは欠かせないものとなっています。また、顧客や取引先をはじめ社外からの「外線」を受け付けることもまた大事であり、その外線・内線を同時に使えるようにした仕組みが、従来から多くの企業で取り入れられている「ビジネスフォン」という仕組みです。

しかし、従来型のビジネスフォンでは、内線というのは名前通り会社内でしか使えませんでしたし、固定電話機を通してしか使えないのが普通でした。もし、そのビジネスフォンの仕組みはそのままに、どこへでも持っていけるiPhoneで社外から内線が使えたら……と一度は思ったことのあるビジネスマンも多いのではないでしょうか。それは実は、「クラウドPBX」を取り入れることで実現可能なのです。

今回は、iPhoneで会社の外線・内線が使える「クラウドPBX」について、その仕組みやメリットを解説していきます。またiPhoneとクラウドPBXを組み合わせて会社の外線・内線を使うために必要な、おすすめのアプリケーション(ソフトフォン)も併せて紹介しますので、導入の参考にしてみてください。

iPhoneなどのスマホで会社の内線・外線が利用できるクラウドPBXとは?

「クラウドPBX」という言葉が近年急速に知られるようになってきました。クラウドPBXとは、簡単に説明すると、現在も企業向け電話システムとして一般的となっている「ビジネスフォン」の仕組みを、クラウド環境に移し替えたものです。

大まかな仕組みはビジネスフォンをベースにしていますが、その仕組みをクラウド化することによって、従来のビジネスフォンよりもはるかに便利で柔軟に運用できるようにした仕組みこそ「クラウドPBX」です。

ここでは、ビジネスフォンに代わる新たな企業向け電話システムとして話題の「クラウドPBX」の仕組みとメリット、クラウドPBXに対応している端末の例を解説していきます。

クラウドPBXの仕組み

「クラウドPBX」とは、文字通りクラウド上にある「PBX」を意味する言葉です。PBXは「Private Branch eXchange」の略で、日本語では「主装置」とか「構内交換機」などと呼ばれる、電話機と電話回線を一元管理する機械を指します。

このPBXは、従来の企業向け電話システムであるビジネスフォンにおいても、システムの中枢として機能しているものです。PBX、すなわち主装置を社内に物理的に設置したうえで、社内に引いている電話回線と、社内に設置しているすべての固定電話機と有線で相互に接続することで、ビジネスフォンの仕組みが成り立っています。

具体的には、主装置が接続されている電話回線への着信について、同じく主装置に接続されている固定電話機に対して適宜割り当てや切り替えを行うことで、社内の電話機を用いた外線・内線通話や、電話の取次ぎなど、ビジネスマンが普段何気なく行っている電話業務を成り立たせています。

この仕組み自体は、クラウドPBXもその多くを踏襲しています。特に、主装置(PBX)を用いて回線と電話機を一元管理するという仕組みは、ビジネスフォンそのままです。しかし、冒頭でも説明した通り、クラウドPBXはその仕組みを「クラウド化」しています。

具体的にどういうことかというと、システムの中枢となる主装置を、物理的に社内に設置せず、インターネット回線上すなわちクラウド上に仮想的に設置するという形をとっており、そのクラウド上の主装置と、iPhoneなどのスマートフォンや携帯電話を、インターネット回線を介して相互に接続しているのがクラウドPBXの構造です

クラウドPBXのメリット

以上に説明したビジネスフォンとクラウドPBXの仕組みの違いの中で最も重要なのは「クラウドPBXでは、主装置を社内に設置せず、クラウド上に設置している」ということです。

そして、クラウドPBXは、主装置をクラウド上に設置することによって、「インターネット回線さえ繋がれば、どこでも場所の制限なく運用できる」という、従来からは考えられなかったメリットを獲得することになります。クラウドPBXのすべてのメリットは、このメリットから派生しているといっても過言ではありません。なぜかと言えば、「場所の制限なく運用できる」というのは、まさに「社内という特定の場所に縛られて運用される」従来のビジネスフォンとは対極にあるからです。

