クラウドフォンのメリットとは?今すぐ導入すべきケースはどんなとき?

電話業務の効率化

従来、企業向けの電話システムといえば、今も一般的に導入されている「ビジネスフォン」のように、固定電話を使った運用が一般的でした。しかし、電話や通話技術の多様化に伴い、ここ5~6年で急速に認知度を高めているのが、ビジネスフォンの仕組みをクラウド環境に置き換えた「クラウドフォン」です。

長年導入されていたこともあり、ビジネスフォンも企業には欠かせないメリットがある運用方法ですが、クラウドフォンはビジネスフォンを大きく超える便利かつ柔軟な運用を実現しており、実際にビジネスフォンでは得られないようなクラウドフォンならではのメリットが沢山あります。

今回は、クラウドフォンの導入によって得られる、クラウドフォンならではのメリットを解説していきます。そして、それと併せてクラウドフォンを今すぐ導入すべきなのはどういったケースに当てはまる企業なのか、ということも明かしていきますので、クラウドフォンの導入を迷っている企業の皆様も是非参考にしてみてください。

クラウドフォンとは?普通の電話と何が違う?

まず、大前提として、クラウドフォンはあくまでも「企業向けの電話運用」の1つであり、普通の電話とは求められている機能や構造自体が大きく違うものであるということを覚えておきましょう。冒頭でも少し説明をした従来型の固定電話を使った電話運用である「ビジネスフォン」も、企業向けに特化した電話運用であり、それ相応の独特な仕組みをもっています。クラウドフォンは、大枠でいえばビジネスフォンと同じカテゴリに属する電話運用であるということをまず知っておいてください。

普通の電話とクラウドフォン・ビジネスフォンがどう違うのかを簡単に説明しましょう。普通の電話が基本的には家族全員が家に紐づく1つの電話番号を持っていて、「1つの電話番号宛ての着信に対して応対できるのは1人だけである」というものであることは理解できますよね。この理由は、電話番号が一つしかなく、また電話番号に紐づく回線もまた1本しかないからです。そのため、電話中に他の人から着信が来ても話し中、あるいはキャッチホンになってしまいます。

それに対してクラウドフォンやビジネスフォンなど、ビジネス向けの電話運用の場合、大前提として「複数の電話機で回線を共有する」という仕組みになっています。たとえば1つの電話番号宛てに同時に5件の着信が入ったとしても、5台の電話機で「共有」して同時並行的に応対できるので、5つの電話番号宛ての着信に対し5人で別々の応対が可能なのです。そのため、1つの電話番号宛てに大量の着信が来ても、大量の電話機と回線枠があれば、そのキャパシティ分の人数で対応ができるのです。勿論、回線枠には限界があり、全ての電話機の台数分の着信が受けられるわけではありませんが、基本的には「複数の着信を複数の電話機で捌ける仕組みになっている」とざっくり認識しておいてください。

そして、そうした仕組みを実現するために、クラウドフォンやビジネスフォンでは、「主装置(PBX)」と呼ばれる構内交換機を使って、電話機と電話回線を一元管理するという方法を取っています。回線や電話機を主装置に接続することで、主装置が頭脳となって外線の着信を受け、受けた着信を社内の所定の固定電話機へ随時割り当てたり、社内の電話機同士の内線通話を成立させたり、所定の電話機に来た着信を電話機の操作に応じて違う電話機に切り替えたり(電話の取次ぎ)といったことを半自動的に行っているのです。

それでは、クラウドフォンはビジネスフォンとどう違うのか。これは、非常に簡単に説明すると、ビジネスフォンが「物理的な主装置を社内に設置し、固定電話機や固定電話回線を社内にある主装置に全て有線接続する」仕組みなのに対し、クラウドフォンは「仮想的な主装置をクラウド上に設置し、スマホや携帯電話、パソコンなどとクラウド上の主装置をインターネット回線で相互接続する」仕組みであるという違いがあります。

