いのちの電話とは?利用方法や各地の電話番号一覧

誰にも打ち明けられない深い悩みや、心の内に抱え込んだ孤独感にさいなまれていませんか。現代社会は、多くの利便性を私たちにもたらす一方で、人間関係の希薄化や複雑な社会問題を生み出し、個人が孤立しやすい状況にあります。
そんな時、「誰かに話を聞いてほしい」と切に願う気持ちに応えるため、社会的なセーフティネットとして存在するのが「いのちの電話」です。
本記事では、孤独や絶望の中にいる人々に寄り添い続ける「いのちの電話」について、その設立の背景から具体的な利用方法、そして日本全国の相談窓口一覧などを紹介します。
いのちの電話とは
「いのちの電話」は、さまざまな危機に直面し、孤独や絶望の中にいる人々からの声に耳を傾ける、ボランティアを主体とした電話相談活動です。その目的は、対話を通じて相談者の心の負担を和らげ、再び生きる力を取り戻すための支援を提供することを目的としています。
参考:日本いのちの電話連盟
設立の背景と歴史
いのちの電話の活動は、1953年、イギリス・ロンドンで開始された自殺予防の電話相談から始まりました。この活動は世界中に広がり、日本では1971年10月、東京に最初の「いのちの電話」が開設されました。
当時の日本社会は、経済的な豊かさの陰で、都市部への人口集中による人間関係の希薄化や、受験戦争、家庭問題など、さまざまな社会的な歪みが深刻化していました。心の悩みを抱えながらも、それを相談する場がない人々が増加していたのです。
東京での開設を皮切りに、この活動は全国へと広がり、現在では日本各地にいのちの電話センターが設置され、多くのボランティア相談員によって支えられています。
役割や社会的意義
いのちの電話が担う役割は多岐にわたりますが、その中核は自殺予防にあります。警察庁の統計によれば、日本の自殺者数は減少傾向にあるとはいえ、依然として年間2万人以上の方が自ら命を絶っている深刻な状況です。
いのちの電話は、自殺を考えるほどの強い心理的苦痛を抱えた人々にとって、「最後の砦」ともいえる存在です。誰にも言えない苦しみを吐き出し、相談員がそれを受け止める、その対話のプロセス自体が、相談者の孤独感を和らげ、気持ちを落ち着かせる効果を持ちます。相談員は決して安易なアドバイスや説教をするわけではありません。ただひたすらに相談者の声に耳を傾け、その苦しみに共感し、寄り添います。この「傾聴」と「共感」こそが、いのちの電話の活動の根幹とされています。
参考:厚生労働省
提供している支援内容
いのちの電話が提供する支援の柱は、電話による相談ですが、時代や相談者のニーズの変化に合わせて、その形も多様化しています。中心となるのは、やはり電話相談です。訓練を受けたボランティア相談員が、相談者からの電話を受け、その声に真摯に耳を傾けます。相談内容は実にさまざまです。
| 相談内容の主なカテゴリー | 具体的な相談例 |
| 精神的な問題 | うつ、不安、孤独感、絶望感、自殺念慮、パニック障害、依存症など |
| 人間関係の悩み | 家族(親子、夫婦、兄弟)、職場(上司、同僚)、友人、恋愛、近隣トラブルなど |
| 健康の問題 | 心身の病気、後遺症、介護の悩み、性の悩みなど |
| 生活・経済的な問題 | 失業、借金、多重債務、生活苦、将来への不安など |
| その他の問題 | 学校でのいじめ、不登校、ハラスメント、事件・事故の被害、生きる意味についての問いなど |
相談員は、これらの多岐にわたる悩みに対して、解決策を提示する(=問題解決)のではなく、相談者が自身の力で問題と向き合い、気持ちを整理していくプロセスを支援(=プロセス援助)します。相談者が安心して自分の感情や考えを話せるよう、受容的で共感的な態度を貫きます。
また、近年では電話以外の相談方法も拡充されています。
・インターネット相談
若い世代を中心に、電話よりもチャットやメールでのコミュニケーションを好む人が増えている現状に対応し、一部のセンターではウェブサイトを通じたチャット相談やメール相談を実施しています。文字にすることで気持ちが整理しやすくなるという利点もあります。
・SNS相談
LINEやFacebookを経由した相談も行われています。
これらの支援は全て、「匿名性」「秘密厳守」「無料」という3つの原則に基づいて行われます。相談者は名前や連絡先を告げる必要がなく、話した内容が外部に漏れる心配もありません。この安心感が、誰にも言えなかった心の奥底にある苦しみを打ち明けることを可能にしているのです。
参考:日本いのちの電話連盟
いのちの電話の利用方法
いのちの電話を利用したいと思った時、どのようにすればよいのでしょうか。ここでは、具体的な利用方法について解説します。
利用の基本的な流れ
1.電話番号を確認する
後述する「電話番号一覧」から、自分に合った番号を選びます。全国共通のナビダイヤルや、時間帯限定のフリーダイヤル、またはお住まいの地域のセンターの番号などがあります。
2.電話をかける
受付時間内に、選んだ番号へ電話をかけます。
<注意点>
いのちの電話は、混雑していると電話がすぐにつながらない場合があります。その際は、少し時間を置いてからかけ直してみてください。
