iPhoneで内線を使用するには?iPhone内線化のメリット

電話業務の効率化

特に企業にとって、内線は欠かせないものとなっています。内線通話は公衆電話網につながず、社内など同一拠点内にある複数の電話機同士で通話できる仕組みなので無料で通話できるだけでなく、同一ビル内でも歩いていくには遠い別部署ともすぐに相互通話ができるなど、便利な点がたくさんあります。

ビジネスフォンの場合では固定電話機を使いますので、当然ながら内線通話は会社でしか使用できません。仕事で頻繁に通話する人なら、一度は「iPhoneで内線が使えたら便利だろうな」と思ったことがあるはず。しかし実は、いつも手元にあるiPhoneを使って内線通話ができる方法が既にあるとしたら、すぐにでも知りたいですよね。

今回は、iPhoneを内線化する方法を、そのメリットや注意点とともに解説していきます。内線をiPhoneで使う方法を知れば必ずやビジネスの効率が飛躍的に向上するかと存じますので、ぜひとも参考にしてください。

iPhoneを内線化してできること

iPhoneを内線化することは、詳細は後述しますが、技術的には既に可能ですし、一般的にサービスも始まっています。

しかし、その具体的方法を説明する前に、iPhoneを内線化するとどういうことができるのかをまず知っておく必要があります。それは、iPhoneを内線化するにあたってどういう運用をしたいのかをあらかじめ考えておくと、導入もスムーズにいくからです。

ここでは、「iPhoneを内線化するとできること」と題しまして、その具体的内容を3つ紹介します。内線をiPhoneで活用できると、従来の条件では思いもよらなかった効率的なやり取りが可能になりますし、従来の内線電話の限界を考えなくてよくなることで、業務フローも大幅に簡素化できるでしょう。

オフィス外で働く社員と通話料なしで連絡が取れる

冒頭でも少し触れたように、これまで企業で内線電話を使うために取り入れていたビジネスフォンの仕組みでは、内線通話は会社内でしか使用できません。「そんなの当たり前だよ」と思っている方も少なくないでしょうから、これをそもそも「非効率」と感じない人も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に使ってみると、オフィスの外にいる社員との連絡を取るうえで非常に効率的とわかります。企業には内勤者だけでなく、たとえば出張や外出の多い営業や、得意先へ常駐している出向社員、リモートワークで作業をしている業務委託スタッフなど、オフィスの外で働く人が多数存在します。

従来の仕組みでは、そういった人たちと連絡を取ろうと思うとどうしても外線を使う必要がありました。また、逆にオフィス外にいる社員たちが会社の内線電話を使おうと思うと、いったん会社に出勤あるいは帰社しないといけません。そうした手間をかけるくらいなら外線で通話料を負担したほうがいいくらいでしょう。

iPhoneで内線を使えれば、そうした手間が不要であるうえ、通話料の負担なくオフィス外の社員と会社から常時連絡を取り合えますし、オフィス外にいる人たちも手持ちのiPhoneで会社へ内線通話を行えます。そして何より便利なのが、「発信側・着信側双方が会社にいなくとも内線通話ができる」ということです。着信側・発信側双方が会社にいなくとも内線通話ができるというのは、これまでの常識では考えられない大きなメリットではないでしょうか。

拠点間の通話もiPhone経由で無料にできる

iPhoneはどこにでも持ち運び可能ですよね。すなわちiPhoneで内線が使えるということは、「場所の制限を受けずに内線を利用できる」ということです。これはおそらく多くのサラリーマンにとって盲点ともいえる思わぬ規模でのメリットを持っています。

従来のビジネスフォンでは、システムの中枢を担う主装置をはじめ、内線電話を実現する設備すべてが会社など特定の拠点内に設置されているので、拠点内でしか内線が使えませんでした。しかしiPhoneを内線化することができれば、いわば「内線をどこにでも持ち運べる」ということでもありますし、また「拠点をまたいでの内線構築も可能」ということでもあります。

プライベートでも東京にいながら沖縄の友人とLINEで無料通話ができますよね。これと同じように、大阪と東京というように数百km離れた拠点同士でもiPhone同士なら内線設定が可能で、内線通話ができます。また、インターネット回線が世界中に広がっていることに思い至った人はもう察しているかと思いますが、国内だけでなく海外拠点との間にも内線ネットワークを構築でき、国際電話を使わずとも内線通話ができるのです。海外拠点と内線を構築できれば、大幅なコストカットになるでしょう。