このような違いによって何が変わるのでしょうか。まず、ビジネスフォンは、社内に主装置を設置後、主装置と固定電話機を有線接続するため、会社にいなければビジネスフォンは使えません。それに対してクラウドフォンは、主装置をクラウド上(インターネット回線上)に仮想的に設置するので、そもそも会社内に主装置を設置する必要がありません。そのうえで、スマホや携帯電話といった無線通信ができ、どこへでも持ち運び可能なデバイスと、クラウド上の主装置を相互接続することが可能なため、クラウドフォンは会社という拠点に縛られることなく、場所に関係なく運用ができる仕組みなのです。

クラウドフォンのメリット

以上のように、クラウドフォンはビジネスフォンと大枠の仕組みは同じであるものの、ビジネスフォンは拠点に縛られ、クラウドフォンは拠点に縛られることがないという大きな違いがあります。つまりクラウドフォンは、「インターネットさえ繋がれば、場所に関係なくどこでも運用できる」という大きな特徴があり、これこそが最大のメリットとなっています。

ここからは、上記のようなメリットから派生する、クラウドフォンの色々なメリットを紹介していきます。

複数拠点で内線を構築できる

上に詳しく記したように、クラウドフォンは場所に縛られることのない自由な運用が可能です。その為、場所という概念を超えた運用ができます。たとえば、クラウドフォンやビジネスフォンの主要な機能として内線通話がありますが、クラウドフォンの場合では東京本社と福岡支社のように900km以上の距離がある異なる複数の拠点の間でも、なんと内線を構築できるのです。

従来のビジネスフォンは、内線通話は特定の拠点内でしかできませんでした。内線が拠点内にしか張られていないからです。そのため、ビジネスフォンでは東京本社から福岡支社へ連絡する時には外線で連絡するほかなく、しかも固定電話は物理的距離が遠いほど高い通話料が加算されるので、非常に高い通話料がかかっていました。

クラウドフォンのようにどれだけ離れていても別拠点と内線が構築できれば、別拠点との連携がより密接になるのはもちろん、かなりの通話料の節約につながることは間違いありません。海外にある支社や工場とも同様のことがいえます。

設置費用・通話料を抑えられる

ビジネスフォンとクラウドフォンの大きな違いとして、「物理的な設備の有無」があります。

ビジネスフォンの場合、社内に主装置や大量の固定電話機や電話回線を設置・配線する必要があり、主装置の購入あるいはリースが必要で、また運用をまともに走らせるためにには設置・配線にかかる大規模な工事が必要でした。主装置の購入費だけでも安くて数十万円~高くて数百万円かかり、設置工事には電話機1台当たり1万円前後の費用がかかります。

それに対しクラウドフォンの場合、主装置はクラウド上にあるので社内に設置不要なうえ、主装置の購入やリースも不要です。そして当然ながら、設置工事も不要になります。つまり、上記の高額のコストがすべて不要、すなわちゼロになるのです。

これだけでも大幅なコスト削減が実現しますが、クラウドフォンは先ほども説明したように拠点間で内線を構築できます。設定できるベンダーなら海外の拠点とも内線電話ができてしまうのです。クラウドフォンなら、内線電話できるところは可能な限り内線通話に置き換えるという運用ができるので、その分の通話料も大幅に削減できます。外線を使わなくていいどころか、国際電話を使わなくていいというのは、従来の運用を考えれば夢のようなメリットではないでしょうか

複数拠点で電話番号を共有できる

特に拠点を全国各地に沢山持つような大企業では、拠点ごとに電話番号が違って、大量の拠点の電話番号を管理するのが非常に大変かと思います。社内ならまだいいですが、お客様や取引先はどこに問い合わせていいかわからずに混乱してしまうことも多いでしょうし、似たような番号があるとかけ間違えをしてしまったりしてトラブルの素にもなりかねません。

こうした時、クラウドフォンであれば複数の拠点すべてとシステム上で1つの会社であるかのようにつながれます。たとえば別拠点との内線の構築など、まさに全拠点が1つのオフィスに集まっているような運用ですよね。そうした特性を利用して、クラウドフォンではなんと「複数拠点で1つの電話番号に統一できる」ということができるのです。

