VoIPで内線を構築できるのをご存知ですか?VoIPで内線を構築するメリット

2021年6月30日VoIP

内線通話とは、公衆電話網につながず、社内など同一拠点内にある複数の電話機を使って無料で通話できる仕組みですが、特に企業にお勤めの方であれば日常的に使っている人も多いことでしょう。

この内線通話は、通常の固定電話回線を用いた内線構築だけでなく、VoIPでの内線構築も可能であることをご存知でしょうか。

VoIPは簡単に言えばインターネット回線を使った通話のことですが、通常の固定電話回線と違って距離に関係なく一律で、しかも固定電話よりはるかに安い通話料で電話が可能なので、VoIPと内線を組み合わせれば通話料を大幅に削減できます。

今回は、VoIPで内線を構築する方法やそのメリットについて、導入時の注意点も含めて解説していきます。

VoIPとは?

「VoIP(ブイオーアイピー、ボイップ、ボイプ)」は、冒頭でも軽く説明しましたが、簡単に言うと「インターネット回線を使った通話」のことです。正式名称は「Voice over Internet Protocol」で、「Voice」は通話、「Internet Protocol」はインターネット回線を使った通信規格や通信手順のことを意味するので、名前そのものが文字通り「インターネット回線を使った通話」の意味合いということになります。

昔は電話をするのにはアナログ電話回線しか方法がありませんでしたし、固定電話機での通話が当たり前だったので、企業でも個人でも電話回線を用いるものという常識が刷り込まれてしまっている世代の方も多いはず。しかし、VoIPは通話音声の伝送にインターネット回線を用いるので、電話回線は不要です。

仕組みを簡単に説明すると、通話音声をインターネット回線に載せられるデジタルデータに変換してから、インターネット回線を用いて相手先まで伝送し、相手の電話機に届いたデジタルデータを再度音声に復元する、といったものです。

社内に内線を構築する方法

VoIPはインターネット回線を使った通話のことですが、従来の企業向け電話システムとして広く普及しているいわゆる「ビジネスフォン」などでは、アナログ電話の固定回線を用いて運用します。

特に内線は、固定電話回線を引いた「主装置(PBX)」と呼ばれる交換機を用いて外線と共に管理することで運用しています。そのため、企業向け電話システムを解説する文脈においては、ビジネスフォンのことを「従来型PBX」と呼んだりもします。しかし、こうした内線を含む企業向け電話システムの運用方法の中には、電話回線ではなくVoIPを利用できるものもあります。

ここでは、社内に内線を構築する方法について、「従来型PBX」と「クラウドPBX」に分けて解説していきます。

従来型のPBXを使用する場合

従来型PBX、すなわちビジネスフォンでは、先ほども少し触れた通り、「主装置(PBX)」と呼ばれる装置を社内に物理的に設置することで運用し、その主装置に対して固定電話回線を、社内にある複数の固定電話機と有線接続することで内線が利用できるようになります。

具体的には、主装置の挿し口から固定電話機1台につき1本、内線のケーブルを1本ずつ接続する「スター配線」と呼ばれる手法が近年の主流となっています。主装置に大量の挿し口がないとできないシンプルな配線方法ですが、ケーブル1本が壊れても他の電話機はしっかり機能するという確実性があります。

それに対して、1本の挿し口に対しモジュラーケーブルを用いて複数の固定電話機に配線する「バス配線」という方法もありますが、これはスター配線より合理的ではあるものの、1本ケーブルが壊れると、壊れた個所によっては繋いでいるすべての電話機が使えなくなるリスクがあります。

このように、主装置を物理的に設置するビジネスフォン的運用においては、主装置と電話機を直接有線接続することによって内線を構築しています。電話回線ではなくVoIPを使用して通話できるIP電話を使用する「IP-PBX」というものもありますが、ケーブルが電話回線からLANケーブルになっただけで方法は変わりません。手間はかかりますが、原始的でシンプルな方法です。

クラウドPBXを使用する場合

一方で、近年画期的な電話システムとして話題を呼んでいる「クラウドPBX 」を用いた運用方法があります。この方法でも、内線を構築することができます。

これは、従来型PBX であるビジネスフォンの運用方法を基本的には踏襲しつつ、ビジネスフォンで使用する「主装置」を拠点内に設置せず、クラウド上(インターネット回線上)に設置するという特徴があります。クラウドPBX ではその名の通り、主装置=PBXをクラウド上に、仮想的に設置するのです。

そのため、クラウドPBX では、主装置がユーザーの手元にありません。多くのクラウドPBX では運営の要となる主装置の管理をベンダーがユーザーの代わりに行ってくれるので、従来型のPBX のように物理的に配線するといった方法を使えません。それではどうするのかというと、「主装置と電話機を、インターネット回線を経由し相互接続する」のです。

クラウドPBX では、固定電話機だけでなく、無線での通信が可能な携帯電話やスマートフォンを電話機として利用することが可能で、そうした持ち運び可能なデバイスを使った運用を前提としています。内線の構築や運用に際しても、そうしたインターネット回線が繋がるデバイスを用いて、クラウド上の主装置と接続することで内線を構築できます。

