VoIPに切り替えると電話の費用はどう変わる?企業こそVoIPを使うべし
個人ではスマートフォンの普及によって通話手段は多様化していますが、企業では、従来型の固定電話での運用がまだまだ多数派を占めています。固定電話は当然、電話回線を用いた通話技術となっていますが、現在はそれに対してインターネット回線を利用した通話技術が普及しつつあり、それを「VoIP」と呼びます。
VoIPという言葉自体は聞きなれない方も多いかもしれません。しかし、ここ10年ほどで「LINE無料通話」を中心に個人向けニーズとしてVoIPは低コストな通話として話題を呼び、電話に代わる通話手段として急速に普及しています。Skypeなどのインターネット回線を利用した音声通話・ネット会議ツールの普及に合わせて、VoIPは企業向けにも徐々に普及しつつありますが、企業がVoIPを導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は、企業が電話運用をVoIPに切り替えるとどういうメリットが生まれるのか、主に「電話の費用」の観点から解説していきます。
VoIPとは?通常の電話との違い
VoIPとは、冒頭でも少し触れた通り、「インターネット回線を利用した通話技術」を指します。正式名称を「Voice over Internet Protocol」といい、「ブイオーアイピー、ボイップ、ボイプ」などと読んで略します。英語の羅列を見ると難しそうに見えますが、和訳すれば「インターネット回線を使った通話」というほぼそのままの意味です。
従来の電話回線は銅線でできた「電話回線」を利用し、音声信号をそのまま伝送する仕組みになっていて、簡単に言えば糸電話のパワーアップ版です。それに対してVoIPは、アナログな通話音声をまず、受話器側で「パケット」と呼ばれるデジタルデータに変換・圧縮します。そして、信号からデータという情報に変えられた音声パケットを、光ファイバー回線をはじめとするインターネット回線(IPネットワーク)に載せて相手方に伝送し、届いた音声パケットを相手方の受話器で再び通話音声に復元する仕組みです。
冒頭でも話題にした通り、VoIPという言葉こそ世間にはあまり知られていませんが、VoIPを利用した通話はLINEやSkypeをはじめ若年層を中心としてかなり広く普及しています。個人レベルではこうしたアプリ間通話を中心としてVoIPが一般的となりつつありますが、企業レベルでも、VoIPを利用した据え置き型電話機(IP電話)をはじめとして、徐々にVoIPへの切り替えが進んでいます。
VoIPに切り替えると電話費用はどう変わる?
従来は、音声通話は電話回線を利用し、インターネットなどで情報をやり取りするのにはインターネット回線を利用するといったように、企業では電話回線とネット回線両方を引いて、使い分けてきました。そもそも、電話回線による通話手段が企業では長年一般的に用いられてきたのに、何故わざわざ今になって、インターネット回線を利用した音声通話、VoIPを活用しようという流れが徐々に大きくなってきているのでしょうか。
それは、当然ながらVoIPには大きなメリットがあるからです。しかも、その大きなメリットとは「電話回線での運用に比べ、コストが非常に安くなる」といった、コスト面での理由が多くを占めています。営利組織である企業にとって、電話などのどうしても欠かせない固定費は、安ければ安いほどいいのは当たり前のこと。実は他にもたくさんのメリットはありますが、最もわかりやすいのはコスト面での変化です。
ここでは、企業がVoIPに切り替えると、電話費用がどう変わるのかを紹介していきます。なお、ここではわかりやすい比較対象として、従来の電話回線を利用した電話システム「ビジネスフォン」を例にして解説します。
初期費用・設置工事費
従来、固定電話を利用した企業向けの電話運用として一般に広く普及していた「ビジネスフォン」では、その運用に際して初期費用・設置工事費が非常に高額でした。なぜかというと、社内の多数の固定電話機と電話回線を一元管理するために、「主装置(PBX・構内交換機)」と呼ばれる機械を社内に設置する必要があったからです。
ビジネスフォンでの運用の場合、主装置の購入費及び設置工事費がまず初期費用として必要になります。そのうち主装置の購入費だけでも安く規模の小さいものでは十数万円から、高く大規模なものでは数百万円にも及ぶ非常に大きなコストがかかります。それに加えて、主装置の設置工事費と、別途説明しますが電話機代および電話機の設置工事費がかかります。さらに加えると、主装置を自社で設置するために、定期的なメンテナンスや故障時の修理代などの保守管理費用もかかってきます。