ビジネスフォンには、複数の電話機で同時に同じ会社の電話番号宛ての着信に応対できる機能や、かかってきた着信を他の部署に取り次ぐ保留転送機能、社内の固定電話機同士での通話を可能にする内線通話機能が搭載されていますが、そのいずれも会社内でしか使えません。それは、ビジネスフォンの仕組みを成立している設備がすべて会社内に物理的に設置されており、移動することもできないようになっているからです。

それに対してクラウドPBXは、それらの機能のすべてを手持ちのiPhoneなどのスマートフォンで使えるというのがすべてメリットとして働きます。たとえば、社外でも会社代表番号での通話が可能であることや、内線を使用可能であること、拠点を問わずに遠く離れた海外の社員とも内線通話が可能であることなどです。

つまりクラウドPBXは、どこからでもインターネット回線経由でアクセスできるクラウド上の主装置と、どこへでも持ち運べるiPhoneなどのスマートフォンを利用したまさに「移動可能なビジネスフォン」なのです。

クラウドPBXを利用できる端末例

クラウドPBXのメリットの1つでもありますが、クラウドPBXには「多様な端末に対応している」という特徴があります。たとえばビジネスフォンの場合では、固定電話機にしか対応しておらず、しかも主装置に対応した純正の固定電話機でしか電話が出来ないという制限がありましたが、クラウドPBXでは多様な端末、しかもすでに社用で配布されていてもおかしくないような端末にも対応していますので、かなり柔軟に運用が可能です。

クラウドPBXに対応している端末は、iPhoneをはじめとしたスマートフォンや、従来型のガラケー(フィーチャーフォン)など携帯電話は勿論、iPod touchやiPad、タブレット端末などモバイルデータ通信機能のない端末でもWi-Fiでネット接続することでクラウドPBXを用いた通話ができます。

また、VoIPと呼ばれるインターネットプロトコルを用いた通話に対応した据え置き型の電話機「SIPフォン」にも対応しているので、より従来型のビジネスフォンに近い形での運用をオフィスに構築することも可能です。SIPフォンとはいわゆる「IP電話機」の一種で、上記のようなハードウェアベースのSIPフォンとは別に、パソコンにインストールして使うソフトウェアベースのSIPフォンもあります。

そうしたソフトウェアベースのSIPフォンは「ソフトフォン」とも呼ばれますが、そうしたアプリケーションをパソコンにインストールしたうえで、パソコンにヘッドセットマイクとサウンドカードを取りつけて使用します。こうした方法をとれば、社内に備え付けのデスクトップパソコンや、社員用に配布されていることも多いノートパソコンでもクラウドPBXを用いた通話に対応できるのです。

iPhoneに対応したクラウドPBXを選ぶべき理由

このように、多種多様な端末で利用できる柔軟性の高いクラウドPBXではありますが、その中でも最も機能的に運用できる、端末としての取り合わせ的にも最も相性がいいのは「iPhoneに対応したクラウドPBX」です。より正確に言えば、この日本という国で運用するという条件においては、「iPhoneとクラウドPBXを組み合わせるのが最もおすすめである」ということです。それはいったいなぜなのでしょうか。

そこで、ここからは、クラウドPBXを導入する際になぜiPhoneに対応したクラウドPBXを選ぶべきなのか、その理由を解説していきます。

社用携帯にiPhoneを採用している企業が多い

まず真っ先に挙げられる理由としては、社用携帯にiPhoneを採用している企業が多いということです。日本では多くの企業が社用携帯として社員にスマートフォンを持たせていますが、社用携帯として最も人気なのはiPhoneです。

その理由は色々ありますが、結局は「安定した電話運用に際し何かと都合がいい」のがiPhoneだというのが明確な理由として挙げられるでしょうか。iPhoneであればスマートフォン本体を動かすOS(オペレーティングシステム)と、ハードウェアであるiPhoneを同じ会社で作っているので、動作の安定性が抜群に高いことが知られているというのが、やはり非常に大きいでしょう。

また、iPhoneであれば数年でバージョンアップに対応しなくなるAndroidと違い、何年も前の古い機種でもセキュリティ対策が施された最新バージョンのOSが入れられるという点も、長く使い続ける社用携帯としては非常に都合が良いのです。