これは、特に事業所を各地に展開する大企業や、海外にメインの生産拠点を置く企業ほど便利なメリットといえるでしょう。

オフィス外にいる社員に外線を取り次ぐことができる

取次ぎというのは、あらかじめ取り次ぐ相手に内線通話をして、電話を取り次ぐ旨を伝えたうえで外線と担当者が直接話せるように回線の切り替えを行うものです。ビジネスフォンでは、担当者に電話を取り次ぐ場合、担当者が会社内、しかも自分のデスクにいなければ取次ぎができません。

もし担当者が外出先・出張先に出払っているなどして取次ぎが直接できない場合は、相手から用件や伝言を控え、担当者が出先から戻ってきた際に用件を伝えるか、担当者の携帯電話へ会社から外線で電話をして、電話があった旨と相手の名前・用件を伝えるといったことが必要でした。習慣として当たり前だからと無駄に感じたことがないという人もいるかもしれませんが、これは非常に無駄で非効率です。

iPhoneで内線が利用できれば、会社から直接外出先の担当者のiPhoneに電話を取り次ぐことができます。担当者が電話に出られる状況である限りは、直接相手の着信を担当者のiPhoneに簡単に転送できるのです。電話に出られない場合はまた別ですが、これだけでも内勤者の負担が大幅に減少します。

iPhoneを内線化する方法

このように、iPhoneで内線を利用できると、これまで面倒だったことが格段に楽になりますし、これまでできなかったこともできるようになります。特にiPhoneで内線が使えることによって生まれる「場所の制限を受けない」というメリットは、拠点を増やしながら拡大していく企業という形態と相性がいいだけでなく、テレワークやサテライトオフィスなど新しい働き方とも相性が抜群です。

それでは、実際にiPhoneを内線化するにはどのような方法をとればいいのでしょうか。ここでは、その具体的な手順を必要なものと共に解説していきます。

必要なもの

iPhoneを内線化するための方法は、必要なものを用意できればそこまで難しくはありません。まずは必要なものを用意しましょう。

iPhoneを内線化するのに必要なものは、主に3つあります。ここでは、iPhoneを内線化するために必要なものを3つ挙げ、それぞれが何でどういった特徴を持つものなのかを解説していきます。

クラウドPBX

iPhoneを内線化するために必要な方法の代表的なものが「クラウドPBXの導入」です。

クラウドPBXはここ5年ほどで急成長を遂げた、従来のビジネスフォンに代わる画期的な電話システムです。従来のビジネスフォンの仕組みを踏襲しつつ、ビジネスフォンに比べ大幅に低コストかつ柔軟に運用でき、その利便性から新たに導入する企業が増えています。

先ほども軽く触れましたが、そもそも従来のビジネスフォンで内線が使えるのは、社内に「主装置(PBX)」と呼ばれる精密機器を設置し、その主装置に対し複数の外線および内線を含む電話回線と、固定電話機をまとめて有線接続することで、社内の電話機同士の通話や、外線を使った通話を一元管理しているからです。外線だけでなく内線も社内のすべての固定電話機に配線されているので、簡易的な番号を打つだけで内線通話が利用できるのです。

これに対して「クラウドPBX」では、電話機と回線を一元管理する主装置を社内ではなくクラウド上(インターネット回線上)に設置し、電話機だけでなく、パソコンや携帯電話・スマートフォン等の端末とインターネット回線で常時接続することによって、内線をはじめとしたビジネスフォンと同等の仕組みをクラウド環境で再現しています。

これまでにも述べた通り、ビジネスフォンでは主装置が社内に設置する必要があるので内線が拠点内でしか使えないのに対し、クラウドPBXは主装置がクラウド上にあるので、インターネット回線が繋がる環境であればどこでも、場所の制限なく内線が使えるのです。

iPhone

iPhoneを内線化するためには、当然ながらiPhoneが必要です。言うまでもないことではありますが、iPhoneがないと始まりません。

iPhoneは、自社でOS(オペレーティングシステム)と端末本体両方を作っているので、動作の安定性が高いことで知られています。そのため、特に仕事上の連絡を密に行う日本企業では導入率が高く、大手携帯会社が数千台規模でリースしていることも多いです。

