【初心者でもわかる!】VoIPとSIPの違い
インターネット回線を経由した通話は特にスマートフォンが普及しはじめた頃から一般的となっていて、若い世代では普通の電話回線を使った電話はほとんど使わず、LINEの音声通話で済ませている人も多いでしょう。
LINEの通話機能やSkypeといった有名なアプリケーション間の通話は、「VoIP」と呼ばれる技術を使っています。VoIPはざっくり言うとインターネット回線を使った通話技術を意味しますが、そうした文脈で色々と調べていると「SIP」という似たような単語も出てきてややこしく思った方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、初心者の方でもわかるように、「VoIP」と「SIP」の違いを説明します。そしてその後、VoIPとSIPの2つで成り立つ「IP電話」とは何かや、IP電話をビジネス利用するために改良した企業向け電話システム「IP-PBX」を紹介しながら、IP-PBXをさらに進化させた画期的な電話システム「クラウドPBX」の仕組みやメリットを説明します。
VoIPとSIP
日本では、2010年代前半頃から「VoIP」を利用したアプリや電話システムが一般に急速に普及しました。それは、スマートフォンの普及が大きな引き金となっています。
スマートフォンを使って既存の電話網を使わずに通話ができる多様な手段が次々に現れては普及してますが、おおむねそうした通話のシステムを支えているキーワードが「VoIP」と「SIP」の2つです。こうした話題について調べているとこの2つの単語は必ず出てくる上に、なんとなくスペルが似ているせいで区別がつかないなんて方も少なくないかもしれません。
ここでは、「VoIP」と「SIP」とは何か、その違いや関係性について解説したのち、その2つで成り立つインターネット通話の代表格である「IP電話」についても解説します。
VoIPとは
冒頭でも軽く説明した通り、「VoIP」は「インターネット回線を利用した通話技術」のことで、「ブイオーアイピー、ボイップ、ボイプ」などと読みます。VoIPは「Voice over Internet Protocol」の略称で、「Voice over」は「通話」を意味し、「Internet Protocol」とは、インターネット回線すなわち「IPネットワーク」の通信規格や通信手順を意味しますので、名前そのままの意味を持っていることになります。
VoIPの仕組みは、発話者の発した音声信号をIPパケットと呼ばれるデジタルデータに変換、インターネット回線(IPネットワーク)を介し(場合によっては圧縮・分割して)相手方に伝送し、相手方に送られたIPパケットデータを再び音声信号に復元することで通話が成立します。
SIPとは?VoIPとの関係性・違い
VoIPすなわちインターネット回線を使用した通話の話題によく出てくる「SIP」とは一体何なのでしょうか。
SIPとは、正式名称を「Session Initiation Protocol」といい、そのまま和訳すると「セッション確立プロトコル」ということになります。主な役割としては、2つ以上のクライアント(電話であれば発話者と受話者)に対して音声・映像・テキストメッセージ等の交換を行うために必要なセッション(経路)の生成・変更・切断といった処理を行うプロトコルです。すなわち、従来の電話でいうところの「呼制御」の役割を果たすもの(VoIPでは「シグナリング」といいます)といえます。
シグナリングにはいくつかの種類があり、昔は複数種類のプロトコルが併用されていました。しかし、最も汎用性・拡張性が高いのがSIPであったことから、近年ではほぼSIPに統一されつつあるので、SIPは「万能型」ともいえる存在としてますます重要になってきています。
細かいことを説明すると本当にきりがないので、かなりざっくりとした説明になってしまいますが、つまりSIPというのはいわば、「VoIPを利用した通話技術を滞りなく成立させるために、通話のやりとりに使う経路を開いたり閉じたりする」プロトコルということになります。
VoIPとSIPで成り立つIP電話とは
「IP電話」もそのまま訳せば「インターネット回線を使った電話」のことですから、含まれている意味合いとしてはVoIPとあまり変わりません。ただ、VoIPはどちらかというとIP電話の仕組みを実現するための通信技術そのものを示すのに対して、IP電話は、VoIPの技術を利用した電話機やアプリケーションを指すのが一般的です。
IP電話はVoIP技術を使った電話ですから、当然ながら先ほども説明した通り、IP電話を成立させるためには、SIPが必要ということになります。IP電話においてSIPはどういう役割を果たすのか、よりわかりやすく書くとするなら、「IPネットワークを使って相手に音声パケットを伝送するための出入り口を作る」と表現すれば理解しやすいでしょうか。
IP電話には「ハードウェアタイプ」と「ソフトウェアタイプ」の2つがあり、ハードウェアタイプは一般的にLANケーブルを接続できる据え置き型電話機のことを指し、ソフトウェアタイプはスマートフォンやパソコンにインストールして使うアプリケーションなどの「ソフトフォン」を指します。
IP-PBXとは?