そして、企業の社用携帯は社員向けに社内オリジナルのアプリケーションを入れることが多く、そうした社内限定のアプリを最初からiPhoneで運用することを前提として開発したほうが何かと都合がよい、という側面もあるでしょう。さらに言えば、操作性が直感的でシンプルなiPhoneという機種が合理性を追求するビジネスシーンに合っているということも付け加えられるかもしれません。

以上のような理由からも、社用携帯として人気の高いiPhoneとクラウドPBXを組み合わせたほうが、より長く安定した電話運用が可能になる見込みがある、といえるのではないでしょうか。

日本では個人のスマホはiPhoneが多い

そして、企業でもiPhoneの導入率が高いという事実は、日本では個人のスマホもiPhoneを使っている人が多いという事実とも大きく関係していることは間違いありません。

日本では、スマートフォン黎明期からiPhoneの人気が高く、一時期はAndroidに比べて非常に高いシェアを見せていた時代もありました。日本でiPhoneがAndroidにシェアを抜かれたのは1年少々とわずかな期間のことで、今現在では再びiPhoneが巻き返し、60%近いシェアを獲得しています。

世界とは真逆ともいえる日本のiPhone人気は、日本の企業活動にも当然ながら影響を与えます。もともと「みんな一緒」の同調性が国民性となっている日本において、メーカーごとに細かく使い方が異なるAndroidは性に合わないということもあるでしょうし、社用携帯の使い方のマニュアルを作る際にも、プライベートでいつも使っている社員の割合が高いiPhoneに一本化したほうが、別途教育の手間や費用が省けて、はるかに合理的です。

元々新たなシステムに対する抵抗感があるのも、良くも悪くも保守的な日本企業の特徴ですから、クラウドPBXを導入するにあたっても、より社員みんなが使いやすく、マニュアル化しやすい機種を採用する方がよりスムーズに導入が進むはずです。

クラウドPBXと併用すべきiPhone対応ソフトフォンアプリ

クラウドPBXを導入するにあたってはiPhoneが最も組み合わせとして優れている理由を知っていただいたところで、より深いところへ踏み込んでいきましょう。

iPhoneでクラウドPBXを使用する上で必要になってくるのが、先ほども少し触れたソフトウェアベースのSIPフォン、いわゆる「ソフトフォン」と呼ばれるアプリケーションです。何故なら、クラウドPBXは電話回線ではなくインターネット回線を使った通話(VoIP)を使って通話をするシステムだからです。

ここでは、クラウドPBXと併用するべきおすすめのソフトフォンアプリを紹介します。

ソフトフォンアプリとは?

通常のiPhoneであれば、大手キャリアと通信契約をしてSIMカードを差し込めば通話が可能ですが、それは電話回線を使った電話の話。クラウドPBXの場合はVoIP、インターネット回線を使った通話なので、クラウドPBXを提供するベンダーと契約して、iPhoneを用意した、ただそれだけでは通話はできません。多くの場合、iPhoneを使ってVoIPが使えるようにするために、ベンダーから指定のアプリケーションのインストールを求められます。それが「ソフトフォン」と呼ばれるアプリケーションです。

ソフトフォンという特殊なアプリをインストールすることで、そのアプリの利用中に関しては通信設定が切り替わり、クラウドPBXのようにインターネット回線を介した通話が可能になります。

iPhone対応ソフトフォンアプリ

ソフトフォンには色々な種類がありますが、基本的にはiPhoneに対応したものを選べば間違いないですし、iPhoneに対応していなければそもそも使えません。ここからは、おすすめかつ代表的なiPhoneに対応したソフトフォンアプリを4つ紹介し、それぞれの特徴を解説していきます。

Groundwire

Acrobits社の「Groundwire(グラウンドワイヤ)」は、特にBtoBでの運用に特化したソフトフォンアプリです。機密情報を多数扱うBtoB用途にも合うよう、通話の際に軍事グレードの暗号化を実現してくれます。また、事前にある程度のプロバイダ向けの通信設定が最初から登録されているので、クラウドPBXの使用している回線を選択していけば自動で通信設定を行ってくれます。