ソフトフォン

通常の携帯電話であれば、「通信手段」と「端末」を用意すればそれで完了です。しかし、クラウドPBXを契約して、iPhoneを用意した、ただそれだけではiPhoneを使った内線通話はできません。もう1つ用意するものがあります。それが「ソフトフォン」と呼ばれるアプリケーションです。

ソフトフォンは、iPhoneをはじめとしたスマホでIP電話を行うためのアプリで、基本的にはiPhoneにアプリをインストールし、インストール後に簡単な設定を行います。具体的には「SIP」と呼ばれる通信ができるようにアカウント作成や通信に関する設定を行うことで、クラウドPBX用の内線端末として使用できるようになります。

ソフトフォンにはいくつかの代表的な人気アプリケーションがありますが、最も対応デバイスと対応OSの幅が広いのは「Zoiper」というアプリです。ZoiperはスマホのOSであるiPhone・Androidどちらにも対応しており、比較的最近のスマホであればiPhoneに限らず使用可能です。Zoiperはマルチプラットフォームが強みで、PC版も用意されており、Windows・Mac・LinuxとメジャーなOSは大体網羅しています。

iPhoneと特に親和性が高いソフトフォンアプリでは「Acrobits Softphone」が挙げられます。iOS10以降で利用できるApple純正フレームワーク「CallKit」に対応しており、iPhoneのプッシュ通知から電話を受けることができたり、iPhone純正の電話帳からそのまま発信出来たりするので、ほかのアプリと違いアプリをずっとバックグラウンドで起動しておかなくても電話に気づけます。近年はAndroid版もリリースされており、より強化されています。

Grandstream Wave」というソフトフォンアプリは最大6個のSIPアカウントを統合して利用することができるアプリで、最大24個のBLFキーを備えスピードダイヤルにも対応しています。PBXの監視を行えるほか、6者間のテレビ電話にも対応しているのが特徴的です。このように色々できますが、初期画面にはメニューが3つしかなく、ツリー構造で使いたい機能を辿っていくので理解しやすい構造となっています。

Acrobits社の「Groundwire」というソフトフォンアプリもiOS・Android両方に対応していますが、こちらのアプリは有料で、1,000円程度の買い切り式となっています。「Acrobits Softphone」と同じ会社が開発したアプリだけあって通常のスマホの電話のようにほかのアプリの邪魔にならないように通知が降りてくるよう設定できます。

その他、着信時にバイブさせる機能や、着信拒否機能、マルチアカウント機能(複数アカウントを登録している場合に着信したアカウントを表示してくれる)などお役立ち機能がたくさんあります。類似の無料アプリの中には海外への不正発信を勝手に行う悪質なアプリがあるようですので、こうした有名なデベロッパーが開発した有料アプリの方が安心かもしれません。

アプリケーションの種類は、クラウドPBXベンダーが提供する環境や条件によって、指定される場合もあれば選べる場合もあります。

iPhoneを内線化する手順

それでは必要なものを用意していただいたところで、iPhoneを内線化する手順をいよいよ紹介しましょう。といっても、あまり手順は多くなく、難しくもありません。必要なものを用意した状態での主な手順は以下の通りです。

  1. クラウドPBXを提供しているベンダーと契約
  2. 回線開通の案内が届いたら、運用管理者がPC上の管理画面から使用する端末IDの登録などの設定作業を行う
  3. 実際にクラウドPBXを使用する社員がiPhoneに指定のソフトフォンアプリのダウンロード・インストールを行う
  4. iPhoneを操作してアプリのアカウント設定等を案内通りに行い、テスト発信をする

この4ステップだけでiPhoneの内線化が可能です。クラウドPBXの場合、回線の工事や電話機の設置工事も不要ですし、すべてiPhoneで運用するなら、必要なだけの端末さえ用意すれば導入できてしまいます。

iPhoneを内線化して使用する際の注意点

このように便利でメリットも大きく、手順もそこまで難しいことはなく簡単にiPhoneを内線化することができると聞いたら、すぐにでも導入したくなるのが人の性というものです。しかし、iPhoneの内線化には注意点や意識するべきポイントがいくつかあります。特に内線利用を目的としたBYOD(スマホ等の私用デバイスを仕事に利用すること)を導入する際には慎重に利用環境を整えていくことが求められます。

