ナンバーディスプレイとは?仕組みや利用方法などを解説します

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一般的にナンバーディスプレイは、かかってきた電話の電話番号を表示させるサービスとして知られています。しかし、他にも便利な機能が多く搭載されています。ナンバーディスプレイ機能を活用することで、さらに業務を効率化させることができるでしょう。本記事では、ナンバーディスプレイの概要やナンバーディスプレイを利用するメリット、導入方法などをご紹介します。

ナンバーディスプレイとは

ナンバーディスプレイとは、主に着信時にビジネスフォンの電話番号表示箇所に、自社の電話番号を表示させる機能を指します。NTT東西が提供しているサービスで、アナログ回線・ISDN・ひかり電話などで利用できます。

ナンバーディスプレイは、1997年から始まったとされます。当時、民営化前だったNTTが、横浜・名古屋・福岡の地域で「発信電話番号表示サービス」を始めたのが最初といわれています。同年10月には「ナンバーディスプレイ」名称が変更され、1998年から全国で運用が開始されました。ナンバーディスプレイは有料のオプション機能ですので、当初は「電話番号を表示するだけの機能で、料金を取るサービスが成立するのか」との声もあったそうです。しかし、いざサービスを提供してみると、相手の電話番号が分かることで、必要な電話と迷惑電話が判別しやすいというメリットが出てきました。このメリットが周知されることで、ナンバーディスプレイは急速に普及したとされています。

その後、電話の主流が固定電話から携帯電話、スマホに移行しました。スマホの場合は、最初から番号が表示される機能がつけられました。一方で、オフィスではまだ固定電話が使われるため、ナンバーディスプレイはまだ現役で使われています。

 

・ナンバーディスプレイの仕組み

ナンバーディスプレイ機能の仕組みは、まず発信回線の電話番号や携帯電話番号の情報を、回線を通じて情報受信端末に信号が送出されます。着信時には、情報受信端末の受信アダプタが動作して、交換機からモデム信号が送信されます。これにより、情報受信端末が呼び出されることで、ナンバーディスプレイに電話番号が表示できます。

 

アナログ回線の場合、電話の呼び出し音を鳴らす前に表示します。これを実現するため、交換機から呼出番号を送る時に工夫がされています。たとえば、通常は「1秒ONになったら2秒OFF」に設定されている間隔を、「0.5秒ONと0.5秒OFF」等に変更します。この変更によって、呼び出し音を鳴らさず、モデム番号を一旦受信してから番号を表示することが可能になりました。この後に電話の呼び出しが行われるので、受話器を取ることで会話が可能になります。

ナンバーディスプレイを利用するメリット

ナンバーディスプレイを利用するメリットには、主に以下が挙げられます。

迷惑電話対策

ナンバーディスプレイは、迷惑電話対策にも役立ちます。ナンバーディスプレイがあれば、迷惑電話やしつこいセールスなどの電話番号の記録を残すことができます。そのため、その電話番号を着信拒否登録し、次からは電話がかかってこないようにすることが可能です。また、着信拒否登録をすれば、登録した相手から電話がかかってきた場合、呼び出し音を鳴らさずに専用のメッセージを流すことも可能です。自動でしつこい迷惑電話に対応してくれるため、業務に集中することができます。

業務中に迷惑電話の対応をする必要がないため、業務効率化が期待できるでしょう。また、迷惑電話に対応しなくて済むことで、社員の心身の健康を守ることにもつながります。

着信履歴が残る

ナンバーディスプレイがあれば、着信履歴を残すことができます。通話時に電話番号をメモする手間がなくなるため、ミスの減少や業務効率化が期待できるでしょう。機種によって差がありますが、過去数十件の着信履歴を残せます。電話対応に慣れていないと、相手の電話番号を聞きそびれてしまうこともあります。ナンバーディスプレイがあれば、相手の電話番号を聞きもらしてしまった場合でも、着信履歴をチェックすれば簡単に確認できます。

着信先を指定できる

ナンバーディスプレイでは、着信先を指定できます。電話をかけてきた相手に合わせて、会社の親機を鳴らすのか、子機を鳴らすのか、事前に指定することが可能です。電話番号に合わせて事前に着信先を指定しておけば、部署間の取り次ぎを無くすことができます。さらに電話をかけてきた相手からしても、同じ人が電話に出てくれることで、すぐに用件を伝えることができるでしょう。

ナンバーディスプレイの便利機能

ナンバーディスプレイにはさまざまな便利な機能があります。ここでは、代表的な3つの機能についてご紹介します。

着信相手の番号を表示

ナンバーディスプレイの代表的な機能が、着信相手の番号を表示させる機能です。電話帳に登録した番号であれば、事前に相手が分かるので、相手に合わせた対応ができます。また、知らない番号からの着信でも、市外局番か代表番号か、フリーダイヤルなのかが分かります。電話番号でどこからの電話なのか、ある程度予測がつくため、落ち着いて電話対応ができるでしょう。

