VoIPソフトフォンとは?おすすめのアプリや利用の手順
VoIPは簡単に言えば、電話回線ではなくインターネット回線を使った通話技術のことです。より低コストでの電話運用が可能であることや、通常の電話よりも便利な機能を搭載可能ということで、ここ10年ほどで一般層にも急速に普及しました。その普及に一役買ったのが「VoIPソフトフォン」です。
今回は、VoIPソフトフォンにフォーカスを当て、おすすめのVoIPソフトフォンアプリを紹介します。また、それと併せて、VoIPとは何かや、主に企業でVoIPソフトフォンを活用するために併用すると役立つ電話システム「クラウドPBX」についても触れますので、より便利で低コストな電話運用を検討中の企業担当者様も、ぜひ参考にしてみてください。
VoIPとは
VoIPとは、「Voice over Internet Protocol」の略で、「ブイオーアイピー、ボイップ、ボイプ」などと読みます。「Internet Protocol」は、インターネット回線を使った通信の規格や通信手順のことを指す言葉で、IPアドレスやIPネットワークといった言葉の「IP」も同様の意味合いを持っています。要は、VoIPとは名前そのまま「インターネット回線を使った通話」ということです。
従来は企業でもビジネスフォンなどの固定電話回線を利用した電話運用が一般的でしたが、現在では個人でも企業でも、「IP電話」や「Skype」などVoIPを利用した連絡手段を利用することが増えています。とはいえ特に企業ではまだまだ固定電話回線での運用が多数派ではありますが、2025年には設備の老朽化に伴って、すべての固定電話回線をIP回線に置き換える計画をNTTが発表しているくらいですから、近い将来の日本でVoIPが一般的となるのはもはや避けられません。
VoIPソフトフォンとは?
VoIPを利用した電話と聞いて思い浮かぶのはいわゆる「IP電話」ではないでしょうか。
確かに、すべてのVoIPにおいて、IP電話という概念は常について回るものではありますが、一般的に固有名詞としてIP電話という言葉が使用されるのは、ハードウェアベースのSIPフォンをはじめとした据え置き型のIP電話機を示す場合が多いです。
しかし、そうした据え置き型のIP電話機よりもむしろ、パソコンやスマートフォンといったデバイスにインストールして使用するソフトウェアベースのIP電話のほうが、そうと知らない人こそ多いものの、一般には遥かに広い範囲で普及しています。
たとえば、「LINE」や「Skype」「カカオトーク」といった同一アプリ間の無料通話を可能にする通話アプリがいい例で、「VoIP」や「IP電話」という単語や概念を知らずとも簡単に使えるので、特に若い世代は携帯電話回線を利用した通話よりもむしろ、LINE通話やSkypeをIP電話とは思わずに普通に多用しています。
「VoIPソフトフォン」とは、いわゆる「ソフトウェア」や「アプリケーション」としてデバイスにインストールすることでVoIPを使った通話ができるようにするものです。現在企業で仕事する際に使用しているパソコンやスマートフォンなどのデバイス内にアプリケーションをインストールしたり、所定の通信設定を行うことで使えるようになります。
VoIPソフトフォンは、ソフトウェアベースのIP電話の中でも、特に「固有の電話番号(050番号)を持ち、アナログ固定電話番号にも発信可能なIP電話」を指して使うことが多いです。かつてはパソコンにインストールして、コールセンターのオペレーターのようにヘッドセットマイクなどを接続して使うのが普通でしたが、今では手持ちで通話ができる電話機を兼ねたスマートフォンの急速な普及により、現在人気のVoIPソフトフォンアプリの殆どがスマートフォンに対応しています。
VoIPソフトフォンはクラウドPBXと一緒に導入
さて、そうしたVoIPソフトフォンは、少なくとも企業で運用する際には単体で使うことはほぼありません。