VoIPの場合では運用の種類はいくつかありますが、主装置は自社サーバーへの設置か、あるいはクラウド環境への設置が一般的になりますので、ビジネスフォンほどの高額な費用はかかりません。主装置を自社サーバーへ設置するIP-PBXでは十数万円~100万円台とビジネスフォンよりは安く、クラウドサーバーへ設置する「クラウドPBX」では主装置の購入は不要なのでコストゼロになります。
通話料
現在、通話手段が多様化する中で、携帯電話・IP電話など色々な通話手段が生まれていますが、固定電話の通話料は、そうした色々な通話手段の中でも非常に高額な部類です。
それはなぜかと言えば、固定電話番号は位置情報と紐づいており、発話側と受話側の物理的・地理的な距離が遠くなればなるほど通話料が高額に設定されるからです。また、発信先の電話の種類(携帯電話・固定電話・ナビダイヤル・フリーダイヤルなど)によっても通話料が上下しますし、早朝・日中・夜間・深夜など時間帯によっても通話料が上下します。それに加え、海外拠点がある場合は国際電話も利用するため、更に高額になります。
携帯電話の通話の場合では位置情報と電話番号が紐づくことはないため物理的距離に関係なく全国一律の料金が設定されていますが、VoIPに比べると非常に高額ですし、海外に電話する時に国際電話を利用することに変わりはありませんので、相対的にはかなり通話料が高くつきます。
これに対してVoIPはおそらく現在通話手段として認知されているあらゆる通話の中でも最も通話料が安くなります。普通に固定電話や携帯電話宛てに電話する場合には固定電話の3分の1~5分の1程度安くなりますし、発信先の電話番号が「050番号」など同じVoIPの番号の場合は通話料が無料になります。VoIPには同一アプリ同士限定で時間関係なしに無料通話がずっと出来るものもありますし、通話料は非常にお得です。
なお、VoIPを利用した企業向け電話運用であるIP-PBXやクラウドPBXでは、同じ会社の別拠点との間に内線が構築できるので、拠点が遠く離れていても内線通話ができます。そしてもちろん、内線での通話料は無料になります。また、設定が可能なベンダーに限られますが、海外拠点との間にも内線が構築できる場合があり、その場合は国際電話の利用も不要になりますので、総じて通話料を大幅に削減できるのです。
電話機の費用
固定電話を用いるビジネスフォンでは、導入する際には社内に設置する主装置に対応した純正の固定電話機を新たに購入しなければならない場合がほとんどです。そうした純正の固定電話機の購入費は1台当たり2万円~4万円ほどで、それに加えて1台当たり1万円前後の設置工事費も加算されます。
VoIPの場合でも、据え置き型IP電話機を使う場合には1台当たり1万円~5万円前後の購入費がかかりますが、VoIPのいいところはビジネスフォンと違って主装置に対応した純正の電話機を使う必要がないので、中古品の活用がしやすい点です。中古の場合の相場は数千円台~1万円台とコストがかなり安くなります。
また、クラウドPBXの場合では通話用デバイスとして据え置き型IP電話機以外にも、スマートフォンをはじめPCやタブレット端末など対応機器が多くあり、既に支給している社用スマホや社用PCを転用しても通話が可能なため、工夫すれば電話機の費用についてはコストゼロにできます。
企業がVoIPで費用削減するなら「クラウドPBX」がおすすめ
先程から企業向けのVoIPによる電話運用の一種として少しずつ名前を出している「クラウドPBX」をご存知でしょうか。
クラウドPBXは、先の章で比較対象に出した固定電話運用のビジネスフォンの仕組みをクラウド環境とVoIPで置き換えた新世代の企業向け電話システムです。クラウドPBXは従来のビジネスフォンに比べてはるかに少ないコストで、ビジネスフォンを大きく超える利便性を実現している、まさに画期的な電話システムであり、特にここ5年ほどで業界が急成長しています。
ここでは、クラウドPBXとはそもそもどういったもので、どういったメリットがあるのかを具体的に解説していきます。
クラウドPBXとは
クラウドPBXは、上でも説明した通りビジネスフォンの仕組みをクラウド化したもので、根幹となる仕組みはビジネスフォンと同じです。「主装置を用いて電話機や回線を一元管理する」というビジネスフォン(従来のPBX)の仕組みをそのまま踏襲しています。そのため、クラウドPBXもできること自体は、ビジネスフォンとほぼ同じです。
