クラウド電話サービスを活用しよう!サービスのメリットや導入手順まとめ

2021年5月19日電話業務の効率化

会社内で複数の電話機を使って会社代表番号をはじめとした特定番号での発着信を行ったり、社内の電話機同士で内線で通話したり、そうした会社での電話環境を整えているのが「ビジネスフォン」というシステムです。しかし、ビジネスフォンは会社内でしか使えないため、その恩恵は会社内でしか受けられません。

それでも、出勤や出先からの帰社を前提として動いていた社会ではそれなりに不都合なく機能してきました。しかし、元々多様な働き方にニーズが生まれてきていた中で、更に2020年以降の新型コロナウイルスの感染拡大もあって、テレワークやサテライトオフィスなど会社出勤を前提としない新たな働き方が叫ばれる中、ビジネスフォンだけでは運用の限界を迎えつつあります。

ここでは、その新たな働き方にマッチした画期的なシステムとしてますます話題を集めている「クラウド電話サービス」のメリットや導入手順を解説していきます。

クラウド電話サービスとは?

「クラウド電話」あるいは「クラウド電話サービス」という言葉が近年話題です。これは、簡単に言えば従来の企業向け電話システムとしてよく知られていた「ビジネスフォン」のように、複数の電話機間で複数の電話回線(内線・外線)を共有・併用するために必要になるシステムの一種ですが、大まかな仕組みこそビジネスフォンとほぼ変わりませんが、運用の構造を大きく変えたことでビジネスフォンよりもはるかに便利で画期的なシステムとなりました。

ここでは、ビジネスフォンに代わる新たな電話システムとして注目されている「クラウド電話サービス」について、どういった仕組みなのか、どういったメリットがあるのかを解説していきます。

クラウド電話サービスの仕組み

「クラウド電話サービス」とは何かといえば、要はビジネスフォンの仕組みをクラウド環境に置き換えたいわゆる「クラウドPBX」のことなのですが、この仕組みを理解するには、従来企業向け電話システムとして広く導入されていたビジネスフォンの仕組みをまず理解する必要があります。

ビジネスフォン(オンプレミス型PBX)は、「主装置(構内交換機・PBX)」と呼ばれる高レベルな電話交換システムを担う装置を社内に物理的に設置し、その主装置に対し、公衆電話網につながる外線、社内の固定電話機間を結ぶ内線を一手に接続しています。つまり、主装置がシステムの中枢を担い、主装置に接続された電話機に対し回線を適切に割り当てたり、受電した電話機とは別の電話機に着信を転送したりといったことを行うことで、電話の取次ぎや内線通話といった便利な機能を使えるものです。

これに対して「クラウドPBX」とは、主装置をクラウド上(インターネット上)に仮想的に(遠隔的に)設置し、その主装置に対して固定電話機だけでなく、携帯電話・スマートフォン、ノートパソコンなどの持ち運び可能なデバイスも接続することで、ビジネスフォンと同じ環境を実現しています。

すなわち、社内の物理的な主装置を「クラウド上の遠隔的・仮想的な主装置」に置き換えることで、従来のビジネスフォンと同様の仕組みと環境をクラウドという新たな方法で再現したものです。

クラウド電話サービスのメリット

先ほど、あえて「ビジネスフォンと同様の仕組み」と表現しましたが、提供される機能の面ではその通りビジネスフォンとはあまり変わりません。しかし、接続方法・設置運用方法が大きく異なるだけで、その機能性や利便性は大幅に向上し、これまでのビジネスフォンでは考えられなかった非常に柔軟で効率のいい運用が実現可能です、そういう意味で、クラウド電話サービスのメリットは計り知れないものです。

ここでは、クラウド電話サービスの主なメリットを3つに分けて解説していきます。

様々な面でコストカットを実現

ビジネスフォンの場合は、物理的な主装置を購入および設置する必要がありました。そして、それを行うには主装置自体の購入費や主装置と接続して使う固定電話機の購入費、主装置及び固定電話機の設置工事費といったものが必ずかかってくるので、導入するだけでも規模によっては数百万円ものコストが必要でした。さらに言えば、主装置は精密機器ですから、購入した主装置を安定的に運用していくためにメンテナンスや保守点検なども必須で、月ごとのメンテナンス費用・点検費用も嵩んでいました。