企業が導入するのであれば、冒頭でも少し触れた通り、「クラウドPBX」と一緒に導入するのがおすすめです。クラウドPBXは、クラウド環境とスマートフォン等のデバイスを用いて運用できる新しい企業向けの電話システムで、ここ5年ほどで急速に認知度を上げている新世代のサービスです。
ここでは、クラウドPBXがどういうものなのか、その仕組みやメリットを解説していきます。
クラウドPBXとは
クラウドPBXとは、クラウド環境を利用した企業向けの電話システムで、「複数の電話機と回線を主装置(PBX)で一元管理する」という従来から企業で一般的に導入されてきた「ビジネスフォン」の仕組みをベースに、大幅な改良を進めた新世代のサービスです。
ビジネスフォンとは、複数の固定電話回線(外線・内線)と、社内の複数の固定電話機を、社内に設置した「主装置(PBX)」と呼ばれる構内交換機を用いて、一元管理する仕組みのことです。社内にこうした仕組みがあることで、会社代表番号など特定の問い合わせ先に複数の問い合わせが集中した際に、同時並行で複数の電話機を使って複数人が対応したり(回線の共有)、特定の部署にしかわからない問い合わせをその部署に取り次いだり(着信保留転送)、内線回線で結ばれた社内の固定電話機同士で連絡を取り合ったり(内線通話)できるのです。
先ほども述べた通り、クラウドPBXも「複数の電話機と回線を主装置(PBX)で一元管理する」という仕組み自体は変わりません。しかし、システムの中枢を担う主装置を社内に設置せず、クラウド上、すなわちインターネット回線上に設置することや、そのクラウド上の主装置に対して固定電話機、スマートフォン、携帯電話、パソコンといったデバイスをインターネット回線で相互接続することなどが、従来のビジネスフォンとは大きく違うところです。
クラウドPBXのメリット
クラウドPBXの最大のメリットは、システムの中枢を担う主装置が拠点内ではなくクラウド上、すなわちインターネット回線上にあるということと、そのクラウド上の主装置に対し電話機がインターネット回線でアクセス(相互接続)可能という事です。より正確にいえば、そうした構造になっていることによって、「場所に縛られない運用が可能である」ことこそが最大のメリットとなっています。
従来のビジネスフォンの場合、主装置を会社などの特定拠点内に物理的に設置しなければなりませんし、電話機や回線もすべてその主装置に有線接続するので、電話システムが丸ごと拠点に縛られてしまいます。つまり、会社が持っている電話番号での受発信を行うにも、社員同士で内線通話を行うにも、当然ながら会社にいなければなりません。
それに対してクラウドPBXなら、特定拠点内への主装置の設置が不要であることと、どこへでも持ち運べるデバイスでの運用であることで、場所に縛られずに運用できます。要は「無理に会社にいなくても手持ちのスマホでビジネスフォンの環境を維持できる」ということなのです。
こうした仕組みであることで、以下のように従来からは考えられなかった様々な利便性を得られます。
- 主装置を設置する必要がないので、主装置の購入・設置・維持にかかる一切の費用が不要
- 移動中・外出先・出張先・自宅など、どこにいても内線通話や会社代表番号での通話ができる
- 外出先の担当者のスマホへ、社内から簡単に電話の取次ぎができる
- 国内の別拠点間、ないし海外拠点との間に内線ネットワークを構築できる
これらのクラウドPBXのメリットは、いずれも従来のビジネスフォンでは到底実現不可能な、まさに夢のような画期的な利便性であり、こうしたメリットはこれからのビジネスシーンを大きく変えていくでしょう。
おすすめのVoIPソフトフォンアプリ
以上、色々と説明しましたが、クラウドPBXは先ほど紹介した「VoIP」の一種であり、インターネット回線を利用した電話システムです。その為、スマートフォンを用いてクラウドPBXを使うためには、先ほど説明したVoIPソフトフォンの助力が必要になってきます。
普通の状態のスマートフォンで電話マークを押しても、当然ながら電話回線を利用した通話しかできません。それとは別に、インターネット回線を使った通話(VoIP・IP電話)が使用できるソフトウェアを入れ、内部的にVoIP運用に適した通信ができるようにしなければなりません。そのソフトウェアこそ、「VoIPソフトフォン」なのです。