3.話したいことを話す
思いつくままに、話したいと感じることから話し始めてみてください。相談員は、あなたのペースに合わせてじっくりと話を聞いてくれます。うまく言葉にならなくても、沈黙の時間も大切にしてくれます。
一人で抱え込まず、その苦しさを誰かに打ち明けるための一歩として、利用を検討してみてください。
いのちの電話の電話番号一覧
日本全国には、一般社団法人日本いのちの電話連盟に加盟する約50のセンターがあり、それぞれが電話相談活動を行っています。ここでは、主な相談窓口の電話番号を一覧で紹介します。
参考:厚生労働省 日本いのちの電話連盟
【全国共通で利用できる番号】
| 窓口名称 | 電話番号 | 受付時間 | 特徴 |
| いのちの電話 | 0570-783-556 | 毎日 午前10時~午後10時 | 全国のいのちの電話センターにつながる共通番号。通話料は発信者負担となります。 |
| 0120-783-556 | 毎日16時から21時まで
毎月10日 午前8時~翌日午前8時 (24時間) |
自殺を考えてしまうほどつらい気持ちを抱えている方のための無料相談窓口です。 | |
| チャイルドライン | 0120-99-7777 | 毎日 午後4時~午後9時 | 18歳までの子どものための電話相談窓口です。 |
| #いのちSOS | 0120-061-338 | 24時間 365日 | 特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンクです。 |
【各地のいのちの電話センター番号一覧】
お住まいの地域のセンターに直接かけることも可能です。各センターによって受付時間が異なりますのでご注意ください。以下は一部の例です。最新かつ詳細な情報は、必ず一般社団法人日本いのちの電話連盟の公式サイトでご確認ください。
| 地域 | センター名 | 電話番号 | 主な受付時間(詳細は各センターにご確認ください) |
| 北海道 | 旭川いのちの電話 | 0166-23-4343 | 月~水 9:00~15:30 |
| 北海道いのちの電話 | 011-231-4343 | 24時間 | |
| 青森県 | あおもりいのちの電話 | 0172-33-7830 | 12:00~21:00 |
| 秋田県 | 秋田いのちの電話 | 018-865-4343 | 12:00~20:30 |
| 岩手県 | 盛岡いのちの電話 | 019-654-7575 | 月~土 12:00~21:00
日 12:00~18:00 |
| 宮城県 | 仙台いのちの電話 | 022-718-4343 | 24時間 |
| 山形県 | 山形いのちの電話 | 023-645-4343 | 13:00~22:00 |
| 福島県 | 福島いのちの電話 | 024-536-4343 | 10:00~22:00
第3土曜日 24時間 |
| 新潟県 | 新潟いのちの電話 | 025-288-4343 | 24時間 |
| 長野県 | 長野いのちの電話 | 026-223-4343 | 11:00~22:00 |
| 松本いのちの電話 | 0263-88-8776 | 11:00~22:00 | |
| 群馬県 | 群馬いのちの電話 | 027-212-0783 | 9:00~24:00
第2・4金曜日 24時間 |
| 栃木県 | 栃木いのちの電話 | 028-643-7830 | 24時間 |
| 足利いのちの電話 | 0284-44-0783 | 15:00~21:00 | |
| 茨城県 | 茨城いのちの電話 | 029-855-1000 | 24時間 |
| 茨城いのちの電話・水戸 | 029-350-1000 | 茨城いのちの電話・水戸 | |
| 埼玉県 | 埼玉いのちの電話 | 048-645-4343 | 24時間 |
| 千葉県 | 千葉いのちの電話 | 043-227-3900 | 24時間 |
| 東京都 | 東京いのちの電話 | 03-3264-4343 | 24時間(年中無休) |
| 東京多摩いのちの電話 | 042-327-4343 | 10:00~21:00 | |
| 東京英語いのちの電話 | 03-5774-0992 | 火曜日 – 木曜日 9:00~23:00
金曜日 9:00~23:00 土曜日9:00から月曜日23:00 まで 24時間利用可 Phone & Chat- English only |
|
| 神奈川県 | 川崎いのちの電話 | 044-733-4343 | 24時間 |
| 神奈川県 | 横浜いのちの電話 | 045-335-4343(日本語)
0120-66-2477 (スペイン語) 0120-66-2488 (ポルトガル語) |
日本語:24時間
Spanish・Portuguese: 水 10:00~21:00 金 19:00~21:00 土 12:00~21:00 |
| 山梨県 | 山梨いのちの電話 | 055-221-4343 | 火~土 16:00~22:00 |