発着信履歴

ナンバーディスプレイでは、発着信の履歴を残すことができます。たとえば、電話番号を聞きそびれたり、メモし損ねたりした場合でも、改めてかけ直すなどの対処ができます。ナンバーディスプレイがなければ、発着信履歴が残らないため、毎回電話番号を聞く必要が出てきます。ナンバーディスプレイで簡単に確認できることで、業務効率化につながるでしょう。

非通知着信の表示

ナンバーディスプレイでも、かけてきた相手の番号が表示されない場合があります。その場合、ナンバーディスプレイにその理由が表示されます。電話番号が表示されない主な理由には以下が挙げられます。

 

・非通知

1.相手の電話機の設定が電話番号非通知になっている

2.相手の電話発信する際に、電話番号の前に「184」をつけて発信した

この場合、相手が番号の表示をしない設定で電話をかけているため、非通知と表示されます。

 

・公衆電話

相手が公衆電話から発信している場合は、「公衆電話」とディスプレイに表示されます。

 

・表示圏外

「非通知」「公衆電話」以外の理由によって、相手の電話番号が表示できない場合に「表示圏外」と表示されます。たとえば、国際電話、一部のIP電話などから電話がかかってきた場合、表示圏外となります。

相手が故意に非通知などにしている場合は、迷惑電話やセールス電話の可能性があるため注意が必要です。

ナンバーディスプレイの導入方法

ナンバーディスプレイは、基本的に申し込みをしないと利用できない有料の機能です。一般の固定電話やビジネスフォンの基本契約では、ナンバーディスプレイの表示はできないことが多いため、注意しましょう。

ただし、NTTのひかり電話のオフィスエースなど、ナンバーディスプレイを無料で利用できるサービスもあります。導入しようとしているビジネスフォン、もしくは既に導入しているビジネスフォンにナンバーディスプレイ機能がついているのか、しっかり確認しましょう。

 

・月額費用と初期費用がかかるので注意

ナンバーディスプレイ機能をオプションサービスで利用する場合は、月額費用と初期費用が必要です。月額費用と初期費用は、1回線当たりにかかる料金のため、回線数が多いと、その分支払う料金が増えてしまいます。そのため、どのビジネスフォンにナンバーディスプレイをつけるのか、すべての電話だけでなくつける電話を選ぶのかなど、事前に検討することをおすすめします。

利用を開始する場合は、現在契約している電話回線のキャリアに連絡します。キャリアから、契約手続きについての案内がありますので、それに従います。利用料金は一律ではなく、電話回線の種類によって異なり、ひかり電話、アナログ、デジタル(INS/ISDN)ごとに料金体が変わるので注意しましょう。

 

・ナンバーディスプレイに対応していない電話機もある

最新のビジネスフォンであれば、ほぼナンバーディスプレイに対応しています。しかし、中古品の中には、ナンバーディスプレイ非対応の物もあります。中古品は新品と比較すると導入コストが安いですが、ナンバーディスプレイが必要であれば対応しているかどうか、確認してから購入しましょう。

 

・工事は発生しない

申し込み後に通信事業者が審査を行います。審査を通過した後に初期費用を支払います。ナンバーディスプレイは交換機の設定をするだけのため、工事作業は発生しません。

 

・ナンバーディスプレイが表示されない場合

手続きをしたのにナンバーディスプレイが表示されない場合、原因として以下が考えられます。

 

1.機能設定をしていない

ナンバーディスプレイは契約するだけでなく、機器側で設定をオンにする必要があります。標準でオンになっている場合が多いですが、オフになっているケースも考えられるため、確認しましょう。設定方法は機器ごとに異なるので、説明書などを確認しながら設定を行いましょう。

 

2.契約回線がアナログ回線になっている

アナログ回線を利用していたり、ひかり電話からアナログ回線に変化して利用したりする場合は、ナンバーディスプレイが利用できないので注意が必要です。こうした場合は、主装置にオプションユニットをつけることで、ナンバーディスプレイを利用できます。

ナンバーディスプレイを導入してみよう

ナンバーディスプレイを導入することで、着信相手の電話番号がビジネスフォンのディスプレイに表示されます。事前にどこから電話がかかってきたのか分かるため、相手に合わせた対応が可能になります。また発着信履歴が残るため、後から電話番号を確認しやすいのが特徴です。また特定の番号を着信拒否するなど、迷惑電話対策にも、ナンバーディスプレイは役立ちます。ナンバーディスプレイの導入には事前の契約が必要です。まずは契約しているキャリアに相談してみてはいかがでしょうか。