ここでは、クラウドPBXと併用するべきおすすめのVoIPソフトフォンアプリを5つ紹介します。
Groundwire
Acrobits社の「Groundwire(グラウンドワイヤ)」は、通話における暗号化技術の高いソフトフォンアプリです。高品質なVoIP通信環境を提供しつつ、暗号化技術は軍事グレードと名高くソフトフォンの中でも最高クラスにセキュリティ対策も施された安心安全のソフトフォンとしてよく知られています。
このアプリは、前身アプリの時代からスマートフォンOSそれ自体との相性を考えて開発されているため、iOS・Android両方とも、スマートフォンの純正の電話機能のようにスムーズに電話に出られます。
Acrobits Softphone
「Acrobits Softphone(アクロビッツ・ソフトフォン)」は、かつてiPhone専用だったVoIPソフトフォンアプリで、それゆえにiPhoneとの相性に特化した操作性や機能で知られていました。Groundwireと同じAcrobits社開発のアプリケーションだけあって、スマートフォンのOSにフォーカスを当てた開発スタイルはさすがの一言。iOS純正のフレームワークである「Call Kit」へいち早く対応したことで話題となったアプリです。
OS純正の電話帳アプリやプッシュ通知から電話に出られる利便性、Bluetoothヘッドセットとの対応もさることながら、現在ではiOSだけでなくAndroidにも対応し、どちらのバージョンも平等に機能が割り振られ、使いやすさでいえばかなりレベルの高いおすすめアプリと言えるでしょう。
Zoiper
「Zoiper(ゾイパー)」は、VoIPソフトフォンアプリの中でも最も幅広い色々な端末やOSに対応している「マルチプラットフォーム」と呼ばれるアプリです。対応端末はiOS・Android両方のスマートフォン・タブレット端末だけでなく、デスクトップパソコンやノートパソコン(Windows・Mac・Linux)にも対応しています。
Zoiper自体は無料であるものの、プランはFree(無償版)とBiz(有償版)の2つがあり、特に企業向けに嬉しい機能が有償版に集中しています。個人事業主やSOHOだと、無償版でも十分便利に使えるかもしれません。
Zoiper Classic
「Zoiper Classic(ゾイパー・クラシック)」は先ほど紹介した「Zoiper」のいわゆるクラシックバージョンですが、通常のZoiperと比べた際には「デスクトップ版として開発されたアプリ」と説明したほうがわかりやすいかもしれません。基本的にはパソコンでの操作、特にマウスを利用するデスクトップパソコンでの操作性に特化したインターフェースや画面構成をしている点が特徴的となっているので、原則としてはパソコンで使うことをおすすめします。
Grandstream Wave
「Grandstream Wave(グランドストリーム・ウェーブ)」は、数あるVoIPソフトフォンの中でも、設定を細かいところまで調整できる点が非常に魅力的なアプリケーションです。
着信がかかってきてほしくない就寝中などに全着信をシャットアウトできる設定や、どうしても機体差が出てしまう通話音質に関してイコライザで自由にゲインを調整して聞き取りやすくしたり、通話に利用するネットワークを3G/4G/Wi-Fiなどから自由に選べる機能などがあります。ここまで自由に細かい設定ができるVoIPソフトフォンアプリは他にないでしょう。
VoIPソフトフォンの利用手順
クラウドPBXの仕組みやおすすめのクラウドフォンアプリを詳細に解説してきましたが、肝心のVoIPソフトフォンの利用手順はどのようにすればいいんだろう、と興味が出てきた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