IP電話は、世間的には個人ないし比較的小規模な企業で利用されるイメージが強い電話サービスです。しかし、IP電話のビジネス利用は年々加速的に進化しており、中規模~大規模クラスの企業向けに構築される巨大な電話システムにも、IP電話を使ったものがあります。これを一般的には「IP-PBX」と呼びます。
個人向けの電話と違い、企業がビジネスで利用する電話システムには、複数の回線と複数の電話機を一元管理する「主装置(PBX)」と呼ばれる構内交換機が欠かせません。この主装置を用いて管理しなければ、回線も電話機も1つきりとなってしまい、そこに問い合わせが集中しようものなら、ずっと電話が「話し中」になってしまい回線はパンク、1日に指で数えられるほどしか電話に出られないでしょう。IP-PBXもまた主装置を用いて複数の回線や電話機を管理しているので、「PBX」の名を持っているのです。
IP-PBXにはIP電話と同じように「ハードウェアタイプ」と「ソフトウェアタイプ」の2種類があります。ハードウェアタイプの場合には先述した「主装置(PBX)」に相当する専用機器を設置して会社内で管理運用します。ソフトウェアタイプの場合は自社サーバー内にPBX機能をインストールし、PBX的な機能を自社サーバーに持たせることで、複数電話機を一元管理します。
IP-PBX以上に便利なクラウドPBX
IP電話を利用して企業向け電話システムを構築する「IP-PBX」の仕組みを説明しましたが、実は世の中にはIP-PBXよりもさらに便利で画期的なシステムがあるのです。それが、主装置をクラウド上に置き換えて運用する「クラウドPBX」です。
ここでは、クラウドPBXとはどういうものなのか、どういうメリットがあるのかを、従来の「ビジネスフォン」や「IP-PBX」と比較したうえで解説していきます。
クラウドPBXの仕組み
クラウドPBXは、運用の中枢を担う主装置を、クラウド上に設置している点が何よりも画期的です。主装置をクラウド上、すなわちインターネット回線上(IPiネットワーク上)に仮想的に構築し、言うなればインターネット回線そのものに丸ごと主装置のような機能を持たせるような形になります。
クラウドPBXの仕組みとしては、このようにクラウド上に設置した主装置に対して、固定電話機だけでなく、スマートフォンやノートパソコンなど持ち運び可能なデバイスもインターネット回線を介して相互接続し一元管理する、というものです。インターネット回線上で管理するシステムですから、電話にはもちろんVoIP技術を用います。
クラウドPBXのメリット
IP-PBXでは、従来の固定電話回線と固定電話機でのアナログ運用となるビジネスフォンに比べれば、ある程度拠点を跨いだ電話システムの構築も可能ですし、コストもある程度は低くすることができる運用です。しかしながら、どうしても自社サーバーの設置(大規模な電話運用を前提としたリソースの確保含む)が必要な分、保守管理の手間やコスト(安くても数十万規模)がかかってしまうのがネックでした。
しかし、クラウドPBXでは、クラウド上の主装置をベンダーから借りて運用しますので、拠点に主装置あるいはそれに相当する機器の設置が完全に不要で、それに伴う保守管理・メンテナンスや修理も不要となります。導入に必要なのはお手持ちのスマートフォンなどのデバイスだけです。IP-PBXよりもさらに低コストで、かつ簡単に導入できます。
自社内に何も設置することがないクラウドPBXであれば、「場所を問わずに電話運用が維持できる」という、非常に大きな意味をもつメリットが生まれます。言うなればネットワークそのものが主装置としての役割を果たしている状態なので、インターネットさえつながれば地球のどこにいても、会社代表番号での通話や、社員同士の内線通話、電話の取次ぎなどが可能です。
つまり、外出先や出張先だけでなく自宅からでも会社の番号を使った通話ができますので、テレワークやワーケーションなどの時代に合わせた新しい働き方の導入も簡単になります。また、設定さえちゃんとすれば、海外拠点との内線通話という夢のようなこともできてしまいます。
そして、ベンダー次第ではありますが、クラウドPBXであれば03番号や06番号などの全国の市外局番や0120や0800のフリーダイヤルをそのまま利用することができ、クラウドPBX導入にあたり電話番号の変更の必要がありません。企業では固定電話番号を変更してしまうと顧客に周知させたり、ホームページ等の記載を変更したりなど、非常に多くの手間がかかります。クラウドPBXであればそのような心配もなく、以前から使用している電話番号をそのまま利用できます。
おすすめのクラウドPBXなら「ナイセンクラウド」
ナイセンクラウドは、03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800のフリーダイヤルに対応したクラウドPBXです。細かな着信ルールの設定やアナウンス設定が可能で、IVR・ガイダンス機能やボイスウィスパリング機能などのオプションもございます。企業のオフィス、コールセンター、クリニックなど様々な場面で用いられ、現在導入企業は6,000社を突破しています。
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VoIP、SIP、IP電話、クラウドPBX、それぞれの機能・役割を理解しよう
VoIPとSIPの違い、IP電話との関係性、IP-PBXについてや、クラウドPBXの仕組みやメリットなど色々なことを解説しました。SIPについてはIP電話は勿論、IP-PBXやクラウドPBXを使う際に必要になるソフトフォンの設定にも絡んできますので、ある程度は勉強しておいても損はないはずです。
クラウドPBXはおそらく企業向け電話システムの中では最も気軽に導入できるといってよいほど導入・運用にかかるコストが少ないうえ、場所を問わずにどこででも運用が可能という自由度の高いサービスでもあります。IP-PBXでもスマホを使った持ち運びの運用は可能ですが、自社への主装置の設置・管理コストはやはりネックです。
手持ちのデバイスがあれば、もう運用の準備は整っていると言っても過言ではありません。そうした準備の整っている企業の方は、ぜひクラウドPBXの導入を検討してみてはいかがでしょうか。