ここでは、iPhoneを内線化して使用する際に気を付けなければならない注意点や、「実はこんなことも可能です!」というお役立ちポイントを解説していきます。

内線化したiPhoneの利用や取り扱いに関するルールを周知・徹底させる

iPhoneを内線化した場合に最も気を付けなければならないのは、セキュリティ対策です。

セキュリティに関してはベンダーの方でもクライアント証明書を入れたりプロファイルを入れたり、クラウドPBXの設定の際にある程度対策を指示してくれることはあります。しかし、近年は自発的にiPhoneを操作させることで不正なプログラムを侵入させるトラップ型の不正アクセスが横行しています。

ユーザーが高いセキュリティ意識を持つことでセキュリティ上のリスクの多くを回避できますが、使うのは人間ですから、それにも限界があります。社用iPhoneであれば、利用する時間帯を明確に決めたり、定期的に所在を報告する、出勤が前提なら職場のロッカーに預けるといった所在管理を徹底し、ルールをしっかり周知しましょう。

特に社員の私用iPhoneを仕事に導入する「BYOD」によってiPhoneを内線化する場合には、私用時のルールも決めなければなりません。コンプライアンス研修も組み合わせて徹底してルール決めを行い、セキュリティ的に危険な行動を慎むよう周知しましょう。

たとえば不用意なサイトアクセスや怪しげなアプリのインストールによりマルウェアに感染したり、プライベート用のメールに届いたリンクをクリックして情報入力をした結果個人情報や会社情報が抜き取られてしまうなどで情報が流出した例は枚挙にいとまがありません。怪しいアプリは入れない、メールのリンクはクリックする前に警戒するといった危機意識が必要です。

iPhoneの場合はGPSが発信できますので、リモートアクセス機能も備えたMDM(モバイル端末管理)というサービスの導入も検討してみましょう。MDMを使うことで、iPhoneの位置情報や利用状況をサーバー経由で一元管理でき、端末を万が一紛失したとしても、遠隔操作・データ消去などを行えます。

SIMなしiPhoneもWi-Fi接続で内線化できる

iPhoneは携帯電話なので通常利用する際には携帯会社等と契約してSIMカードを挿入して使います。しかし、クラウドPBXの運用の際はiPhoneが何らかの方法でインターネット回線につながりさえすればいいので、Wi-Fi環境のある場所ではSIMカードを契約せずともSIMなしのiPhoneで内線化が可能です。自宅の固定回線や会社内など安定したWi-Fiが飛んでいる場所では、あえてモバイルデータ通信を切って、機内モード→Wi-Fiオンをして通信量を節約する作戦も可能です。

iPhoneだけでなくAndroid端末でも内線化は可能

先ほどソフトフォンアプリの紹介の時に、いくつかAndroid対応のアプリがあったかと存じますが、もちろんiPhoneに限らず、Android端末でも内線化は可能です。iPhoneは動作の安定性では強みがありますが、近年では独自規格による充電の不便さや、最新機種では顔認証のみでコロナ禍のマスクをしている状態でのロック解除が煩わしいなどの問題もあります。本記事ではiPhoneでの内線化を紹介していますが、同じ手順でAndroid端末でも内線化が可能というのは覚えておくべきでしょう。

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ナイセンクラウドは今多くの企業で導入されているクラウドPBXです。全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800の着信課金型番号にも対応しており、既存の電話システムからクラウドPBXに乗り換える際に電話番号を変更する必要なく移行可能です。

詳細な着信ルール・アナウンスの設定や特定番号のブロック機能、電話履歴の管理機能など、企業に必要な機能を基本機能として備えています。

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お手持ちのiPhoneを内線化してみましょう

iPhoneを内線化する方法とそのメリット、運用する際の注意点などを具体的に解説しました。

iPhoneを内線化すると、同じ会社やグループで働く社員全員と内線ネットワークで相互接続することになります。これは便利ではありますが、持ち運びや使用の際にしっかりとしたセキュリティ意識をもっていないと、場合によってはチーム全体に迷惑がかかってしまいかねません。

iPhoneを内線化して使用することはとても便利です。便利であるからこそ、それを使う人間が思わぬ失敗をしてしまわないよう、しっかりと組織内でルール決めを行い、ルールをしっかり周知することが必須といえるでしょう。

クラウドPBXに関しては他の記事でも様々な情報を紹介していますので、ぜひ他の記事も読んでみてください。