先ほども説明した通り、VoIPソフトフォン自体は導入は非常に簡単で、単に対応したデバイスにインストールして、軽く設定を整えるだけです。そして、クラウドPBXを組み合わせれば、ビジネスフォンと違って大規模な設備の購入や設置工事も不要なので導入は意外と難しくなく、必要なものはベンダーとの連絡手段とお手持ちのスマホだけと非常にシンプルです。
ここでは、VoIPソフトフォンの利用手順を解説していきます。
クラウドPBXを契約する
企業ではなく個人の場合は、VoIPソフトフォン単体で利用することもあるでしょうが、しかし大前提として今回は企業向けのVoIPソフトフォン運用の手順として説明させてください。
あくまでも企業向けの場合、VoIPソフトフォンを利用する前に、企業向けの電話システム「クラウドPBX」を契約して、企業向けに特化した通信手段を確保することから始めます。契約自体は簡単、クラウドPBXのサービスを提供しているベンダー(業者)と手続きをして、回線を開通してもらうだけです。
用意するのはベンダーと連絡が取れる環境と、手持ちのスマートフォンなどのデバイスだけです。回線開通の連絡がくるまでのサーバー側の環境構築や難しい設定は初期費用と引き換えにベンダーがすべてやってくれますので、基本的には待っているだけでよいので、その間に周知や受け入れ態勢を整えておきましょう。
端末にVoIPソフトフォンをインストール
クラウドPBXは、それ単体で機能するものではなく、VoIPソフトフォンと組み合わせて使う場合がほとんどです。
ベンダーと契約を締結し開通の連絡がきたら、スマートフォンあるいはパソコンといった、クラウドPBXでの通話に使用するデバイスにVoIPソフトフォンをインストールしましょう。インストール自体に難しい作業はなく、すぐにインストールは終わるはずです。インストールが終わったら、アプリを起動して設定画面を開き、通信設定を行います。
この通信設定に関しても、詳しい手順書がベンダーから送られてくるはずです。そこまで難しい作業はないので、手順書通りに順番に設定していけば1台数分程度で完了するでしょう。設定が終わったらアプリを再起動して、設定や動作に問題が起きていないかチェックして準備完了です。
VoIPソフトフォンと一緒に使おう!「ナイセンクラウド」
ナイセンクラウドは、03や06などの全国の市外局番はもちろん、050番号や0120・0800のフリーダイヤルに対応しているクラウドPBXです。多くの企業や個人事業主の方、クリニックなどで導入されています。外から内線を利用できるナイセンクラウドは、在宅勤務者が多い場合や拠点数が多い場合、また海外に拠点があるケースなどで利用されています。
詳しい機能については次の動画やサービスサイトをご覧ください。
▼1分でわかるナイセンクラウド
企業規模に応じて3つのプランから選ぶことができます。詳しい料金は自動見積りや個別見積りでご確認ください。
また、2台のスマホでフリーダイヤルを利用することに特化した「スマフリ」もございます。ナイセンクラウドの機能を小規模に導入できるスマフリを先に導入してみて、使い勝手や機能を確認したのちにナイセンクラウドに切り替えることも可能です。
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VoIPソフトフォンでさらに利用しやすい電話環境に
VoIPをデバイスで利用する際に必要な「VoIPソフトフォン」にフォーカスを当て、おすすめのVoIPソフトフォンや、VoIPソフトフォンと組み合わせるべき画期的な電話システム「クラウドPBX」の仕組みやメリット、クラウドPBX導入を前提としたVoIPソフトフォンの利用手順についても詳細に解説しました。
クラウドPBXもまたVoIPを利用した通信手段なのでVoIPソフトフォンとの相性は良く、そもそもVoIPソフトフォンの使用を前提として提供されるクラウドPBXも多いです。クラウドPBXには、便利なVoIPソフトフォンが使えるという意外にもたくさんメリットがありますので、気になった方はぜひ導入を検討してみてくださいね。