もし、問い合わせ窓口が1つの電話番号だけだったら、お客様や取引先など社外の人間からしてみればこれほどわかりやすいことはありません。また、社内でも電話番号が管理しやすいですし、自動音声応答と組み合わせて問い合わせ内容の切り分けを行って、特定のテーマの問い合わせは特定の拠点だけで電話が鳴るようにして巻き取り、といったことができるので、混乱も起きません。

インターネットに繋がればオフィス外でも利用できる

先ほど述べた通り、クラウドフォンの根幹にかかわるのがこのメリットです。クラウドフォンは主装置がそもそも会社外にあるので、普段拠点にしているオフィスにいなくとも、会社用の電話番号を使った通話や、社員同士の内線通話、社外にいる社員への電話の取次ぎなど、クラウドフォンの全ての機能がオフィス外でも使えます。ただし、クラウド環境というのはインターネットが繋がることを前提に繋がるものなので、「インターネット回線が繋がる場所」という制限はありますが、それさえ満たせば全国どこにいっても会社の電話が使えます。

出張の多い企業や在宅勤務を取り入れたい企業にとっては、まさに最適な電話ツールといえます

クラウドフォンを今すぐ導入すべきケース

このように、「場所に縛られない運用」がもたらす色々なメリットこそがクラウドフォンを唯一無二のサービスへ押し上げるきっかけとなりました。こうしたメリットを聞くと我先にクラウドフォンを取り入れたくなるでしょう。しかし、色々な企業の中でも、クラウドフォンを今すぐ導入するべきなのはこういう企業、といったいわゆる「相性のいい」企業が存在します。

ここでは、どのような企業であれば今すぐクラウドフォンを導入するべきなのかを解説します。

費用を削減したいとき

まずは何といっても、電話運用にかかる費用を削減したい、と言った時にはクラウドフォンを今すぐにでも導入するべきといえるでしょう。先程も十分書きましたが、コスト削減に関してはビジネスフォン+社用スマホの運用からクラウドフォンに変更するだけでかなりの差が出ます

現在ではビジネスフォンだけでは追い付かないために社用スマホも取り入れている企業が非常に多いですが、社用スマホは所詮は外線しか使えない電話機ですから、いくらか便利ではあっても結局はコストを押し上げる結果になってしまうのです。そうした時に、いっそスマホをクラウドフォンにしてしまって、内線が使えるほうがはるかに費用が削減できるのは間違いありません。

複数の拠点・海外拠点を持つとき

先ほども説明したように、「場所に縛られない運用」ができるクラウドフォンにおいて、複数の拠点や海外拠点と内線が構築できるというメリットは、拠点の多い大規模な企業ほど大きいでしょう。内線構築による通話料削減は勿論のこと、先述した電話番号の統一も、かなりの手間を減らしてくれます。

出張や在宅勤務者が多いとき

クラウドフォンの最大のメリットとして何回も説明している「場所に縛られない運用」は、多様な働き方の実現にも大きく寄与します。会社外にいても会社の電話が使えるという事はつまり、在宅勤務中でも出張中でも会社の電話が使えるという事だからです。それ故、出張する社員や在宅勤務の社員が多い企業は、これまでとは比較にならないほどそうした会社外で働く社員との連絡が楽になることでしょう。何しろ、それまでは1人1人全く違う電話番号宛てに外線で電話していたのが、内線番号だけで連絡できるのですから。

コールセンターなど電話業務が多いとき

クラウドフォンは、コールセンターとの相性もいいツールです。クラウドフォンには、「自動音声応答(IVR)」や「ウィスパリング」「モニタリング」などコールセンター運用を前提とした機能もたくさん用意されています。そうした機能を場所に関係なく運用できるとすれば、たとえば北海道の上司が東京の新人のオペレーティングをモニタリングして、それに対して遠隔でウィスパリングすることもできます。

