企業に求められるBCP(事業継続計画)。最初の対策として最適なものは?

2020年10月28日電話業務の効率化

2020年現在、企業は新型コロナウイルスの大流行により、想定外の対応に追われています。そのような中、ビジネスの世界で改めて注目を集めている言葉があります。それは「BCP(事業継続計画)」です。BCP(事業継続計画)は東日本大震災が発生した際にも注目されたものですが、コロナウイルスによる未曾有の危機に際し、その重要性が再認識されはじめているのです。

今回は、BCP(事業継続計画)の概要とその対策として最適な手段についてご紹介します。

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BCP(事業継続計画)とは?

BCP(事業継続計画)とは何か、また、BCP(事業継続計画)が必要とされている背景について説明します。

BCP(事業継続計画)の定義

BCP(事業継続計画, Business Continuity Plan)は、企業が自然災害や感染症、事件事故、テロ、戦争などの非常事態に遭遇してしまったときのために事前に計画しておく対策です。人員や設備などの資産の損害を最小限に抑えながら中核事業の稼働を維持し、中断してしまった事業も早期に復旧できるようにすることを目的として策定します。内容としては、平時に行うべき事項や緊急時の事業継続方法などで、平時の段階であらかじめ取り決めておきます。

非常時にも事業継続を可能にするための対策活動は「BCM(事業継続マネジメント, Business Continuity Management)」と呼ばれ、組織経営上の高度な戦略として位置付けられます。このBCMではリスクに対する管理体制をPDCA(Plan 計画、Do 実行、Check 評価、Act 改善)サイクルで回していきますが、そのPlanの部分がBCP(事業継続計画)に当たります

BCP(事業継続計画)が必要とされる背景

非常事態は唐突にやってきます。例えば今回のコロナ禍では、外出や渡航の禁止から経済活動が停滞することによって、企業の倒産や労働者の失業など、世界規模で大きな混乱を招きました。

企業は基本的に営利の追求を第一の目的にしていますから、経費削減の観点から拠点を集約したり、取引先などを可能な限り集約したりするのが一般的な戦略です。しかし、集約している地域に深刻な障害や災害が発生した場合は、代わりとなる拠点や取引先の確保を困難にし、中核事業の停止を引き起こす危険性とも隣り合わせであることは常に認識しておくべきでしょう。

また、現代企業においては、情報システムや通信ネットワークなどの稼働がストップしないことを前提にした活動が行われています。しかし、情報系に障害が発生したり、通信ネットワーク回線が中断したりした場合、もしもBCP(事業継続計画)の準備が十分でなかったとしたら、悲惨な事態になることは明らかでしょう。

 

さらに、法的背景としては2019年施行の内閣府令において、有価証券報告書での「事業等のリスクに関する情報」の記載が義務付けられました。そのため、BCP(事業継続計画)の策定と実践は、日頃からリスク対策ができている企業としての社会的な信用に直結するようになりました。これを受けて、リスクだけでなくBCP(事業継続計画)について開示する企業が増えたのです。

 

BCP(事業継続計画)を策定し、起こりうる事態を可能な限り想定して十分な事前対策が取られていたら、被害は少なくて済み、早期に回復できるかもしれません。なにより関係者の安全が守られ、企業が今後も存続するための大事な基礎となるでしょう。

また、しっかりとリスクへの対策がとられていないならば、企業の社会的責任(CSR, Corporate Social Responsibility)を果たしていないと評価されてしまいます。そのため、企業は平時から備えを万全にしておき、未曾有の危機でも経営を続けられる強い体制を敷いておかなければなりません。

BCP(事業継続計画)の策定手順

では、BCP(事業継続計画)を作成するための手順について具体的にご説明します。

方針決め

BCP(事業継続計画)を策定するにあたって、まず自社が社会に対して果たすべき役割は何か、また自社にとって重要な事項は何なのかを明確に言語化する必要があります。役割が何か、何が大切なのかが明確でなければ、緊急時に真っ先に復旧すべきことを決めることができません。

経営層を中心に自社の経営理念やビジョンに照らし合わせ、顧客・取引先・株主・従業員などの関係者にとって大切なものは何かを再考して、基本方針を定めましょう。

社内体制の構築

BCP(事業継続計画)の策定では、担当責任者や構成メンバーを誰にするかなど、実施体制を整える必要もあります。また、顧客や取引先とは、非常時にはどのくらいのレベルでサービスを供給できるか相談しておきましょう。代わりとなる拠点・設備・流通などの案を準備しておき、従業員に対しては事業継続についての情報共有と訓練を図っておきます。