クラウドPBXでは、主装置の購入や設置が一切不要なので、ビジネスフォンのように購入費・設置工事費、およびメンテナンス費用もかかることはありません。主装置はベンダーがクラウド上に設置しているものを使うので、ユーザーが購入・設置する必要はなく、物理的な管理はベンダーに任せることができます。

また、通話に使うデバイスも既に社用スマホや社用PCを配っていればそれらを転用するだけでいいので、クラウドPBXの初期費用は非常に安く、ビジネスフォンが数百万円かかるのに対して、クラウドPBXは数万円程度で済みます。

また、会社内にいなくとも会社の番号で電話応対が可能なクラウド電話サービスであれば、将来的には広々としたオフィスそのものが不要になる可能性も秘めており、多面的に大幅なコスト削減が可能です。複数の拠点間で内線通話することもできるので、通話料の削減にも繋がります

業務効率の改善につながる

クラウド電話サービスにおいて最も重要なメリットは「場所の制限を受けないこと」です。このメリット1つあるだけで、業務効率は劇的に改善されます。

たとえば、従来のビジネスフォンによる電話の取次ぎは、取次ぐ先の担当者が会社内に、かつデスクの前にいる状態でないとできませんでした。つまり、外出中の担当者へは電話を取り次ぐことができず、また電話を取り次ぐ旨を事前に伝えるための内線電話も会社内でしかできません。

そのため、従来の取次ぎでは、受電者がメモするなどして伝言を承っておき、外線通話でその伝言と電話相手の名前と会社を担当者の携帯電話に連絡したうえで、外出先の担当者が携帯電話を使い外線で相手先に掛けなおす、といったように、あまりにも回りくどい手順となるうえに、余計な手間と時間と通話料がかかってしまっていました。

しかしクラウドPBXの場合だと、「場所の制限を受けない」ので、たとえ担当者が外出していても、電話にさえ出られる状況であれば、直接担当者の携帯電話へ電話の取次ぎが可能です。また、手持ちのスマホで会社代表番号が使えるので、担当者が折り返す際に会社代表番号を使わないといけない場合でも、わざわざ帰社する必要なく、そのままスマホからかけ直すだけでOKです。

このように場所の制限を受けないぶん、回りくどいフローを辿る必要もないですし、人の余計な移動などの時間・手間を減らせるだけでも、業務効率は劇的に改善できるでしょう。

テレワーク導入が容易

クラウド電話サービスを使えば、出張や外出などで会社にいなくても会社代表番号など会社用の番号を使って通話できます。ということは、社員全員が在宅勤務であったとしても問題がないということで、ラウド電話サービスがあれば在宅ワークの導入に際して全く不都合がないということなのです。

電話の取次ぎや着信の保留転送、自動音声応答(IVR)、モニタリングやウィスパリングなど、電話応対において必要な大体の機能はクラウド電話サービスでも問題なく使用できますし、もちろん場所の制限を受けることはありませんので、インターネット回線さえ途切れない場所であれば、自宅でもカフェでもどこにいても問題ありません。

より電話応対に特化した部署で、パソコンと連動して使う電話システム(例:コールセンターシステム)を整えていたとしても、社用ノートPCを自宅に持ち帰ってログインし、ヘッドセットをつけて通話に使えば問題なく運用できます。つまり、現在感染症対策で自治体や国からも推奨されているテレワークやサテライトオフィスなどの新しい働き方も柔軟に導入できるということです。

「電話番が必要だから会社への出勤が必要」という理屈は、クラウド電話サービスによっていずれ過去のものとなるでしょう。

クラウド電話サービスの導入手順

クラウド電話サービスを使うには、サービスを提供するベンダーとの通信契約をはじめ、いくつかのプロセスが必要です。しかし、基本的には面倒な物理的設備の設置は不要なので、携帯電話や光回線など既存の通信インフラ構築のためにキャリアやプロバイダと契約するのとほぼ変わりません。実際にサービスを利用する社員の手元にはスマホやPCなどのデバイス1つあれば問題ないでしょう。