クラウドPBX では、内線1回線ごとに1ID、ユーザー名とパスワードが配布されるので、そのID・パスワードを管理コンソールの内線設定で追加することによって内線を構築するという方法を取ります。たとえるなら、LINEグループを追加・解除するのと似たような感覚で内線を追加・解除できます。

また、内線に紐づいたIDごとに細かい着信設定もできますので、より合理的で自由度が高い内線運用が可能です。大手キャリアや通信事業者が法人向けに提供している、サーバー経由で企業の端末を一元管理できる「MDM」というモバイルデバイス管理システムでも、似たような方法をとっています。

VoIPで内線を構築するメリット

以上に紹介した情報を総合すると、VoIPを使って内線を構築するには、IP-PBXか、クラウドPBX という方法がある、ということになります。

IP-PBXにも従来型のPBXとはまた違ったメリットがありますが、より合理的に運用したいならクラウドPBX をおすすめします。しかし、VoIPで内線を構築することによって生まれるメリットは基本的には変わりません。

ここでは、VoIPで内線を構築するメリットを解説していきます。

初期費用を抑えられる

ビジネスフォン=従来型のPBXの大きなネックとなっているのは、「導入コストの高さ」です。

先ほども説明した通り、ビジネスフォンに用いる主装置は社内に設置する必要がありますが、基本的にはこの主装置を設置するためには購入(またはリース)する必要があり、この主装置の購入だけでも安くて十数万円から、規模が大きければ数百万円はくだらないコストがかかり、設置・配線にかかる工事費も別途かかります(リースは月額割賦とはなるものの合計額は新品購入と同等以上です)。

そして、購入するにしろリースにしろ、自社内に設置するわけですから、主装置の保守管理もユーザー自身が行わないといけません。とはいえ素人が扱えるものではないので定期的に専門業者を呼んだうえでメンテナンスや修理を行う必要があり、それにも別途費用が掛かります。

また、ビジネスフォンの場合、固定電話機も主装置に対応した純正のものしか使えないので、導入の際に新たに購入しなければならず、固定電話機の購入は工事費込みで1台あたり4~5万円はかかります。つまり、安く見積もっても100万円~数百万円はかかる計算になります。導入費用だけ、すなわち、初期費用だけで、このコストです。

これに対しクラウドPBXでは、主装置を自社内に設置する必要はなく、ベンダーがクラウド上に設置したものを借り受けて使用します。しかも、社内に物理的に設置する必要がないばかりか、主装置を購入する必要も、メンテナンス費用を支払う必要もありません

電話機についても、スマートフォンや携帯電話が使えるので、既に支給していれば社用スマホを転用すればいいですし、パソコンやタブレット端末にも対応していて社用タブレットや社用PCでも通話が可能ですから、もし既に端末があれば電話機の購入費用も不要です。

なお、IP-PBXの場合は、従来型よりは安いものの、主装置購入費(10万円前後)・電話機購入費(1万円~5万円)などがかかります。

維持費用・通話料も抑えられる

先ほども説明した通り、クラウドPBXでは主装置が手元にないので、維持費用はほぼ掛からない計算になります。ベンダーから多少は利用料金として請求されていることはありますが、管理費用などが上乗せされていると思われる月額基本料金も内線1台あたり数千円と、特別驚くほどの値段ではありません。一方、IP-PBXの場合は手元に主装置がある以上、維持費用は覚悟しなければなりません。

そして、これはクラウドPBXでもIP-PBXでも同じですが、外線の通話料は従来型の固定電話回線と比べると大幅に安くなります内線通話は従来型もVoIPも無料です

固定電話回線であれば、電話番号が市外局番で地域と紐づいているので、通話の発信地から着信地までの距離が遠ければ遠いほど高い通話料がかかるようになっています。しかしVoIPであればインターネット回線での通話になるので、距離に関係なく全国一律通話料金での通話になりますので、固定電話での通話よりも安くなります。

また、距離に関係なく、ベースとしての通話料金も、VoIPのほうが大幅に安いです。たとえば固定電話なら3分40円~50円かかっていた通話が、VoIPなら3分8円~と、およそ5分の1以下の低コストになっています。なお、クラウドPBXではベンダーによって通話料は異なりますので契約前にしっかり確認しましょう。

拠点間でも内線を構築できる

クラウドPBXをはじめ、VoIPのもたらす「これまででは考えられなかった」内線運用の形としてよく知られているのが、「拠点間で内線を構築できる」ことです。

従来型PBX=ビジネスフォンでは、主装置・電話機・回線など内線電話を実現する設備すべてが会社など特定の拠点内に設置されているので、当然ながら拠点内でしか内線が使えません。つまり、同じ会社であっても、東京本社と大阪支社というように拠点が離れていれば、その間の連絡は外線でやり取りせざるを得ないということです。