そもそもビジネスフォンは「社内の多数の電話機で電話回線を共有する」ことを強みとしてきました。そのために主装置を中枢に据えて回線と電話機を一元管理できるようにしており、こうした構造を持つことでたとえば「1つの電話番号宛ての複数の着信に複数の電話機で同時に応対する」「着信を別の電話機に転送(取次ぎ)する」「社内の複数の電話機同士で内線通話をする」といった、日常的に会社で行う電話業務のほとんどを行うことができます。
そしてビジネスフォンはそうした構造を維持するために、「会社内に主装置を物理的に設置」して、「主装置に対し電話回線や固定電話機を全て有線接続する」という構造をとっており、運用自体を拠点としっかり固定しています。つまり、固定電話機はデスクでしか使えませんし、会社の電話番号を用いた通話や内線通話などのビジネスフォンの機能も会社内でしか使えません。
これに対してクラウドPBXは「主装置を社内に設置せず、クラウド上に仮想的に設置」して、「主装置との接続は無線通信を含むインターネット回線を経由」しつつ、「電話機はIP電話機だけではなくスマートフォンなど持ち運び可能なデバイスを使う」といった違いがあります。クラウドPBXは、そもそも運用の主体となる主装置を拠点外に設置するため、拠点やデスクに縛られることがありません。
クラウドPBXなら導入が簡単
クラウドPBXは、先程も説明した通り、主装置を社内に設置しません。それどころか、ユーザー自身で主装置の設置作業を行うこともなければ、専門業者を自社に派遣して設置してもらうということもありません。主装置がクラウド上にあるということは、要はインターネット回線上に主装置が組み込まれているような形になっているので、「どこか遠くに主装置があって、それを遠隔で借り受けて運用する」と考えてもらって大丈夫です。
そのため、主装置の設置にかかる手間や費用が一切不要で、大げさな工事も必要ありません。何なら通話用デバイスもスマートフォンやタブレット端末を配布してしまえばそれで済むので、導入が恐ろしく簡単なのがクラウドPBXの特徴です。最短即日から、数日程度~1週間程度で運用開始できるので、運用開始までの時間も長くはかかりません。
クラウドPBXの様々なメリット
先程もクラウドPBXとは何かのところで説明した通り、クラウドPBXはビジネスフォンと違い、運用自体が拠点に縛られることがありません。そしてそれこそがクラウドPBXの最大のメリットと言っていいでしょう。そうした特徴によって、以下のような様々なメリットが派生的に発生します。
- 会社外でも自宅でも、いつでもどこでも内線通話ができる
- 地方や海外など、離れた拠点との間にも内線ネットワークを構築できる
- 会社にかかってきた電話を、外出中の社員の携帯宛に直接取次ぎできる
- 外にいても移動中でも自宅にいても、会社用の電話番号を使って通話できる
- テレワークやサテライトオフィスなど多様な働き方を取り入れられる
- 対応する通話用端末が多いので、用途や環境に合わせて固定型・持ち運び型を使い分けできる
クラウドPBXでは、このようにVoIPとクラウドを活用することで得た多くのメリットにより、劇的な業務効率の改善が行えるほか、先述の通り大幅なコストの削減もできます。現代という時代に即した多様な働き方の導入なども不都合なく導入可能になり、まさにただの電話ツールではなく「働き方を大きく変えるツール」といっても過言ではありません。
VoIPで費用を削減するなら「ナイセンクラウド」
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クラウドPBXを導入して費用を削減しよう
企業がVoIPを導入すると電話の費用はどのように変わるのか、特にVoIPを使った新たな企業向け電話システムであるクラウドPBXの仕組みやメリットを具体的に掘り下げつつ、解説しました。
記事を通して解説してきた通り、VoIPを導入することで、電話の費用は大きく削減できます。特に離れた場所の人とも沢山やり取りしなければならない企業という組織の場合には、そのコストは固定電話での運用とはまさに雲泥の差と言っていいでしょう。
なお、記事内ではIP-PBXについても言及していますが、今の時代からVoIPの活用を目指すなら、クラウドPBXを導入したほうがはるかにお得ですし、利便性も高いです。
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