| 静岡県 | 静岡いのちの電話 | 054-272-4343 | 12:00~21:00 |
| 浜松いのちの電話 | 053-473-6222(日本語)
0120-428-333 (Portuguese) |
日~火・祝 10:00~22:00
水~土 10:00~24:00 第2・4土 24時間 Portuguese: 毎週金19:30~21:30 |
|
| 岐阜県 | 岐阜いのちの電話 | 058-277-4343 | 毎日 19:00~22:00
第1・3土 8:00~19:00 |
| 愛知県 | 愛知いのちの電話 | 052-931-4343 | 24時間 |
| 三重県 | 三重いのちの電話 | 059-221-2525 | 18:00~23:00 |
| 滋賀県 | 滋賀いのちの電話 | 077-553-7387 | 金~月 10:00~20:30 |
| 京都府 | 京都いのちの電話 | 075-864-4343 | 24時間 |
| 奈良県 | 奈良いのちの電話 | 0742-35-1000 | 24時間 |
| 大阪府 | 関西いのちの電話 | 06-6772-1121 | 24時間 |
| 兵庫県 | 神戸いのちの電話 | 078-371-4343 | 月曜から木曜 8:30~20:30
金曜・土曜8:30~翌日8:30 日曜・祝日 8:30~16:00 |
| 兵庫県 | はりまいのちの電話 | 079-222-4343 | 10:00~1:00 |
| 和歌山県 | 和歌山いのちの電話 | 073-424-5000 | 10:00~22:00 |
| 鳥取県 | 鳥取いのちの電話 | 0857-21-4343 | 12:00~21:00 |
| 島根県 | 島根いのちの電話 | 0852-26-7575 | 月~金 9:00~22:00
土~日 9:00~22:00(連続受付) |
| 岡山県 | 岡山いのちの電話 | 086-245-4343 | 24時間 |
| 広島県 | 広島いのちの電話 | 082-221-4343 | 24時間 |
| 山口県 | 山口いのちの電話 | 0836-22-4343 | 16:30~22:30 |
| 香川県 | 香川いのちの電話 | 087-833-7830 | 24時間
FAX: 087-861-4343 |
| 愛媛県 | 愛媛いのちの電話 | 089-958-1111 | 12:00~24:00 |
| 高知県 | 高知いのちの電話 | 088-824-6300 | 9:00~21:00
年末年始10:00~18:00 |
| 福岡県 | 北九州いのちの電話 | 093-653-4343 | 24時間 |
| 福岡県 | 福岡いのちの電話 | 092-741-4343 | 24時間 |
| 佐賀県 | 佐賀いのちの電話 | 0952-34-4343 | 24時間 |
| 長崎県 | 長崎いのちの電話 | 095-842-4343 | 9:00~22:00
第1・3土 24時間 |
| 熊本県 | 熊本いのちの電話 | 096-353-4343 | 24時間 |
| 大分県 | 大分いのちの電話 | 097-536-4343 | 24時間 |
| 宮崎県 | 宮崎いのちの電話 | 0570-783-556 | 火木土日 18:00~翌4:00
月水金 21:00~翌4:00 ※受信可能地域 宮崎・熊本・鹿児島・大分 |
| 鹿児島県 | 鹿児島いのちの電話 | 099-250-7000 | 24時間 |
| 沖縄県 | 沖縄いのちの電話 | 098-888-4343 | 10:00~23:00 |
まとめ・いのちの電話の未来
いのちの電話は、設立から半世紀以上にわたり、時代ごとの社会の歪みの中で苦しむ人々の声に耳を傾け、数えきれないほどの命と心に寄り添い続けてきました。チャド・ヴァラ牧師の「もしも」という思いから始まった小さな活動は、今や世界中に広がり、日本社会においても不可欠な心のインフラとして根付いています。匿名で、無料で、秘密が守られる空間で、ただひたすらに自分の話を聞いてもらえる。このシンプルな支援が、どれほど多くの人々を絶望の淵から救ってきたか、計り知れません。
しかし、その未来は決して平坦なものではありません。いのちの電話は、いくつかの深刻な課題に直面しています。活動の根幹を支えるボランティア相談員の高齢化が進み、若い世代の担い手が不足しています。24時間体制を維持するのが困難になっているセンターも少なくありません。
また、SNSの普及により、いじめや誹謗中傷など、新たな形の悩みが生まれています。これからの時代に即したインターネット相談の拡充や、相談員のスキルアップが求められます。これらの課題を乗り越え、いのちの電話がこれからも社会のセーフティネットとしての役割を果たし続けるためには、私たち一人ひとりの理解と支援が不可欠です。
活動を寄付で支える、あるいは関心を持ってボランティア相談員を目指してみるなど、支援の形はさまざまです。いのちの電話は、いつでもあなたからの連絡を待っている存在です。

