また、プッシュ通知から通話に出られるように設定されているなど、スマートフォンのシステムを動かしている「OS(オペレーティングシステム)」との相性を高めているので、特にスマートフォンで操作する場合において通話操作がしやすくなっています。スマホはiPhoneは勿論、Androidにも対応しています。

ちなみにGroundwireは有料かつ買い切りのアプリとなっていて、インストールする前に1,000円程度かかります。ちなみに月額制のサブスクリプション形式ではなく、課金は一度だけなのでお得です。

Acrobits Softphone

「Acrobits Softphone(アクロビッツ・ソフトフォン)」は、前述のGroundwireと同じAcrobits社開発のソフトフォンアプリです。

もともとiPhone専用アプリだったこともあり、iPhone公式のフレームワーク「Call Kit」への対応を強みとしています。これによって、iPhone純正の連絡帳アプリから通話を始められたり、着信が来るとプッシュ通知が来て、その通知から電話に出ることも可能です。また、Bluetoothヘッドセットにも対応していてハンズフリー通話も可能ですし、通話録音機能もついているなど便利な機能でいっぱいです。

ちなみに、現在ではAndroidにも対応しています。

Zoiper

「Zoiper(ゾイパー)」は、ソフトフォンアプリの中でも最も対応機種やOSが幅広いアプリケーションで、「マルチプラットフォーム」とも呼ばれています。iPhoneに対応しているのは勿論、Androidスマートフォンや、パソコン(Windows・Mac・Linux)にも対応しています。

対応機種が多いだけあって知名度が高く、100万ダウンロードを突破した著名なアプリでもありますが、ソフトフォンアプリの中でも消費電力量の少なさでも知られています。

Zoiperアプリ自体は無料ですが、プランとしてはFree(無償版)とBiz(有償版)の2つがあり、有償版限定機能には、企業での電話運用に役立つ保留転送や会議通話、複数外線の登録機能などがあります。

Grandstream Wave

「Grandstream Wave(グランドストリーム・ウェーブ)」はiPhone対応のソフトフォンの中でも、設定の自由度が高いことで知られています。

夜間など、電話に出れない時間帯に電話がかからないようにできたり、どうしても発生しがちな通話音質における端末の個体差をなくすため、スピーカーやマイクのゲインを細かく設定できたり、リアルタイムで通話に使用するネットワークを、3G/4G/Wi-Fiなどから選べる機能があったりと非常に便利です。

iPhoneに対応したクラウドPBXなら「ナイセンクラウド」

ナイセンクラウドは、iPhoneはもちろん、その他スマホやガラケー、パソコン、電話機、iPodなどに対応したクラウドPBXです。03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800のフリーダイヤルに対応しています。

詳しい機能については次の動画やサービスサイトをご覧ください。

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iPhone対応のクラウドPBXを導入してみましょう

iPhoneで会社の外線・内線が使える「クラウドPBX」の仕組みやメリット、クラウドPBXと組み合わせて使えるおすすめのiPhone対応「ソフトフォンアプリ」についても解説しました。

日本では企業でも個人でも人気のあるiPhoneは、扱いやすいシンプルな操作性と、動作の安定性に定評があり、Androidより圧倒的に長いバージョンアップ保証も人気です。周りに使っている人が多いという安心感もありますので、社用携帯としてまだスマホを導入していない場合には、iPhoneを検討してみてはいかがでしょうか。

そして、どうせiPhoneを社用携帯として導入するのなら、そのままiPhoneにも対応したクラウドPBXも導入してしまえば、外出先でも内線が使えるなどメリットがいっぱいです。ぜひ導入を検討してみてくださいね。

iPhoneを内線化すると、同じ会社やグループで働く社員全員と内線ネットワークで相互接続することになります。これは便利ではありますが、持ち運びや使用の際にしっかりとしたセキュリティ意識をもっていないと、場合によってはチーム全体に迷惑がかかってしまいかねません。

iPhoneを内線化して使用することはとても便利です。便利であるからこそ、それを使う人間が思わぬ失敗をしてしまわないよう、しっかりと組織内でルール決めを行い、ルールをしっかり周知することが必須といえるでしょう。

クラウドPBXに関しては他の記事でも様々な情報を紹介していますので、ぜひ他の記事も読んでみてくださいね。