 

社内体制にはさまざまなものがありますが、有効な手段の1つとして注目されている働き方が「テレワーク」です。新型コロナウイルスが発生したことにより、日本においても急速に普及した働き方です。テレワークは通勤する必要がなく、拠点が社員の自宅やカフェなどへ分散されるため、非常時のリスクを回避できます。

中核事業、優先事業を決める

企業は、非常時でも優先度の高い業務を継続させて許容されるサービスレベルを保持し、迅速に復旧できることが求められています。そのため、BCP(事業継続計画)では平時に代替リソースを事前に準備しておき、災害発生時の動き方を時系列であらかじめ定めておきます。優先業務を前もって選び出しておくことで、緊急にやらなければならない仕事に集中でき、残りの資源は災害対応に回すことができるでしょう。

ビジネス影響度分析

理想としてはすべての領域に対してBCP(事業継続計画)を策定・構築したいところです。しかし、現実的には投資できる人員、物資、資金などのリソースには限りがあります。限りあるリソースで最大の効果を上げるためには、BCP(事業継続計画)の策定対象を明確に定めることが重要です。

 

企業活動に係るリスクを整理して、BCP(事業継続計画)策定対象を選定する代表的な手法が、「ビジネス影響度分析(BIA, Business Impact Analysis)」です。BIAには、事態が発生したときに取るべき具体的手順を示す「リスクシナリオ作成」と、その事態への対応の必要度を判断する「影響度調査」「リソース調査」があります。

 

リスクシナリオ作成」は、事業を行う上で発生することが予見されるリスクを整理し、リスク事態発生からの時間的・空間的な推移と対策を、シナリオ形式で表現・分析するものです。

 

影響度調査」では、それぞれの事業の中断によって出る影響の度合いを調査し、影響度によってランク評価することで、非常時に優先する業務を特定します。リスクシナリオを基に、現場責任者や担当者、顧客など利害関係者へのアンケート調査やインタビューを実施します。実施する際は、回答者が個々の主観ではなく共通に状況認識できるように、リスクシナリオを明確に理解してもらわなければなりません。

ポイントは、それぞれの回答に対する評価指標をあらかじめ取り決め、定性的要素はできるだけ定量化して評価することです。すなわち、特定した優先業務について、目標復旧時間(RTO, Recovery Time Osbjective)と目標復旧レベル(RLO, Recovery Level Objective)を数値で表現します。そして、業務各々について許容限界を超過しないよう、影響度から推定するようにしましょう。

 

リソース調査」では、業務を実施する際に必要となる人員・物資・費用などの資源を調査します。必要な資源は何かを定義し、業務活動が停止した場合に目標とする復旧時間内での回復に必要な資源を明確にして、必要不可欠なものと代替が可能なものを分別するのがポイントです。

 

以上の調査を基に企業として事業継続する方策を経営判断しましょう。そして、その成果は「事業影響度分析報告書」としてまとめることも必要です。

事前対策の検討

BCMの事前対策として、教育・訓練をしっかり実施することを検討しましょう。BCMの内容は経営者、従業員双方が重要性と具体的な実行手順を認識しておく必要があるからです。非常時には逡巡している余裕はありません。いざというときに全員がすぐにそれぞれの役割に基づいて動けるよう、あらかじめ十全に対策を練っておきましょう。

BCPの策定

BCP(事業継続計画)では、緊急の際に優先すべき業務について目標復旧時間(RTO)と目標復旧レベル(RLO)の数字を達成するために、実施する対策、対応体制、対応手順などを計画します。平時に備えておかなければいけないものは、内容や担当者を事前に決定しておかなければいけません。非常時には資金回りや資材確保は極めて困難になるので、可能な限り予測して十分に気を付けましょう。

それぞれの業務について被害を想定していきながら、先にビジネス影響度分析(BIA)で算出した目標復旧時間(RTO)や目標復旧レベル(RLO)を達成するため、リスク軽減対策をどのように取るのがもっとも効果的か、計画を練ります。非常時優先業務を行うために不可欠な要素をどうやって確保するのかが、もっとも重要なポイントでしょう。

 

それらの方策を尽くしたとしても、非常事態を前にして実際に役立つBCP(事業継続計画)の作成は困難です。BCP(事業継続計画)の策定が困難な場合は、外部のコンサルタントに作成を依頼するという手もあるでしょう。

PDCAによる見直し

BCP(事業継続計画)では、想定を超えた事態にも正しく対応できるために、必要に応じて計画の検討を何度も繰り返し、PDCAサイクルを回して改善していきます。時々刻々と変化する環境に合わせて、修正したり、新規項目を加えたりするなどの対応をしていく必要があるからです。

プランを改善するタイミングは、定期更新に加えて防災訓練で課題が明らかになったときや、法令・事業内容・立地・技術・関係者構成が変化したときなどが好機でしょう。

BCP(事業継続計画)を策定するならまずは電話から!