そのうえ、クラウドフォンはパソコンを使った通話にも対応しているので、パソコンでのデータベース管理が求められるコールセンターシステムとも問題なく併用できます。

また、このようにコールセンター構築と相性のいい機能を持ち、場所に縛られない運用が可能なクラウドフォンでは、極論を言えば在宅ワークのオペレーターのみで1つのコールセンターを運営することもできますので、これまでのような広いオフィス自体が不要になるといっても過言ではありません。

BCP策定の必要性があるとき

BCP策定(BCP対策)とは、企業がたとえば大地震などの大規模な自然災害や、豪雨・台風等の天災、あるいは戦争やテロ攻撃といった有事に見舞われ、事業の継続が困難になった時に備えて、緊急時にも事業がある程度継続できるように、平時からその方法や手順を取り決めておくこと、およびその計画を意味します。

たとえば、史上最悪レベルの大震災が起きて本社オフィスが壊滅的被害を受けたとしても、別拠点で中核となる事業が継続できるよう、主要な機能や意思決定機関を分散させておくことなどがそうです。

BCPとは「Business Continuity Plan」の頭文字を取った言葉で、日本語では事業継続計画と呼ばれます。BCP策定に関しては、まさに今の時代、リアルタイムで強い心当たりを誰しもが持っているのではないでしょうか。そうです。2020年より世界規模で巻き起こった、未曽有の世界的な感染症パンデミックです。

2021年11月末時点で、日本では情勢が次第に落ち着き、平時を取り戻しつつありますが、少し前までは世界的な感染症パンデミックの影響で幾度にもわたる緊急事態宣言とその延長が叫ばれていました。そしてパンデミックの真っただ中、政府や東京都などの自治体は企業に対し、「オフィスへの出勤者の七割減」を目標に掲げ、テレワーク・在宅勤務への切り替えを喧伝しました。

しかし、日本ではテレワークがあまり普及せず、最大の切り替え率を誇った東京都でも4割弱しかテレワークへの転換が行われませんでした。まして海外で新たな変異株が騒がれ出す中で、経団連が「オフィス出勤者の七割減という目標の見直し」を政府(および経産省)に提言し炎上するなど、今も日本の多様な働き方への不寛容は問題視されています。

そうした中で、本来であれば情勢の混乱が少しずつ落ち着きつつある今こそBCP策定によるテレワークやサテライトオフィスなど多様な働き方を柔軟に取り入れられるように転換するべきです。日本ではまだまだビジネスフォンというオフィスに出勤しなければ電話が使えないアナクロな運用が多数派ですが、これを場所に縛られないクラウドフォンに切り替えるだけで、少なくともオフィスでしか電話が使えない、特定拠点でしか特定の電話番号が使えないという問題は解消されます。感染症や豪雨災害が頻発し、BCP策定という言葉が身近になってしまっている今だからこそ、クラウドフォンへの転換を判断する時ではないでしょうか

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クラウドフォンのメリットを最大限活かしましょう

クラウドフォンのメリットを、仕組みの説明や普通の電話との違いも絡めつつ解説しました。また、今すぐにでもクラウドフォンを導入するべきケースはどういったものかも、企業向けに解説しました。

本記事内で解説した通り、やはり「今」こそ、クラウドフォンのメリットと社会的役割を把握し、理解し、経営陣としてクラウドフォン導入へ踏み切るべきタイミングといえます。2011年の「3・11」の時にも、場所に縛られない多様な働き方は提言されてきましたが、結局は立ち消えになりました。そして、2020年以来、感染症対策として在宅勤務への対応の必要性が高まっていますが、なかなか浸透しきっていない状態です。

しかし、豪雨災害や大きな地震が毎年のように起きている災害大国日本で、本当に昔ながらのオフィスワークをそのままにしておいていいのでしょうか。せめて電話運用だけでも、場所に関係なく柔軟に運用できるクラウドフォンへの転換が進み、ひいてはクラウドフォンが世の企業の電話運用において多数派となる日を、心から願ってやみません。