ここでは、クラウド電話サービスを導入するための手順を5つのステップに分けて紹介します。

クラウド電話サービスを比較検討する

クラウド電話サービスの導入自体は、先ほども少し触れた通り最初はベンダーと契約すればいいだけなので、非常に簡単です。とはいえ、その契約するベンダーを選ぶことに関しては、現状非常に慎重にならざるを得ず、ある意味手順の中でも一番難しいのが、事前にクラウド電話サービスを比較検討することといっても過言ではないでしょう。

おすすめの比較項目として第一に挙げられるのは「機能」です。これは最終的に利用料金の変動にも関わってくる非常に大きな問題なので、しっかりと意識しましょう。

クラウド電話サービスには着信の保留転送や内線通話をはじめ、オンライン会議機能や自動音声応答機能、留守電メッセージ転送機能など色々な便利な機能が用意されています。しかし、これらの機能については追加料金なしで利用できる「基本機能」と追加料金を支払う必要がある「オプション機能」に分かれており、ベンダーによって基本機能に割り当てられている機能は違います。そのため、まずは会社で使いたい一番大切な機能はどういった機能なのかをまずは明確にして、その機能が基本機能に含まれているベンダーをできる限り選ぶようにするべきです。

そしてその次に強く意識するべきなのは「利用可能な電話番号」です。クラウド電話サービスは使用している回線の種類によって使用できる番号に制限が設けられていることがあるからです。特に「03」や「06」などの市外局番つきの固定電話番号を会社で持っていて、それを引き継いで使用したい場合は、ひかり電話もしくはFMCサービスと呼ばれる回線を利用したクラウド電話サービスと契約しましょう。もしIP電話を利用したクラウド電話サービスと契約してしまうと、会社の番号自体を「050」で始まるIP電話専用番号に替えざるを得なくなりますし、110・119など緊急通報用番号にもつながりません。

「サポート」面での充実も見逃せないポイントです。いざトラブルが起きた時の対応が悪くないか、放置されたりしないかなど、口コミなども網羅的にチェックしてユーザーの声を確認しましょう。また、どうしてもユーザーによって使用感の差がどうしても大きくなってしまうので、トライアルやデモ利用など、契約前に実際の環境で機能が使用できるベンダーだとなお良いでしょう

「料金」面での比較も勿論大事ですが、料金はあくまで目安として留めておいて、まずは上記3点をメインに比較検討していって、残った候補から最も予算に合う料金設定のベンダーを選ぶようにすると契約後のトラブルも少なく済み、安心です。

ベンダーに申込み

さて、契約するベンダーが決まったらあとはあまり難しいことはありません。ベンダーの申し込みフォームか電話か、最適な手段でベンダーに契約申し込みをしましょう。重ねて言うようですが、事前にトライアルやデモ期間があれば、そうしたものを可能な限り利用してから契約するようにしましょう。

そして、よくある失敗として「既存のビジネスフォン等の契約が残っている状態でクラウド電話サービスに契約してしまった」というものがあります。ビジネスフォンの契約には買い切りの他にリース契約というものがあり、リース契約には携帯電話の大手キャリアと同じように契約期間に縛りがありますので、定められた期間以外のタイミングで解約すると残債一括返済と高額な違約金が発生しますし、今ある設備は全て返却しなければなりません。

ベンダーに申し込みを行う前に、まずは現在のビジネスフォンの契約状況を確認することを怠らないようにしましょう。場合によってはクラウド電話サービスを導入したことで得をするはずが逆に損をしてしまいかねません。

クラウドPBXの管理画面で必要な設定を行う

クラウド電話サービスを提供する多くのクラウドPBXでは、指定の管理画面で運用に関する細かい設定を行うことが可能です。アカウント情報の入力(管理者の個人情報の入力)や請求書のダウンロード方式の指定、グループの設定や、管理コンソールと連携するデバイスの設定(複数のユニークIDの設定)などをまず行います。