緊急時には、情報通信手段をいかに有効活用するかが、企業にとっての生命線になります。なぜならば、システムやネットワークの稼働を維持し、損害を受けたら迅速に復旧させることが、戦略的に非常に重要だからです。

危機的状況であっても、情報収集・意思決定・情報発信などを誤りなく、そして間断なく遂行していく必要があります。また、重要情報はバックアップを取っておき、電源確保や回線の二重化などの技術的な備えも必要でしょう。

 

このようにBCP(事業継続計画)の内容としてさまざまな手段が考えられますが、中でも意思疎通に長けた電話はもっとも強固な対策を行っておくべき生命線です。電話は長い歴史を持つ通信方式ですが、現在でも最新のテクノロジーを取り入れて日々進化し続けています。

電話が使えれば社内連絡が可能

自社存続の生命線である中核事業を停止させないために、社内の連絡ネットワークを断線させてはいけません。非常事態に見舞われたときに電話さえ使用可能であれば、社内関係者への迅速な情報伝達ができる確率が格段に高まるでしょう。

迅速な情報伝達は、迅速な復旧にも繋がります。そのため、BCMの遂行は情報伝達手段に懸かっているといっても過言ではありません。

電話が使えれば社外への対応も可能

災害時には顧客や取引先など、社外の関係者からの問い合わせが殺到すると予想されます。そのとき電話が使えたなら、郵便やメール、フォームやチャットに比較しても、多くの必要な情報を素早く正確にやり取りすることができるでしょう。不安になっているお客さまに対しても、リアルタイムに社員と声と声を交わすことで、安心感を与えて信頼を維持できます。

電話をクラウド化するという選択肢

しかし、従来からある有線の物理ビジネスフォンでは、緊急事態の際は物理的な損傷で使用できなくなってしまう危険性があります。そこで、BCP(事業継続計画)の優れた選択肢として、当社のクラウド電話サービス「ナイセンクラウド」をご紹介します。

ナイセンクラウドの導入をご検討ください

当社の「ナイセンクラウド」は、大地震などで電話回線が使用不可能になってしまった場合でも、内線・外線ともに安定して通話できる可能性が高いツールです。従来のPBXは機器の設置が必要なものでしたが、クラウドPBXであるナイセンクラウドは機器の設置が不要で、インターネット環境があればいつでもどこでも電話を使用することができます

 

また、非常時のリスク分散という意味でもテレワークが推奨されていますが、連絡通信手段として従来型の電話を使っていたのでは、費用もかさんでしまうでしょう。ナイセンクラウドは、テレワークの際に社員のスマホをオフィスに設置してあるビジネスフォンと同じように扱うことが可能です。スマホやパソコン、IP電話機を使って会社の電話番号を使った発着信や内線の利用が可能になるため、コストの削減やテレワーク時の業務効率改善に役立ちます。

テレワークに限らず、通常のオフィスでの勤務でも、例えば複数の拠点・海外の拠点を内線でつなぐことができたり、出張中の担当者に顧客からの電話を取次いだりなどが可能です。

 

ナイセンクラウドの機能については動画をご覧いただくと分かりやすいでしょう。1分の短い動画にまとめています。

利用できる電話番号は03や06などの地域の局番、0120や0800のフリーダイヤル、050のIP電話番号ですので、多くの企業が現在利用中の電話番号のままナイセンクラウドを利用できます。災害に強く、平時でも便利なクラウド電話「ナイセンクラウド」の導入を、ぜひともご検討ください。

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BCP(事業継続計画)の有無が企業の命運を握る!

このようにBCP(事業継続計画)の有無が、災害時に企業活動が維持できるかどうかを大きく左右する分岐点になります。BCP(事業継続計画)において効果的であり、もっとも手軽に改善できる項目は、電話です。平時でも非常時でも便利なクラウドPBX「ナイセンクラウド」の導入をぜひご検討ください。