しかし、クラウドPBXであれば、主装置が拠点内ではなくクラウド上にあり、インターネット回線が繋がれば場所を問わずどこにいても運用ができます。それは内線構築においても同じことで、つまり、東京本社と大阪支社という離れた拠点間でも内線を構築できるということです。

これは驚くべきことで、企業運用の常識をひっくり返したといってもいい画期的なシステムです。内線が拠点間で構築できるなら、電話の取次ぎも離れた拠点同士で行えますし、設定すれば海外拠点とも内線通話ができてしまうのです。

同じくVoIPを使っているIP-PBXでも似たようなことができますが、よりクローズドな運用となるので、IP-VPNの構築が必要であったり、基幹となるネットワーク同士が繋がっている必要があります。

モバイル端末やパソコンでも内線を利用できる

従来型のPBXでは、先ほども説明した通り、通話に使用する電話機に制限があります。基本的には主装置に対応した純正のものであることは勿論、固定電話回線を前提とした運用であることもあって、電話回線が有線接続された固定電話機で運用する必要があります。そのため、デスクに備え付けられた固定電話でしか内線が使えません。

それに対してクラウドPBXでは、先ほども何度か触れましたが、対応する通話用端末が幅広いのが特徴的です。携帯電話やスマートフォンをはじめ、タブレット端末・デスクトップパソコン・ノートパソコンでの運用も可能で、インターネット回線が繋がれば如何様にでも出来るという利点があるので、より柔軟な条件で内線通話が行えます。コールセンターシステムと連携させるために拠点内ではパソコンで、出先ではスマートフォンで、という運用もできるのです。

内線構築のためにVoIP・クラウドPBXを導入する際のポイント

このように内線構築を筆頭に便利な点が多いVoIP。すぐにでも導入したいと考えるのが普通ですが、従来の固定電話回線と色々とシステム的に違うこともあって、特に固定電話での運用となるビジネスフォンから移行して導入する際には注意点もありますので、なんにせよ一度冷静に考えることをおすすめします。

ここでは、VoIP・クラウドPBXを導入する際に意識するべきポイントを解説します。

外線で使う電話番号は既存のものをそのまま利用できるか

クラウドPBXのベンダーには、様々な回線を利用した会社があります。特に注意しなければならないのは、現在会社で使っている外線用の電話番号(会社代表番号など)がそのまま利用できるかどうかです。

ビジネスフォンを導入していれば、会社代表番号は市外局番のついた固定電話の番号である場合がほとんどでしょう。しかしながら、クラウドPBXなどVoIPを利用して運用するサービスの場合、条件によってはそうした固定電話番号が利用できない場合があるのです。

たとえばIP電話専用回線しか利用できないベンダーであれば、「050」で始まる番号しか利用できませんので既存の電話番号から変更しなければならなくなりますし、緊急通報用電話番号にもつながらないなどの制限もあります。クラウドPBXのベンダーを選ぶ際には、市外局番つきの固定電話番号(0ABJ型電話番号)を利用できるかは必ず確認しましょう

音質や使い勝手、機能面に問題はないか

クラウドPBXのベンダー各社が行っているデモ期間やお試し期間を活用することをおすすめします。そうしたキャンペーンを行っているベンダーは多いので、知り合いがおすすめしているから信頼しているといった場合であっても、必ず実際の環境で一度、音質や使い勝手、機能面の良し悪しを試してみましょう。展示会で試用を行える場合もあるので、試せるものは契約前にすべて試してみることをおすすめします。

VoIPで内線を構築するならクラウドPBX「ナイセンクラウド」

ナイセンクラウドは、03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号やフリーダイヤル(0120・0800番号)に対応したクラウドPBXです。現在ご利用中の固定電話番号をそのまま利用していただくことができます。

細かな着信ルールの設定や時間帯別アナウンスの設定などが基本機能に含まれ、電話業務の効率化を推進することが可能です。またオプションとしてIVR・ガイダンス機能や電話会議機能を追加することができるため、企業の規模や業種、利用環境に応じて、最適な電話環境を構築することができます。

▼1分でわかるナイセンクラウド

>>ナイセンクラウドの詳細をチェックする<<

最低契約期間は1か月ですので、電話対応の増える時期だけ導入するということも可能です。詳しい料金は自動見積りや個別見積りでご確認ください。

>>自動見積もり・個別見積もりを依頼する<<

VoIPで内線を今よりもっとお得に構築・活用しよう!

VoIPで内線を構築する方法やそのメリットについて、導入時の注意点も含めて解説しました。

VoIPというだけで固定電話よりも通話料が安くなるという事実や、拠点間内線構築などには驚いた方も多いのではないでしょうか。なお、今回はVoIPを利用した内線構築ということでIP-PBXも含めて紹介しましたが、基本的には初期費用が安く導入も簡単なクラウドPBXのほうが、より柔軟かつわかりやすい運用という意味でおすすめできます。

本メディアでは他にもクラウドPBXにまつわる様々な情報を発信していますので、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。