少し難しいように思えますが、あらかじめ使用するデバイスが決まっていればそう煩雑にならず設定が可能なので、特にクラウド電話サービスで使用するデバイスの管理は事前にしっかり行っておくことをおすすめします。なお、使用したいオプション機能がある場合や、プリペイドで通話機能を使う場合には別途そのオプション契約や解約などの設定も管理画面から行えます。

この時点でしっかりと設定を組んでおけば、いざ運用を始めた際に、通話履歴や留守電メッセージなどもまとめて管理画面で利用状況を確認でき、非常に便利です。

利用する端末にアプリをインストールし設定を行う

クラウド電話サービスを利用するためには、指定のアプリをスマホやPCにインストールする作業が必須です。クラウドPBXを利用するスマホやPCにインストールするアプリは、いわゆる「ソフトフォン」アプリと呼ばれる特殊なアプリで、固定電話機への発信も可能となっています。代表的なアプリは「Groundwire(グランドワイヤー)」や「Zoiper(ゾイパー)」、「Acrobits Softphone(アクロビッツ・ソフトフォン)」などがあり、特にZoiperはパソコンにも幅広く対応しており、Windows版以外にも、Mac OS X版やLinux版も出ています。

アプリはインストールしただけでは使えないので、設定もしなければなりませんが、そんなに難しくはありません。ベンダーによってはアプリの設定手順として入力値も含めた詳細なものを共有してくれるので、それをそのまま指定のフォームに入れていけば設定は完了します。

利用ルールを社内に周知させる

クラウド電話サービスは場所を問わずにどこからでも社員と外線を共有したり内線通話ができたりと便利であるからこそ、リスクが大きいものです。スマホはパスコードを掛けておけばそれなりにリスクは防げますが、PCやタブレットだとその辺りのセキュリティが甘いところはどうしてもありますし、紛失・盗難をきっかけとした機密情報漏洩リスクなど色々なリスクが考えられます。使用方法やルールをしっかり規定して、どのような範囲で使うのかを明確に取り決め、社内にしっかり周知することをおすすめします。

クラウド電話サービスでは、管理コンソールを利用して、従業員1人1人の状況(勤怠や位置情報など)に合わせた細かい管理設定が可能なので、こうした管理設定を実際の勤務状況やシステム状況に合わせて細かく行うことで実際の利用者の負担を減らず管理者の努力も勿論必要ですが、変更があれば、そのたびに周知をお忘れなく。

場合によってはデバイス管理に関してMDM(モバイルデバイス管理サービス)を導入し、セキュリティ対策に際しできることを増やすのもいいでしょう。

クラウド電話サービス「ナイセンクラウド」

ナイセンクラウドは、企業の多くが利用する03や06などの市外局番、050、0120や0800に対応したクラウド電話サービスです。テレワーク化に伴って導入される企業様が増えています。

ナイセンクラウドでは詳細は着信ルールの設定や留守電の音声データのメール送信など、便利な機能が基本機能として備わっています。またオプションから必要な機能を選ぶこともでき、ナイセン数に応じて3つのプランから選ぶことができます。状況に合わせた柔軟な運用が可能です。

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クラウド電話サービスで費用削減・業務効率改善を目指そう

クラウド電話サービスの仕組みやメリット、サービスの導入手順について解説しました。

クラウド電話サービスは場所の制限を受けることなく遠隔で内線を構築し、どこにいても会社の固定電話番号が使えたり、着信を転送出来たりする便利なシステムであるからこそ、契約前にどのようなベンダーと契約してどのような機能をメインに使っていくのかをしっかりと比較検討しつつ絞り込むことが大切です。

優良なベンダーと契約し運用すれば大幅な費用削減・業務効率改善が実現できます。だからこそ、本記事を参考に自社にとって最も使いやすくメリットが活かせるベンダーをしっかり比較検討しましょう。